建設業許可の29業種を、工事内容、代表例、迷いやすい隣接業種まで一覧で整理します。受注前に主たる工事を振り分け、許可追加や契約確認の論点を見落とさないための検索ディレクトリです。2026年8月30日時点の国土交通省資料に基づきます。
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受注予定の工事を前に、「うちはこの許可で請けられるのか」と迷う場面は少なくありません。建設業許可は、仕事の呼び名ではなく、建設業法別表にある29の工事区分ごとに整理されています。たとえば同じ「水回り」の工事でも、敷地内の配管、浄水施設、公共下水道の施工では確認すべき区分が変わります。
この記事は、国土交通省の一次資料を基に、29業種の工事内容、公式の代表例、隣接して迷いやすい区分を一枚の索引にしたものです。判断を確定するものではありませんが、受注前に契約・見積の範囲を整理し、許可行政庁へ相談するための出発点として使えます。基準日は2026年8月30日です。
業種区分を選ぶ前に許可そのものが必要かを確認したい場合は、建設業許可なしで500万円超の工事を請けた場合の線引きもあわせて確認してください。請負金額の判定と、どの業種の許可が必要かという判定は分けて考えます。
建設業を営むには、軽微な建設工事のみを請け負う場合などを除き、許可が必要です。許可は29業種ごとに受けます。国土交通省は、建設工事の種類、許可業種、内容、例示を公表しています(出典:国土交通省「建設業の許可とは」)。
ここで最初に押さえたいのは、一式工事が「何でも施工できる許可」ではない点です。土木一式・建築一式は、総合的な企画、指導、調整の下で工作物や建築物を建設する工事です。専門工事を単独で請けるときは、主たる施工内容に対応する専門業種を確認します。
下の一覧は、国土交通省が示す工事内容と例示を実務用に要約したものです。表計算ソフトで絞り込みたい場合は、同梱のdirectory.csvを使ってください。各行の公式出典は、国土交通省の建設業許可の業種区分です。
種類 | 許可業種 | 主な代表例 | 最初に確認する隣接区分 |
|---|---|---|---|
土木一式 | 土木工事業 | 土木工作物を総合的に建設 | 管、水道施設 |
建築一式 | 建築工事業 | 建築物を総合的に建設 | 各専門工事 |
大工 | 大工工事業 | 型枠、木造作 | 内装仕上、建具 |
左官 | 左官工事業 | モルタル、吹付け | 防水、塗装 |
とび・土工・コンクリート | とび・土工工事業 | 足場、くい、掘削、打設 | 鋼構造物、解体 |
石 | 石工事業 | 石積み・石張り | タイル・れんが・ブロック |
屋根 | 屋根工事業 | 屋根ふき | 板金 |
電気 | 電気工事業 | 受変電、照明 | 電気通信、消防施設 |
管 | 管工事業 | 空調、給排水、ガス | 水道施設、土木一式 |
タイル・れんが・ブロック | 同工事業 | タイル張り、築炉 | 石、左官、屋根 |
鋼構造物 | 同工事業 | 鉄骨、橋梁、タンク | とび・土工、機械器具設置、建築一式、消防施設 |
鉄筋 | 鉄筋工事業 | 鉄筋加工・組立 | とび・土工 |
舗装 | 舗装工事業 | アスファルト、路盤 | 土木一式、とび・土工 |
しゅんせつ | しゅんせつ工事業 | 河川・港湾の水底 | 土木一式、水道施設 |
板金 | 板金工事業 | 建築板金 | 屋根、建具 |
ガラス | ガラス工事業 | ガラス加工取付け | 建具 |
塗装 | 塗装工事業 | 塗装、路面標示 | 防水、左官 |
防水 | 防水工事業 | シート、シーリング | 左官、塗装 |
内装仕上 | 内装仕上工事業 | 天井、壁、床、畳 | 大工、建具 |
機械器具設置 | 同工事業 | プラント、立体駐車設備 | 電気、管 |
熱絶縁 | 熱絶縁工事業 | 設備・工作物の断熱 | 管、内装仕上 |
電気通信 | 電気通信工事業 | 通信線、データ通信 | 電気、消防施設 |
造園 | 造園工事業 | 植栽、園路、屋上緑化 | 土木一式、石 |
さく井 | さく井工事業 | 井戸、温泉掘削、揚水 | 水道施設、とび・土工 |
建具 | 建具工事業 | サッシ、シャッター | ガラス、板金 |
水道施設 | 水道施設工事業 | 取水、浄水、下水処理 | 管、土木一式 |
消防施設 | 消防施設工事業 | 消火栓、火災報知、避難設備 | 電気、管、建築一式、鋼構造物 |
清掃施設 | 清掃施設工事業 | ごみ・し尿処理施設 | 機械器具設置 |
解体 | 解体工事業 | 工作物の解体 | とび・土工、建築一式、土木一式 |
建築一式工事は、複数の専門工事を総合的に調整して建築物を完成させる工事です。一方で、内装だけ、屋根だけ、電気だけを請けるなら、名称が「建築工事」に見えても専門業種の確認から始めます。見積の内訳を工種ごとに分解し、誰が全体の企画・調整を担う契約なのかを確認すると整理しやすくなります。
足場、揚重、くい、掘削、コンクリート打設、外構などはとび・土工・コンクリートに例示されています。対して、形鋼・鋼板を加工・組み立てて工作物を築造するのは鋼構造物です。既存の工作物を取り壊すことが主目的なら、解体工事も確認します。作業の一部に足場や鉄骨組立が含まれていても、工事全体で何を完成・撤去するのかを先に言語化しましょう。総合的な企画・指導・調整のもとで土木工作物や建築物を解体する場合は、解体工事業ではなく土木一式工事や建築一式工事に該当することがあります(出典:国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」)。
国土交通省の区分の考え方では、家庭その他の施設の敷地内配管や上水道等の配水小管は管工事、上水道の取水・浄水・配水等の施設や下水処理場内の処理設備は水道施設工事、公道下等の下水道や下水処理場等の施設建設は土木一式工事と整理されています。発注書の「上下水道工事」という表現だけで決めず、施工場所と対象物を確認するのが安全です(出典:国土交通省中国地方整備局の業種区分一覧表)。
金属を使うから板金、スレートを使うから屋根、と材料名だけで分けると迷います。瓦・スレート・金属薄板等で屋根をふく行為は屋根工事、金属薄板等を加工して取付ける行為は板金工事、タイル・れんが・ブロック等を取付け・貼付ける行為はタイル・れんが・ブロック工事です。施工場所と施工行為の組合せで確認します。
モルタル、防水、塗膜という言葉は重なります。左官は壁土・モルタル等をこて塗り・吹付け・貼付けする工事、防水はアスファルト・モルタル・シーリング材等で防水を行う工事、塗装は塗料・塗材等を吹付け・塗付け・貼付けする工事です。モルタル防水のように複数業種で施工可能とされる例もあるため、材料名だけではなく、公式ガイドラインと個別の施工方法を照合してください。
発電・変電・送配電・構内電気設備は電気工事、有線・無線・ネットワーク・情報設備は電気通信工事、火災警報・消火・避難・消火活動に必要な設備は消防施設工事です。弱電、火災報知、通信配線が同じ現場にあっても、設備の目的ごとに分けて契約範囲を確認します。
29業種の一覧は、許可判定の答えそのものではなく、見落としを減らすための索引です。工事名が似ていても、施工する場所、対象物、主たる施工行為が違えば確認先の業種は変わります。受注を急ぐほど、見積段階で工事範囲を言葉にし、隣接業種まで照合してから許可行政庁へ確認する流れを定着させましょう。