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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「原価に3割乗せたのに、粗利率は3割にならないのはなぜ?」を解消します。工事の原価から売価を決める掛け率・マークアップ計算ツールを無料配布。目標粗利率からの逆算、早見表、予定と実績を比べる社内用シートつきです。仕入れの「7掛け」との違いも、式と図で分けて説明します。
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「材料は7掛けで入るから、これくらい乗せればいい」。見積を作るとき、そんなふうに考えていませんか。ところが、原価に3割を足して売価を出しても、売価に対する粗利率は3割にはなりません。ここを混ぜると、値決めのつもりが、知らないうちに目標より薄い粗利で工事を受けることになります。
さらにややこしいのが「7掛け」です。これは定価や基準価格に対する仕入率の話として使われる表現で、工事の総原価に何倍を掛けて売価を決めるかとは、別の計算です。材料の仕入れ値を出す途中の率と、工事全体の売価を決める倍率を、同じ「掛け率」として扱わないことが大切です。
先に、原価から売価と粗利率を出せるエクセルを置いておきます。黄色のセルだけを入力すれば、原価への倍率からの順算と、目標粗利率からの逆算を同じファイルで確認できます。
掛け率・マークアップ計算ツール(無料・登録不要)
原価への倍率・粗利率の順算/逆算と、定価・基準価格に対する仕入率(7掛け)を分けて確認できる5シートのExcelです。
ファイル形式:Excel(.xlsx)/マクロなし・5シート
このファイルでできることは3つです。
【免責事項】 本フォーマットは、ユーザー様の自己責任においてご利用ください。内容の正確性について当社は保証するものではございません。 万一、本フォーマットの使用により損害やトラブルが発生した場合も、当社は一切の責任を負いかねます。
「掛け率」という言葉は会社や取引先によって指すものが揺れます。この記事では、工事原価に掛けて売価を作る倍率を「原価への倍率」、定価に対する仕入れ価格の割合を「仕入率(7掛けなど)」と呼び分けます。
言葉 | 式・基準にする金額 | 架空の例 | 何を決めるための数字か |
|---|---|---|---|
原価への倍率 | 売価 ÷ 原価 | 原価10万円 × 1.30 = 売価13万円 | 原価から売価を試算する |
上乗せ率 | (売価−原価)÷ 原価 | 3万円 ÷ 10万円 = 30.0% | 原価に何%を足したかを見る |
粗利率 | (売価−原価)÷ 売価 | 3万円 ÷ 13万円 = 約23.1% | 売価のうち粗利が何%かを見る |
7掛け | 定価・基準価格 × 仕入率 | 10万円 × 0.7 = 仕入7万円 | 材料などの仕入価格を見積もる |
同じ「3割」という言葉でも、原価を分母にする上乗せ率と、売価を分母にする粗利率は一致しません。原価10万円に30%を上乗せして13万円で売ると、粗利は3万円ですが、粗利率は3万円÷13万円で約23.1%です。

一方で、7掛けの0.7は「定価・基準価格の70%で仕入れる」という意味で使います。仮に材料の定価が10万円なら、仕入価格は7万円です。ただし、工事全体の粗利率を出すには、その材料費に労務費、外注費、現場経費などを足した総原価が必要です。材料を7掛けで仕入れたことだけで、工事が何%残るかは決まりません。
原価への倍率から売価を出す式は、まずシンプルです。
売価 = 原価 × 原価への倍率
ここから粗利率に直すと、次の式になります。
粗利率 = 1 −(1 ÷ 原価への倍率)
たとえば倍率が1.30なら、粗利率は 1 −(1 ÷ 1.30) で約23.1%です。上乗せ率の30%をそのまま粗利率だと思わないようにしましょう。
逆に、目標粗利率から必要な倍率を出す式は次のとおりです。
必要な原価への倍率 = 1 ÷(1 − 目標粗利率)
たとえば、原価70万円の工事で粗利率30%を目標にするなら、必要な倍率は 1 ÷(1−0.30)= 約1.4286 倍です。70万円に約1.4286を掛けると100万円になり、粗利30万円、粗利率30%になります(すべて架空の例です)。
なお、目標粗利率が0%なら必要倍率は1.0000倍です。100%を目標にすると分母の「1−粗利率」が0になるため、必要売価は有限の数字として計算できません。本ツールでは100%を「—」と表示して、エラー値を出さないようにしています。
建設業の見積では、材料の定価・カタログ価格に対し、仕入率を掛けて材料費を置くことがあります。たとえば7掛けなら、次の計算です。
仕入価格 = 定価・基準価格 × 0.7
ここで出た仕入価格は、材料費の見込みを作るための数字です。工事の売価を決めるには、さらに自社労務、外注、運搬や処分などの経費を含めた原価を積み上げます。その合計に対して、はじめて「原価への倍率」を試します。
この順番にすると、次の2つを混同しません。
「材料は7掛けだから、工事には3割乗せればいい」とは直結しません。7掛けは材料費の見込みの一部、1.30倍は総原価から売価を決めるための倍率です。どちらも自社の取引条件・工種・工事の内容で変わるため、この記事やツールが特定の率を推奨するものではありません。
ダウンロードするエクセルは、5シート構成です。入力するのは黄色いセルだけで、マクロは使っていません。
「掛け率計算」シートでは、原価と倍率を入れて売価・粗利額・粗利率を出せます。別の欄では、目標粗利率と原価から必要倍率・必要売価を逆算します。右側にある「7掛け」の欄は、定価に仕入率を掛ける別計算として置いてあります。

見積のときは、材料費・労務費・外注費・現場経費を合計して予定原価を作ります。工事後は実績を同じ区分で入れ、予定の粗利とどれくらい差が出たかを確かめます。ここはお客様に出す帳票ではなく、社内で値決めを振り返るためのシートです。
この4区分は、建設業の完成工事原価報告書で用いられる科目の整理とも重なります。もっとも、このツールは社内で予定と実績を比べるための試算用であり、法定様式の提出用ではありません(出典:国土交通省「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」)。
工事原価に何を入れるかから整理したい方は、工事原価の内訳と計算方法を解説した記事もあわせてご覧ください。この記事の役割は原価の定義を繰り返すことではなく、決めた原価から売価へつなぐ計算を迷わなくすることです。
「設定」には自社で試す標準倍率と警告の目安を置けます。サンプルの数値は業界平均でも推奨値でもありません。過去の見積と実績を見ながら、自社の基準へ書き換えてください。
「早見表」には1.00〜2.00倍までの上乗せ率と粗利率を入れています。見積の場で電卓をたたく前に、倍率と粗利率のずれを確認するための表です。

よく使う倍率だけを抜き出すと、次のとおりです。表の粗利率はすべて 1−(1÷倍率) で計算しています。
原価への倍率 | 原価への上乗せ率 | 対応する粗利率 |
|---|---|---|
1.00倍 | 0.0% | 0.0% |
1.10倍 | 10.0% | 9.1% |
1.20倍 | 20.0% | 16.7% |
1.30倍 | 30.0% | 23.1% |
1.40倍 | 40.0% | 28.6% |
1.50倍 | 50.0% | 33.3% |
2.00倍 | 100.0% | 50.0% |

この表は「どの倍率が正解か」を示すものではありません。会社を維持するために必要な利益や、工種ごとの原価の中身は会社によって違うからです。現場の直接費以外にも何を回収する必要があるかを考える際は、現場管理費と一般管理費の違いを整理した記事も参考にしてください。
工事ごとの実績を続けて比較したいときは、工事台帳で原価と粗利を管理する考え方も役立ちます。単発の計算で終わらせず、予定と実績の差を次の見積へ戻すことが大切です。
一律の正解はありません。工種、原価の集め方、現場以外に回収したい費用、受注したい工事の内容で変わります。ツールの目的は、特定の倍率を勧めることではなく、選んだ倍率が粗利率では何%になるかを見えるようにすることです。
同じではありません。原価に3割乗せるのは1.30倍で、対応する粗利率は約23.1%です。粗利率を30%にしたい場合、必要倍率は約1.4286倍です。
このツールでは別の意味として扱います。7掛けは定価・基準価格に0.7を掛けて仕入価格を求めるための率です。原価への倍率は、材料費を含む総原価から売価を決めるための率です。
入っていません。Excelの関数だけで作成しており、マクロの有効化は必要ありません。配布ファイルは自社の業務目的の範囲で使えますが、ファイル自体の再配布・販売はお控えください。
配布形式はExcel(.xlsx)です。表計算ソフトへ取り込んで使う場合は、表示・入力規則・印刷が同じになるかを確認してください。見積の判断に使う前には、数式結果を自社の数字で検算しましょう。
掛け率の計算でいちばん大事なのは、数字の名前ではなく、何を基準に掛けたり割ったりしているかです。
この3つを分けるだけで、「3割乗せたのに、3割残らない」という混乱はなくなります。まずは次の見積で、材料の仕入率と工事全体の倍率を別の欄に置き、工事後には実績原価と答え合わせをしてみてください。
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