この記事は約9分で読めます。
.png&w=3840&q=75)
監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
この投稿をシェアする
「工務店の利益率の平均はどのくらい?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。 工務店経営では、売上だけでなく利益率を把握することが重要です。利益率が低い状態が続くと、人件費や広告費に十分な予算を確保できず、将来的な事業成長にも影響を及ぼす可能性があります。 本記事では、工務店の利益率の意味や計算方法、平均的な目安を解説します。また、利益率に影響を与える要因や改善の進め方、利益率を向上させる具体的な方法についても分かりやすく紹介します。
AI搭載
コンクルーAI
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーAIひとつで完結


まず、工務店の利益率について基本的な情報を紹介します。
利益率とは、売上高に対してどのくらいの利益を確保できているかを示す指標です。工務店経営では、工事を受注した結果としてどれだけ効率よく利益を生み出せているかを把握するために活用されます。
利益率が高いほど収益性が高く、利益率が低いほど売上に対して手元に残る利益が少ない状態といえます。
工務店では、材料費や外注費の高騰、人件費の上昇などによって利益率が変動するため、売上だけでなく利益率も継続的に確認しながら経営状況を把握することが重要です。
利益率には複数の種類があり、どの利益を基準にするかによって意味が異なります。代表的なものとして、売上総利益率(粗利益率)、営業利益率、経常利益率などがあります。
その中でも、工務店経営で特に重視されるのが売上総利益率(粗利益率)です。売上総利益率は、完成工事高から完成工事原価を差し引いて算出される利益の割合を示す指標であり、工事そのものの収益性を把握できます。
営業利益率や経常利益率は、広告費や人件費、支払利息なども含めた企業全体の収益性を確認する際に用いられます。一方で、工務店では工事ごとの採算管理が重要になるため、まずは売上総利益率を把握し、その上で他の利益率も確認することが一般的です。
利益額は、工事によって実際に得られた利益の金額です。一方、利益率は売上高に対して利益がどの程度あるかを割合で示した指標です。
工務店経営では、利益額だけでなく利益率も併せて確認することで、工事ごとの採算性や経営状況をより正確に把握できます。
工務店経営で利益率が重要な理由は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
利益率は、工務店の収益性を把握するための重要な指標です。
売上が増加していても、材料費や外注費の上昇によって利益率が低下している場合があります。このような状況では、売上は伸びていても十分な利益を確保できているとは限りません。
一方で、利益率が改善していれば、原価管理や業務効率化などの取り組みが成果につながっていると判断できます。利益率を継続的に確認することで、売上だけでは見えにくい課題や改善点を把握でき、適切な経営判断につなげられます。
利益率は、人件費や広告費などの予算を検討する際の基準の1つです。
工務店では、工事によって得られた利益の中から人件費や販促費、事務所運営費などを支払います。そのため、利益率を把握していなければ、どの程度の費用をかけられるのか判断ができません。
利益率が安定していれば、採用活動や集客施策にも計画的に投資できます。反対に利益率が低い状態では、必要な予算を確保できず、受注や人材確保に影響を及ぼす可能性があります。
工務店が継続的に事業を成長させるためには、安定して利益を確保することが欠かせません。
利益率が十分に確保できていれば、資材価格の高騰や景気変動などの経営リスクにも対応できます。一方で、利益率が低い状態が続くと、必要な投資を行えなくなるだけでなく、資金繰りの悪化につながる可能性があります。
長期的に安定した経営を実現するためにも、利益率を継続的に管理することが重要です。
工務店の利益率の計算方法について詳しく解説します。
工務店の利益率は、売上に対してどの程度の利益を確保できているかを示す指標です。
計算する際は、まず完成工事高から完成工事原価を差し引いて利益額を求めます。その後、利益額を完成工事高で割ることで利益率を算出できます。
計算式は次のとおりです。
利益額=完成工事高-完成工事原価
利益率=利益額÷完成工事高×100
建設業では、工事による売上を「完成工事高」、工事に直接かかった費用を「完成工事原価」と呼びます。完成工事原価には、材料費や労務費、外注費などが含まれます。
例えば、完成工事高が3,000万円、完成工事原価が2,250万円だった場合を考えてみましょう。
まず、利益額を計算します。
利益額=3,000万円-2,250万円=750万円
次に、利益率を計算します。
利益率=750万円÷3,000万円×100=25%
この場合、工事による売上の25%が利益として確保できていることが分かります。
工務店の利益率の目安について、詳しく解説します。
工務店の利益率は、一般的に25%前後が1つの目安とされています。
国土交通省の「建設関連業の経営分析」においても、建設関連業の平均的な利益率はおおむね25%前後と記載されています。利益率は、売上に対してどれだけ利益を確保できているかを示す指標であり、経営の健全性を判断する際の参考になります。
ただし、実際の利益率は事業規模や地域、施工内容によって異なるため、平均値はあくまでも目安として考えることが大切です。
利益率が20%を下回る場合は、収益性の低下に注意が必要です。
工務店では、利益から人件費や広告費、事務所運営費などを支払います。そのため、利益率が低い状態が続くと、十分な利益を確保できず、将来への投資や事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、利益率が30%以上あれば比較的余裕のある経営を行いやすいと考えられます。ただし、利益率だけで経営状況を判断できるわけではないため、売上規模や経費とのバランスも併せて確認することが重要です。
リフォームを主力事業としている工務店は、新築住宅を中心とする工務店より高い利益率が求められる傾向があります。
リフォーム工事は新築工事と比べて工事規模が小さい案件が多く、案件ごとに発生する管理コストや移動コストの影響を受けやすい特徴があります。そのため、利益率が高く見えても、最終的な利益が十分に残らないケースも少なくありません。
こうした背景から、リフォーム中心の工務店では30%前後の利益率を目標とするケースが多くみられます。
工務店の利益率に影響を与える要素は次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
工務店の利益率に大きな影響を与える要素の1つが材料費です。
住宅建築では、木材や鉄鋼、住宅設備機器など多くの資材を使用します。これらの価格が上昇すると、同じ工事内容であっても完成工事原価が増加し、利益率が低下する可能性があります。
特に近年は、世界的な需給バランスの変化や物流コストの上昇などにより、建築資材価格が変動しやすい状況が続いています。そのため、定期的に仕入価格を確認し、収益への影響を把握することが重要です。
人件費や外注費も利益率を左右する重要な要素です。
建設業界では職人不足が課題となっており、人材確保のために賃金水準が上昇する傾向があります。また、専門工事を外部へ依頼する場合は、協力会社への支払いも増加する可能性があります。
人件費や外注費は工事ごとに発生する主要なコストであるため、その増減は利益率へ直接影響します。特に長期間にわたる工事では、契約時と施工時でコスト構造が変化することもあるため注意が必要です。
競争の激しい地域や市場では、受注を優先するために価格競争が発生することがあります。
適正な利益を確保できる価格で受注できれば問題ありませんが、過度な値引きは利益率の低下につながります。売上は確保できても利益が十分に残らなければ、経営の安定化や将来への投資が難しくなる可能性があります。
また、一度値引きを前提とした営業スタイルになると、適正価格で受注しにくくなるケースもあります。利益率を維持するためには、価格だけではなく提案力や施工品質などの価値で選ばれることも重要です。
施工ミスや手直し工事の発生も利益率を下げる要因の1つです。
工事中にミスが発覚した場合は、追加の材料費や人件費が発生します。また、工期の延長によって現場管理コストが増加することもあります。
さらに、引き渡し後に不具合が発生すると、補修対応や顧客対応のための費用が必要になるケースもあります。そのため、利益率を安定させるためには、施工品質の向上や現場での情報共有の徹底が欠かせません。
利益率改善の進め方は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
利益率の改善に取り組む際は、年間の利益目標を明確にすることが大切です。
売上目標だけを設定すると、受注件数の増加を優先するあまり、利益を確保できない工事まで受注してしまう可能性があります。そのため、まずは会社としてどの程度の利益を確保したいのかを決め、その目標から必要な売上や受注計画を逆算することが重要です。
利益を基準に目標を設定することで、利益率を意識した経営を行えます。
工務店では、工事の種類や規模によって利益率が異なります。
例えば、新築工事とリフォーム工事では必要な人員や工期、発生する経費が異なるため、同じ利益率を目標にすることが適切とは限りません。
そのため、会社全体の目標だけでなく、現場ごとに目標利益率を設定することが重要です。過去の実績や工事内容を踏まえて基準を設けることで、見積作成や受注判断の精度向上にもつながります。
利益率を改善するためには、目標と実績の差を確認するだけでなく、その原因を把握することが重要です。
工務店の利益率が低下する要因としては、価格設定や原価管理、施工品質に関する問題が挙げられます。例えば、競合との価格競争によって十分な利益を確保できていないケースや資材価格の上昇によって想定以上の原価が発生しているケースがあります。
また、施工ミスや手直し工事が発生すると、追加の材料費や人件費が必要となり、利益率の低下につながります。
利益率が目標を下回った場合は、販売価格、仕入れコスト、施工品質などの観点から原因を分析し、改善策を検討することが大切です。原因を明確にすることで、より効果的な利益率改善につなげられます。
工務店の利益率を向上させる具体的な方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
利益率を改善するためには、安定して受注を獲得できる仕組みづくりが重要です。
受注数が増えれば売上が拡大し、固定費を効率よく回収しやすくなります。住宅の新築やリフォームは人生でも大きな買い物であるため、多くの人は複数の工務店を比較・検討した上で依頼先を決定します。
近年は、SEOやウェブ広告(Google・Meta・LINE・X)を活用した集客に加え、MEO(Map Engine Optimization)への取り組みも重要です。MEOとは、Googleマップなどの地図検索で自社の情報を見つけてもらいやすくする施策です。口コミや評価は依頼先を選ぶ際の判断材料になりやすく、問い合わせの増加にもつながります。
また、単価が高い工務店では、問い合わせや資料請求を獲得した後に、メールマガジンや見学会、ウェビナーなどを通じて継続的に情報提供を行う「リードナーチャリング」が必須です。見込み顧客との接点を維持し、自社の強みを伝え続けることで、将来的な受注につながります。
利益率を向上させるためには、単価の高い工事を受注するだけでなく、顧客が価値を感じる提案を行うことも重要です。
例えば、高性能住宅や省エネ住宅、デザイン性の高い住宅は、価格競争に巻き込まれにくい傾向があります。
また、近年のライフスタイルに合わせた提案も差別化につながります。リモートワークに対応したSOHOスペースや書斎の設置、防音性能を高めたテレワーク向けの部屋づくりなどは、住宅の付加価値を高める提案として挙げられます。
単純な値上げは顧客離れにつながる可能性がありますが、価格に見合った価値を提供できれば、適正な利益を確保できます。
工事原価の管理は、利益率改善に直結する重要な取り組みです。
工事原価には、材料費や外注費、労務費などが含まれます。仕入先の見直しや発注方法の改善によってコストを抑えられる場合があります。また、工程管理を徹底し、無駄な待機時間や手戻り工事を減らすことも効果的です。
ただし、過度なコスト削減によって施工品質を低下させることは避けなければなりません。品質を維持しながら原価を適正化することが重要です。
利益率を改善するためには、固定費の見直しも欠かせません。
固定費は売上の増減にかかわらず発生するため、一度削減できれば利益改善の効果が継続しやすい特徴があります。
例えば、リモートワークを導入して出社人数を最適化することで、オフィスの縮小や移転を検討できる場合があります。都市部では、自社オフィスを構える代わりにシェアオフィスやレンタルオフィスを活用し、賃料を抑える方法も有効です。
また、社用車の保有台数やリース契約の見直し、利用頻度の低いソフトウェアやサブスクリプションの整理、通信費や保険料の見直しなども固定費削減につながります。広告費についても、成果を検証しながら費用対効果の高い施策へ予算を集中させることが重要です。
既存顧客との関係づくりは、利益率改善につながる重要な施策の1つです。
新規顧客の獲得には広告費や営業コストがかかりますが、紹介やリピート受注は比較的低いコストで受注につながる傾向があります。そのため、定期点検やアフターフォローを通じて顧客満足度を高めることが重要です。
顧客との信頼関係を構築できれば、紹介案件やリフォーム工事などの追加受注に加え、関連する商品やサービスを提案するクロスセルの機会も生まれます。例えば、新築工事とあわせて外構工事や太陽光発電設備、住宅設備のグレードアップなどを提案できれば、顧客の利便性を高めながら受注単価の向上も期待できます。
長期的な視点で顧客との関係を築くことが、安定した利益確保や利益率の向上につながるでしょう。
利益率を向上させるためには、現場や事務作業の生産性向上も重要です。
工務店では、工程管理や原価管理、写真管理、協力会社との連絡など、多くの業務が発生します。これらを紙やExcelで管理している場合、情報共有に時間がかかったり、入力ミスや確認漏れが発生する可能性があります。
管理システムを活用すれば、現場の進捗状況や工事に関する情報を一元管理できるため、情報共有の効率化につながります。また、報告業務や事務作業の負担を軽減できるため、現場担当者や管理者の業務時間削減も期待できます。
さらに、工事ごとの原価や進捗状況を把握しやすくなることで、予算超過や利益率の低下にも早期に気付けます。結果として、無駄な工数や手戻りの削減につながり、利益率の改善を図れるでしょう。
最後に、工務店の利益率に関するよくある質問とその回答を紹介します。
利益率は収益性を判断するための重要な指標ですが、利益率だけで経営の安定性を判断できません。
例えば、利益率が高くても受注件数が少なければ十分な利益額を確保できない場合があります。また、売掛金の回収遅れなどによって手元資金が不足しているケースもあります。
工務店経営では、利益率に加えて売上高や利益額、受注状況、資金繰りなども含めて総合的に確認することが重要です。
工事によっては利益率が低くても、将来的なリフォーム工事やメンテナンス工事、顧客からの紹介受注につながる可能性があります。
そのため、工事単体の利益率だけでなく、長期的な収益性も考慮して判断することが重要です。一方で、十分な利益を確保できない工事を継続的に受注すると、会社全体の収益性を悪化させる原因になります。
利益率が低い案件を受注する際は、受注目的や期待できる効果を明確にした上で慎重に判断しましょう。
利益率が低い状態が続く工務店には、いくつかの共通した特徴があります。
例えば、クレームや手直し工事が多い工務店は、追加の材料費や人件費が発生しやすく、利益を圧迫する傾向があります。
また、顧客との認識のズレによるトラブルが増えると、対応に時間やコストがかかり、本来得られるはずだった利益が減少する可能性があります。
さらに、顧客情報や案件情報の管理が属人化している工務店も注意が必要です。担当者しか状況を把握していない状態では、引き継ぎ漏れや対応遅れが発生しやすくなり、受注機会の損失につながることがあります。
加えて、安易な値引きが常態化している場合も利益率の低下を招きます。受注を優先するあまり十分な利益を確保できない価格で契約すると、売上は増えても利益が残りません。
工務店が安定して利益を確保するためには、施工品質の向上や顧客管理の徹底、適正な価格設定などに継続的に取り組むことが重要です。