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監修者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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工事用ヘルメットは何年で替えるのか、内装は、ぶつけたときは。会社として人数分をどう揃え、支給・経費・交換をどう回すか悩む社長向けに、使用期限の目安と法令上の位置づけ、使用区分と材質の選び方、現行6製品の比較、台帳と更新ルールまでを整理します。
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元請の安全パトロールで「このヘルメット、製造年月はいつですか」と聞かれ、帽体の裏をのぞいたら5年前の表示だった。職人さんは「まだ割れていないから大丈夫」と言うし、ネットで調べると「3年で交換」「FRPは5年」「法律で決まっている」と書いてあるのに、それが本当に義務なのか、いつから数えて3年なのかは、どこにもはっきり書いていませんよね。
新人が入るたびにホームセンターで間に合わせを買ってきて、気がつけば会社の中に3メーカー5種類が混在。社長の立場でヘルメットを考えると、一個の善し悪しより「何を、何個、どう回すか」のほうがずっと重いはずです。
この記事では、工事用ヘルメット(保護帽)の使用期限の正体を先に整理し、使用区分と材質の選び方、現行6製品の比較、個数・支給ルール・経費・交換サイクルの実務まで、会社として決められるようにまとめます。価格や仕様は2026年9月時点の各社公式サイトで確認したものです。
結論から書きます。一般社団法人日本ヘルメット工業会は、PC・ABS・PEなどの熱可塑性樹脂製の帽体は外観に異常がなくても使用開始から3年以内、FRPなどの熱硬化性樹脂製は5年以内、あごひもと着装体(内装)は1年以内の交換を推奨しています。そして、この年数を定めた法令はありません。工業会のFAQに「法的な規定はありません」と明記されています(出典:日本ヘルメット工業会 FAQ)。
「3年で交換」は、会員メーカー各社の屋外ばく露試験などの結果をふまえて工業会が定めた目安です。樹脂の劣化は使用頻度や保管状態で進み方が違い、外観では分からないため、年数で替える考え方になっています。
一方で、労働安全衛生法が会社に求めているのは年数ではなく、次の3つです。①厚生労働大臣が定める規格(保護帽の規格)に適合したものでなければ、譲渡・貸与・設置してはならない(第42条)②保護帽は型式検定の対象で、合格した型式である旨の表示が付されていないものは使用してはならない(第44条の2)③明り掘削や上方作業、トラックの荷の積み降ろしなど、決まった場面では着用させなければならない(労働安全衛生規則)。「3年を過ぎたら違法」ではなく、「検定合格の表示があるものを、必要な場面で着けさせる」のが法律上の義務です(出典:労働安全衛生法 第42条・第44条の2)。
ただし劣化は外から見えないので、「目安だから守らなくてよい」とはなりません。会社のルールとしては、工業会の年数をそのまま採用するのが説明しやすい線です。
帽体内側の「製造年月」は、保護帽の規格(告示)第9条で表示が義務づけられた、メーカーが作った日付です。工業会が3年・5年の起点にしているのは「使用開始」の年月で、倉庫で1年眠っていた在庫を配れば、製造から4年目でも使用開始からは3年目です。最近の製品は「警告・注意」ラベルに使用年月を書き込む欄があるので、配った日に記入しておくと迷いません(出典:保護帽の規格 昭和50年労働省告示第66号)。
一度でも大きな衝撃が加わったヘルメットは、外見に傷がなくても内部が損傷している可能性が高く、同じ箇所にもう一度衝撃が加わると吸収しきれないおそれがあります。工業会は使用をやめるよう呼びかけています。落下物が当たった、脚立から落ちて頭を打った帽体は、買ってから何か月でも交換対象です。保護帽は衝撃を緩和する道具であって、あらゆる怪我を防ぐものではないことも、職人さんに伝えておきましょう。

型番より先に決めたいのが使用区分です。ここを間違えると、その現場で使えないヘルメットを配ることになります。
保護帽の規格(告示)は、保護帽を「物体の飛来又は落下による危険を防止するためのもの」と「墜落による危険を防止するためのもの」の2つに分けて定めています。前者がいわゆる飛来・落下物用で、上から物が落ちてくる危険に備えるもの。帽体・着装体(ハンモックやヘッドバンド)・あごひもで構成され、耐貫通試験などが定められています。後者が墜落時保護用で、自分が高いところから落ちて頭を打つ危険に備えるもの。帽体・衝撃吸収ライナー(発泡スチロールなど)・あごひもで構成されます(出典:保護帽の規格 第1条・第4条から第7条)。建設現場では、この2つを兼ねた兼用品が基本です。製品ページの使用区分は記号(A=飛来・落下物用、B=墜落時保護用、E=電気用)でも示されます。
3つ目が電気用です。メーカー各社は「電気用(使用電圧7,000V以下)」などと表記しており、帽体に通気孔があるものは電気用になりません。電気工事を請ける会社は、兼用に電気用を足した3種兼用の型番を選ぶことになります。なお、電気用として使う帽体は絶縁用保護具として6か月以内ごとの定期自主検査の対象になり、記録は3年間保存します(出典:労働安全衛生規則 第351条)。絶縁用保護具の規格上の位置づけまでは、この記事では扱いません。
労働安全衛生規則で「事業者は、当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない」と定められている場面のうち、町場の会社に関係が深いのは3つです。
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使用区分が決まったら、帽体の材質と機能を見ます。材質は大きく4系統です。
材質ごとの特性はメーカーの比較表を参照してください(出典:谷沢製作所 エアライトS 帽体の材質別比較表)。
従業員50名以下の会社への現実解ははっきりしています。ABS製で、飛来・落下物用と墜落時保護用を兼ねた型式検定合格品を1機種に決め、人数分と予備2〜3個をまとめて買う。そのうえで、電気工事を担当する人だけ電気用表示のある通気孔なしの型番、溶接や高温作業が日常の班だけFRP、暑さが厳しい現場は通気孔付きか遮熱タイプ、と二段構えで足していきます。
1機種に統一する理由は3つあります。一つ目は、交換部品が共通になること。型番がばらばらだと、1年ごとに替える内装の在庫と発注が毎回違ってしまいます。ミドリ安全のSC-11 B DR αなら、交換用の内装一式が税込1,870円、αライナーが517円、あごバンドが319円と、部品単位で公式通販から買い足せます(出典:ミドリ安全.com ヘルメット SC-11 B DR α スーパーホワイト)。
二つ目は、価格と重さのバランスです。ABS製の兼用品は、公式の税込価格でおおむね3,000〜7,000円台、オープン価格の製品なら実勢2,000円台からと、1個あたりの入口が低く、重量も275〜430gの幅に収まります。
三つ目は、台帳で追いやすいことです。色や型番がばらばらだと「誰のがいつから使っているものか」の追跡がすぐ破綻します。この章のメッセージは「ホームセンターでその場しのぎに買い足す運用をやめる」に尽きます。
発注前と現物で確認するポイントです。
①型式検定合格標章。労働安全衛生法第44条の2に基づく表示で、機械等検定規則が定める様式の標章(ラベル)が帽体の見やすい箇所に付いています。この表示がない保護帽は使用してはならない、と同条に書かれています。飛来・落下物用と墜落時保護用の保護帽は労働安全衛生法施行令で型式検定の対象と定められ、登録型式検定機関の一つが公益社団法人産業安全技術協会です(出典:労働安全衛生法施行令 第14条の2)(出典:機械等検定規則 第14条)(出典:産業安全技術協会 検定制度の概要)。製品ページで見かける「国家検定合格品」「厚生労働省保護帽検定合格品」は、いずれもこの型式検定に合格していることを指す表記です。
②製造年月。告示第9条で、製造者名・製造年月・使用区分の旨の3つを見やすい箇所に表示することが求められています。
③使用区分。「飛来・落下物用」「墜落時保護用」の旨、電気用なら「電気用」の表示があるかを見ます。
産業用ヘルメットには「JIS T 8131:2015 産業用ヘルメット」という日本産業規格もあり、性能・試験方法・表示事項を定めています。両方の表示がある製品が多いですが、労働安全衛生法上の義務はあくまで型式検定合格品を使うことです。
この記事の6製品は275〜430gの幅にあります。1日8時間、夏は汗をかきながら被る道具なので、100gの差は首や肩の疲れに素直に効いてきます。軽さと価格は、比較表で合わせて見てください。
あごひもと着装体(内装)は1年以内の交換が目安で、汗や皮脂で劣化しやすい消耗品です。サイズは頭囲の範囲(例:SC-11 B DR αは55〜62cm、トーヨーセーフティのNO.170シリーズは53〜61cm)を確認します。ミドリ安全の製品ページには、指定の付属品の組み合わせ以外で使用すると国家検定規格外になる旨の注記があるので、他社の内装や社外品のライナーを組み合わせるのは避けてください。
繰り返しになりますが、通気孔付きは電気用になりません。DICプラスチックの軽神も、通気孔なしのAA23-C/AA23-CSには電気用(7,000V以下)の表示がある一方、通気孔付きのAA23-CV/AA23-CSVにはありません。電気工事の会社は、ラベルの「電気用」表示を型番単位で確認してください(出典:DICプラスチック 軽神 製品概要)。
国内5メーカーの現行6製品を比較表にまとめました。価格は「公式サイトの税込表記」「公式通販の税込表記」「オープン価格(実勢の幅)」と種別を分けて書いています。いずれも2026年9月時点のもので、発注前に各社の公式ページで最新の表示を確認してください。ミドリ安全は型番が多いので代表1型番に絞っています。
製品(型番) | メーカー | 材質・重量 | 使用区分 | 参考価格(税込)・種別 | こんな会社に向く |
|---|---|---|---|---|---|
エアライトS ST#0123-JZ(EPA) | 谷沢製作所 | ABS・335g | 飛来・落下物用/墜落時保護用/ | 5,148円(公式税込表記) | 一般建築から電気工事まで1機種で揃えたい |
エアライトS ST#103B-JPZ(EPA) | 谷沢製作所 | FRP・280g | 飛来・落下物用/墜落時保護用 | 10,714円(公式税込表記) | 溶接・高温の現場。 |
SS-23V型 T-P式RA | 進和化学工業 | ABS・410g | 飛来・落下物用/墜落時保護用 | 7,150円(公式税込表記。税抜6,500円) | 夏の暑さ対策を優先し、電気工事はない |
NO.170F | トーヨーセーフティ | ABS・約364g | 飛来・落下物用/墜落時保護用/ | 公式に価格記載なし | 価格を抑えて人数分を揃えたい。電気工事あり |
軽神 AA23-C | DICプラスチック | ABS(バイザーはPC)・275g | 飛来・落下物用/墜落時保護用/ | 公式に価格記載なし | 軽さを最優先。シールド付きのAA23-CS |
SC-11 B DR α(商品コード4001706014) | ミドリ安全 | ABS・430g・頭囲55〜62cm | 飛来・落下物用/ | 3,289円(公式通販の税込表記。税抜2,990円) | 交換部品を単品で買い足しながら長く運用したい |
(出典:谷沢製作所 エアライトS)(出典:進和化学工業 SS-23V型)(出典:トーヨーセーフティ NO.170)(出典:DICプラスチック 軽神)(出典:ミドリ安全.com ヘルメット SC-11 B DR α スーパーホワイト)
オープン価格の製品はメーカー希望小売価格の設定がなく、販売店ごとに価格が異なります。表の実勢の幅は2026年9月時点の通販価格(アスクル・モノタロウ・ビルディなど)です。型式検定合格の有無と使用区分は、帽体内側のラベルで現物を確認してください。

谷沢製作所 エアライトS ST#0123-JZ(EPA)は、ABS製・335gで、飛来・落下物用・墜落時保護用・電気用の3区分をひとつで満たす兼用機です。公式の税込価格は5,148円。同じシリーズにFRP製のST#103B-JPZ(EPA)(280g・税込10,714円・電気用なし)、PC製のST#123-JZV(EPA)(365g・税込9,042円・電気用あり)があります。
進和化学工業 SS-23V型 T-P式RAは、ABS製・410gで、通気孔をスライド式のカバーで開け閉めできます。公式の価格は税抜6,500円・税込7,150円、着用サイズは最大61cm。厚生労働省の検定合格番号(飛来落下物用TH3881、墜落時保護用TH3882)が製品ページに載っています。電気用ではないので、電気工事のない会社向けです。
トーヨーセーフティ NO.170Fは、2025年7月1日に東洋物産工業から社名を変えた同社の定番シリーズで、ABS製・約364g、飛来・落下物用・墜落時保護用・電気用の3種兼用(ABE)です。公式サイトには「厚生労働省保護帽検定合格品」の表記があり、サイズは53〜61cm。価格はオープン価格で公式サイトに記載がなく、通販では税込2,000〜2,400円台が目安です(出典:トーヨーセーフティ 社名変更のお知らせ)。
DICプラスチック 軽神 AA23-Cは、帽体(ABS)と衝撃吸収ライナーをインモールド工法で一体成型した超軽量機で、公式の重量は275g。通気孔なしのAA23-Cとシールド付きのAA23-CS(310g)には電気用(7,000V以下)の表示があります。公式サイトはオープン価格で、通販では税込6,000円台、CSは1万円前後が目安。軽さを最優先する会社の候補です。
ミドリ安全 SC-11 B DR α スーパーホワイトは、ABS製・430gで、片手でサイズ調整できるDRバンドとαライナー(衝撃吸収ライナー)を備え、公式通販では税込3,289円(税抜2,990円)。製品ページの使用区分表示は飛来・落下物用・墜落時保護用・電気用の3つです。内装一式・αライナー・あごバンド・耳ひも・汗取りを単品で買えるので、3年使う間に内装を替えながら回す運用と相性がよい一個です。
なお、LEDや無線を内蔵したスマートヘルメット、防災用・折りたたみ式、自転車用は、この記事の対象外です。
ここからが社長ならではの検討事項です。
最初の目安は「在籍する現場作業者の人数分+予備2〜3個」です。予備は新人・来客・破損時の即日交換用です。現場数が多い会社は、現場ごとに来客用を1個足します。架空の例で、職人8人・現場3つの会社なら、8個+予備3個+来客用3個の14個から。SC-11 B DR α(税込3,289円)なら46,046円、エアライトS ST#0123-JZ(EPA)(税込5,148円)なら72,072円が初回のまとめ買いの目安です。現場ごとの人員配置を業務管理アプリ(コンクルーAIなど)で一覧できる会社なら、在籍人数と現場数から必要個数と予備の数を数えやすいです。
労働安全衛生規則の第366条・第539条・第151条の74は、いずれも「事業者は…保護帽を着用させなければならない」という書き方で、規格に合ったものを使わせる責任が会社側にあります。この構造から、会社支給を基本にするのが素直です。理由は3つ。①使用区分や検定合格の間違いを会社で止められる ②製造年月と使用開始年月を会社で把握できる ③退職時に回収でき、色や名入れも揃えられる。個人持ちを認める場合も、「型式検定合格標章と使用区分を会社が確認してから」の条件付きにしておきましょう。会社が選んで現物で配る形は、空調服のおすすめ|会社で支給する社長の選び方・揃え方でも同じ整理をしています。
この記事の6製品は1個あたり2,000円台から1万円台で、いずれも取得価額10万円未満です。取得価額10万円未満の減価償却資産は、事業の用に供した年度に損金経理すれば全額をその年度の損金にできます(出典:法人税法施行令 第133条)。判定は「通常1単位として取引される単位ごと」なので、14個まとめて買っても1個ずつで見ます(出典:国税庁 タックスアンサー No.5403)。仮に10万円以上の安全設備を一緒に買う場合は、青色申告の中小企業者等(従業員400人以下など一定の要件)が取得価額40万円未満の資産を年間合計300万円まで、令和11年(2029年)3月31日までの取得分について全額損金にできる特例があります(出典:租税特別措置法 第67条の5)。
もう一つは、現物支給が給与として課税されないかです。国税庁の質疑応答では、作業服などの支給が非課税の制服等に準じて扱われる考え方として、①専ら勤務する場所で通常の職務を行ううえで着用し、私用には着用しない・できないものであること ②職場に属する者の全員、または一定の仕事に従事する者の全員を対象に支給されること(さらに厳格にいえば、着用する人が特定の従業員だと一見して判別できること)が示されています(出典:国税庁 質疑応答事例 背広の支給による経済的利益)。現場で全員に配るヘルメットは、一般的にはこの整理に当てはまりやすいとされています。ただし断定はできないので、貸与にするか退職時に返してもらうかも含めて、最終判断は顧問税理士に確認してください。
「大きな衝撃を受けた・割れた・ひびが入った・あごひもが切れた」は、年数に関係なく即交換。これを会社のルールとして明文化し、交換費用は会社負担を基本にしてください。自己負担にすると、報告を遅らせて使い続ける動機が生まれ、そこがいちばん危険です。手順は「予備から即日渡す→台帳を更新する→補充を発注する」の3つで足ります。壊した人の自己負担の是非は、事前にルールを決めて周知しておきます。紛失は名入れや記名でかなり防げます。
最後に、3年・5年・1年を実際に回す仕組みです。
最後に一つの型にまとめます。
どのメーカーも型式検定に合格した製品を長く供給しており、上の候補に優劣はありません。大切なのは、機種と使用区分を会社で決め、いつから使っているかを台帳で追い、割れたら黙って使い続けない空気をつくることです。