月末になると元請ごとに締め日が違い、請求書づくりに追われていませんか。人工代の明細や出来高の一部請求、インボイス対応まで、建設業の実務目線でMisoca・freee請求書・マネーフォワード クラウド請求書・boardの4本を比較しました。自社に合う1本が見つかります。
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月末になると、元請ごとに違う締め日に合わせた請求書づくりで、事務がまるごと止まってしまう。そんな建設会社は少なくないですよね。インボイス制度が始まって様式も見直したのに、いざ「建設業 請求書ソフト」で検索すると出てくるのは、IT企業やフリーランス向けの一般的なランキングばかり。人工代の明細や、出来高に応じた工事の一部請求、月末締め翌月末払いの元請別請求といった、建設ならではの請求実務にそのソフトが使えるのかは、どの記事も答えてくれません。
この記事では、幅広い業種で使われている代表的な請求書ソフト4本——Misoca・freee請求書・マネーフォワード クラウド請求書・board——を、建設業の請求実務という一点にしぼって比較します。順位づけはせず、5つの視点で見比べて、自社に合う1本を選ぶ手がかりにしてください。
※本記事は公開情報をもとに整理しています。機能・料金・提供範囲は変更される可能性があるため、最新の正確な情報は各公式サイトでご確認ください(記載内容は2026年8月10日に確認した各公式サイトの表示にもとづきます)。
先に全体像です。建設業の請求実務という視点で、汎用の請求書ソフト4本を整理すると、下の表のようになります。並び順は五十音順で、優劣ではありません。掲載している数値・対応状況はすべて各社公式サイトで確認したものです(2026年8月10日確認)。
ソフト名 | 料金の目安(税抜) | 無料プラン | インボイス対応 | 建設実務で見るポイント | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|---|
Misoca | 有料は年8,800円〜 | ○(月10通まで) | ○ | 合算請求書で締め請求に対応/ | まず無料で始めたい一人親方・個人事業主 |
freee請求書 | 有料は月1,980円〜 | ○(発行は無制限、 | ○ | 合算請求書に対応/分割請求は主要機能に見当たらず | freee会計と一体で使いたい会社 |
マネーフォワード クラウド請求書 | 法人向け月2,480円〜 | ×(無料体験のみ) | ○ | 合算請求書で締め請求に対応/ | 他のマネーフォワード クラウドと併用する会社 |
board | 月1,200円〜 | ×(無料体験のみ) | ○ | 「分割請求」機能で着手金・ | 出来高払い・中間金がある工事の会社 |
※価格は税抜表示です。別途消費税がかかります(2026年8月10日、各社公式サイトで確認)。無料プランの内容やキャンペーンは変更されることがあるため、最新は各公式サイトでご確認ください。

表だけを見ると似たように見えますが、実際に効いてくるのは「自社のどの手間を減らしたいか」です。次の章で、建設業の請求実務という視点から見るべき5つのポイントを具体的に見ていきます。
一般的な比較記事が答えてくれない「建設業で使えるか」は、次の5つに分解すると判断しやすくなります。自社がどこで困っているかを思い浮かべながら読んでみてください。

建設業の請求書には、資材費だけでなく「人工代」や、応援に出した分の実費を精算する「常用」を明細に書く場面が多いですよね。汎用の請求書ソフトの多くは、明細の単位欄を自由入力にしており、数量と単価さえ決まれば「人工」「人日」といった単位でも金額を計算できます。ただし、単位欄が最初から表示されているか、設定でオンにする必要があるかはソフトによって違うため、実際に1件、自社の内容で明細を作ってみて確かめるのが確実です。人工代の書き方の基本を先に押さえておきたい方は、一人親方の請求書の書き方も参考になります。
元請ごとに締め日が違い、月末締め翌月末払いのようなサイクルで、その月の工事分をまとめて1通の請求書にしたい場面が多いのも建設業の特徴です。案件ごとにバラバラに請求書を発行していると、元請の経理側も自社の管理も煩雑になります。複数の納品書や請求書を、取引先ごとに1通へまとめる「合算請求書」のような機能があるかを見ておくと、締め請求の運用がぐっと楽になります。
工事の進み具合に応じて、代金の一部を区切って請求する「出来高」払いや、着手金・中間金といった請求のタイミングは、建設業ならではの実務です。一般的な請求書ソフトの多くは、1つの見積・案件を自動で分割して複数回請求する機能までは持っておらず、あっても運用でカバーする形になりがちです。1つの案件を何回かに分けて請求したい会社は、この点を重点的に確認する価値があります。
2023年10月に始まったインボイス制度では、適格請求書発行事業者の登録番号や、税率ごとの消費税額を請求書に記載する必要があります(出典:国税庁)。免税事業者のままの一人親方でも、元請から適格請求書の様式を求められる場面が出てくるため、使うソフトが対応しているかどうかは早めに確認しておきたいポイントです。
見積書を送って、受注したら請求書に変換し、入金まで確認する。この一連の流れが同じソフトの中でつながっているかどうかで、月末の事務量はかなり変わります。見積・請求・入金がバラバラのソフトやExcelにまたがっていると、転記ミスや入金確認の漏れが起きやすくなります。見積書づくり自体をもっと幅広く見比べたい方は、建設業の見積ソフト比較もあわせてどうぞ。
ここからは1本ずつ、建設業で使う目線で見ていきます。並び順は五十音順で、優劣ではありません。料金・対応状況は変更されることがあるため、最新は各公式サイトでご確認ください。
弥生株式会社が提供する請求書作成サービスです。無料プランでも月10通までの請求書をずっと無料で発行でき、まず費用をかけずに始めたい一人親方や個人事業主に向いています(出典:Misoca公式サイト)。有料プランは月15通のプラン15が年8,800円(税抜)から、月1,000通のプラン1000が年114,000円(税抜)まで用意されています(出典:Misoca公式サイト)。
複数の納品書をまとめて1通の請求書に変換する「合算請求書」機能があり、取引先ごとの締め請求に使えます(出典:Misoca公式サイト)。適格請求書・適格返還請求書・デジタルインボイスにも対応しています(出典:Misoca公式サイト)。公式ブログには「工事」の請求書の書き方を解説する記事があり、「人工」という単位の考え方にも触れています(出典:Misoca公式ブログ)。一方で、1つの工事を出来高に応じて複数回に分けて請求するような「分割請求」に相当する機能は、確認した範囲の公式サイト・ヘルプでは明記が見当たりませんでした。見積から入金まで、ステータスを1つの画面で確認できる点は、事務を1人で回している会社には助かるポイントです(出典:Misoca公式サイト)。
フリー株式会社が提供する請求書作成サービスで、会計ソフトfreee会計と同じグループの製品です。無料プランは0円で請求書などの発行自体に通数の制限はありませんが、毎月自動で発行する「定期請求」は1件までで、利用できる人数も1〜3人までに限られます(出典:freee公式サイト)。有料プランはスタンダードが月1,980円(税抜、年払い時)、より高機能なアドバンスが月10,000円(税抜、年払い時)です(出典:freee公式サイト)。
金額と項目を入力するだけで、適格請求書の要件を満たす形式に自動計算してくれます(出典:freee公式サイト)。複数の見積書・納品書をまとめて1通の請求書にする合算請求書の機能もあります(出典:freee公式サイト)。ただし、工事の一部だけを区切って請求するような機能は、確認した範囲の機能一覧・帳票作成のヘルプページでは見当たりませんでした。すでにfreee会計を使っている、またはこれから使う予定の会社であれば、アドバンスプランに限り、入金確認から仕訳まで一体で管理できる点が強みになります(出典:freee公式サイト)。
株式会社マネーフォワードが提供する請求書作成ソフトです。無料プランはなく、1カ月の無料トライアルのあとは有料プランへの移行が必要です。法人向けは1名で使う「ひとり法人プラン」が年払いで月2,480円(税抜)から、個人事業主・副業向けにはより手頃な「パーソナルミニプラン」が年払いで月900円(税抜)から用意されています(出典:マネーフォワード クラウド請求書公式サイト)。
複数の納品書を取引先ごとにまとめて1通の請求書にする合算請求書の機能があり、締め日のある取引先への請求に活用できます(出典:マネーフォワード クラウド請求書公式サイト)。適格請求書の作成やデジタルインボイスの送信にも対応しています(出典:マネーフォワード クラウド請求書公式サイト)。一方で、1つの工事を出来高に応じて自動で分割請求する機能は基本の「クラウド請求書」にはなく、支払月ごとに個別の請求書を都度作成する運用になります。ワンクリックでの分割請求作成は、別料金・別契約になる上位版「クラウド請求書Plus」の機能として案内されています(出典:マネーフォワード クラウド請求書公式サイト)。すでに会計や経費精算などほかのマネーフォワード クラウドシリーズを使っている会社であれば、帳票のワンクリック変換や入金消込との連携がなじみやすいはずです。
株式会社ヴェルクが提供する、クラウド請求書・販売管理サービスです。料金はPersonalの月1,200円(税抜)からPremiumの月7,900円(税抜)まで4段階で、全プラン月払いのみで年払いの割引はありません。無料プランはなく、30日間の無料トライアルで試す形です(出典:board公式サイト)。
boardのいちばんの特徴は、見積・受注・請求・入金・売上分析を「案件」という1つの単位でまとめて管理する設計にあります。公式サイトでは、案件単位で見積もりや請求を行う業態の例として建設業も挙げられています(出典:board公式サイト)。1つの案件から任意の回数・任意のタイミングで請求できる「分割請求」機能もあり、着手金請求や、納品までの期間が長い工事の中間請求を想定した使い方が公式に案内されています(出典:board公式サイト)。ただし、金額は自動で按分されるわけではなく、最初の請求書以外は数量が0になるため、各請求書の金額を手動で編集する必要があります(出典:board公式サイト)。明細の単位欄は選択式ではなく自由入力で、公式ヘルプでも「一式」「人日」「時間」といった例が挙げられています(出典:board公式サイト)。出来高払いや中間金など、工事特有の請求サイクルがある会社には相性のよい設計です。
ここまでの内容を踏まえて、条件別に選び方を整理します。あくまで「〜なら有力な選択肢」という温度感で読んでください。最終的には、無料プランやトライアルで自社の請求書を1件作ってみるのが近道です。
ここまで見てきた4本は、いずれも見積書・請求書・納品書の作成と送付、入金の確認までを主な守備範囲にしたソフトです。建設業の実務では、ここに加えて、見積の実行予算への転換や、材料費・外注費といった原価の管理、協力会社への支払管理、日々の工程管理まで必要になる場面も多いですよね。
こうした一連の業務を1つのソフトにまとめたいのか、それとも請求書まわりだけを軽くしたいのかで、選ぶべきものは変わってきます。原価管理や工程管理まで含めた建設業向けの業務管理ツールを検討したい方は、建設業の業務管理を効率化する方法や、施工管理システムの費用相場もあわせて参考にしてください。

月間の発行通数が少なければ、無料プランだけでも十分に回せます。今回比較した4本のうち、Misocaは月10通までずっと無料、freee請求書は請求書などの発行自体は無制限で使えます(定期請求は1件まで、利用人数は1〜3人までという制限があります)(出典:Misoca公式サイト)。一方、マネーフォワード クラウド請求書とboardには無料プランがなく、1カ月または30日間の無料トライアルのあとは有料プランへの移行が必要です(出典:board公式サイト)。発行する通数が増えてきたら、有料プランへの切り替えを検討することになります。
4本とも、自社が発行した請求書などを電子的に保存する仕組みには対応しています。たとえばboardの場合、自社が発行した請求書・合計請求書・支払通知書は登録・更新・削除のログが残り、金額と日付での検索にも対応していますが、取引先から受け取った請求書・領収書のスキャナ保存には対応していません(出典:board公式サイト)。自社発行分だけでなく、受け取った紙の請求書もまとめて電子化したい場合は、その範囲まで対応しているかを個別に確認してください。
ロゴの挿入や明細欄の項目名の変更、テンプレートの切り替えといった範囲のカスタマイズは、4本ともある程度対応しています。ただし、元請から細かく指定された独自の様式をそのまま再現できるかはソフトやテンプレートの作り込み次第で、公式サイトを見ただけでは判断がつかない部分です。指定書式がある場合は、無料プランやトライアルで実際に近い形を作ってみるか、各社に直接問い合わせて確認することをおすすめします。
建設業で請求書ソフトを選ぶときは、料金の安さだけでなく、人工代の明細、締め請求、出来高の一部請求、インボイス対応、見積や案件管理とのつながりという5つの視点で見比べると、自社に合う1本が見えてきます。今回紹介した4本は、それぞれ得意なところが違うため、無料プランやトライアルで自社の請求書を実際に1件作ってみて、月末の事務がどれだけ軽くなるかで判断するのが確実です。