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監修者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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建設業の受注悪化46.9%と技術者不足46.6%は、質問も分母も異なる数字です。全建2026年調査の対象・期間・地域差を確認し、案件不足、競争、人員配置、採算のどこで自社の受注が止まっているかを見直す方法を解説します。
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建設業の受注は、どのくらい厳しくなっているのでしょうか。全国建設業協会の2026年度調査では、受注状況を「悪くなってきた」「悪い」とする回答が46.9%でした。ただ、この数字をそのまま「建設業全体の約半数が受注減」と読み替えることはできません。
調査対象や設問を確かめると、仕事の量だけでなく、競争や技術者不足によって受注しにくくなっている会社の状況が見えてきます。自社では案件不足なのか、受注できる体制の不足なのか。営業と現場配置を見直す材料として整理します。
調査は2026年7月、47都道府県建設業協会とその会員企業を対象に実施され、会員企業は1,877社が回答しました。受注状況の設問では、2025年6月1日〜2026年5月31日を、その前の1年間と比較しています。
つまり、2026年9月の単月受注高でも、受注金額が46.9%減ったという意味でもありません。会員企業の回答割合であり、リフォーム・塗装・外構などを含めた全国すべての事業者を無作為に調べた統計とも異なります。
(出典:全国建設業協会「令和8年度 発注関係事務の運用状況等に関するアンケート」2、66頁。2026年9月10日確認)
受注状況の回答 | 全体の割合 |
|---|---|
良い | 3.5% |
概ね良い | 15.6% |
変わらない | 34.1% |
悪くなってきた | 35.4% |
悪い | 11.5% |
46.9%は、後ろの2つの区分を足した割合です。公表値は小数第1位に丸められているため、全区分を足すと100%と一致しないことがあります。

受注悪化の理由についての設問は、「悪くなってきた」「悪い」と回答した企業に尋ねたものです。公共の発注量の減少が87.0%、競争の激化が47.3%、技術者の不足が46.6%でした。
ここは複数回答です。ひとつの会社が「発注量が減った」と「技術者が足りない」の両方を選ぶこともあります。割合を足して企業数を求めたり、46.6%を全回答企業に対する技術者不足の割合と説明したりするのは誤りです。
(出典:全建アンケート・設問48/67頁。図は同資料を基に当編集部作成。2026年9月10日確認)
人手不足なのに受注も悪化する、という状況は両立します。たとえば、欲しい時期の案件が少ない一方、別の時期には技術者の配置が重なって応札を見送ることも考えられます。ただし、これは数字の読み方を説明する例であり、この調査だけで個々の会社の因果関係まで証明できるわけではありません。
受注を「悪くなってきた」「悪い」とする割合が半数を超えた地域は、東北54.6%、近畿52.4%、中部51.5%、中国50.9%でした。全体46.9%との差は、それぞれ7.7、5.5、4.6、4.0ポイントです。
(出典:全建アンケート・設問47/66頁。差は公表値から当編集部計算。2026年9月10日確認)
同じ地域の中でも、公共工事と民間工事、元請と下請、工種や会社規模によって仕事の条件は異なります。この割合だけで「この地域では新規営業を控える」と決めるのは早計です。自社が受ける案件の入口と、断っている理由を確認するきっかけにするのが現実的でしょう。
以下は編集部による整理方法です。売上の増減だけを見ると、値上げによる単価の変化と、件数・作業量の変化が混ざります。問い合わせから受注までを、件数と理由で分けてみます。
起きていること | 見たい記録 | 次に検討すること |
|---|---|---|
相談そのものが減った | 取引先別・流入経路別の相談件数 | 既存客への接点、紹介元、新規の営業先 |
見積を出しても選ばれない | 提出件数、回答、価格・納期・範囲の条件差 | 対象案件、見積条件の伝え方、回答後の確認 |
人員や日程の都合で断った | 辞退理由、職種、着工希望日、配置予定 | 繁忙期の重なり、協力会社との事前調整 |
利益が残らず受けられない | 材料・外注・労務費と回収条件 | 値決め、対象範囲、支払条件 |
同じ「失注」でも、価格で選ばれなかった案件と、技術者を配置できず見送った案件では対応が変わります。月ごとの一覧に「断った理由」「希望工期」「必要な職種」を残すだけでも、営業の問題と現場体制の問題を分けやすくなります。
受注後の入金まで含めて整理するには、発注台帳・受注入金管理テンプレートも使えます。採算面の受注基準は、最低受注ラインの決め方で詳しく解説しています。
同じ調査の利益状況では、直近の令和7年度決算をその前の決算と比べて「悪くなってきた」「悪い」とする割合が36.5%でした。受注46.9%とは設問も比較対象も異なるため、差をそのまま「利益を守れた会社の割合」と計算することはできません。
(出典:全建アンケート・設問50/69頁。2026年9月10日確認)
自社では、受注金額に加えて案件数、予定粗利、必要な人工、入金予定を並べてみます。受注を増やすために条件を緩めた結果、忙しくなったのに手元の資金が苦しくなる、という事態を避けるためです。調査の数字を目標値にするのではなく、自社の記録をどこまで分けて見られるかが大切です。
全建の2026年度調査は、地域建設会社の受注環境を知る資料です。受注悪化46.9%と技術者不足46.6%は似た数字ですが、質問も分母も違います。前者は受注状況、後者は悪化したと答えた企業が挙げた理由です。
案件不足、競争、人員配置、採算のどこで受注が止まっているかを、自社の案件記録で確かめる。業界全体の数字を、営業や現場の改善へつなげるときは、この切り分けから始めてみてください。