元請から法定福利費を内訳明示した見積書を求められた下請の社長へ。健康保険・厚生年金・雇用保険の会社負担分の計算方法と、見積書のどこに書くかをやさしく解説します。労務費を入れるだけで金額が出る無料エクセルツール(登録不要)も配布中です。
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コンクルーAI
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーAIひとつで完結

元請から「見積書に法定福利費を内訳明示して出し直してほしい」と言われて、手が止まっていませんか。健康保険、厚生年金、雇用保険……と料率を調べ始めたものの、率は毎年のように変わるし、健康保険は都道府県で違う。どれが会社負担分なのか、労務費のいくらに掛けるのか、見積書のどの行に書けばいいのかが分からず、結局は前回の見積を数字だけ変えて使い回している——。町場で下請の仕事もしている会社なら、心当たりがあるのではないでしょうか。
そこでコンクルーBaseでは、労務費を入れるだけで見積書に書く法定福利費の金額が出る計算ツール(Excel)を作りました。ダウンロードは無料、メールアドレスの登録もいりません。まずはこれで、内訳明示の見積を今日から出せるようにしていきましょう。
細かい説明は後回しにして、先に配布します。ダウンロードしてExcelで開けば、そのまま使えます。
建設業の法定福利費 計算エクセルテンプレート(無料・登録不要)
法定福利費計算シート+見積書転記例シート+設定シートの3点セット。
労務費を入れるだけで、保険別の会社負担額と合計を自動で計算します。
ファイル形式:Excel(.xlsx)/マクロなし・関数のみで安全に使えます
【免責事項】
本フォーマットは、ユーザー様の自己責任においてご利用ください。内容の正確性について当社は保証するものではございません。万一、本フォーマットの使用により損害やトラブルが発生した場合も、当社は一切の責任を負いかねます。
このツールでできることは、大きく3つです。
法定福利費とは、ざっくり言うと法令に基づいて会社が義務として負担する社会保険料のことです。国土交通省の資料でも「法令に基づき企業が義務的に負担しなければならない社会保険料」と定義されています。従業員の給料から天引きする本人負担分ではなく、あくまで会社が上乗せで払う事業主負担分を指す、という点がポイントです。
建設業の下請見積で内訳明示の対象になるのは、原則として次の3つの保険の、現場労働者(技能労働者)の事業主負担分です。
労災保険は、この3つには含めません。労災保険は元請が現場全体をまとめて加入する(一括加入)ため、下請が見積書に内訳明示する法定福利費には通常入れないのが原則です(出典:国土交通省「法定福利費を内訳明示した見積書」について)。
ではなぜ、わざわざ見積書に法定福利費を「内訳明示」するよう求められるのでしょうか。背景にあるのは、建設業で長く課題になってきた社会保険の未加入対策です。保険料は本来かかる費用なのに、見積の中に埋もれていると値引きの対象にされやすく、「保険に入る原資が確保できない」という悪循環が起きていました。そこで、社会保険への加入原資となる法定福利費をきちんと確保するため、各専門工事業団体が標準見積書を作成し、下請から元請への提出が平成25年9月末から一斉に始まりました(出典:国土交通省 標準見積書の一覧)。つまり内訳明示は、下請の会社が保険料をきちんと受け取るための仕組み、というわけです。なお、2026年からは労務費の「相場」の側にも標準労務費という新しい目安ができており、見積のお金まわりのルールは少しずつ「原資をきちんと確保する」方向に動いています。

法定福利費の計算は、思っているよりシンプルです。国交省が示す基本の算出方法は、次の一本の式です。
法定福利費 = 労務費総額 × 法定保険料率(事業主負担分の合計)
ここでの「労務費」は、実際に払った給料そのものではなく、見積上の労務費相当額を指します。実際の社会保険料は「標準報酬月額」をもとに計算されるため、この式はあくまで見積で保険料の原資を確保するための概算で、実際の納付額と一円単位まで一致するわけではありません。そこは割り切って、見積を作るための物差しとして使います。
掛け合わせる料率は、先ほどの3保険の事業主負担分を足したものです。参考までに、東京都・令和8年度の場合の事業主負担分をまとめると、次のようになります。
保険の種類 | 事業主負担分の率(東京都・令和8年度の例) |
|---|---|
健康保険料 | 4.925%(全額9.85%の労使折半) |
介護保険料(40〜64歳が対象) | 0.81%(全額1.62%の労使折半) |
厚生年金保険料 | 9.15%(全額18.3%の労使折半) |
子ども・子育て拠出金 | 0.36%(会社が全額負担) |
雇用保険料(建設の事業) | 1.05% |
合計 | 約15.5%(介護保険を除く4項目の計。介護保険対象者を含める場合は約16.3%) |
この率は年度と都道府県によって変わります。上の表は、健康保険・介護保険を協会けんぽ東京支部の令和8年3月分〜の保険料額表から、厚生年金・子ども子育て拠出金を日本年金機構の料率から、雇用保険(建設の事業)を厚生労働省の令和8年度の案内から取ったものです(出典:全国健康保険協会 東京支部 保険料額表、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」、日本年金機構 厚生年金保険料率)。他の都道府県や翌年度に使うときは、最新の一次ソースで率を確認するようにしてください。ツールでは、この率を設定シートにまとめてあり、そこだけ書き換えれば計算全体が切り替わります。
ためしに架空の例で計算してみます。内装工事で職人2人が10日ほど入り、見積上の労務費相当額を40万円とした場合、東京都・令和8年度・介護保険対象者なしの合計率15.485%を掛けると、法定福利費はおよそ6万2千円になります(40万円×15.485%=61,940円/これはあくまで架空の計算例です)。この6万2千円を、見積書の「法定福利費」の行に書く、というイメージです。
数字を扱ううえで、つまずきやすいところが3つあります。

ダウンロードする前に、どんな中身か写真で確認しておきましょう。全部で3枚のシートに分かれています。
このツールの本体です。黄色いセルに労務費相当額を入れるだけで、健康保険・厚生年金・雇用保険それぞれの事業主負担額と、その合計が自動で並びます。掛ける料率はすべて設定シートを参照しているので、シートの中に数字を直接打ち込む必要はありません。介護保険対象者を含めるかどうかも、切り替えられるようにしてあります。

計算した金額を、見積書のどこにどう書けばいいのかを示したサンプルです。工事の内訳の下に「法定福利費」の1行を立て、そこに計算シートで出た合計を転記する、という形にしてあります。「金額は出せたけれど、見積書のどの行に入れるのが正しいのか分からない」という迷いを、実物で確認できます。見積書そのものの基本構成をおさらいしたい方は、内装工事の見積書の書き方やリフォーム会社の見積書の書き方もあわせてご覧ください。

健康保険・介護保険・厚生年金・子ども子育て拠出金・雇用保険の料率を、ここ1か所にまとめてあります。「何年度の率か」を目立つ位置に明記しているので、来年更新するときも迷いません。都道府県で違う健康保険料率も、この設定シートで自社の率に書き換えられます。率が変わったら、ここだけ直せば計算シートも転記例も自動で切り替わる仕組みです。

難しい設定はありません。次の順番でそのまま使えます。
入力するのは数項目だけなので、慣れれば見積のたびに料率を調べ直す手間がなくなります。人工(にんく)や労務費の考え方そのものを整理したい場合は、人工代の請求書の書き方も参考になります。
法定福利費まわりで、見落としがちなポイントをまとめておきます。
このツールで、内訳明示の見積はぐっと作りやすくなります。とはいえ、エクセルには限界もあります。使い込むほど、こんな場面が出てくるはずです。
こうした「見積のたびの手計算と転記」を丸ごとラクにするために作ったのが、建設業向けの業務管理クラウド「コンクルーAI」です。従業員数名の会社や一人親方の方でも、1名から使えます。見積を作れば、その内容がそのまま原価管理や請求につながっていくので、転記の手間やファイル探しが減っていきます。

「まずはこのツールで内訳明示の見積に慣れる → 手作業がしんどくなってきたらクラウドに移す」。この順番で十分です。今日はまず、無料のツールから始めてみてください。
不要です。記事冒頭のダウンロードボタンから、そのままダウンロードできます。「無料と書いてあるのに、結局アドレスを求められる」ということはありません。
マクロは使っていません。Excelの関数だけで計算しているので、「コンテンツの有効化」を求められることもなく、安心して使えます。
はい。自社の見積作業に、率やサンプルを書き換えて自由にお使いください(テンプレートそのものの再配布・販売はご遠慮ください)。
設定シートの料率を書き換えるだけで、計算シートと転記例に自動で反映されます。雇用保険(建設の事業)は令和8年度に引き下げられるなど、率は年度ごとに動きます。毎年度、協会けんぽ・厚生労働省・日本年金機構の最新の一次ソースで確認してから更新してください。
2026年4月分の保険料から、健康保険料と合わせて子ども・子育て支援金の徴収が始まりました。これは、上の料率表にある「子ども・子育て拠出金」(厚生年金に含まれる既存の制度)とは別の、健康保険に付随する新しい制度です。ただし、国交省の見積書作成手順はこの制度の新設前に作られており、内訳明示に含めるべきかを示した公式情報は本記事の執筆時点で確認できていません。含める・含めないは断定できないため、元請との合意や最新の公式情報を確認したうえで判断してください。ツールの設定シートには、必要に応じて項目を足せる余地を残しています。
法定福利費の内訳明示は、下請の会社が保険料の原資をきちんと受け取るための仕組みです。計算そのものは「労務費 × 事業主負担分の料率」というシンプルな式ですが、率が年度と都道府県で変わるところが厄介で、毎回調べ直すのは大きな手間になります。
今回の無料ツールは、労務費を入れれば見積書に書く金額が出るところまでを、登録なしですぐ使えるようにしました。料率は設定シートで一元管理できるので、来年以降も更新しながら使い続けられます。まずはダウンロードして、次の1件から試してみてください。
建設業の法定福利費 計算エクセルテンプレート(無料・登録不要)
法定福利費計算シート+見積書転記例シート+設定シートの3点セット。
労務費を入れるだけで、保険別の会社負担額と合計を自動で計算します。
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