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監修者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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建設業の人材育成やCCUSの助成金を探している会社向けに、令和9年度の概算要求と、現在の令和8年度制度を分けて解説。技能実習の支援、昇格・賃上げを伴うCCUS活用、事前の計画届など、実施前に確認したい条件を整理します。
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建設業の助成金を調べていて、「令和9年度に拡充」と書かれたニュースと、いま申請できる制度が混ざって分かりにくくなっていませんか。国交省と厚生労働省が公表した令和9年度の人材確保・育成策は、2027年度に向けた概算要求です。2026年度の申請要件が、その場で切り替わったという意味ではありません。
雇用する技能者の教育やCCUSを使った処遇改善を検討する会社は、「来年度の方向を見る資料」と「今年度の手続きを確認する資料」を分けると判断しやすくなります。ここでは従業員の少ない建設会社が確認したい制度を中心に、その違いを整理します。
(出典:国交省・厚労省「建設業の人材確保・育成に向けて」令和9年度予算概算要求の概要。2026年9月10日確認)

概算要求資料では、建設事業主等への助成金による支援として73億円を要求しています。比較対象の令和8年度当初予算は71億円です。これは施策全体の予算額であり、1社が受け取れる金額ではありません。
また、同じ73億円が人材確保・人材育成・職場づくりの各項目に「再掲」されています。別々の予算として足し上げないよう注意が必要です。
令和9年度概算要求の項目 | 現在の計画での扱い |
|---|---|
CCUS登録手数料に係る助成の令和9年度末までの延長 | 延長を要求している段階。現行の対象者・事業区分を別途確認 |
技能実習コースのCCUS登録者への賃金助成1.1倍を令和9年度末まで延長 | 来年度も同じ条件で受給できると確定させない |
技能実習コースで一部資格試験の受験費用を経費助成の対象に追加 | 予定する試験が今の制度で対象になるかは、現行資料で判断 |
(出典:令和9年度予算概算要求の概要・5〜6頁。2026年9月10日確認)
厚労省は、建設事業主向けと、事業主団体・職業訓練法人向けのパンフレットを分けて公開しています。会社が直接受け取る支援なのか、団体を通じた事業なのかで手続きが異なります。検索で見つけた金額だけを自社に当てはめず、表紙の年度と対象者を確認してください。
また、このパンフレットでいう「建設事業主」は、建設労働者を雇用して建設事業を行う者です。労働者を雇用しない一人親方や、同居の親族のみを使用する事業主は、この定義に入りません。「建設業なら誰でも対象」と考えると、最初の段階で条件がずれます。
(出典:厚生労働省「建設事業主向け助成コース一覧・令和8年度」表紙、1〜2頁。2026年9月10日確認)
候補となるのが、人材開発支援助成金の「建設労働者技能実習コース」です。対象になる実習・講習や実施主体には区分があり、どの研修でも対象になるわけではありません。雇用管理責任者の選任、受講者の雇用保険加入、総訓練時間の7割以上の受講などの条件があります。実習日も通常の賃金額以上を支払い、時間外・休日の受講には所定の割増賃金を支払う必要があります。受講費を労働者本人から徴収する場合は対象になりません。
令和8年度の案内では、中小建設事業主で企業全体の雇用保険被保険者数が20人以下の場合、経費助成は支給対象費用の4分の3。賃金助成は1人1日9,500円で、CCUS技能者情報登録者では10,450円です。人数は技能実習の開始日時点で判定します。
経費助成は1つの技能実習につき1人10万円、賃金助成は1人20日分が上限です。賃金助成は、対象となる受講形態で訓練時間が3時間以上の日などの条件があります。日数や金額だけで受給額を確定せず、対象の講習と労働者の条件を労働局に確認するのが先です。
(出典:令和8年度・建設事業主向け助成金の案内・28〜32頁。2026年9月10日確認)
「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」のうち、雇用管理改善促進事業は、CCUSの登録を済ませただけで支給される制度ではありません。
令和8年度の案内では、中小建設事業主であること、雇用管理責任者を選任していること、雇用するすべての建設技能者の詳細型登録が完了していることなどが条件です。さらに、レベル判定で昇格評定を受けた技能者の賃金を5%以上増加させる規定を定め、実際に支払う必要があります。一定期間の事業主都合による離職がないことなど、ほかの要件もあります。
助成額は算定対象となる技能者1人につき16万円で、支給申請日を基準とする1事業年度あたり160万円が上限です。「登録人数×16万円」ではなく、昇格と賃金増加等の条件を満たす算定対象者の人数で考えます。
(出典:令和8年度・建設事業主向け助成金の案内・22頁。2026年9月10日確認)
同事業は計画届の提出が先に必要です。原則として、賃金の増額改定日の属する月の初日の6か月前から、2か月前の前日までが提出期間です。すでに給与規程等に昇格時の賃金増額規定がある場合には、増額改定後の最初の賃金支払い日を基にする別の扱いがあるため、個別確認が必要です。
たとえば厚労省の案内にある2026年8月増額改定の例では、計画届の提出期間は2026年2月1日〜5月31日です。8月に賃金を上げてから計画届を出す順序ではありません。支給申請も、増額改定後の賃金算定期間12か月が終わった後、原則2か月以内という流れになります。
(出典:令和8年度・建設事業主向け助成金の案内・23〜24頁。2026年9月10日確認)
助成金の入金を待たずに賃金や受講費の支払いが発生する点も、社内では分けて管理しておきたいところです。技能者の処遇改善を見積条件へつなげる考え方は、標準労務費と見積もりの書き方でも整理しています。
制度名だけを調べ続けるより、次の情報を1枚にまとめると、自社の計画と要件を照合しやすくなります。以下は相談準備用の整理例であり、正式な申請書類の一覧ではありません。
確認すること | 社内で準備する情報 |
|---|---|
誰を対象にするか | 雇用関係、雇用保険、担当業務、CCUS登録・昇格状況 |
何をいつ実施するか | 講習名・実施機関・日程、賃金規程の改定予定日 |
どんな証拠を残せるか | 受講記録、領収書、出勤簿、賃金台帳、改定前後の規程 |
事前手続きが間に合うか | 計画届の要否と締切、実施後の申請期限 |
窓口は管轄の都道府県労働局です。厚生労働省の建設事業主等に対する助成金案内から、現行のパンフレット・支給要領・申請様式へ進めます。提出期限を過ぎると受給できないため、実施前に相談する順序をおすすめします。
令和9年度の概算要求は、人材育成とCCUSを使った処遇改善を引き続き支える方向を示しています。一方、現在の研修や賃金改定は令和8年度の制度で判断します。予算要求の金額を自社の受給額と混同しないこと、登録だけで受け取れると考えないこと、事前手続きの期限を見落とさないことが大切です。
まず対象にしたい技能者と実施日を決め、最新の要領を基に労働局へ確認する。助成金を探す作業を、採用・育成・処遇改善の具体的な計画につなげていきましょう。