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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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一人親方として独立すると、「確定申告はいつから必要?」などと悩む方も多いのではないでしょうか。 確定申告を正しく行わないと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されるだけでなく、融資や事業手続きに影響する可能性もあります。一方で、青色申告や必要経費、各種控除を適切に活用すれば、税負担を軽減できるケースも少なくありません。 本記事では、一人親方に確定申告が必要となる条件をはじめ、青色申告と白色申告について、必要書類、申告の流れ、注意点まで分かりやすく解説します。
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一人親方の確定申告の必要性について、詳しく解説します。
一人親方とは、主に建設業において、施主や建設会社から仕事を請け負い、自ら施工を行う事業者を指します。一般的には労働者を常時雇用せず、請負契約などに基づいて独立して働く点が特徴です。
税務上、一人親方の多くは個人事業主として事業を営んでいます。そのため、一定の所得がある場合は、個人事業主として確定申告を行う必要があります。
一人親方は、個人で事業を営むため、会社員のように勤務先で年末調整が行われません。そのため、自ら1年間の所得を計算し、税額を申告・納税する必要があります。
確定申告が必要かどうかは、収入ではなく所得で判断されます。収入とは工事代金など1年間で得た売上金額です。一方、所得とは収入から材料費や外注費、交通費などの必要経費を差し引いた金額を指します。
所得税には「基礎控除」という制度があります。基礎控除とは、所得税を計算する際に、一定額を所得から差し引ける所得控除の1つです。2025年度の税制改正により、2025年分・2026年分の所得税では、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除額が、それまでの48万円から95万円へ引き上げられました。
所得から基礎控除などの所得控除を差し引いた金額を「課税所得」といい、この課税所得を基に所得税額が計算されます。そのため、年間の所得が95万円以下であれば、基礎控除によって課税所得が0円となるため、原則として所得税の確定申告は不要です。
一人親方が確定申告するメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
確定申告を行うことで、さまざまな税制上の優遇措置を受けられる場合があります。
特に青色申告を選択すると、一定の要件を満たすことで最大65万円の青色申告特別控除を適用できます。また、事業で赤字が発生した場合は損失を最大3年間繰り越せる他、生計を一にする家族へ支払う給与を一定の要件の下で必要経費として計上することも可能です。
さらに、事業に必要な支出を経費として計上することで、課税対象となる所得を抑えられます。適切に確定申告を行うことは、税負担の軽減につながる重要なポイントです。
確定申告を行うためには、日々の売り上げや経費を帳簿へ記録し、1年間の収支を整理する必要があります。
帳簿を継続して管理することで、どの工事で利益が出ているのか、どのような費用が多く発生しているのかを把握できます。収支を数値で確認できるようになれば、経費の見直しや資金繰りの改善にも役立ちます。
また、経営状況を正確に把握できることは、今後の設備投資や事業計画を検討する際の判断材料にもなります。確定申告は税務手続きだけではなく、事業を継続・成長させるための重要な経営管理にもつながる点がメリットです。
一人親方が確定申告しないリスクは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
確定申告が必要なにもかかわらず申告を行わないと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。
また、申告内容が実際より少なかった場合には過少申告加算税、所得を意図的に隠すなど悪質なケースでは重加算税の対象となることもあります。
さらに、故意に所得を隠して納税を免れた場合は、脱税として刑事罰の対象になる可能性もあります。不要な負担やトラブルを避けるためにも、期限内に正しく確定申告を行うことが大切です。
確定申告を行っていないと、事業の信用や各種手続きにも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、金融機関から融資を受ける際には、確定申告書や納税証明書の提出を求められることが一般的です。また、新規の取引先によっては、契約時に収入や所得を証明する書類の提出を求められるケースもあります。
確定申告を行っていないと必要書類を準備できず、許可手続きの遅れや受注機会の損失につながる恐れもあるため注意が必要です。
一人親方が行う確定申告の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
青色申告は、一定の要件を満たすことで税制上の優遇措置を受けられる申告方法です。利用するには、あらかじめ税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
青色申告の大きなメリットは、青色申告特別控除を受けられることです。控除額は要件によって異なり、複式簿記による記帳や期限内申告、e-Taxによる電子申告などの要件を満たすことで、最大65万円の控除を受けられます。また、赤字を翌年以降へ繰り越せるほか、一定の要件を満たせば、生計を一にする家族へ支払う給与を必要経費として計上できます。
一方で、白色申告よりも帳簿作成の負担は大きいです。しかし、近年は会計ソフトを利用することで、簿記の知識がなくても帳簿作成や確定申告を進められます。継続して事業を営む一人親方であれば、節税効果の高い青色申告を選択するメリットは大きいでしょう。
白色申告は、青色申告よりも手続きがシンプルな申告方法です。事前に青色申告承認申請書を提出する必要がないため、開業したばかりの方でも始めやすい点が特徴です。
一方で、青色申告特別控除や赤字の繰越控除などの税制上の優遇措置は利用できません。また、2014年以降は白色申告でも帳簿の作成・保存が義務付けられているため、「記帳をしなくてもよい」というわけではありません。
白色申告は、青色申告と比べて申告手続きや帳簿管理の要件が少ない点がメリットです。ただし、節税面では青色申告の方が有利なため、継続して事業を営む一人親方は、青色申告を選択するケースが一般的です。
確定申告の必要書類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
確定申告書とは、1年間の所得や所得税額などを税務署へ申告するための書類です。
事業所得や各種所得控除、納付または還付される税額などを記載し、所得税額を確定させます。
一人親方が確定申告を行う場合は、事業所得や必要経費などを記載した上で提出します。青色申告・白色申告のいずれの場合も提出が必要となるため、確定申告の中心となる書類といえるでしょう。
事業所得を申告する際は、申告方法に応じた決算書類を作成します。
青色申告では「青色申告決算書」、白色申告では「収支内訳書」を作成し、売上や必要経費、事業所得などを記載します。
これらの書類は、確定申告書とあわせて提出する必要があります。
確定申告書を正しく作成するためには、1年間の取引内容が確認できる資料を準備します。
具体的には、請求書や領収書、売上台帳、通帳、レシートなどが該当します。
これらの書類は原則として提出する必要はありませんが、税務調査などで提示を求められる場合があるため、適切に保存しておくことが大切です。
所得控除を受ける場合は、支払額を証明できる書類が必要です。
例えば、国民年金保険料の控除証明書や国民健康保険料の支払額が分かる書類、生命保険料控除証明書、医療費控除を受ける場合の医療費の明細書などが該当します。
利用する控除に応じて必要書類を準備しましょう。
確定申告では、申告書以外にも準備しておくと手続きがスムーズになるものがあります。
例えば、マイナンバーカードや本人確認書類、還付金の振込先となる金融機関の口座情報などが必要です。また、減価償却資産がある場合は固定資産台帳を作成しておく必要があります。
さらに、青色申告では総勘定元帳や仕訳帳など、白色申告では法定帳簿などの保存が義務付けられています。これらは通常提出する書類ではありませんが、税務調査に備えて適切に保存しておきましょう。
一人親方が確定申告を行う手順は、次のとおりです。
それぞれのフローを解説します。
まずは、確定申告に必要な書類をそろえます。
前述のとおり、確定申告書や青色申告決算書または収支内訳書の他、売り上げや経費を確認できる帳簿・領収書、各種控除の証明書などが必要です。
不足している書類があると申告書を正しく作成できないため、早めに確認しておくことが大切です。
必要書類がそろったら、1年間の収支を基に所得金額を計算します。
事業所得は、売り上げ(収入)から必要経費を差し引いた金額です。さらに、社会保険料控除や医療費控除など、適用できる所得控除を差し引いて課税所得を求めます。
最後に課税所得へ所得税率を適用し、納付する所得税額を算出します。
所得税額を算出したら、確定申告書を作成します。
申告書は手書きで作成できるほか、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用した作成が可能です。
入力内容を基に税額が自動計算されるため、初めて確定申告を行う一人親方でも作業を進められます。
確定申告書の作成が完了したら、申告期限までに税務署へ提出します。
提出方法は、e-Taxによる電子申告、税務署窓口への持参、郵送の3種類です。e-Taxを利用すれば、自宅や事務所から申告手続きができるため、税務署へ出向く時間を短縮できます。
なお、所得税の確定申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。当日が土日・祝日の場合は、翌平日が期限です。
確定申告書を提出した後は、申告内容に応じて所得税を納付、または還付を受けます。
納税が必要な場合は、原則として確定申告期限までに所得税を納付します。納付方法には、振替納税やダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付、税務署窓口での現金納付などがあります。自身の利用しやすい方法を選択しましょう。
一方、還付となる場合は、申告内容の審査後に指定した金融機関の口座へ還付金が振り込まれます。
一人親方が確定申告する際の注意点は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
仕事を他の人へ依頼した場合は、支払った報酬が外注費と給与のどちらに該当するかを適切に判断する必要があります。
一般的に、請負契約や業務委託契約に基づく報酬は外注費、雇用契約に基づいて支払う賃金は給与として処理します。実態として指揮命令を受けて働いている場合や勤務時間・作業場所が指定されている場合などは、税務上給与と判断されることがあります。
節税を目的に実態と異なる処理をすると、税務調査で給与と認定され、追徴課税などの対象となる可能性があるため注意が必要です。
建設業では、工事が年をまたぐケースも少なくありません。そのため、売り上げをいつ計上するかを適切に判断することが重要です。
一般的には、工事が完成して引き渡した時点で売り上げを計上する「工事完成基準」が用いられます。一方で、一定の要件を満たす工事では、工事の進捗(しんちょく)に応じて売り上げを計上する方法が認められる場合もあります。
売上計上の時期を誤ると、その年の所得額が正しく計算できなくなるため、契約内容や工事の進捗状況を確認しながら処理しましょう。
正しい利益を計算するためには、年末時点で残っている資材や仕掛品の棚卸しが必要です。
まだ使用していない建築資材や完成していない工事に使用した材料などは、その年の必要経費にはならず、棚卸資産や仕掛品として管理します。
棚卸しを行うことで、売り上げや経費を正確に計算できるため、適正な確定申告につながります。
確定申告や納税が期限に遅れると、無申告加算税や延滞税などの対象となる場合があります。
また、所得を意図的に少なく申告した場合には、過少申告加算税や重加算税が課されることもあります。
申告漏れや期限後申告を防ぐためにも、帳簿や領収書は日頃から整理し、余裕を持って確定申告の準備を進めることが大切です。
最後に、一人親方の確定申告に関するよくある質問とその回答を紹介します。
2023年10月に始まったインボイス制度により、適格請求書発行事業者として登録すると、基準期間の課税売上高にかかわらず、消費税の課税事業者となります。
そのため、消費税額を計算し、消費税の確定申告と納税を行う必要があります。これまで免税事業者だった一人親方でも、インボイス登録後は所得税の確定申告に加えて、消費税の確定申告も必要になるため注意しましょう。
なお、一定の要件を満たす場合は、消費税の納税負担を軽減できる特例制度を利用できるケースもあります。
所得が95万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は必要ありません。
所得が95万円以下であれば、基礎控除により課税所得が0円となるため、原則として所得税の確定申告は不要です。
ただし、還付を受けられる場合は必要となるケースもあります。さらに、前述のとおり、インボイス制度により適格請求書発行事業者として登録している場合は、所得税とは別に消費税の申告が必要です。自身の状況に応じて確認しましょう。
クレジットカードの利用明細や銀行の取引履歴、請求書などから、支払先や支払日、金額、業務との関連性を確認できる場合は、領収書がなくても必要経費として認められる可能性があります。
一方で、支出を証明できる資料がなく、事業との関連性も説明できない場合は、経費として認められません。特に、交通費や飲食代などは業務との関係を示すことが重要になるため、可能であれば領収書の再発行を依頼したり、支出内容を記録したメモを残したりしておくことをおすすめします。
確定申告をスムーズに行うためにも、領収書や請求書は日頃から整理・保管し、紛失しないよう管理することが大切です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用すれば、スマートフォンだけで確定申告書を作成し、e-Taxで提出できます。
パソコンがなくても手続きを進められるため、初めて確定申告を行う一人親方にも利用しやすい方法です。
なお、e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードやマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンなどが必要になる場合があります。事前に必要なものを確認してから手続きを進めるとスムーズです。