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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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電話やLINEで頼んだ材料・外注費を、工事別の予定原価、納品、請求、支払までつなげて管理する方法を解説します。営業の受注管理との違い、発注台帳に入れる項目、少人数でも続く確認の順番と手戻りを減らすポイントが分かります。
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協力会社への依頼や材料の手配を、電話・LINE・口頭で回している会社は少なくありません。急ぎの現場ではそれで前に進みますが、月末に請求書が集まったとき、「この外注費はどの工事の、どの予算に入っていたのか」がすぐに分からないと、利益が残るかどうかの判断も後手になりますよね。
建設業の発注管理は、注文書を発行する事務だけではありません。工事ごとの予定原価を起点に、何を・誰に・いくらで頼んだかを記録し、納品・請求・支払の実績までつなげる運用です。この記事では、営業の受注管理との違いから、発注台帳に必要な項目、少人数でも続けやすい確認の順番までを整理します。
似た言葉ですが、受注管理と発注管理は見ているお金が逆です。
管理 | 主な相手 | 追う金額 | 目的 |
|---|---|---|---|
受注管理 | 施主・元請などの顧客 | 売上、契約額、請求・入金 | いつ、いくら売上になるかを見通す |
発注管理 | 協力会社、材料店、リース会社など | 原価、発注額、請求・支払 | 工事にいくら使う予定・実績かをつかむ |
受注管理では「工事をいくらで請けたか」を見ます。一方、発注管理では「その工事を進めるために、原価をいくら使う約束をしたか」を見ます。両方とも工事番号でつながりますが、片方だけでは工事の収支は見えません。
ここで基準になるのが実行予算です。実行予算は、着工前に材料費・労務費・外注費・経費などを工事別に見積もる原価計画です。まだ作り方が固まっていない場合は、先に建設業における実行予算の解説で、見積金額と実行予算の役割を分けておくと整理しやすくなります。
発注管理の役割は、この予定原価を「使った後に集計する数字」ではなく、「使う約束をした時点から追う数字」に変えることです。例えば外注費の予算が100万円で、70万円を発注したなら、請求書がまだ来ていなくても、残り予算が30万円だと分かる状態をつくります。

台帳を作る前に、情報の流れを一本にしておくことが大切です。入力する場所が複数あっても、各段階を同じ工事番号と費目で結べれば、後から追えます。
最初に、実行予算のうち発注管理で追う範囲を決めます。外注費、材料費、リース費、運搬費など、取引先へ発注・支払する費目が中心です。自社職人の人工や共通経費まで一枚の発注台帳に詰め込む必要はありません。別の原価管理表で追うなら、工事番号と費目の名前だけをそろえます。
例えば「KJ-0123/内装工事/軽量下地工事/外注費」のように、工事・工種・費目を分けておくと、同じ協力会社に複数の工事を頼んでも混ざりにくくなります。ここが曖昧だと、後で請求書だけを見ても、どの予算と比べるのか決められません。
口頭やLINEで依頼した場合も、社内台帳には発注日、取引先、内容、金額、担当者、予定納品日を残します。注文書を作るかどうかとは別に、社内で「この金額を使う約束をした」と把握するためです。
この段階の金額は、請求額や支払額と一致しないことがあります。数量の変更、追加工事、値引き、運搬費の後計上などがあるためです。だからこそ、発注額だけで実績を上書きせず、発注額・請求額・支払額を別の欄に持たせます。
建設工事の契約書面は、発注管理表とは役割が異なります。取引条件や契約方式の確認が必要な場合は、国土交通省の発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版・令和8年1月)を参照し、個別の書面は社内の責任者や専門家にも確認してください。本記事の台帳は社内の原価確認用であり、契約書面の代わりになるものではありません。
注文書・注文請書・工事請負契約書のテンプレートや、発注台帳のダウンロード先を探している場合は、建設業の注文書・注文請書・工事請負契約書テンプレート一式をご覧ください。
材料なら納品書、外注工事なら出来高や完了の確認をもとに、納品日または確認日を入れます。ここで重要なのは、届いていないものを空欄のまま埋もれさせないことです。「未納」「一部納品」「確認待ち」など、状態を選べるようにすると、現場担当者に確認する対象が見えます。
発注額の合計だけを見ていると、まだ届いていない資材と、現場で使い切った資材が同じように見えます。納品・出来高の状態を分けると、工程遅れの兆しと、原価の見込みを一緒に確認できます。
請求書が届いたら、工事番号、費目、発注番号または台帳の行番号を確認して入力します。請求額が発注額と違うときは、差額を消さずに理由を残します。追加分なのか、数量変更なのか、別工事が混ざったのかを一言で記録しておくと、次の月に同じ確認を繰り返さずに済みます。
所得税・法人税に係る保存義務者が、電子メールやクラウドサービスで注文書・請求書などの取引情報を授受した場合は、一定の要件の下で電磁的記録の保存が求められます(出典:国税庁「電子帳簿保存法の概要」)。台帳への転記だけで電子取引の原データの保存に代えるものとして扱わず、個社の保存方法は税理士などにも確認してください。
請求額を確認したら、締め日、支払予定日、支払方法、支払予定額を並べます。ここを経理だけの一覧にせず、工事別の台帳にも返しておくと、「今月の支払い」と「どの現場の原価か」を往復しやすくなります。
協力会社ごとに支払条件が異なる場合は、取引先マスタや別表で条件を一元化し、発注時に参照できるようにします。現場が急いで頼んだ後に条件を探す運用では、資金繰りの見通しがずれやすいためです。
支払後は支払日と実績額を入れ、未払いの請求が残っていないかを確認します。そのうえで、費目ごとに「予定原価-発注累計」「発注累計-請求累計」「請求累計-支払累計」を見ます。
すべての差額が悪いわけではありません。発注残は、未納・未請求の予定原価を示すことがあります。一方で、予定原価より発注累計が大きいなら、追加発注か予算設定の見直しが必要です。月末に数字を合わせることが目的ではなく、工事が終わる前に次の手を決めることが目的です。
発注台帳は、見た目を凝るよりも、一行が何を表すかを固定することが重要です。おすすめは「1発注・1工事番号・1費目」を一行にする形です。1枚の注文書に複数の費目がある場合は、予算と比較したい単位で行を分けます。
グループ | 主な項目 | 何のために入れるか |
|---|---|---|
工事を特定する項目 | 工事番号、工事名、 | 別工事や別費目との混在を防ぐ |
発注内容 | 発注日、取引先、内容、数量、 | 約束した原価と依頼内容を残す |
予定との比較 | 予定原価、発注累計、残予算、消化率 | 予算を使い切る前に気付く |
納品・請求 | 納品・確認日、状態、 | 未納・未請求・金額差を追う |
支払 | 締め日、支払予定日、 | 資金繰りと未払いを確認する |

少人数の会社ほど、金額欄を一つにすると入力が早く見えます。しかし発注額を請求額で上書きすると、「まだ請求されていない発注」が見えなくなります。請求額を支払額で上書きすると、支払予定と実績の違いも追えません。
最低限、発注額・請求額・支払額の三つを分けます。差額が出たら、金額を合わせる前に原因を確認します。請求書に別工事が混在しているなら分ける、追加発注なら新しい行を足す、値引きなら理由を残す、といった順番です。
現場では「駅前」、事務では「駅前ビル改修」、請求書では「○○ビル」と呼んでいると、Excelの集計は簡単に崩れます。工事番号を共通の鍵にして、工事名の表記ゆれは二次的な問題にする方が安全です。
費目も、見積・実行予算・発注台帳で完全に同じ細かさにする必要はありません。ただし、比較する単位だけはそろえます。例えば実行予算が「内装工事/外注費」なら、発注台帳を「軽量」「ボード」「クロス」と細かくしても、上位の「内装工事/外注費」に集計できるように決めておきます。
電話やLINEで頼む小口の材料、急な応援などは、注文書の番号がないこともあります。その場合は、台帳側で「KJ-0123-OUT-03」のような社内用の発注番号を付けます。請求書、納品書、写真、やり取りのメモにその番号を添えるだけでも、後から同じ工事・同じ費目の発注と結び付けやすくなります。
これは契約書面の番号や法定の様式を決めるものではなく、社内で探し直す時間を減らすための管理番号です。番号を振る担当と規則を一つに決め、追加発注は枝番を付けるなど、現場と事務が同じ扱いにすると続けやすくなります。
台帳を作っても、請求書が届いたときだけ入力する運用では、予定原価を守る役には立ちません。現場・事務・経営者が全部同じ画面を長時間見る必要はありませんが、確認のタイミングは分けた方が続きます。
急な材料手配や職人の応援を頼んだら、当日中に工事番号、費目、取引先、概算でもよいので発注額、担当者を残します。請求書を待たないのがポイントです。金額が未確定なら「概算」「単価確認待ち」と状態を付け、確定額と区別します。
週に一度、工事担当者が「未納」「確認待ち」「予定原価を超えそうな費目」だけを見る時間を作ります。全明細を読み上げる必要はありません。今週の工程に影響する未納と、追加発注の判断が必要な行に絞ると、10分程度でも実行しやすくなります。
月末は、届いた請求書を工事別に振り分け、支払予定と未払を確認します。その後に、予定原価・発注累計・請求累計・支払累計を比べます。工事全体の予算と実績を比較する考え方は、建設業における予実管理の解説も参考になります。
月次確認で残予算が大きく残っていても、すぐに利益が増えたと判断しないでください。未発注の工程、未請求の外注、未着の材料が残っていることがあります。残工事に必要な原価を現場から聞き、発注残も含めて見込むことで、完工前の粗利を現実に近づけられます。

発注額と請求額が違うとき、先に台帳の数字だけを請求額へ直すと、なぜ差が出たのかが消えてしまいます。差額が出た行は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
差額をゼロにすることではなく、差額の理由と次の判断を見えるようにすることが発注管理の役目です。月次の予実確認で初めて理由を探すのではなく、発注行に短いメモを残しておくと、引き継ぎでも内容を追えます。
この運用では、請求書が来るまで予定原価の消化が見えません。外注工事では請求が翌月以降になることもあり、工事が進んでから予算超過に気付くことがあります。
直し方は、依頼した日に発注額を仮でも入れることです。請求額が確定したら別欄に入れ、差額の理由を残します。仮の数字を嫌って何も入力しないより、状態付きの概算を残す方が、現場に確認するべきことが明確になります。
工事別の発注合計だけでは、「材料が膨らんだのか、外注費が膨らんだのか」が分かりません。対策が値引き交渉なのか、工程・仕様の見直しなのかも決めにくくなります。
直し方は、まず外注費・材料費・リース費など、今の実行予算で比較している単位だけに費目を分けることです。細かくしすぎて入力が止まるなら、費目の数を減らします。重要なのは、差異が出たときに担当者が次の行動を決められる粒度です。
経理の支払一覧は正しくても、現場側で「どの工事の何の請求か」が追えないと、請求額の確認が遅れます。反対に現場だけで発注を見ていると、月内の支払予定が見えません。
直し方は、支払予定日と支払状態を工事別台帳にも持たせることです。会計ソフトへ二重入力する必要があるかは会社の仕組みによりますが、少なくとも工事番号で照合できる状態にします。資金繰りと工事原価を別の話にしないことが大切です。
Excelの発注台帳は、工事数や取引先数がまだ限られている段階なら、運用の型を作るのに役立ちます。ただし、同じ発注を注文書、台帳、請求書、会計ソフトへ何度も転記する状態になると、入力の手間よりも、数字がずれるリスクの方が大きくなります。
次のような状態なら、集計の方法を見直すタイミングです。
見積・予算・発注・請求・支払を同じ工事番号でつなげる仕組みを使うと、転記の回数を減らし、確認に時間を使いやすくなります。例えばコンクルーAIのように電子受発注から請求書受領、支払管理までを案件単位で扱える仕組みは、Excelの運用が回らなくなった後の選択肢の一つです。導入の前に、まず今の台帳で「誰が、いつ、どの数字を確定するか」を決めておくと、仕組みを変えても運用がぶれにくくなります。
建設業の発注管理は、協力会社や材料店へ頼んだ内容を残すだけの仕事ではありません。予定原価に対して、どれだけ発注し、何が納品され、いくら請求され、いつ支払うのかを工事別に追うことで、完工前に利益の変化へ気付くための仕組みです。
いきなり細かい表を作る必要はありません。まずは進行中の1工事で、工事番号・費目・予定原価・発注額・請求額・支払予定日の六つを並べてみてください。月末に慌てて過去を探すより、次の発注を判断するための台帳に変わっていきます。