鋼材や生コン、木材の仕入れ値が上がるたび、施主や元請けにどう伝えればいいか悩んでいませんか。日本銀行の企業物価指数をもとに、主要な建設資材が2020年からどれだけ値上がりしたかをグラフで整理しました。そのまま打ち合わせ資料としても使えます。
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仕入れ値が上がるたびに「また上がった」と感じていても、施主や元請に単価アップを切り出すとき、「どれくらい上がったのか」を数字で示せる資料が手元にないと、話がなかなか進みません。感覚だけで「高くなっているんです」と伝えても、相手には伝わりにくいものです。
このページでは、鋼材・生コンクリート・木材・アスファルト・電線といった主要な建設資材の価格が、この数年でどれだけ上がったのかを、公的統計の数字だけで整理しました。施主や元請との打ち合わせ資料として、そのまま使える形にしてあります。
このページの数字は、日本銀行が毎月公表している「企業物価指数」という統計をもとに、コンクルーBaseが独自に集計・作図したものです。企業物価指数は、企業同士が資材を取引するときの価格水準を追いかける指数で、実際に現場で支払う金額そのものではなく、「価格がどちらの方向に、どれくらいの速さで動いているか」を見るための数字です。2020年の年平均を100とした指数で示されており、円建ての実売価格ではありません。この違いを混同しないよう、本文では一貫して「指数」という言葉を使っています。
グラフの中の数値は日本銀行が公表した統計データそのものですが、グラフ自体(品目の組み合わせ・デザイン・集計方法)はコンクルーBaseが独自に作成したオリジナルです。転載の条件は記事の最後にまとめてあります。
まず、建設資材と関わりの深い5つの品目カテゴリーが、2016年からどう動いてきたかを見てみます。木材・木製品、窯業・土石製品(セメントや生コンクリートなどが含まれます)、鉄鋼、石油・石炭製品(アスファルトなどが含まれます)、非鉄金属(電線の原料になる銅などが含まれます)の5つです。2020年の年平均を100とした指数で表しています。
年 | 木材・木製品 | 窯業・土石製品 | 鉄鋼 | 石油・石炭製品 | 非鉄金属 | (参考)全産業平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|
2016年 | 96.7 | 93.1 | 85.6 | 90.7 | 89.3 | 96.2 |
2017年 | 98.7 | 93.2 | 93.7 | 107.2 | 100.6 | 98.4 |
2018年 | 101.2 | 95.0 | 98.5 | 125.4 | 104.2 | 101.0 |
2019年 | 100.8 | 98.0 | 100.7 | 119.4 | 98.9 | 101.2 |
2020年 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
2021年 | 131.8 | 100.7 | 114.8 | 128.6 | 128.6 | 104.6 |
2022年 | 171.3 | 107.5 | 145.6 | 151.6 | 148.3 | 114.9 |
2023年 | 140.6 | 123.1 | 154.6 | 151.9 | 152.9 | 119.9 |
2024年 | 135.0 | 130.2 | 153.0 | 158.1 | 171.4 | 122.8 |
2025年 | 135.7 | 137.1 | 144.7 | 157.8 | 186.4 | 126.7 |
2026年(1〜6月平均) | 141.1 | 142.9 | 142.4 | 164.7 | 243.3 | 131.8 |
(出典:日本銀行「企業物価指数」時系列データをもとにコンクルーBaseが集計)

5つのカテゴリーに共通するのは「2021年から2022年にかけて急に上がった」という動きです。とくに木材・木製品は2020年から2022年のわずか2年で71.3%上がり、その後2023年にかけて急落しました。いわゆる「ウッドショック」と呼ばれた局面で、輸入木材の供給が滞ったことが背景として挙げられています。
一方、鉄鋼と石油・石炭製品は2022年前後にピークをつけたあと、高い水準のまま横ばいに近い動きが続いています。窯業・土石製品(セメント・生コンクリートを含む)は、他のカテゴリーのような急騰と反落を繰り返さず、2020年から一貫して右肩上がりを続けているのが特徴です。
そして直近もっとも動きが大きいのが非鉄金属です。2025年の年平均で186.4、2026年に入ってからの半年平均でも243.3まで上がっており、全産業平均(131.8)を大きく引き離しています。電線の原料になる銅の国際価格が上昇していることが、この動きの主な背景です。表の一番右にある全産業の平均的な物価の動きと比べても、建設資材のカテゴリーはどれも大きく上回って上がっていることが分かります。
もう少し具体的な品目でも見てみます。上のカテゴリーの中から、実際の見積書によく登場する6つの品目を取り出しました。2020年基準の指数がそろっている2020年から2026年までのデータです。
年 | 製材 | 合板・集成材 | 小形棒鋼 | 生コンクリート | アスファルト | 電線・ケーブル |
|---|---|---|---|---|---|---|
2020年 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
2021年 | 140.9 | 131.5 | 120.3 | 101.4 | 136.9 | 137.5 |
2022年 | 164.0 | 190.8 | 154.1 | 108.1 | 207.9 | 154.9 |
2023年 | 138.0 | 153.6 | 166.1 | 127.5 | 187.8 | 163.5 |
2024年 | 133.4 | 138.0 | 165.1 | 137.0 | 197.7 | 186.6 |
2025年 | 135.1 | 132.3 | 153.7 | 149.0 | 177.6 | 201.5 |
2026年(1〜6月平均) | 137.9 | 141.2 | 151.5 | 158.6 | 221.6 | 273.7 |
(出典:日本銀行「企業物価指数」時系列データをもとにコンクルーBaseが集計)

木材は「製材」(柱や梁に使う挽いた木材)と「合板・集成材」(型枠用合板や集成材)で動きが違います。合板・集成材は2022年に190.8までほぼ倍近くまで跳ね上がったあと、2024〜2025年にかけて130台まで落ち着きました。製材のほうは合板ほどの急騰はなく、2022年の164.0をピークにゆるやかに下がって135前後で推移しています。同じ「木材」でも品目によって値動きの大きさが違う点は、見積の際に分けて確認しておきたいポイントです。
鉄筋に使う小形棒鋼は、2022年の154.1から2023年166.1・2024年165.1とさらに水準を切り上げたあと、2025年に153.7へ落ち着き、2026年前半は151.5とほぼ横ばいで推移しています。生コンクリートは、鉄鋼や木材のような急騰・反落のパターンを描かず、2020年から一貫して右肩上がりです。主な原料であるセメント単体の指数は2025年時点で158.6と、生コンクリート(149.0)以上に上がっており、生コンクリート工場が原料の上昇分をすべて価格に転嫁しているわけではないことがうかがえます。
アスファルトも一貫した右肩上がりで、2026年前半の平均で221.6、直近の6月単月では260.6まで上がっており、舗装工事の見積では特に注意しておきたい品目です(出典:日本銀行「企業物価指数」2026年6月速報、2026年7月10日公表)。
もっとも上昇が続いているのが電線・ケーブルです。2025年の年平均で201.5と、2020年のおよそ2倍の水準まで上がったあと、2026年に入ってさらに加速し、6月単月では290.7まで達しています。電線の原料となる銅の国際価格の上昇が主な要因です(出典:日本銀行「企業物価指数」2026年6月速報、2026年7月10日公表)。電気設備工事の見積では、鋼材や木材以上に、電線の単価変動に気を配っておく必要がありそうです。
なお木材については、公的な価格調査でも実際の取引価格が確認できます。2024年のスギ丸太は1立方メートルあたり15,900円、ヒノキ丸太は22,300円で、いずれも前年よりわずかに値上がりしています(出典:林野庁「森林・林業白書」令和6年度版)。指数の動きと実際の取引価格をあわせて確認しておくと、社内での説明がより具体的になります。
2020年の年平均を基準に、2025年の年平均でどれだけ上がったかを比べると、品目による差がはっきり出ます。
品目・カテゴリー | 2020年平均 | 2025年平均 | 上昇率(2025年) | 2026年6月 | 上昇率(2026年6月時点) |
|---|---|---|---|---|---|
電線・ケーブル | 100.0 | 201.5 | +101.5% | 290.7 | +190.7% |
非鉄金属(類別) | 100.0 | 186.4 | +86.4% | 252.4 | +152.4% |
アスファルト | 100.0 | 177.6 | +77.6% | 260.6 | +160.6% |
セメント | 100.0 | 158.6 | +58.6% | 166.2 | +66.2% |
小形棒鋼(鉄筋) | 100.0 | 153.7 | +53.7% | 155.4 | +55.4% |
生コンクリート | 100.0 | 149.0 | +49.0% | 160.2 | +60.2% |
形鋼(H形鋼等) | 100.0 | 145.3 | +45.3% | 148.9 | +48.9% |
木材・木製品(類別) | 100.0 | 135.7 | +35.7% | 146.9 | +46.9% |
(参考)全産業平均 | 100.0 | 126.7 | +26.7% | 135.4 | +35.4% |
(出典:日本銀行「企業物価指数」時系列データをもとにコンクルーBaseが集計)

上昇率がもっとも大きいのは電線・ケーブルで、2025年の年平均で早くも2020年の2倍を超えました。次いで非鉄金属、アスファルトの順です。逆に上昇率が比較的小さいのが木材・木製品で、ウッドショック時に急騰した反動もあり、2025年にはかなり落ち着いています。全産業平均の上昇率が26.7%であるのに対し、ここに挙げた建設資材はどれも上回っており、なかでも電線・非鉄金属・アスファルトの3つは全産業平均のおよそ3〜4倍の上昇率になっている点は、押さえておく価値があります。
数字を眺めるだけでは意味がありません。ここからは、上がった分を実際の見積にどう反映するかを、実務の視点で整理します。
一番多い失敗は、以前作った見積書や積算のひな形をそのまま複製して使い続けてしまうことです。「前にこの金額で受注できたから」という理由で古い単価を使い回すと、資材が上がった分がまるごと自社の粗利を削ることになります。
対策はシンプルで、単価を見直すタイミングをあらかじめ決めておくことです。目安としては、四半期に一度、上のグラフで自社がよく使う資材カテゴリーの向きを確認する。加えて、見積を出す直前には最新の仕入伝票と照らし合わせる。この2段構えにしておくと、「気づいたら数か月前の単価のままだった」という事態を防げます。とくに電線やアスファルトのように直近の上昇が大きい品目を扱う工事では、確認の頻度を上げておいたほうが安全です。
工期が長い工事では、契約時点と資材を実際に調達する時点とで価格が変わってしまうことがあります。これに備える仕組みとして、公共工事の標準的な契約約款には、資材や人件費の変動を請負代金に反映させる「スライド条項」が用意されています。工事全体の価格変動に対応する「全体スライド」、特定の資材が急騰した場合に使う「単品スライド」、賃金水準の変動に対応する「インフレスライド」の3種類に分かれます(出典:国土交通省「各種スライド条項について」)。
民間工事でも、標準的な契約約款には物価変動があったときに請負代金の変更を協議できる規定が設けられています(出典:民間七会連合協定工事請負契約約款委員会)。契約書にこうした条項があるかどうかを、契約の段階で確認しておくことが、資材高騰局面での自衛策になります。
見積書に一文添えておくだけで、あとから単価を見直す余地をつくっておけます。使いやすい文例を2つ紹介します。
見積の有効期限を明記する場合の文例です。
「本見積書の有効期限は発行日より30日間です。期限を超えてご契約いただく場合は、資材価格の変動を踏まえて再度お見積りさせていただきます。」
工期が長く、価格変動リスクを事前に伝えておきたい場合の文例です。
「本見積は令和8年◯月時点の資材単価をもとに算出しています。鋼材・生コンクリート等の主要資材価格に契約後著しい変動があった場合、金額について別途ご相談させていただく場合があります。」
どちらも、金額を一方的に変えるという意味ではなく、「変動があったときは話し合いましょう」という前提を先に共有しておくための一文です。何も書かずに出した見積書より、交渉をはるかに切り出しやすくなります。
値上がりを説明するときにいちばん説得力があるのは、「業界全体の数字」と「自社の実額」をセットで見せることです。このページのグラフで「業界全体でこれだけ上がっている」という背景を示し、そのうえで自社の仕入伝票や発注書で「実際にうちが払っている金額はこうなっている」という実額を添える。この2段階で見せることで、感覚ではなく数字の話として伝わります。見積のどの費目が材料費にあたるのかを整理しておきたい方は、直接工事費とは?内訳や必要性、計算方法、間接工事費との違いを解説もあわせて参考にしてください。
値上がりを伝える相手は、資材の値動きに詳しくないことがほとんどです。だからこそ、「感覚」ではなく「数字」を先に置く順番が効きます。
まず、このページのグラフを見せて「業界全体でこれだけ上がっている」という事実を共有する。そのうえで、自社の見積や請求のどこにその分が反映されているかを説明する。この順番を守ると、「値上げのお願い」ではなく「相場の確認」という話し方になり、相手も受け止めやすくなります。
出典を明記すれば転載は自由なので、グラフをそのまま見積書に添付したり、打ち合わせ資料に貼り付けたりして使えます。契約書の役割や記載項目を確認しておきたい場合は、工事請負契約書とは?役割や記載項目、印紙、雛形、注意点を徹底解説も参考にしてください。価格交渉の中で値引きを求められた場合の対応は、出精値引きとは?読み方・意味・見積書の書き方からコンプライアンスまで解説にまとめてあります。標準労務費の観点から人件費側の値上がりもあわせて説明したい場合は、標準労務費で見積もりはどう変わる?施行半年の現在地と小規模建設会社の実務対応が参考になります。
このページのグラフは、下の統計をもとにコンクルーBaseが作図したものです。
図の内容 | 出典 | 公表時点 |
|---|---|---|
建設資材カテゴリー別の指数推移 | 日本銀行「企業物価指数」時系列データ | 2026年7月10日公表分まで反映 |
品目別の指数推移 | 日本銀行「企業物価指数」時系列データ | 同上 |
品目別・上昇率の比較 | 日本銀行「企業物価指数」時系列データ | 同上 |
(参考)スギ・ヒノキ丸太価格 | 林野庁「森林・林業白書」令和6年度版 | 令和6年(2024年)実績 |
(出典:日本銀行「企業物価指数」)
転載の条件はひとつです。グラフの近くに「出典:コンクルーBase」と、このページへのリンクを添えてください。それだけで、社内資料・営業提案資料・打ち合わせ資料・ブログ・SNSなど、商用非商用を問わずお使いいただけます。事前の連絡や許諾申請は不要です。数値や出典クレジットを書き換えての利用はご遠慮ください。
なお、グラフの数値そのものは日本銀行が公表している統計データにもとづいていますが、グラフの構成・組み合わせ・集計はコンクルーBaseが独自に行ったオリジナルであり、日本銀行が作成した図表や資料そのものを転載したものではありません。日本銀行の公表資料そのものを直接引用・転載される場合は、日本銀行が定める利用条件に従ってください。
このページは、企業物価指数の新しい公表があったタイミングで更新していきます。引用いただく際は、上の表にある「公表時点」もあわせて記載いただけると、読み手が最新版かどうかを確認しやすくなります。