この記事は約8分で読めます。
.png&w=3840&q=75)
監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
この投稿をシェアする
一人親方として仕事を請け負うようになると、「請求書はどのように書けばいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。 請求書は報酬を受け取るために欠かせない書類ですが、記載漏れや計算ミスがあると、支払いの遅れや取引先とのトラブルにつながる可能性があります。 本記事では、一人親方の請求書に記載する項目や人工代・インボイス制度への対応方法、請求書を書くときのポイントを解説します。
AI搭載
コンクルーAI
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーAIひとつで完結

一人親方の請求書に記載する項目は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
請求書には、請求先となる会社名や屋号、担当部署などを正式名称で記載します。
法人宛ての場合は「御中」、担当者個人宛ての場合は「様」を付けることが一般的です。また、「株式会社」を「(株)」のように省略せず、契約書や発注書に記載された正式名称を使用します。
担当部署や担当者名まで指定されている場合は、併せて記載すると社内での処理がスムーズです。
また、上部の最も目立つ箇所に「ご請求書」または「御請求書」などと敬語で記載するのが一般的です。
発行者情報には、自身の屋号または氏名に加え、住所や電話番号などの連絡先を記載します。
屋号を使用している場合でも、氏名を併記しておくと発行者を明確に示せます。また、問い合わせが発生した際に連絡を取りやすくするため、電話番号やメールアドレスを記載しておくと安心です。
なお、押印は法律上の必須事項ではありませんが、取引先の運用によって求められる場合があります。
発行日には、請求書を発行する日付、または取引先との取り決めで定められた日付を記載します。
また、取引年月日には実際の作業日や工事期間を記載し、どの取引に対する請求なのかを明確にしましょう。
同じ請求期間内に複数の現場や作業がある場合は、締め日でまとめて請求するケースもあります。その際は、内訳欄などで各作業日が分かるよう記載すると親切です。
取引内容には、工事名や作業内容を具体的に記載します。
また、数量や単価、金額も併せて記載すると、請求金額の根拠が明確になります。数量を数えにくい場合は「一式」と記載することもできますが、作業内容が分かるよう補足を加えると、取引先も内容を確認できます。
値引きを行う場合は、値引き額を別項目として記載し、請求金額へどのように反映されているかが分かるようにしましょう。
請求金額は、請求書に必ず記載する項目です。取引内容ごとの金額を合計した小計に消費税を加えた請求金額(税込)を記載し、取引先が支払う金額を明確に示しましょう。
また、消費税額も請求書へ記載します。インボイス制度に対応した請求書を発行する場合は、適用税率(10%・8%など)ごとに対価の額と消費税額を区分して記載する必要があります。
建設工事では標準税率(10%)が適用されるケースが一般的ですが、複数の税率が混在する場合は、それぞれを分けて記載します。
支払期限には、契約で定めた支払日を記載します。
支払日を明記することで、取引先の支払予定を明確にできるだけでなく、入金確認もしやすいです。
契約内容と異なる支払期限を記載するとトラブルにつながる可能性があるため、事前に双方で確認した内容に従いましょう。
振込先には、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義を記載します。
口座情報に誤りがあると振込エラーや入金遅延の原因となるため、記載後に誤字や入力ミスがないか確認しましょう。
また、振込手数料をどちらが負担するかは、トラブルになりやすいポイントの1つです。取引先と事前に取り決めた内容に従い、必要に応じて備考欄に「振込手数料は貴社負担でお願いいたします」などと記載しておくと、認識のズレを防げます。
請求書番号は法律上の記載義務はありませんが、請求書を管理しやすくするために記載することをおすすめします。
請求書ごとに固有の番号を付けることで、過去の請求書を検索しやすくなる他、見積書や納品書との照合もスムーズになります。また、請求漏れや二重請求の防止にも役立ちます。
請求書番号の付け方に決まりはありませんが、「発行年月日+連番」や「取引先コード+連番」など、一定のルールを設けて管理すると、書類を整理しやすいです。
インボイス制度の登録事業者は、適格請求書発行事業者登録番号(Tから始まる13桁の番号)を請求書へ記載する必要があります。
登録番号が記載された適格請求書を発行することで、取引先は仕入税額控除の適用を受けられます。登録番号の記載漏れや誤りがあると、取引先の税務処理に影響を及ぼす可能性があるため、正確に記載しましょう。
なお、インボイス制度では登録番号の他にも、適用税率や税率ごとの消費税額など、記載が必要な事項があります。これらの書き方については、次章の「インボイス(適格請求書)の書き方」で詳しく解説します。
一人親方の請求書では、工事内容に応じて「人工代」を記載するケースがあります。ここでは、人工代の基本的な考え方から請求書への記載方法まで解説します。
人工代(にんくだい)とは、作業員1人が1日作業した場合に発生する労務費のことです。
建設業では「1人工(にんく)」を「1人×1日」として数え、人工数に単価を掛けて金額を算出することが一般的です。
一人親方は、自社で工事一式を請け負うだけでなく、元請会社や他の施工会社の現場で作業を行うことも少なくありません。そのため、請求書では人工代を基準に報酬を請求するケースがあります。
人工代は、1人工当たりの単価に人数と作業日数を掛けて計算します。
計算式は次のとおりです。
人工代 = 1人工の単価 × 人数 × 作業日数
例えば、1人工当たりの単価が18,000円で、2人が3日間作業した場合は、次のように計算します。
18,000円 × 2人 × 3日 = 108,000円
この場合、人工数は2人 × 3日 = 6人工となり、人工代は108,000円です。
人工代を請求書へ記載する際は、請求内容が取引先へ正確に伝わるよう、できるだけ具体的に記載することが大切です。
例えば、「人工代一式」とだけ記載すると、何人が何日作業したのか、どの現場の請求なのかが分からず、請求内容の確認に時間がかかる場合があります。人数や作業日数、工事名などを明記することで、請求金額の根拠を示せます。
また、複数の現場をまとめて請求する場合は、現場ごとに人工代を分けて記載しましょう。現場名や施工期間を備考欄へ記載しておくと、取引先との認識違いを防げます。
一人親方の請求書を書くときのポイントは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
請求金額は、誰が見ても分かりやすい表記を心掛けましょう。
一般的には「30,000円」や「¥30,000」のように記載し、3桁ごとにカンマを入れると金額を確認しやすくなります。
また、金額を書き換えられるリスクを減らすため、金額の前後に不要な空白を作らないことも大切です。取引先が指定する記載方法がある場合は、そのルールに従いましょう。
消費税を計算すると、1円未満の端数が発生する場合があります。この場合は、四捨五入・切り捨て・切り上げのいずれかの方法で処理します。
端数処理の方法は法令で統一されていないため、どの方法を採用するかは事業者が決められます。ただし、取引先と異なる方法で計算すると請求金額に差異が生じる可能性があります。
そのため、端数処理の方法は事前に取引先と確認し、一度決めたルールは請求書や見積書などの書類で統一した運用が大切です。
一人親方が請け負う建設工事の報酬は、一般的に源泉徴収の対象外です。
一方で、工事とは別に設計やデザイン業務、技術指導など、報酬の内容によっては源泉徴収の対象となる場合があります。
契約内容によって取り扱いが異なるため、不明な場合は請求書を作成する前に取引先へ確認しておくと安心です。
一人親方の請求書作成方法は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
無料で請求書を作成したい場合は、インターネットで公開されているテンプレートを利用する方法があります。必要事項を入力するだけで請求書を作成できるため、初めて請求書を作る方でも利用しやすいでしょう。
また、取引先から指定のフォーマットが提供される場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
一方で、テンプレートはレイアウトや機能を自由に変更できない場合があります。また、インボイス制度に対応した様式になっているかも確認してから利用しましょう。
市販の請求書を購入し、手書きで作成する方法です。請求書は文房具店やホームセンター、100円ショップなどで購入できるため、パソコンや専用ソフトがなくても手軽に作成できます。
複写式の請求書であれば控えを残せるため、紙で書類を管理したい方にも適しています。また、インターネット環境やパソコンの不具合に左右されず、必要なときに請求書を作成できる点もメリットです。
一方で、金額の計算や記入を全て手作業で行う必要があるため、請求件数が増えると作成や管理に時間がかかります。また、修正が必要になった場合は書き直しになることも少なくありません。
手書きで作成する場合は、屋号や氏名、住所、電話番号など毎回記載する項目をゴム印にしておくと、作業時間の短縮につながるでしょう。
ExcelやWordを利用して請求書を作成する方法も一般的です。レイアウトを自由に変更できるため、自社の運用に合わせた請求書を作成できます。
特にExcelは数式を設定できるため、小計や消費税、請求金額を自動計算できる点がメリットです。また、一度テンプレートを作成すれば、繰り返し利用できます。
一方で、ファイルの保存やバックアップ、請求書番号の管理などは自分で行う必要があります。複数の請求書を管理する場合は、誤って上書きしないよう注意しましょう。
請求書作成アプリは、請求書の作成に特化したサービスです。スマートフォンやタブレットから利用できるものが多く、現場や移動中でも請求書を作成・送付できます。
サービスによっては、テンプレートの利用、PDFへの変換、メール送信、請求書番号の自動採番などの機能を備えています。請求業務だけを効率化したい場合は、導入しやすい選択肢といえるでしょう。
ただし、多くのアプリは請求書の作成機能が中心であり、帳簿作成や確定申告などの経理業務には対応していない場合があります。
請求書の作成に加え、売上管理や帳簿作成、確定申告までまとめて行いたい場合は、会計ソフトがおすすめです。
多くの会計ソフトでは、請求書を作成すると売上データへ自動で反映されるため、二重入力の手間を削減できます。また、銀行口座やクレジットカードと連携できるサービスでは、入出金の管理もしやすいです。
インボイス制度や電子帳簿保存法に対応した機能を備えている製品も多く、請求業務だけでなく日々の経理業務も効率化したい一人親方に適しています。ただし、無料のテンプレートやExcelに比べると利用料金が発生するため、必要な機能と費用のバランスを確認して選びましょう。
請求書の作成だけでなく、案件や顧客、売り上げなどをまとめて管理したい場合は、管理システムを導入する方法があります。
建設業向けの管理システムでは、見積書・請求書の作成に加え、案件管理や工程管理、入金状況の確認などを一元管理できるサービスもあります。情報をまとめて管理できるため、案件数が増えても業務を効率的に進めやすくなる点がメリットです。
一方で、請求書作成アプリやExcelと比べると導入費用が高くなる場合があります。また、多機能な分、使いこなすまでに時間がかかることもあるため、必要な機能やサポート体制を確認した上で導入を検討しましょう。
請求書は作成するだけでなく、取引先が指定する方法で送付する必要があります。送付方法が異なると、受領が遅れたり、支払い手続きに影響する可能性があるので注意が必要です。
紙の請求書を提出する場合は、郵送で送付します。特に官公庁や建設会社では、原本の提出を求められることもあります。
郵送する際は、請求書に記載漏れや押印漏れ(必要な場合)がないか確認し、折れや汚れが付かないよう封筒へ入れて送付しましょう。
また、送付日や発送方法を記録しておくと、到着確認が必要になった場合にも対応しやすくなります。
近年は減少しているものの、建設業では従来からの業務フローを継続している企業も多く、取引先によっては現在でもFAXでの提出を求められる場合があります。
FAX機がない場合は、一部のコンビニエンスストアのFAXサービスやインターネットFAXサービスを利用する方法もあります。外出先からでも請求書を送付できるため、急ぎの提出が必要な場合に便利です。ただし、利用料金や送信方法はサービスによって異なるため、事前に確認しておきましょう。 FAXで送信する際は、請求書が鮮明に印字されているか、送信先のFAX番号に誤りがないかを事前に確認しましょう。文字や金額が読み取りにくいと、請求内容を確認できず、再送を依頼される可能性があります。また、送信後は送信結果を確認し、必要に応じて取引先へ到着確認を行うと安心です。
近年は、請求書をPDFファイルにしてメールで送付する方法が広く利用されています。郵送よりも早く届けられ、印刷や郵送にかかる費用を抑えられる点がメリットです。
メールで送付する際は、請求書の内容に誤りがないことを確認した上で、件名に「○月分請求書」など分かりやすいタイトルを付けましょう。また、添付漏れや送信先メールアドレスの入力ミスがないかも送信前に確認することが重要です。
取引先によっては、PDF形式の指定や電子印鑑の有無など、提出ルールを定めている場合もあります。送付方法に関するルールがある場合は、それに従って提出しましょう。
請求書を送付・保管する際に押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
請求書のサイズに法的な決まりはありませんが、実務ではA4サイズが広く利用されています。
A4サイズは多くの企業で書類管理の標準サイズとなっているため、ファイリングやコピー、電子化がしやすい点がメリットです。また、市販の請求書やテンプレート、会計ソフトなどもA4サイズを前提としているものが多くあります。
取引先から指定がない限りは、管理のしやすさを考えてA4サイズで作成するとよいでしょう。
請求書を郵送する場合は、送付状(添え状)を同封することが一般的なビジネスマナーです。
送付状には、宛先、送付日、差出人情報、あいさつ文、同封書類の内容などを記載します。送付状を添えることで、何の書類を送付したのかが伝わり、取引先も内容を確認しやすいです。
また、請求書のみを送付する場合でも送付状を付けることで、丁寧な印象を与えられるでしょう。
A4サイズの請求書を郵送する場合は、折らずに送る場合は角形2号、三つ折りで送る場合は長形3号の封筒がよく利用されています。
封筒の表面には、取引先の住所と宛名を正式名称で記載し、左下に「請求書在中」と明記すると、請求書が入っていることを相手に分かりやすく伝えられます。裏面には差出人の住所・氏名を記載し、封をした後は「〆」や「封」を記載するとより丁寧です。
また、角形2号の封筒を使用する場合は、請求書をクリアファイルへ入れてから封入すると、配送中の折れや水濡れを防げます。
発行した請求書は、税法に基づき一定期間保存する必要があります。
一人親方などの個人事業主が発行した請求書は、原則として確定申告期限の翌日から5年間保存します。一方、消費税の課税事業者や適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)は、請求書や適格請求書の控えを7年間保存しなければなりません。
請求書は売上を証明する重要な書類であり、確定申告や税務調査の際に確認を求められることがあります。そのため、年度ごとや取引先ごとに整理して保管すると、必要な書類をすぐに見つけられます。また、見積書や契約書、納品書などの関連書類もあわせて保管しておくと、取引内容を確認できます。
なお、請求書を電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。クラウド型の会計ソフトや請求書作成サービスを利用する場合は、電子保存に対応しているかも確認しておくと安心です。