2026年上半期のハウスメーカー倒産は118件でした。ただし対象は木造建築工事業・負債1,000万円以上の集計です。数字の正しい範囲と、下請会社や施主が契約前・工事中に確認したい前払金、入金、工事継続の備えを整理します。
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2026年上半期、東京商工リサーチが集計したハウスメーカーの倒産は118件でした。前年同期の63件から87.3%増え、上半期で100件を超えるのは2013年の106件以来、13年ぶりです。
ただし、この118件は全国のすべてのハウスメーカーや工務店を数えたものではありません。東京商工リサーチが、木造建築工事業で負債1,000万円以上の倒産を、2026年1月から6月まで集計した数字です。住宅工事に関わる中小工務店・専門工事会社は、件数だけで不安を大きくするのではなく、統計の範囲と自社取引で確認する点を分けて捉えることが大切です。
東京商工リサーチによると、2026年上半期のハウスメーカー倒産は118件です。原因別では「販売不振」が85件(72.0%)、「赤字累積」が20件(16.9%)でした。残る13件は、この二つ以外の原因の合算であり、個別の内訳はこの集計からは分かりません。(出典:東京商工リサーチ「ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃」)

この統計から、個別の元請会社や取引先が同じ理由で倒産するとは判断できません。また、半年の118件を単純に2倍して年間件数を予測することもできません。件数はあくまで、対象業種・負債規模・観測期間をそろえた定点観測として使いましょう。
倒産統計は、支払遅延の有無や、個別の建築現場が継続できるかまでを示すものではありません。取引先の財務状況、現場ごとの出来高、施主からの入金状況、未払の協力会社の範囲によって、影響は大きく変わります。
元請と取引する専門工事会社にとっては、「住宅市場全体がどうか」よりも、注文書・契約書に定めた請求条件、出来高の記録、支払予定日、未承認の追加工事の有無を日常的に照合するほうが、初動の精度を高めます。統計は取引先を一律に疑う材料ではなく、資金・工事・連絡経路を見直すきっかけとして扱うのが実務的です。
アエラホームは2026年7月16日に民事再生法の適用を申請しました。これは1月から6月の118件集計の期間外であり、118件の一件として扱うことはできません。
帝国データバンクの公表では、注文住宅事業等をLHD-1へ吸収分割し、締結済みの新築請負契約等を承継するスキームが示されました。一方で、リフォーム事業とフランチャイズ事業は承継対象外とされています。スポンサー支援や契約承継が公表されたことは、工事継続を設計する一例ではありますが、他社の倒産でも同じ対応が取られる保証にはなりません。(出典:帝国データバンク「アエラホーム株式会社」)
施主・協力会社ともに、倒産情報に接したときは「事業を引き継ぐ会社があるか」だけでなく、自分の契約や対象工事が承継範囲に含まれるかを書面で確認する必要があります。債権、工事継続、契約解除の判断は個別事情で異なるため、必要に応じて弁護士などの専門家に相談してください。
注文書、請負契約書、支払サイト、出来高の認定方法、追加・変更工事の承認手順を確認します。特に、口頭で始めた追加工事や、誰が検収・承認するかが曖昧な工事は、請求時に争点になりやすくなります。自社が受け持つ工程、資材発注の名義、現場に置いた資材の所有関係も、案件ごとに記録しておきましょう。
工事が進んでいても、請求が承認されたか、入金予定日に実際に入金されたかは別の確認です。現場写真、作業日報、納品書、出来高確認をひとまとまりで保管し、未請求・未承認・未入金を区別します。入金管理の基本は、建設業の入金管理でも確認できます。
支払遅延、連絡窓口の急な変更、工事停止といった異変が出たときは、まず契約書、未払金額、現場の資材・進捗を整理します。そのうえで、発注者・施主・管財人など、誰からどの権限で作業継続を求められているかを確認します。契約関係を整理しないまま立替施工を続けると、回収できない費用が増えるおそれがあります。
工事途中の事業者倒産に備える仕組みとして、住宅完成保証があります。たとえばJIOの完成サポートは、登録事業者が倒産などで工事を継続できなくなった場合に、別事業者への引継ぎと完成を支援する商品です。ただし、対象住宅、登録事業者、保証条件があるため、契約前に利用できるかを確認する必要があります。(出典:JIO「完成サポート」)
一方、住宅瑕疵担保責任保険は、原則として引渡し後に見つかった構造耐力上主要な部分などの瑕疵について、事業者の資力確保を図る制度です。工事途中で止まった住宅を一般に完成させるための保険ではありません。完成保証の有無と、瑕疵保険への加入を同じものとして扱わず、それぞれの証書・対象範囲・利用条件を確認しましょう。(出典:国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」)
ハウスメーカー倒産118件は、木造建築工事業、負債1,000万円以上、2026年1〜6月という条件で集計された数字です。個別企業の倒産原因や、年間の見通しまでを示すものではありません。
下請会社は契約・出来高・請求・実入金を分けて記録し、異変時には作業継続の権限を確かめる。施主は完成保証と瑕疵保険の役割を分け、契約中の保全策を確認する。この二つを平時から進めることが、統計を不安だけで終わらせない備えになります。