展示会で「DX」という言葉を聞くたびに焦るけれど、紙とFAXで現場は普通に回っている——そんな社長へ。10個の質問に答えるだけで、自社のデジタル化がいまどの段階にあるかが4つのレベルでわかり、今週からできる次の一手も費用の目安つきでわかります。
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展示会や同業の集まりで「DX」「AI活用」という言葉を聞くたびに、うちも何かしなきゃと焦る。かといって、紙とFAXと電話で現場は普通に回っているし、自分の会社が遅れているのか普通なのかも、正直よく分かっていない——。そんな社長は、決して少なくありません。
この記事では、10個の質問に答えるだけで、自社のデジタル化がいまどの段階にあるかを確認できます。診断のあとには、段階ごとに「今週」「今月」「半年」で何から手をつければいいかも、費用の目安つきで用意しました。難しい話は抜きにして、さっそく始めましょう。
次の10個の質問に、「はい」か「いいえ」で答えてください。あまり深く考えず、いまの会社の実態で、直感で答えるのがコツです。「まあ、できているつもり」くらいのものは、「いいえ」に寄せて答えると、診断の精度が上がります。
No. | 質問 | チェック |
|---|---|---|
1 | 現場の写真は、プリントやバラバラのフォルダではなく、 | □ |
2 | 日報・出面(でづら)は、紙ではなくデータで残している | □ |
3 | 見積書はExcelか専用ソフトで作っていて、 | □ |
4 | 工事ごとの原価を、台帳やシートで集計している | □ |
5 | 請求の漏れや入金の遅れに、 | □ |
6 | 図面や現場の書類を、現場からスマホで確認できる | □ |
7 | 工程や職人の予定を、全員が同じもので見ている | □ |
8 | 同じ情報を2回入力する「転記」の作業が、ほとんどない | □ |
9 | 粗利や売上の見込みを、月に一度は数字で見ている | □ |
10 | 新しいツールを試す担当や時間を、決めている | □ |
答え終わったら、「はい」の数を数えてください。その数で、次の章の4段階のどこにいるかが分かります。
なお、経済産業省が策定した「DX推進指標」という、企業向けの公式な自己診断ツールもあります(出典:IPA「DX推進指標について」)。本診断はそれとは別に、町場の建設会社向けにコンクルーBaseが独自に作った簡易チェックであり、公的な指標ではありません。気軽な自己点検としてお使いください。
「はい」の数で、会社のいまの段階が分かります。どの段階であっても、恥ずかしいことではありません。限られた人手と時間のなかで会社を回してきた結果であり、そこにはちゃんと理由があります。大事なのは、いまの段階を知ったうえで、次に何をするかです。
図面がどこにあるか現場に電話で確認し、写真は現像に出していたころの延長でプリントするか、個人のLINEに送りっぱなし。見積は経験と勘で出し、資金繰りは通帳とにらめっこ——という状態です。探す・聞く・書き写すに、思った以上の時間が溶けています。ただし、これは能力の問題ではありません。人手が足りないなかで現場を優先してきた結果、事務仕事が後回しになっただけです。そもそも建設業のDXがどういうものか気になる方は、建設DXとは?を先にご覧ください。
次の一手は、1つの業務だけに絞ることです。全部を同時に変えようとしないでください。
Excelはしっかり使っている。ただし、作った本人にしか触れず、ファイル名が「見積書_最新」「見積書_最新2」「見積書_本当の最新」と増えていく。同じ数字を、見積書と原価台帳と請求書に、3回打ち込んでいる——という状態です。ツールはあるのに、属人化と二重入力からまだ抜けられていません。
写真共有アプリ、日報アプリ、見積ソフト、会計ソフト——個別のツールはすでに入っています。ただし、それぞれが別々に動いていて、結局どこかで手打ちの転記が発生している。「ツールを入れたのに、思ったより楽になっていない」と感じているなら、まさにこの段階です。
情報がひとつながりになっていて、転記や二重入力にほとんど悩まされていない状態です。ここまで来ている会社は、「守り」のデジタル化はひと段落しています。次は、貯まったデータをどう活かすかという「攻め」の段階です。

「DX、DX」と言われても、建設業ではなかなか進まないという話をよく聞きます。これは、社長や職人さんの能力の問題ではなく、業界の商売の構造に理由があると考えられます。
大きく3つです。ひとつは、現場を止められないまま導入しないといけないこと。工場のラインのように、一度止めてすべて切り替える、ということができません。ふたつめは、ITの面倒を専任で見られる人がいないこと。多くの会社では、経理や現場管理と兼務している人が、片手間でツールの面倒を見ることになります。みっつめは、効果が金額としてすぐには見えにくいことです。「写真共有を導入したら、来月の利益が増えた」とは、なかなか言い切れません。
だから、レベル1やレベル2で止まっていても、それは珍しいことではありません。恥ではなく、まだ手をつけていない伸びしろだと考えてください。進め方のどこでつまずきやすいかをもう少し詳しく知りたい方は、建設DXが進まない理由5つで、よくあるつまずき方を5つに整理しています。
レベルがいくつであっても、次の一歩の選び方には共通の原則があります。
1. 全部やらない。一番痛い業務を1つだけ選ぶ
写真も日報も原価も請求も、まとめて変えようとすると、覚えることが多すぎて現場がついてきません。いま一番時間を取られている業務、あるいは一番ミスが起きやすい業務を1つだけ選び、そこから始めます。
2. 現場の入力を増やさない
デジタル化のはずが、紙の作業とデジタルの入力が両方残ってしまい、かえって手間が増えるケースがよくあります。入力は1回で済むように設計することが原則です。
3. 小さく試して、合わなければ戻す
1つの現場、1か月だけ試してみて、合わなければ元のやり方に戻せばいい——くらいの軽さで始めるほうが、結局は長続きします。

とくに2つめの「入力を1回にする」は、地味に効いてきます。毎回別々の場所に手で打ち込むのではなく、一度入力した情報が見積から原価、請求までつながっていくように設計されたクラウドサービスもあります(コンクルーAIのようなツールが、これにあたります)。ただし、こうしたツールを検討するのは、自社の「何に困っているか」が今回の診断ではっきりしてからで十分です。順番としては、形を決めるほうが先になります。
最後に、10問をもう一度並べておきます。折にふれて、自社に問いかけてみてください。
「はい」がいくつあっても、それがいまの自社の実力であり、責める必要はありません。大事なのは、次の一手を1つだけ決めて、今週から動いてみることです。
自社のレベルに応じて、次に読むとよい記事もまとめておきます。
紙と電話で現場が回っているのは、遅れているという意味ではありません。人手が足りないなかで、会社を守ってきた証でもあります。ただ、会社の規模が大きくなるほど、勘と経験だけでは目が届く範囲を超えていきます。今日の診断をきっかけに、まずは1つ、動いてみてください。