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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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建設業界では、人手不足や高齢化、長時間労働など、さまざまな課題が深刻化しています。しかし、「具体的に何が問題なのか分からない」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。 また、建設需要は拡大している一方で、働き手不足や建設資材価格高騰も続いており、今後さらに経営環境が厳しくなる可能性もあります。従来型の働き方やアナログ業務を続けることで、人材確保や利益確保が難しくなるケースも少なくありません。 本記事では、建設業界の現状や課題、建設業界で進む最新の取り組みについても詳しく紹介します。
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建設業界の現状と動向は、次のとおりです。
建設業界では、働き手の減少が続いています。以前と比べて建設業に従事する人数は少なくなっており、人材確保が難しい状況が続いています。
背景には、少子高齢化による労働人口の減少に加え、若年層の建設業離れがあります。建設業は体力面の負担や労働環境のイメージから、他業界へ人材が流れやすい傾向があります。
また、人手不足によって一人当たりの業務負担が増えやすく、採用だけでなく定着率改善も重要な課題です。
建設業界では、ベテラン技能者の割合が高まっています。一方で若手層は少なく、年齢構成の偏りが深刻化しています。
現在の建設現場は熟練技能者によって支えられている部分も多いため、今後高齢層の離職が進むと、現場運営への影響が大きくなる可能性があります。
さらに、建設業は経験を通じて技術を身につける場面が多く、人材不足は技術継承の難しさにもつながっています。
建設業界では人手不足が深刻化している一方で、建設需要そのものは拡大傾向にあります。
一般財団法人建設経済研究所と一般財団法人経済調査会経済調査研究所が公表した「建設投資見通し」によると、2025年度の建設投資額は前年度比3.2%増の75兆5,700億円となる見通しで、2024年度も前年度比2.4%増の73兆2,100億円とされており、建設投資は増加基調が続いています。
背景には、都市部の再開発や物流施設・工場建設に加え、インフラ更新需要の拡大があります。また、大阪・関西万博関連工事や国土強靱化政策による公共投資も建設需要を押し上げる要因となっています。
このように建設市場は拡大しているものの、施工を担う人材不足や現場体制の確保が追いついていないケースも少なくありません。
道路・橋・トンネル・上下水道など、日本各地のインフラでは老朽化が進んでいます。
高度経済成長期に集中的に整備されたインフラが更新時期を迎えており、今後は新設工事だけでなく、補修・維持管理工事の需要もさらに増加すると考えられています。国土交通省によると、2030年には建設後50年以上が経過する割合が、道路橋で約54%、トンネルで約35%、港湾施設で約44%に達する見込みです。老朽化したインフラの更新需要は今後も拡大すると予想されています。
また、災害対策や国土強靱化政策の推進によって、耐震補強や防災インフラ整備の重要性も高まっています。
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。
厚生労働省によると、建設業では原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働が制限されており、特別条項付き36協定を締結した場合でも、年720時間以内や複数月平均80時間以内などの上限が設けられています。
これまで建設業は、人手不足や工期対応の影響から長時間労働が常態化していました。しかし、2024年以降は従来の働き方が難しくなり、業務効率化やDX推進、生産性向上への対応が急務となっています。
2025年には、1947〜1949年生まれの団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本全体で高齢化がさらに進むとされていました。
特に建設業界では高齢技能者の割合が高く、日本建設業連合会の資料でも、若手就業者が少ない一方で高齢層の割合が高い状況が示されています。
そのため、今後ベテラン技能者の離職が進むことで、人材不足だけでなく、技術継承や施工品質維持への影響も懸念されています。若手採用や人材育成の強化が重要視されている背景には、こうした構造的課題があります。
2030年問題とは、少子高齢化によって労働人口が減少し、人材不足がさらに深刻化するとされる社会問題のことです。
内閣府の「高齢社会白書」によると、日本の高齢化率(65歳以上人口割合)は2025年時点で約30%に迫っており、2030年には30.8%に達すると推計されています。さらに、2040年には34.8%、2050年には37.1%、2070年には38.7%まで上昇すると見込まれています。
つまり、今後は総人口が減少する一方で高齢者割合が増え続けるため、建設業界でも人材確保がさらに難しくなる可能性が高いです。
特に建設業界は、元々高齢技能者の割合が高く、若手人材不足も続いているため、2030年以降は人手不足がより深刻化すると懸念されています。
加えて、2024年問題による残業規制への対応も必要になっているため、従来のように長時間労働で人手不足を補う働き方も難しくなっています。
建設業界が抱える課題は、次のとおりです。
建設業界では、必要な人材を安定して確保することが難しい状況です。
特に現場では、経験者不足によって一人当たりの業務量が増えやすく、教育や指導に十分な時間を確保しにくい状況があります。そのため、若手人材が基礎的な知識や技術を習得する前に現場対応を任されるケースも少なくありません。
また、建設業は専門性が高く、資格取得や実務経験が求められる業務も多いため、即戦力人材を短期間で育成することが難しい特徴があります。
さらに、採用競争が激化していることで、中小建設会社を中心に人材確保が難航するケースも増えています。そのため、採用強化だけでなく、教育体制整備や定着率向上まで含めた取り組みが重要です。
建設業界では、他業界と比べて長時間労働が発生しやすい点も課題の1つです。
建設現場は工期が決まっているため、天候不良や資材納期遅れなどによって工程がずれると、現場対応の負担が一気に増加しやすくなります。特に工期遅延を避けるために残業や休日出勤で対応するケースも少なくありません。
また、施工管理担当者は現場確認だけでなく、安全管理や品質管理、写真管理、書類作成、発注者対応など幅広い業務を担っています。そのため、現場以外の事務作業負担も大きくなりやすい状況です。
2024年問題によって時間外労働の上限規制が適用されたことで、今後は従来の働き方を見直す必要性が高まっています。
建設業界では、賃金や労働環境に関する課題もあります。
建設業は体力的負担が大きい職種も多く、現場によっては早朝出勤や屋外作業が必要になるケースもあります。一方で、「休みが少ない」「収入が安定しにくい」といったイメージを持たれることもあり、若年層の入職減少につながる要因の1つです。
また、日給制を採用している場合は、悪天候などによって工事が中止になると収入へ影響が出やすい点も課題です。
さらに、近年は他業界でも人材不足が進んでいるため、建設業界は給与や福利厚生、休日制度などを含めた待遇面で比較されやすい状況です。そのため、人材確保や定着率向上のためには、働きやすい環境づくりが重要視されています。
建設業界では、従来型の業務フローが残っている企業も少なくありません。
例えば、紙書類による管理、電話やFAX中心の連絡、現場ごとに異なる管理方法などによって、情報共有に時間がかかるケースがあります。また、現場対応や施工管理では経験や知識への依存度が高く、特定担当者しか状況を把握していない「属人化」が発生しやすい傾向があります。その結果、担当者不在時に業務が止まったり、引き継ぎ負担が大きくなったりするケースもあります。
さらに、見て覚えるという文化が残っていることで、教育内容やノウハウが体系化されにくく、人材育成効率が下がる要因にもなっています。
建設業界では、建設資材価格の上昇による収益圧迫も大きな課題です。
近年は、セメント・生コンクリート・鋼材などさまざまな建設資材価格が上昇しており、工事原価へ大きな影響を与えています。
背景には、エネルギー価格高騰や円安、物流コスト増加に加え、世界的な原材料需給バランス変化などがあります。また、ウッドショックやアイアンショックによって資材供給が不安定になった影響も続いています。
資材価格上昇によって工事利益率が低下すると、価格転嫁が難しい企業では経営負担が増加しやすくなります。さらに、資材調達遅延によって工期や施工計画へ影響が出るケースもあります。
そのため、建設業界では原価管理強化や適切な見積もり作成、生産性向上への対応が重要視されています。
建設業界の人手不足を改善するためには、働きやすい環境づくりが重要です。
近年は、週休2日制導入や残業削減に取り組む企業も増えており、労働時間の適正化が進められています。また、福利厚生見直しや現場環境改善を進めるケースも増えています。例えば、現場事務所へ冷暖房設備やウォーターサーバー、休憩スペースなどを設置し、作業環境改善へ取り組む企業もあります。
労働環境改善は、人材確保だけでなく、定着率向上や生産性向上にもつながる重要な取り組みです。
建設業界では、人材不足対策として多様な人材活用も重要視されています。
特に近年は、女性就業者や外国人材の受け入れを進める企業が増えています。女性が働きやすい環境整備として、女性専用トイレや更衣室を設置する現場も増加しています。
また、外国人材については、特定技能制度などを活用し、建設現場で活躍するケースが増えています。国土交通省によると、建設分野で働く外国人は増加傾向にあり、人材不足を支える重要な存在となっています。
一方で、採用するだけでなく、教育体制やコミュニケーション環境整備、待遇改善など、定着率向上へ向けた取り組みも必要です。
建設業界では、DXやデジタル化推進も重要な課題解決策となっています。
建設業はアナログ業務が残りやすく、情報共有や書類管理に時間がかかるケースも少なくありません。そのため、デジタルツール導入によって業務効率化を進める企業が増えています。
例えば、以下などが代表的な取り組みです。
デジタル化を進めることで、少人数でも業務を進めやすくなり、現場間の情報共有もスムーズになります。また、書類作成や進捗管理の効率化によって、長時間労働削減にもつながります。
特に中小建設会社でも導入しやすいクラウドツールや施工管理アプリは増えており、比較的取り組みやすい改善策として注目されています。
建設業界で進む最新の取り組みは、次のとおりです。
i-Constructionとは、国土交通省が推進している建設業界向けの生産性向上施策です。
国土交通省が進める「生産性革命プロジェクト」の一環として2016年から開始され、ICT技術を建設現場へ積極的に導入することで、建設業界全体の効率化を目指しています。
具体的には、測量・設計・施工・検査・維持管理など、建設プロセス全体へICTを活用する取り組みです。例えば、ドローン測量や3次元データ活用、ICT建機による施工などが進められています。
また、単なる効率化だけでなく、労働環境改善も重要な目的の1つです。建設業界では「きつい・汚い・危険」という3Kイメージが根強く残っていますが、ICT活用によって作業負担軽減や安全性向上を進め、働きやすい建設現場づくりが目指されています。
建設業界では、設計・施工業務の効率化を目的として、BIM/CIM導入が進んでいます。
BIM/CIMは、建物やインフラを3次元モデルで可視化し、設計情報や施工情報をデータとして一括管理する仕組みです。図面だけでなく、材料・寸法・工程などの情報もまとめて扱えるため、建設プロジェクト全体の管理効率向上につながります。
これまでの建設現場では、2次元図面をベースに業務を進めるケースが一般的でした。しかし近年は、建設DXや生産性向上への取り組みが進み、国土交通省もBIM/CIM活用を推進しています。2023年度からは、一部の公共工事で原則適用が進められるなど、活用範囲は広がっています。
BIM/CIMの特徴は、設計変更時の対応効率を高めやすい点です。従来は、図面変更が発生するたびに関連資料を個別修正する必要がありましたが、3次元モデル上で修正内容を反映することで、関連データへ連動しやすくなります。
また、3Dモデルによって完成イメージを共有しやすくなるため、発注者・設計者・施工会社間で認識のズレを減らしやすい点もメリットです。施工前に視覚的な確認を行いやすくなることで、打ち合わせや施工検討の効率化にもつながります。
なお、BIMは建築分野、CIMは土木分野を中心に活用されており、庁舎・学校・住宅などの建築工事だけでなく、道路・河川・ダムなどのインフラ工事でも導入が進められています。
建設業界では、人材不足や高齢化が進む中で、XR技術を活用した教育・技術継承への取り組みが広がっています。
XRとは、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)などを含む総称です。近年は、建設現場の生産性向上だけでなく、若手教育や安全訓練にも活用されるケースが増えています。
例えば、実物大のVR空間で設計内容を確認できる没入型レビューやARを使った検査業務効率化などが進められています。また、型枠施工などを仮想空間内で学べる「メタバーストレーニング」を導入する企業も登場しています。
建設業では、XRを活用することで、危険作業や施工手順を視覚的に再現しやすくなり、教育内容を標準化しやすくなっています。また、複数人が同時に仮想空間へ参加できるシステムも増えており、遠隔地でも研修や技術共有を行えます。
このようにXR技術は、建設業界における技能継承や人材育成の効率化、安全教育強化につながる取り組みとして注目されています。