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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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決算は黒字なのに通帳が増えない、どの工事が儲かっているか即答できない——そんな社長のための3問セルフ診断です。「はい/いいえ」で答えると、あなたの会社のどんぶり勘定タイプが分かり、タイプ別に何から手を付ければいいか、最初の一歩までたどれます。
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決算書の上では黒字なのに、通帳の残高はちっとも増えない。どの工事で儲かって、どれが赤字だったのか、改めて聞かれると即答できない。「うちはどんぶりだからね」と笑ってはみるものの、実のところ、自分の会社がどのくらい重症なのかは、よく分からない——。
そんな社長のために、3つの質問だけで自己診断できる場所を用意しました。責めるための診断ではありません。どこでつまずいているかが分かれば、次の一歩は驚くほどはっきりします。3分だけ、お付き合いください。
さっそくやってみましょう。次の3つの問いに、「はい」か「いいえ」で答えてみてください。あまり深く考えず、いまの会社の実態で答えるのがコツです。見栄をはらず、「できているつもり」くらいのものは「いいえ」に寄せて答えると、診断はよく効きます。
Q1. 直近で完成した工事について、「いくら儲かったか(粗利)」を金額でパッと言えますか。
Q2. 見積を出すとき、過去の似た工事で「実際にいくら原価がかかったか」を見て決めていますか。
Q3. 月に一度でいいので、工事ごとに「見積のときに見込んだ原価」と「実際にかかった原価」を並べて見ていますか。

答え合わせの見方は、とてもシンプルです。この3つの問いは、下の土台から順に積み上がっています。Q1(工事ごとに損益を見る)ができて、はじめてQ2(その実績を見積に生かす)が生き、Q2ができて、はじめてQ3(毎月そのズレを振り返る)が回り出す。だから上から読んでいって、最初に「いいえ」が出たところが、いまのあなたの会社の"伸びしろ"=タイプです。3つとも「はい」だったなら、もうどんぶりは抜けています。この先は読まなくて大丈夫です。
自分のタイプは見つかりましたか。ここからは、タイプごとに「症状」と「最初の一歩」を見ていきます。処方箋の詳しいやり方は、本編にあたる脱・どんぶり勘定の3ステップにまとめてあるので、ここでは要点だけに絞ります。

頭のなかの"勘ピュータ"は高性能で、会社全体のお金の出入りはなんとなく把握できている。でも、「どの工事で、いくら残ったか」となると、決算を締めるまで分からない——というタイプです。じつは、これがいちばん多いパターンです。腕がよくて真面目な社長ほど、現場に出ずっぱりで数字を見る時間がなく、後回しになってしまう。怠けの結果ではなく、忙しさの結果なので、落ち込む必要はありません。
最初の一歩は、いま動いている工事を「工事名・発注者・請負金額」で1枚に書き出すこと。ここから、お金を"工事ごと"に見る習慣が始まります。この記録は、いずれ整える工事台帳の土台にもそのまま使えます。
終わった工事の損益は分かる。けれど、次の見積は過去の実績ではなく、"勘と気合"で出している——というタイプです。困るのは、材料費や外注費が上がっても、単価に反映する根拠を持てないこと。気づけば薄利で受けていたり、値上げをお願いしたくても、交渉材料になる数字が手元にない、ということが起こります。
最初の一歩は、支払いを「材料費・労務費・外注費・経費」の4つの費目に分けて、工事ごとの工事原価を貯めていくこと。1件、また1件と実績がたまると、次の見積の説得力がまるで変わってきます。
工事ごとの損益も見ているし、見積にも根拠がある。あとは、その振り返りが工事の"後"になりがち、というだけ。ほんとうに、あと一歩のタイプです。もったいないのは、赤字になりそうな工事に、終わってから気づいてしまうこと。途中で気づければ、まだ打てる手はたくさんあります。
最初の一歩は、月に一度、工事ごとに「見積の原価」と「実際の原価」を並べてみること。これは予実管理の第一歩です。月30分で、"終わってから知る"が"途中で気づく"に変わります。
そもそも、なぜ建設業はこんなにどんぶり勘定になりやすいのでしょうか。これは社長個人の性格の問題ではなく、商売の構造そのものが、そちらへ傾いているからです。理由は大きく3つあります。
ひとつは、工事ごとに原価の中身がまるで違うこと。同じ「1件」でも、材料が重い工事もあれば、人手ばかりかかる工事もある。ひとつの物差しで測りにくいのです。ふたつめは、お金の出入りが長いこと。着手金・中間金・完成後の入金と、材料や外注への支払いは、時期がずれます。だから、その瞬間の通帳残高は"今の実力"を映していません。みっつめは、現場が忙しく、事務が後回しになりがちなこと。日中は現場、夜に社長や奥さんが伝票を触る——という会社では、数字を見る時間が構造的に足りません。
つまり、どんぶり勘定は"抜け出しにくいのが普通"なのです。だからこそ、勘に頼るのをやめて、原価管理の仕組みを一度だけ作ってしまえば、あとはぐっとラクになります。
タイプが何であれ、やることの入口は同じです。難しいシステムも、簿記の知識もいりません。次の2つだけです。
まずはExcelで十分です。「日付・支払先・金額・工事名・費目」の5列の表を作り、届いた請求書をその場で工事名で振り分けて打ち込んでいく。集計は月末にまとめてやれば大丈夫です。これだけで、「あの現場、思ったより材料を食っているな」という気づきが生まれ始めます。
そして、工事ごとの数字が見えてくると、いちばん変わるのは次の見積の"値決め"です。勘で丸めていた金額に根拠が乗り、赤字で受けることも、遠慮して安く出すことも減っていきます。数字を見るのは、締めつけのためではなく、自信をもって値段をつけるためだと考えてみてください。
現場が増えてくると、手作業のExcelは続けるのがだんだん大変になってきます。そうなったら、工事ごとの粗利を自動で集計してくれるツール(コンクルーAIのような施工管理・原価管理サービス)に任せる手もあります。ただ、順番としては形が先。まずはExcel1枚で"工事ごとに見る"癖をつけてしまうのが、いちばんの近道です。具体的なやり方は、本編の脱・どんぶり勘定の3ステップで手順を追って解説しています。
最後に、診断の3問をもう一度置いておきます。折にふれて、自分の会社に問いかけてみてください。
どんぶり勘定は、性格でも実力不足でもなく、直せる"クセ"です。そして、直す入口はどのタイプでも「工事ごとに、1枚で、月に一度」。まずはそこから始めてみましょう。抜け出す手順を具体的に知りたくなったら、本編の脱・どんぶり勘定の3ステップへ。もう一歩踏み込んで、工事の採算を先に設計しておきたい方は、実行予算の考え方もあわせてどうぞ。