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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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完工した工事や現場で増えた作業を、請求書に載せ忘れていませんか。建設業の請求漏れを防ぐため、完工・追加変更・請求・入金予定を工事ごとに照合する月末手順を解説します。社長と事務担当が同じ一覧を見て、確認待ちを翌月へ埋もれさせないための実務チェックリストです。
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請求書を作り終えたあと、現場の職人さんから「この前の追加分はどうなりました?」と聞かれて青くなる。完工した現場のファイルが事務所に届かず、請求が翌月へずれ込む。建設会社の月末では、そんなことが起こりがちですよね。
建設業の請求漏れ防止で大切なのは、事務担当者が注意深く請求書を作ることだけではありません。請求書を作る前に、現場側が持つ「どこまで終わったか」と、事務側が持つ「何をいつ請求するか」を工事ごとに突き合わせることです。
この記事では、町場の小規模建設会社でも始めやすいように、月末に「完工・出来高」「追加・変更」「請求」「入金予定」の4点を照合する手順をまとめます。Excelでも共有表でも紙でもかまいません。まずは、今月動いた工事を1枚に並べるところから始めましょう。
請求漏れを見つけるために、最初から請求書フォルダを開く必要はありません。先に「今月動いた工事」をすべて並べ、それぞれについて次の4点を左から順に確認します。
照合する項目 | 確認すること | 確認できないとき |
|---|---|---|
完工・出来高 | 今月、契約上の請求時期を迎えたか | 現場担当へ確認する |
追加・変更 | 作業内容、金額、 | 「確認待ち」として残す |
請求 | 今回請求額に本体・ | 見積・注文・前回請求と照合する |
入金予定 | 請求先、締め日、送付先、 | 契約書や取引先の指定を確認する |

ここでのポイントは、「請求済みか」だけを見ないことです。完工していても現場から連絡がなければ、事務側には請求対象が見えません。反対に、作業を終えていても、契約上は出来高の確認や相手の承認を待つ必要があるかもしれません。
4点を同じ行に並べると、「工事は終わったが請求予定がない」「追加作業はあるが合意の記録が見つからない」「請求書は送ったが入金予定日が空欄」といった止まり方が見えるようになります。請求漏れは、空欄を探す作業に変えると見つけやすくなります。
請求書一覧には、すでに請求書を作った工事しか載りません。そのため、そもそも請求書作成まで進んでいない工事は一覧からこぼれます。月末チェックの土台にするのは、受注・施工中・完工・保留を含めた「今月動いた工事一覧」です。
最低限、次の列を用意します。
列名 | 入れる内容 |
|---|---|
工事番号 | 見積・注文・請求で共通して使う番号 |
工事名・施主名 | 社内で同じ工事だと分かる名称 |
現場担当 | 完工・追加内容を確認できる人 |
契約金額 | 元の見積・注文内容と一致する金額 |
完工・出来高 | 完工日、または今月確認できた出来高 |
追加・変更 | 有無、見積番号、合意記録の場所 |
請求予定 | 今回の請求予定額と請求予定日 |
請求状況 | 未作成、確認中、送付済みなど |
入金予定 | 入金予定日と入金確認の状態 |
確認者 | 最後に照合した人と確認日 |
工事名の呼び方が、見積では「A様邸改修」、現場では「駅前の現場」、請求書では「内装工事」のように変わると、同じ工事だと気づきにくくなります。できれば工事番号を共通の鍵にしましょう。まだ番号管理が難しければ、「工事名+施主名」を統一するところからで十分です。
工事台帳を運用している会社は、その一覧を月末チェックの出発点にできます。ただし、台帳に完工や原価が入っていても、請求状況の列がなければ未請求は見つけにくいものです。既存の台帳へ請求予定と確認者の列を足す考え方は、工事台帳の項目と目的も参考にしてください。
一覧ができたら、現場から事務へ情報が流れる順番に確認します。請求書から逆算するより、「工事が進んだ事実」から追うほうが、入口の漏れを拾いやすくなります。
まず現場担当に、「今月、完工した工事」「出来高の確認を受けた工事」「検査や引渡しを待っている工事」を分けて報告してもらいます。写真、日報、完了報告、検査記録など、現場の事実が分かる資料も一緒に確認します。
ここで「請求は完工後」と決めつけないようにします。工事によっては前金、部分払、出来高払、引渡し後の一括払いなど、支払の時期と方法が異なります。国土交通省のガイドラインでも、契約時に前金払や出来形部分への支払時期・方法を示すことが整理されています。実際の請求時期は、自社の契約書、注文書・請書、取引先との取り決めを確認してください(出典:国土交通省「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン 第8版」)。
判断できない工事は一覧から削除せず、「検査待ち」「出来高確認待ち」のように止まっている理由を書きます。翌月に見たとき、何を確認すれば動かせるかが分かる状態にするためです。
次に、追加作業、仕様変更、材料変更、数量増減がなかったかを確認します。現場のチャット、日報、写真、追加見積、相手からの返信などを工事ごとに集めます。
大切なのは、「作業をした」という事実と、「その内容・金額で請求する合意がある」ことを分けて扱うことです。現場で作業したからといって、契約や合意が曖昧なまま請求額へ足してよいとは限りません。記録が足りないものは「追加あり・請求可否は確認待ち」として残し、担当者と取引先へ確認します。
国土交通省の元請・下請間のガイドラインは、追加・変更工事についても、着工前に内容や金額を協議し、書面による変更契約を行う考え方を示しています(出典:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン 第12版」)。追加工事が起きた時点で何を残すかは、追加工事で揉めない見積・請求の出し方で詳しく解説しています。本記事の月末確認では、そこで残した合意済みの追加分を拾い上げ、請求予定へつなげます。
請求欄では、今回請求額だけを見るのではなく、次の関係を確認します。
出来高請求や分割請求では、「今回」と「累計」を分けることが欠かせません。たとえば前回までの累計請求と今回請求を混ぜると、請求漏れだけでなく二重請求にもつながります。請求書を作る前に、契約金額+合意済み追加額−累計請求額=残額、というつながりを工事単位で確認します。
請求書を作ったら、状態を「作成済み」で止めず、「社内確認中」「取引先へ送付済み」「差戻し対応中」まで分けます。送付先のメールアドレス違いや指定システムへの未登録で止まっているものも、請求漏れにつながるためです。
最後に、請求先、締め日、請求書の提出期限、送付方法、入金予定日を確認します。取引先によって、月末締めだけでなく15日締め、指定様式、指定システムへの登録など条件が違うことがあります。担当者の記憶ではなく、契約書や取引先からの案内に戻って確認しましょう。
この段階で見るのは、「請求を正しい入口へ乗せられたか」です。期日を過ぎても入金がない案件の確認や連絡は、未回収管理として別の一覧で追います。未請求と未回収を同じ状態名で扱うと、誰が何をすべきか分からなくなります。
請求後の予定・実入金・差額の照合は、建設業の入金管理の記事で手順と無料Excelを紹介しています。

月末チェックが長引く会社では、現場と事務の受け渡しが「何か追加ありましたか」「たぶんないです」という会話で終わりがちです。これでは、担当者が休んだ月や現場が重なった月に、確認の質が変わってしまいます。
現場からは、各工事について次の3つだけを報告する形にします。
事務からは、「請求予定」「確認待ち」「送付済み」を返します。これなら現場側も、自分が伝えた追加分が請求へつながっているかを確認できます。
1人事務の会社では、社長が一覧を見る曜日と締切を先に決めておくと回しやすくなります。たとえば、現場報告の締切を取引先の請求締切より前に置き、その翌日に社長と事務担当が未記入欄だけを見る形です。会社ごとの締め日に合わせ、無理のない日程に調整してください。
未請求が見つかったときは、黙って翌月の請求書へ足すのではなく、まず契約・合意内容と取引先の締め条件を確認します。そのうえで、請求先へ確認する、次回請求に含める、書類を整えて再提出するなど、個別の状況に合う対応を決めます。請求できるかどうか、いつ請求するかは契約関係によって変わるため、判断に迷う場合は取引先や専門家へ確認してください。
対応が決まったら、原因も1行だけ残します。
見つかった状態 | 原因の書き方 | 次月から変えること |
|---|---|---|
完工済み・未請求 | 完工連絡が事務へ届かなかった | 完工報告の担当と期限を決める |
追加分が未反映 | 追加見積の承認場所が不明だった | 見積番号と返信先を一覧へ記録する |
請求書が未送付 | 指定システムへの登録待ちだった | 送付方法を工事登録時に記入する |
入金予定が空欄 | 締め日・支払日を確認していなかった | 受注時に契約条件を登録する |
「事務の確認不足」「現場が忘れた」と人を原因にすると、次月も同じことが起きます。「連絡欄がない」「確認期限がない」「承認記録の場所が決まっていない」のように、直せる仕組みとして書くのがコツです。
最初から全員へ細かな入力を求めると、一覧を作ること自体が負担になり、続かなくなります。初月は、今あるExcel、ホワイトボード、紙の工事台帳を使い、4点の空欄を見つけるところからでかまいません。
翌月は、漏れの原因になった列だけ足します。追加工事が多い会社なら「追加見積番号」と「承認日」、出来高請求が多い会社なら「前回までの累計」と「今回請求」、指定請求システムが多い会社なら「送付方法」を加えます。会社によって漏れ方が違うため、最初から大きな管理表を作るより、自社の詰まりに合わせて育てるほうが実務になじみます。
工事件数が増え、見積・原価・請求を別々の表へ転記する負担が大きくなったら、コンクルーAIのように、同じ工事番号で情報をつなげて確認できる業務管理の仕組みを使う方法もあります。
建設業の請求漏れ防止は、請求書を丁寧に作るだけでは足りません。請求書になる前の工事をすべて並べ、「完工・出来高」「追加・変更」「請求」「入金予定」の4点を同じ行で照合することが出発点です。
まず今月動いた工事一覧を出し、4点を左から確認し、分からないものは消さずに「確認待ち」と残しましょう。漏れが見つかったら、人を責めるのではなく原因と次回の改善を1行書く。この月末手順を同じ順番で回すだけでも、社長の記憶、現場の連絡、事務の請求予定をつなぎやすくなります。
今月は新しいシステムを用意する前に、工事一覧へ4つの列を足して、空欄を一つずつ確認するところから始めてみてください。