公共工事の発注者別内訳を、令和8年7月の前払金保証契約統計で確認します。市区町村・都道府県・国の件数と請負金額、1件当たりの規模を整理し、全公共工事の統計ではない点や営業圏を読む際の注意点も解説します。
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「公共工事は国の大型案件が中心」という印象を持つかもしれません。しかし、公共工事 発注者 内訳を前払金保証契約の統計で見ると、令和8年7月に締結された保証契約の件数は、市区町村と都道府県で88.5%を占めました。
ただし、ここで扱うのは北海道・東日本・西日本の3保証会社が締結した前払金保証契約の統計です。すべての公共工事の契約件数や市場全体を表すものではありません。少額工事、保証対象外の工事、受注者が前払金を請求しなかった工事は含まれないため、この範囲を守って読み解く必要があります。
この記事では、東日本建設業保証が公表する「公共工事前払金保証統計」の令和8年7月分から、発注者別の件数・請負金額と、営業圏を見るときの注意点を整理します。
公共工事前払金保証統計は、北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証の3保証会社が締結した前払金保証契約を、公共工事の発注動向を把握する目的で毎月集計したものです。3社の業務統計を元にした悉皆調査ですが、母集団はあくまで保証契約です(統計の説明資料)。
前払金保証とは、建設会社が着工資金として前払金を受け取る際に必要となる保証です。統計には少額工事や保証対象とならない工事、前払金を請求しなかった工事は入りません。したがって「全国の公共工事の発注者別シェア」ではなく、前払金保証契約が締結された公共工事の発注者別内訳として読むのが正確です。
令和8年7月に締結された前払金保証契約は、全国で26,069件、請負金額は1兆7,204億6,000万円でした。次の表は、同統計の表1から件数と請負金額を抜き出し、件数・金額のシェアと1件当たり請負金額を計算したものです。
集計対象に注意:以下は前払金保証契約の統計であり、すべての公共工事を表すものではありません。
発注者 | 件数 | 件数シェア* | 請負金額 | 金額シェア* | 1件当たり* |
|---|---|---|---|---|---|
国 | 1,775件 | 6.8% | 2,943億8,500万円 | 17.1% | 約1億6,600万円 |
独立行政法人等 | 332件 | 1.3% | 689億6,400万円 | 4.0% | 約2億800万円 |
都道府県 | 9,492件 | 36.4% | 5,019億6,400万円 | 29.2% | 約5,300万円 |
市区町村 | 13,591件 | 52.1% | 7,591億5,800万円 | 44.1% | 約5,600万円 |
地方公社 | 224件 | 0.9% | 170億600万円 | 1.0% | 約7,600万円 |
その他 | 655件 | 2.5% | 789億8,200万円 | 4.6% | 約1億2,100万円 |
合計 | 26,069件 | 100% | 1兆7,204億6,000万円 | 100% | 約6,600万円 |
出典: 東日本建設業保証「公共工事前払金保証統計」令和8年7月・表1。*シェアと1件当たりは表1の件数・請負金額から算出。

市区町村は13,591件で52.1%、都道府県は9,492件で36.4%です。この二つを合計すると23,083件、保証契約件数の88.5%になります。前払金保証契約という限定された統計では、日々の案件数の多くが自治体発注に由来していることが分かります。
一方で、請負金額を件数で割ると見え方が変わります。国は約1億6,600万円、独立行政法人等は約2億800万円で、市区町村の約5,600万円、都道府県の約5,300万円を上回ります。国は件数シェア6.8%に対して請負金額シェア17.1%であり、保証契約の対象となった工事の中では、少数でも規模が大きい傾向が表れています。
ここでいう「独立行政法人等」には、独立行政法人のほか国立大学法人、大学共同利用機関法人、特殊法人などが含まれます。「その他」には第三セクター等が含まれます。発注者名を比較するときは、統計上の区分が実際の営業上の発注者分類と完全には一致しないことも押さえておきましょう。
単月だけでは発注タイミングの影響を受けるため、令和8年度の4〜7月累計も確認します。表1の累計件数は83,606件で、市区町村41,272件、都道府県30,673件でした。両者の合計71,945件は、累計の86.1%です。
7月単月の88.5%よりは低いものの、前払金保証契約の件数が市区町村・都道府県に集中するという見え方は、年度累計でも同じです。とはいえ、この数字は「自治体が日本の公共工事全体の86.1%を発注した」ことを意味しません。あくまで前払金保証契約の件数構成です。
この統計は毎月公表され、都道府県別・発注者別のクロス集計もあります。地域の受注機会を検討するときは、次のように使うと実務に結びつきます。
また、継続工事など年度区分のある工事は、前払金に対応する当該年度請負金額相当額が計上されます。大型の複数年度工事を含む地域・月では、単月の金額が実際の契約総額とは異なることがあります。入札・契約まわりの制度変更もあるため、個別の対応期限は建設業の法改正カレンダー2026-2031で確認してください。
令和8年7月の前払金保証契約統計では、市区町村と都道府県が保証契約件数の88.5%、請負金額の73.3%を占めました。国・独立行政法人等は件数こそ小さい一方、1件当たり請負金額が大きい構造です。
重要なのは、この結論を全公共工事の発注シェアに広げないことです。対象は3保証会社が締結した前払金保証契約であり、前払金を使わない工事などは含まれません。全国・地域の動きを早くつかむ材料として活用し、実際の営業判断では地域別の保証実績、入札公告、受注実績などと組み合わせて見てください。