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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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見積は見積ソフト、顧客はExcel、現場はLINE——案件の情報がバラバラで、引き合いから受注・アフターまで追い切れていませんか。1件の案件と顧客を1本の線でまとめる「案件管理システム」の選び方と、主要6製品の特徴、無理なく始める導入のコツをまとめました。
AI搭載
コンクルーAI
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーAIひとつで完結


「あの現場、今どうなってる?」——事務所でこの一言が飛び交うたびに、誰かが手を止めて資料を探しにいく。見積は見積ソフト、お客さんの連絡先はExcel、現場のやり取りはLINE。バラバラの場所に情報が散らばっていて、1件の案件を引き合いから見積、受注、工事、請求、アフターまで通しで追えていない。そんな状態に、身に覚えがありますよね。
この記事では、建設業の「案件管理システム」を、1件の案件と、その裏にあるお客さんの情報を、1本の線でつないで追いかけるという視点でまとめました。工事の写真や工程表そのものより、引き合い〜見積〜受注〜工事〜請求〜追客・アフターという営業と事務の流れをどう1つにまとめるか、に重心を置いています。
なお、業務管理ツール全体をタイプ別に見比べたい方は「建設業の業務管理ツールおすすめまとめ」の記事を、見積作成だけを深掘りしたい方は「見積ソフト比較」の記事をあわせてどうぞ。ここでは案件と顧客の管理という切り口に絞ってお話しします。
案件管理システムとは、ひとことで言えば「1件の仕事を、引き合いから見積・受注・工事・請求・アフターまで、ひとつながりで管理する仕組み」です。そしてその案件には、たいていお客さん(注文者)がひもづいています。だから案件管理は、実は「顧客管理」とセットで考えるものなんです。
ここで、よく混同される言葉を整理しておきますね。
施工管理は「工事が始まってから」の話が中心で、工事管理は原価や予算といった1つの工事の中身に目を向けるものです。一方、案件管理は「まだ受注していない引き合いの段階」から「工事が終わったあとの追客・点検」までを含みます。見積を出したけど返事がない案件、去年やったお客さんへの定期点検の案内——こうした営業の前と後の情報こそ、案件管理システムが得意とする部分です。
町場の会社だと、この線がいちばん切れやすいんですよね。見積を出すところまでは見積ソフトでやっても、受注した瞬間に情報がExcelや紙の台帳に移し替えられ、工事が終われば請求書を作って終わり。お客さんの履歴は担当者の頭の中、というパターンです。案件管理システムは、この分断をなくして1件を最後まで追い切ることを狙った道具だと考えてください。
情報が分散していると、地味に、でも確実に効いてくる困りごとが積み重なります。よくあるのはこのあたりですよね。
そして、これは単なる効率の問題だけでは済まなくなってきています。制度の面からも、案件にひもづく情報を1か所にまとめておく必然性が高まっているんです。
まず、建設業には帳簿の備付け・保存義務があります。建設業者は営業所ごとに、請負契約・注文者・下請契約などを記録した帳簿を備え、5年間(発注者から直接請け負った新築住宅の工事は10年間)保存しなければなりません。この帳簿は電子データでの保存も認められています(出典:国土交通省 建設業法令遵守ガイドライン)。案件ごとに契約・顧客・請求の情報がシステムにまとまっていれば、この保存もぐっと楽になります。
次に、電子帳簿保存法。メールに添付されたPDFの見積書・請求書など、電子でやり取りした取引データは、2024年1月から電子のまま保存することが義務化されました。紙に印刷して保存するだけでは要件を満たしません。ただし基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者は検索機能の確保が不要になるなど、小規模な会社向けの緩和もあります(出典:国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト)。案件にひもづけて見積・請求のPDFを残せる仕組みがあると、この対応がそのまま日々の業務の中でこなせます。
さらに、いわゆる2024年問題。建設業にも時間外労働の上限規制が2024年4月から適用され、原則として月45時間・年360時間が上限です(出典:厚生労働省 建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制)。転記や二重入力といった事務作業を減らすことは、残業を削る現実的な一手になります。案件情報を1本化するのは、まさにここに効いてきます。
製品を見比べる前に、自社にとって何が大事かの軸を決めておくと迷いません。案件と顧客という切り口では、次の4つを見ておくと外しにくいです。
いちばん大事な軸です。1件の案件に、顧客情報・見積・原価・請求・過去のやり取りの履歴がひもづくか。見積だけ、請求だけ、といった単機能ではなく、1件を最後まで通しで見られる設計になっているかを確認しましょう。
一人親方から数十名まで、規模によって必要な機能もコストも変わります。月額制なのか、アカウント(人数)ごとの課金なのか、初期費用がいくらかかるのか。料金を公開している製品と、要問い合わせの製品があるので、そこも含めて見ておきます。
案件情報は事務所のPCだけでなく、現場のスマホからも入力・確認できると一気に使い勝手が上がります。職人さんや協力会社の方が触る場面があるなら、スマホ対応や入力のしやすさは大切です。
今使っているExcelの顧客リストを取り込めるか、会計ソフトとデータをやり取りできるか。乗り換えのハードルはここで大きく変わります。無理なく今のやり方から移せるかを見ておきましょう。
ここからは、案件と顧客の一元管理に使える代表的なシステムを、順位はつけず同じ目線で紹介します(掲載は五十音順)。各社で重心が少しずつ違うので、上の選び方の軸と照らし合わせながら、自社に近いものを探してみてください。

株式会社アイピアが提供する、建築業(リフォーム・工務店)向けのクラウド管理システムです。顧客・案件・見積・原価・発注・請求・入金・工程・物件までを一元管理でき、AI機能もベータ版で順次提供されています。料金はライトプランの初期費用120,000円〜(上位プランは要問い合わせ)。引き合いから入金、物件情報まで幅広く1つにまとめたいリフォーム会社・工務店に合います。

エニワン株式会社(ナカザワホールディングスグループ)が提供する、工務店向けの基幹システムです。顧客管理、工事・施工管理、見積もり・実行予算・発注管理、入出金管理、定期点検やDM配信までのアフター管理を一通りカバーします。Excelライクな操作感とExcel帳票の出力に対応しているのも特徴です。料金はワンプラン制で要問い合わせ。導入企業4,300社超・ユーザー数16,000超・継続率92%(公式)。Excelの使い勝手を残しつつ基幹業務をまとめたい会社向けです。

クラフトバンク株式会社が提供する、専門工事会社向けの経営管理システムです。「利益が見える、残る経営へ変える」を掲げ、案件・顧客管理、ホワイトボード式のスケジュール、工事日報・写真文書管理、見積・請求作成と原価管理、打刻・勤怠集計などを備えます。職人さんの入力をLINEが通知するLINE連携も特徴です。料金は個別見積で要問い合わせ。正式リリース時点で39都道府県の工事会社が利用し、3,000人超の職人フィードバックをもとに開発されました。職人を自社で抱え、原価や利益まで見たい専門工事会社に向いています。

株式会社CONOCが提供する、「工務店が現場目線で作った」をうたう建設業特化のクラウドです。見積書・請求書・発注書の作成、工事台帳や原価・売上管理、工程表・日報、電子帳簿保存法に対応したストレージ、OCRを使ったAI見積もりなどを備えます。料金は月額9,800円〜(初期費用は要問い合わせ)、導入企業は777社を突破(公式)。AIエージェント16種を2026年度内に投入予定と発表しています。現場目線の使い勝手と電帳法対応を重視する会社に向いています。

株式会社コンクルーが提供する、建設業向けのオールインワン業務管理クラウドです。見積・原価・工程・請求などを1つにまとめ、見積AI・転記AI・工程表AI・案件入力AIといったAIエージェントで入力の手間を減らせるのが特徴です。1名から使えて標準機能は手頃な価格帯、累計導入は3,000社(公式)。14日間の無料トライアルがあります。案件の入力をAIに任せて事務の手間を軽くしたい会社に向いています。

株式会社プレックスが提供する、「サクッと現場管理」がコンセプトのオールインワン型サービスです。顧客管理・案件管理・写真管理・見積管理・実行予算・原価管理・請求管理・工事台帳・出面管理などをクラウドで一元化できます。料金は月額9,800円〜(税抜)で初期費用0円、30アカウントまで込み(追加は1アカウント月額100円)。2ヶ月間の無料トライアルがあり、導入社数は3,000社以上(公式)。まず低コストで案件と顧客をまとめて試したい会社に合います。
主な違いを一覧にまとめると、次のようになります(料金・実績は各社の公式表記にもとづきます。仕様は変わることがあるので、最新は各社サイトでご確認ください)。
製品名 | 提供会社 | 料金の目安 | 無料トライアル | こんな会社に |
|---|---|---|---|---|
アイピア | 株式会社アイピア | ライトプラン初期費用120,000円〜 | 要問い合わせ | リフォーム・工務店で顧客〜入金〜物件まで一元化したい |
エニワン | エニワン株式会社 | 要問い合わせ(ワンプラン制) | 要問い合わせ | Excelの操作感を保ちつつ基幹業務をまとめたい工務店 |
クラフトバンクオフィス | クラフトバンク株式会社 | 要問い合わせ(個別見積) | 要問い合わせ | 職人を自社で抱え、原価・ |
コノック | 株式会社CONOC | 月額9,800円〜(初期費用は要問い合わせ) | 要問い合わせ | 現場目線の使い勝手と電帳法対応を重視したい |
コンクルーAI | 株式会社コンクルー | 1名から利用可・標準機能は手頃 | 14日間 | 見積〜原価〜工程〜請求を1つにまとめ、 |
サクミル | 株式会社プレックス | 月額9,800円〜(税抜・ | 2ヶ月間 | まず低コストで案件・顧客・見積・請求をまとめたい |
案件管理システムは、いきなり全部を切り替えようとすると現場が混乱しがちです。うまくいっている会社ほど、小さく始めて広げています。おすすめの進め方はこんな流れです。
特に、無料トライアルやデモが用意されている製品なら、契約前に自社の1案件を通して試せます。カタログの機能一覧を眺めるより、1件を最後まで入れてみるほうが、合う・合わないははっきりわかりますよ。
ダメというわけではありません。案件数が少ないうちはExcelでも十分回ります。ただ、件数が増えると「最新はどのファイル?」「誰かが上書きした」といった問題が出やすく、見積・請求・顧客が別々のファイルに分かれて二重入力も増えがちです。1件を通しで追いたい、複数人で同時に見たい、となってきたら専用システムを検討するタイミングです。
規模が小さいほど、事務にかけられる時間も限られますよね。だからこそ、見積・請求・お客さんの履歴を1か所にまとめておく効果は大きいです。1名から使える製品や、低コストで始められる製品もあるので、まずは無料トライアルで負担にならないか試してみるのがよいと思います。
見積ソフトは見積作成、会計ソフトは経理が主役です。案件管理システムは、その手前の1件の案件を軸に、見積も請求も顧客履歴もひとつながりで持つのが役割です。会計ソフトと連携できる製品も多く、案件側で作った請求データを経理に渡す、といった使い方ができます。すべてを1つで完結させたいのか、既存ソフトと連携させたいのかで選び方が変わります。
建設業の案件管理システムを選ぶときの物差しは、シンプルに「案件と顧客を、引き合いからアフターまで1本で追えているか」です。そのうえで、自社の規模と料金、現場からも入力できるか、今のExcelや会計ソフトと連携・移行しやすいか、を重ねて見ていくと、自社に合うものが絞れてきます。
今回紹介した製品は、それぞれ得意な重心が少しずつ違います。迷ったら、無料トライアルやデモで自社の1案件だけを実際に通してみてください。機能表を見比べるより、その1回のほうが、自社に合うかどうかをずっと確かに教えてくれます。まずは小さく試すところから始めてみましょう。