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監修者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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請求書を出しても、入金より先に外注費や材料費の支払いが来れば資金は薄くなります。建設業向けの資金繰り計算Excelで、工事別の入出金予定から資金不足になりそうな月をセルフ診断する具体的な手順を解説します。
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「請求書は出したのに、来月の外注費と材料費を払ったら残高はいくらになるのか」。建設業の資金繰りで見たいのは、売上の合計ではなく、実際に入る月と実際に出る月を並べたあとの現金・預金残高です。黒字の工事でも、入金より先に支払いが重なれば、手元資金は薄くなります。
このページでは、請求・入金予定と外注費・材料費の支払予定から、12か月先までの月末残高を計算する建設業向けExcelを無料で配布します。資金調達の可否や契約条件を判断する道具ではありませんが、「どの月に、何が重なって資金が薄くなるか」を社内で確認するためのたたき台になります。
資金繰り表では、請求書を発行した月と入金月を同じにしません。たとえば8月に請求しても、契約上の入金が9月末なら、資金繰り表に入れるのは9月です。逆に、材料費や外注費は発生月ではなく、取引先へ実際に支払う月に置きます。
月末残高の計算そのものは、次のようにシンプルです。
当月末の現金・預金残高 = 前月からの繰越 + 当月の入金合計 − 当月の支出合計
ただし、建設業では「当月の入金合計」と「当月の支出合計」の根拠を工事ごとに持つことが重要です。着工金・中間金・完成金などの入金条件は契約によって異なり、外注費・材料費も取引先ごとの支払条件で月がずれます。契約書・請求書・発注書・支払予定を見ながら、入る月と出る月を分けて入力してください。
日本政策金融公庫の資金繰り表の記入例でも、前月繰越、収入、支出を月ごとに整理して次月へつなぐ形が示されています。本テンプレートは、その基本形を工事別の入金・支払予定へつなげた建設業向けの入力例です(出典:日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」)。
最初から全工事を漏れなく入れる必要はありません。進行中の大きな工事を2〜3件、請求済み・請求予定の入金、今後3か月程度の大きな支払いから始めます。次の順番で入力すると、数字の見落としを減らせます。

サンプルの数値・工事名・取引先名はすべて架空です。実際の資金不足を予測または保証するものではありません。入金が確定していない案件、変更契約、追加工事、未請求分は、社内で前提を分けて確認してください。
建設業の資金繰り計算Excel(無料・登録不要)
請求・入金予定と、外注費・材料費などの支払予定から、12か月先の月末残高を確認できるExcelです。
工事別の入出金予定と、社内用の原価・粗利確認シートを収録しています。
ファイル形式:Excel(.xlsx)/マクロなし・登録不要
資金繰り表の数字は、正確そうな金額を並べるだけでは使い続けられません。入金・支払の予定が変わったときに、どの数字を直せばよいか分かるよう、入力の根拠も一緒に確認します。Excelの備考欄や社内の工事台帳に、確認した日と根拠の書類を残しておくと、月次の見直しがしやすくなります。
未確定の数字を完全に除く必要はありません。ただし、確定した請求・発注と、見込みの追加工事・未請求分を同じ扱いにしないことが重要です。たとえば備考に「見込み」「確認日」「担当者」を残せば、月末残高が変わったときに、金額の誤りなのか予定の更新なのかをたどれます。
本体の「資金繰り表」は、前月からの繰越、収入、支出、当月の収支、月末残高を12か月分並べるシートです。工事別に登録した入金、外注費、材料費は自動集計し、小工事・常用分や税金・借入返済などは必要に応じて手入力します。
表の下には、いちばん残高が少なくなる月、そのときの残高、警告ラインを下回る月数を表示します。数字が赤くなっただけで資金調達の要否を結論づけるのではなく、原因となる工事・支払い・前提が何かを次のシートで確認する入口として使います。
「工事別 入金・支払・粗利(社内用)」では、契約金額、着工金・中間金・完成金の割合と入金月、外注費・材料費の発生月、支払サイトを入力します。支払月は発生月と設定した支払サイトから自動計算され、12か月の範囲を超える場合は「期間外」と表示します。

右端の原価計・粗利見込み・粗利率は、資金繰りが厳しい工事を採算面から見直すための社内用です。お客様へ提出する見積書や請求書の代わりにはなりません。粗利率が低いこと、または月末残高が警告ラインを下回ることだけを理由に、契約・請求・支払の判断を自動化しないでください。
「設定」シートには、期首年月、期首残高、消費税率、外注費と材料費の支払サイト、残高と粗利率の警告ライン、毎月の人件費・固定費を置きます。期首年月を変えると月リストも変わるため、先に確認期間を決めてから、工事別シートの入金月・発生月を選びます。

入力するセルは薄い黄色、計算結果は自動のセルとして分けています。Excelの数式は残したまま使い、行を増やすときは式が入った行をコピーして同じ位置に追加してください。空の行だけを挿入すると、工事別の数字が本体へ集計されません。
4つ目の「使い方」シートには、入力順、期間外表示、社内利用時の注意をまとめています。工事別の粗利と資金繰りは社内で先読みするための情報です。請求書・見積書・工事台帳と同じ数字を扱う場面でも、提出先・確定状況・更新日を混ぜないようにしてください。
資金繰り表にある月末残高は、その月だけを見ると理由を取り違えやすくなります。残高が薄い月を見つけたら、前月から翌月までを続けて見て、何が重なっているかを確認します。入金が一か月後ろへずれただけなのか、大きな材料費と外注費が同じ月に集中しているのかで、確認する相手と優先順位が変わるためです。
たとえば、月初の現金・預金が600万円、当月に入る予定が300万円、当月に出る予定が450万円なら、当月末の見込み残高は450万円です。ここで翌月に大きな完成金が入る予定であっても、当月の支払日より後なら当月の残高には使えません。反対に、来月の入金を当月へ早めに置くと、表の見込みは良く見えても、支払日までに使える現金の確認にはなりません。
このテンプレートでは、工事別シートに入力した入金月・支払月を本体へ月別に集計します。残高が薄い月が出たときは、まずその列の収入と支出を見て、該当する工事の行へ戻ります。工事名、入金条件、外注費・材料費の発生月と支払月を確認し、契約変更や発注変更が反映されているかを見直します。数字を減らして見せるのではなく、根拠を最新にそろえることが目的です。
なお、この表は月単位で不足しそうな時期を把握するためのものです。支払日が月の前半に集中する、日単位で大きな入出金がある、といった会社では、月次表だけで日々の残高を保証できません。必要に応じて週次・日次の予定表を別に持ち、月次表と確認日を合わせてください。

建設業では、着工後から材料の仕入れ、外注費、自社の人件費などが先に発生します。一方、代金は着工金・中間金・完成金など、契約の節目や引渡し後に入ることがあります。この時間差が大きいほど、損益上は黒字でも、月ごとの現金・預金は不足しやすくなります。
そのため、資金繰り計算では「工事全体でいくら儲かるか」だけでは足りません。どの月に入金があり、どの月に外注費・材料費・人件費・税金等が出るかを同じ期間で並べます。請求金額の合計だけを置いても、実際の入金月が違えば、月末残高の見え方は変わります。
請求済み額と実入金の突合、未入金の確認まで扱いたい場合は、建設業の請求漏れ防止チェックリストを使い、資金繰り表とは別に管理します。本テンプレートは「これから入る・出る予定」を月別に置くことへ役割を絞っています。
警告ラインを下回る月が出たら、すぐに「借入が必要」と決めるのではなく、まず数字の根拠を確認します。資金繰り表は、入力した前提の結果を表示するものです。前提が古ければ、結果も古くなります。
根拠が揃ったうえで残高が薄いなら、工程、請求の段取り、支払い予定を社内で早めに共有します。個別の資金調達、契約変更、税務・会計処理は会社の状況で異なるため、金融機関、税理士、専門家へ相談して判断してください。
資金繰り表は一度作って終わりではありません。月末を過ぎたら、前月に置いた入金・支払の予定と、実際に口座から動いた金額を照らします。予定どおりだった数字は残し、ずれた数字は原因を一言で残します。請求の遅れ、先方都合の入金変更、追加発注、支払条件の変更など、ずれの種類が分かれば、次の見込みを直す場所も絞れます。
次に、先の月はすべてを同じ細かさで更新するのではなく、直近3か月の大きな入出金を優先します。着工金・中間金・完成金の予定、外注先・材料店への支払、税金や社会保険など、残高への影響が大きいものから確認します。12か月分を表示していても、遠い月ほど契約条件や工程の変更で前提が変わるため、確定数字と見込み数字を区別する運用が向いています。
更新担当が一人に偏ると、担当者が不在のときに根拠が追えなくなります。月次で見る日、入力の締切、確認する人を社内で決め、工事の担当者と経理担当が同じ前提を見られる状態にします。これは資金の判断をExcelに任せるためではなく、早めに会話を始めるための最低限の共有です。
資金繰り表は現金・預金の動きを見ます。原価管理は工事ごとの採算を見ます。完成前に使った材料費や外注費の会計上の考え方は、建設業の未成工事支出金の解説で確認できますが、会計上の資産計上と、手元から現金が出ていることは別の話です。
また、工事別の原価と粗利の見方は、建設業の原価管理の基本と組み合わせると整理しやすくなります。資金繰り表に「原価を正しく入れた」だけでは入金月は決まらず、請求・契約・支払の予定までそろえてはじめて、月ごとの不足時期を確認できます。
このテンプレートは、少数の進行工事を月次で見直すには向いています。一方で、請求書の発行額、銀行明細の実入金、外注先への支払い、原価実績を別々の表へ転記する工事が増えると、更新漏れが起きやすくなります。
まずはExcelで「どの数字が足りないか」を見えるようにし、手入力や突合に負担を感じる段階で、見積・原価・請求の情報を一元化できる運用を検討するのが現実的です。建設業向けの業務管理クラウドコンクルーAIも、こうした二重入力や確認作業を減らす選択肢の一つです。
請求日ではなく、契約・請求条件にもとづく実入金予定月へ入れます。未確定の入金を置く場合は、確定分と区別し、確認日を残しておくと後から見直しやすくなります。
一律の割合として扱わず、工事ごとの契約条件を入力してください。テンプレートのサンプル値はすべて架空で、割合を推奨するものではありません。
支払月が12か月の範囲を超える場合は「期間外」と表示されます。確認期間をずらして次の12か月を作る、または自社の管理期間を決めて引き継ぐなど、見ない期間を残さない運用にしてください。
マクロは使っていません。Excelの関数、入力規則、条件付き書式で作成しています。Googleスプレッドシートで開くと、印刷設定や一部の表示がExcelと異なる場合があります。
確定した入金と区別できる状態で、見込みとして置きます。先方との調整中、検収待ち、変更契約の確認中など、確定していない理由と確認日を残してください。予定の数字を消してしまうより、根拠と確度を分けておくほうが、月末残高の変化を説明しやすくなります。
実際に納付・支払う月を確認し、本体の該当する支出欄またはその他の支出欄へ入れます。会計や税務上の処理方法を判断する表ではないため、納付額や計上時期が不明な場合は、税理士などへ確認したうえで入力してください。
建設業の資金繰り計算では、請求・入金予定を実際に入る月へ、外注費・材料費を実際に払う月へ置くことが出発点です。月末残高が薄い月を先に見つけ、入金・支払・未請求・期首残高の根拠を確認すれば、月末になってから慌てる前に社内で話す材料を作れます。
まずは進行中の工事を数件だけ入力し、12か月のうち一番残高が薄くなる月を確認してみてください。数字は都度更新し、契約条件や個別の会計・資金調達の判断は、必要に応じて専門家へ確認しましょう。
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