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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「完成工事高」「未成工事支出金」など、建設業だけに出てくる見慣れない勘定科目。普段の簿記の何にあたり、その取引はどう仕訳するのか。主要6科目を一般会計との対応表と架空の仕訳例つきで、気になる科目からすぐ引ける形にまとめました。決算前の科目チェックにどうぞ。
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会計ソフトを開くと、「完成工事高」「未成工事支出金」といった、普通の簿記では見かけない科目がずらりと並んでいます。年度をまたぐ工事の材料費はどの科目に入れるのか、工事が完成したらどう振り替えるのか——検索してみても、科目ごとにバラバラの解説記事しか出てこなくて、全体像がつかめないままモヤモヤする。そんな経験、ありませんか。
この記事は、建設業だけに出てくる主要な勘定科目を1本にまとめた「引ける」リファレンスです。経理をご自身や奥さん、事務員さん1人でやっている、いわゆる町場の建設会社を想定して書きました。まずは「普段の簿記の何に当たるのか」という対応関係から入り、科目ごとに「意味 → 仕訳例 → 間違えやすい点」を同じ形で並べています。気になる科目の見出しへ飛んで、その場で確認できるようにしてあります。
なお、この記事の仕訳例はすべて金額も含めて架空の例です。実際の処理、とくに消費税や法人税がからむ判断は会社ごとに事情が違います。自社の決算をこの記事だけで確定させず、最終的には顧問税理士に確認する——その前提で読み進めてください。
先に結論からお伝えします。建設業特有の勘定科目は、その多くが「普段の簿記の科目を、工事用に呼び替えたもの」です。まったく新しい概念を覚え直すというより、名前の対応を押さえればかなりの部分が見通せます。
主要な6科目を、一般会計(普段の簿記)と並べた対応表がこちらです。
普段の簿記(一般会計) | 建設業会計 | どんな科目か |
|---|---|---|
売上高 | 完成工事高(かんせいこうじだか) | 収益(損益計算書) |
売上原価 | 完成工事原価(かんせいこうじげんか) | 費用(損益計算書) |
売掛金 | 完成工事未収入金 | 資産(貸借対照表) |
買掛金 | 工事未払金(こうじみばらいきん) | 負債(貸借対照表) |
仕掛品 | 未成工事支出金(みせいこうじししゅつきん) | 資産(貸借対照表) |
前受金 | 未成工事受入金(みせいこうじうけいれきん) | 負債(貸借対照表) |
※損益計算書はP/L(会社が1年間でいくら儲けたか)、貸借対照表はB/S(決算日時点で何をどれだけ持っているか)を表す決算書のことです。
この表さえ手元にあれば、「あ、完成工事高って要するに売上のことね」「工事未払金は買掛金の工事版か」と、頭の中で普段の簿記に翻訳しながら読めます。以降の科目別リファレンスは、この対応表を各科目ごとに一段くわしくしたものだと思ってください。気になる科目の見出しから読んでいただいて構いません。

そもそも、なぜ建設業だけこんなに科目が違うのでしょうか。理由は、建設業という商売の「お金と時間の流れ」が、ほかの業種とかなり違うからです。
一つは、工事が長いこと。数か月から、大きな工事なら1年以上かかることもあります。その途中で決算日をまたぐと、「まだ完成していない工事」が決算をまたいで残ります。物販のように「仕入れて売れたら終わり」とはいきません。
もう一つは、入金と原価の発生する時期がずれること。着手金を先にもらったり、逆に完成して引き渡したのに入金は数か月後だったり、材料費や外注費は工事の途中でどんどん出ていったり。「お金が動いた順番」と「売上・原価を計上すべき順番」が一致しないのです。
この「途中でまたぐ工事」「時期のズレ」をきちんと帳簿に映すために、建設業では専用の科目を使います。たとえば、まだ完成していない工事に使ったお金を、いったん「未成工事支出金」という箱にためておく。完成して初めて、その箱を「完成工事原価」に移す。こうすることで、売上と原価のタイミングをそろえて、その工事がいくら儲かったのかを正しく出せる仕組みになっています。
さらに、建設業には制度上の事情もあります。建設業許可を受けている会社は、決算のたびに提出する決算変更届(事業年度終了届)などで、建設業法施行規則で定められた様式の財務諸表を作ることとされています。この様式が、完成工事高や完成工事原価といった建設業ならではの科目で組まれているのです(出典:建設業法施行規則)。普段使っている試算表とは科目の名前が違うため、そこから組み替える作業が発生する、という背景もあります。
ここからが本体です。建設業特有の主要6科目を、それぞれ「意味 → 仕訳例 → 間違えやすい点」の同じ型で並べます。仕訳例はすべて架空の金額の例です。借方(左)と貸方(右)の合計は常に一致します。
意味:工事が完成して引き渡したときに計上する売上です。普段の簿記でいう「売上高」の建設業版と考えてください。ポイントは計上のタイミングで、工事の代金をいつもらったかではなく、原則として「工事を完成させて引き渡した時点」で売上に立てるのが基本的な考え方とされています。
仕訳例(架空の例):500万円の工事を完成させて引き渡した。代金はまだ受け取っていない。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
完成工事未収入金 | 5,000,000 | 完成工事高 | 5,000,000 |
間違えやすい点:着手金や中間金として工事の途中でお金を受け取っても、その時点では完成工事高(売上)にしません。完成前に受け取ったお金は、後述する「未成工事受入金」(前受金)という負債で受けておき、完成・引渡しのタイミングでまとめて売上に振り替えます。「入金=売上」と反射的に処理しないことが、最初のつまずきどころです。
意味:完成して引き渡した工事にかかった原価です。普段の簿記の「売上原価」にあたります。建設業では、この完成工事原価を次の4つに分けて集計するのが基本とされています。
この4区分は、建設業許可の財務諸表に含まれる「完成工事原価報告書」という書類の様式でも使われる、建設業の原価計算の基本の形です(出典:建設業法施行規則)。原価の中身をもっと掘り下げたい方は、工事原価とは?内訳や計算方法の解説記事もあわせてご覧ください。
仕訳例(架空の例):工事が完成したので、それまでためてきた未成工事支出金360万円を、完成工事原価に振り替えた。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
完成工事原価 | 3,600,000 | 未成工事支出金 | 3,600,000 |
間違えやすい点:完成工事原価は、その工事が「完成した期」にまとめて計上するのが基本です。工事の途中で払った材料費や外注費を、その都度いきなり完成工事原価(費用)にしてしまうと、売上がまだ立っていないのに原価だけ先に出て、赤字に見えてしまいます。完成前の原価は、いったん未成工事支出金にためておくのが原則です。
意味:まだ完成していない工事のために使ったお金をためておく科目です。普段の簿記の「仕掛品(しかかりひん=製造途中の在庫)」にあたり、性質は資産です。材料費・外注費・労務費などを、工事が完成するまで一時的にここへ積み上げておきます。
仕訳例(架空の例):まだ完成していない工事のために、外注費80万円が発生した(支払いは翌月末)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事支出金 | 800,000 | 工事未払金 | 800,000 |
間違えやすい点:名前に「支出」と入っているため負債と勘違いされがちですが、未成工事支出金は資産です。これから完成する工事のもとになる、将来の原価の「たまり場」だと考えるとしっくりきます。工事が完成したら、その工事にひもづく未成工事支出金を全額、完成工事原価へ振り替えて箱を空にします。この科目は建設業会計のつまずきどころの筆頭なので、未成工事支出金が資産か負債かを掘り下げた解説記事で単体でもくわしく取り上げています。
意味:工事が完成する前に受け取った着手金・中間金などのお金です。普段の簿記の「前受金」にあたり、性質は負債です。まだ工事を引き渡していない=サービスを提供しきっていない段階で預かっているお金なので、売上ではなく「これから工事で返していく義務」として負債で持ちます。
仕訳例(架空の例):工事の契約時に、着手金として200万円を普通預金で受け取った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
普通預金 | 2,000,000 | 未成工事受入金 | 2,000,000 |
間違えやすい点:受け取ったお金を、その期の完成工事高(売上)にしてしまわないことです。完成前に売上に立ててしまうと、その工事の利益が実態より早く・多く出てしまい、決算がゆがみます。未成工事受入金は、工事が完成・引渡しになった時点で完成工事高へ振り替えます。「未成工事支出金(資産)」と名前が似ていて紛らわしいですが、こちらは受け入れた側の負債。ちょうど対になる科目だと覚えておくと混乱しません。
意味:工事を完成させて引き渡したのに、まだ代金を受け取っていない分です。普段の簿記の「売掛金」にあたり、性質は資産(これから回収できる権利)です。
仕訳例(架空の例):400万円の工事を引き渡し済みで、代金は翌月末に入金予定。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
完成工事未収入金 | 4,000,000 | 完成工事高 | 4,000,000 |
その後、実際に入金されたときは次のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
普通預金 | 4,000,000 | 完成工事未収入金 | 4,000,000 |
間違えやすい点:完成工事未収入金は「引き渡したあと」に使う科目です。引渡し前の工事の入金予定を、先回りしてここに立てることはしません。また、名前がよく似た「未成工事受入金」は負債(前受金)で、完成工事未収入金は資産(売掛金)。方向が真逆なので、取り違えると貸借がまるごと逆になります。ここは指差し確認をおすすめします。
意味:工事の原価のうち、まだ支払っていない分です。普段の簿記の「買掛金」にあたり、性質は負債です。下請けへの外注費や材料の仕入れで、月末締め・翌月払いのように後払いになっているものをここで受けます。
仕訳例(架空の例):進行中の工事のために材料を120万円分仕入れた。支払いは翌月末。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事支出金 | 1,200,000 | 工事未払金 | 1,200,000 |
間違えやすい点:「工事未払金」と「未払金」の使い分けです。工事の原価に直接ひもづく仕入れや外注(材料費・外注費など)は工事未払金、事務用品の購入や事務所の電気代など工事に直接関係しない後払いは未払金(または買掛金)、というのが一般的な整理とされています。どちらに入れるか迷うものは、その支出が「特定の工事の原価かどうか」で判断するとブレにくくなります。判断に迷うものは顧問税理士に相談してください。
科目を1つずつ見てきましたが、実務では「1つの工事」の中でこれらの科目が順番に登場して、最後にきれいに整理されていきます。ここでは架空の工事を1件、契約から入金まで時系列で追いかけてみます。バラバラに覚えるより、流れで見たほうが腑に落ちるはずです。
前提(すべて架空の例)

① 契約時:着手金300万円を受け取った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
普通預金 | 3,000,000 | 未成工事受入金 | 3,000,000 |
まだ工事は完成していないので、受け取った300万円は売上ではなく未成工事受入金(前受金)という負債で受けます。
② 当期:材料費・外注費が発生した
材料費150万円を普通預金から支払い:
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事支出金 | 1,500,000 | 普通預金 | 1,500,000 |
外注費200万円は翌月払い(未払い):
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事支出金 | 2,000,000 | 工事未払金 | 2,000,000 |
完成前の原価は費用にせず、未成工事支出金(資産)に積み上げます。この時点で未成工事支出金の残高は350万円です。
③ 決算:工事は未完成のまま年度をまたぐ
工事完成基準では、この決算で特別な振替仕訳は不要です。未成工事支出金350万円(資産)と未成工事受入金300万円(負債)が、そのまま貸借対照表に残って翌期へ繰り越されます。
ここが一番の勘どころです。原価350万円は「資産」として繰り越されるので、損益計算書には出てきません。だから「原価だけ先に出て赤字」に見えずに済むのです。もし普段、材料費や外注費をいったん費用の科目で計上している場合は、決算で未完成分を未成工事支出金へ振り替える必要があります。この振替を忘れると、売上がまだ立っていないのに原価だけが損益計算書に残り、その工事の分だけ赤字に見えてしまいます。決算前に確認しておきたい大事なポイントです。
(翌期)残りの原価250万円が発生した
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事支出金 | 2,500,000 | 普通預金 | 2,500,000 |
未成工事支出金の累計は600万円になりました。
④ 完成・引渡し:ここで一気に振り替える
まず、売上(完成工事高)を計上します。着手金として預かっていた未成工事受入金300万円を充当し、残り500万円はまだ回収していないので完成工事未収入金にします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
未成工事受入金 | 3,000,000 | 完成工事高 | 8,000,000 |
完成工事未収入金 | 5,000,000 |
続いて、ためてきた原価600万円を完成工事原価に振り替えます。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
完成工事原価 | 6,000,000 | 未成工事支出金 | 6,000,000 |
この2本の仕訳で、未成工事受入金と未成工事支出金の残高がどちらもゼロになり、完成工事高800万円・完成工事原価600万円・粗利(完成工事総利益)200万円がこの工事の成績として確定します。
⑤ 請求書を発行した
仕訳なし。売上と未収入金は④ですでに計上しているので、請求書を発行する行為そのものでは帳簿は動きません。
⑥ 残金を回収した:残り500万円が入金
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
普通預金 | 5,000,000 | 完成工事未収入金 | 5,000,000 |
これで一連の取引が完了です。②で未払いにしていた外注費200万円は、実際に支払ったときに「工事未払金/普通預金」で別途消し込みます。
こうして時系列で並べると、未成工事受入金(預かり)→ 未成工事支出金(原価のためこみ)→ 完成工事高・完成工事原価(完成時の振替)→ 完成工事未収入金(回収)と、科目がバトンをつないでいくのが見えてきます。この「通しの流れ」が頭に入ると、日々の1本1本の仕訳も迷いにくくなります。
なお、こうした振替を正しく切るには、その大前提として「どの工事に、いくら原価がかかっているか」を工事ごとに集計できていることが欠かせません。仕訳の手前にある原価の積み上げがどんぶり勘定のままだと、④の振替金額そのものが曖昧になってしまいます。工事別の原価集計をどう仕組み化するかは、工事台帳の役割を解説した記事や建設業の原価管理の基本記事が参考になります。
ここまでは「完成して引き渡したときに売上を立てる」という工事完成基準を前提にしてきました。売上をいつ計上するかには、もう一つ「工事進行基準(工事の進み具合に応じて、期の途中でも売上を少しずつ立てていく方法)」という考え方があります。
この分野は近年の制度変更でやや込み入っています。上場企業や会社法上の大会社などでは、2021年4月1日以後に始まる事業年度から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)が強制適用され、従来の「工事契約に関する会計基準」(工事完成基準・工事進行基準)は廃止されました。現在は、工事の契約も「進捗に応じて収益を認識する」という考え方が原則とされています(出典:企業会計基準委員会「収益認識に関する会計基準」)。
一方で、中小企業についてはこの会計基準の適用は任意とされており、「中小企業の会計に関する指針」や従来の企業会計原則に沿って、工事完成基準で処理することも引き続き認められているとされています。町場の建設会社の多くは、実務上は工事完成基準で処理しているケースが多いのが実情です。
ここは会社の規模や状況によって扱いが変わり、記述も年々更新されていく論点です。自社がどちらの基準で処理すべきか・すべきでないかは、この記事だけで判断せず、顧問税理士に確認してください。とくに、消費税をいつのタイミングで計上するか、法人税の上でその工事の利益をどの事業年度に帰属させるか、といった税務の判断は、会計基準の話とはまた別の専門的な検討が必要です。税理士に相談すべき領域だと考えてください。
もう一つ、建設業の会計につきまとうのが「決算書の作り替え」です。建設業許可を受けている会社は、毎年の決算変更届や、公共工事の入札に参加するための経営事項審査(経審)で、建設業法施行規則で定められた様式の財務諸表を提出することとされています。
この様式が、まさにこの記事で見てきた完成工事高・完成工事原価・未成工事支出金といった建設業の科目で組まれています。そのため、普段の会計ソフトで一般的な科目(売上高・売掛金など)で記帳している場合は、決算のときに建設業の様式へ組み替える作業が発生します。日ごろから建設業の科目で記帳しておけば、この組み替えがぐっと楽になる、という関係です。
経審や決算変更届の具体的な書き方・提出手順まではここでは踏み込みません。様式や提出先の詳細は、各都道府県の建設業許可担当窓口や国土交通省の手引きで確認するのが確実です。ここでお伝えしたいのは、「建設業の科目を使うことには、会計上の理由だけでなく、許可・経審という制度上の理由もある」という全体像です。
Q. 未成工事支出金は資産ですか、負債ですか?
資産です。名前に「支出」とあるので負債と誤解されがちですが、これから完成させる工事のために使ったお金=将来の原価のもとなので、性質は資産(仕掛品にあたる)です。対になる「未成工事受入金」のほうが負債(前受金)です。名前が似ているので、資産と負債を取り違えないよう注意してください。
Q. 小さな会社でも、これらの科目を分けて使わないとダメですか?
建設業許可を持っていて決算変更届や経審で建設業の様式の財務諸表を出す会社は、様式に沿った科目で作ることとされています。許可の有無にかかわらず、工事ごとの損益を正しくつかむうえでも、これらの科目で分けておくメリットは大きいです。とはいえ、自社にどこまで厳密な区分が必要かは規模や状況によります。線引きは顧問税理士に相談して決めるのが安心です。
Q. 会計ソフトの「建設業向け」設定を使えば安心ですか?
建設業向けの会計ソフトなら、完成工事高や未成工事支出金といった科目が最初から用意されていて便利です。ただし、「どの取引をどの科目に入れるか」の判断は、最終的には人が行う部分が残ります。とくに「完成前か・完成後か」で科目が変わる場面(未成工事支出金にためるのか、完成工事原価に振り替えるのか等)は、ソフト任せにはできません。この記事の対応表と仕訳例を、ソフトを使うときの判断のよりどころにしてください。
Q. 人件費はどこまで完成工事原価に入れますか?
現場で工事に直接たずさわった作業員の賃金は、労務費として完成工事原価に入れるのが基本です。一方、本社の事務員さんや、現場に出ない社長の給料など、特定の工事に直接ひもづかない人件費は、一般管理費(販売費及び一般管理費)として完成工事原価とは分けるのが一般的とされています。現場と事務を兼ねている人の給料など、線引きに迷うケースは、按分の考え方も含めて顧問税理士に相談してください。
建設業会計の科目は、数だけ見ると身構えてしまいますが、その多くは普段の簿記の科目の「工事版の呼び替え」です。売上は完成工事高、売掛金は完成工事未収入金、仕掛品は未成工事支出金——この対応さえ押さえておけば、迷ったときに立ち返る地図になります。
最後に、決算前に確認したいポイントを3つに絞ってお伝えします。
科目の名前は違っても、「その工事がいくら儲かったのかを、正しいタイミングで映す」という会計の目的は普段の簿記と同じです。この記事を、決算前のちょっとした確認や、会計ソフトを触っていて手が止まったときの逆引きに使っていただければ幸いです。