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監修者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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セメント・モルタル・コンクリートは、いずれも「灰色」で「固まる建築材料」ですが、実際には全く異なる役割を持つ材料です。本記事では、これら3つの材料の関係性を分かりやすく解説しつつ、それぞれの材料構成や性質、種類、用途、価格を体系的に紹介します。
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セメントは結合材で、モルタルとコンクリートはセメントを用いて作る別の材料です。構造体には設計条件を満たすコンクリート、仕上げ・接着・補修には用途に合うモルタルが主に使われます。強度は配合・製品・養生・試験条件で、価格は数量・地域・運搬・施工条件で変わるため、単純な優劣ではなく仕様ごとに確認してください。
コンクリート・モルタル・セメントは全て「灰色」で「固まる材料」ですが、そもそもの役割と階層が異なります。ここではこれらの違いについて詳しく解説します。
3つは同じものではありません。セメントは水と反応して硬化する結合材です。一般的なセメントモルタルはセメント、水、細骨材などからなり、一般的なコンクリートはセメント、水、細骨材、粗骨材に、必要に応じて混和材料を加えて作ります。
ただし、セメント→モルタル→コンクリートという製品の加工順ではなく、それぞれ用途と要求性能に応じて配合・製造する別の材料です(出典:日本コンクリート工学会「コンクリートの構成材料」)。

材料名だけで強度を一律に比較することはできません。圧縮強度は配合、製品、材齢、養生、試験条件によって変わります。コンクリート工学会も、養生条件によってコンクリートの圧縮強度が変化することを解説しています(出典:日本コンクリート工学会「コンクリートの養生と品質の関係性について」)。
実務では「どちらが強いか」ではなく、構造体、仕上げ、接着、補修などの用途と、設計図書・製品仕様で要求される性能に合うかを確認します。モルタルにも既調合品やポリマーセメントモルタルなど複数の種類があり、用途と性能が異なります(出典:セメント協会「セメント系補修・補強材料」)。
価格も材料名だけでは比較できません。袋材か生コンクリートか、必要数量、呼び強度、厚み、運搬距離、小口割増、ポンプ車、下地処理、左官手間などで見積条件が変わります。材料費と施工費を分け、同じ数量・同じ要求性能・同じ施工範囲で見積を取り直して比較してください。
「モルタルの値段」「コンクリートの値段」を調べるとき、答えは大きく2つに分かれます。1つは材料そのものを買う値段(袋やm³単位)、もう1つは職人に施工してもらう単価(塗り面積1㎡あたりなど)です。どちらを知りたいかで見る数字が変わるため、順に整理します。
なお、以下の相場はいずれも時期・地域・数量・現場条件で変動します。セメントや生コンクリートは近年値上げが続いている品目でもあるため、実際の発注時は最新の見積で確認してください。金額は目安の幅として捉えるのが安全です。
材料を自分で仕入れる場合、袋詰めのセメントと既調合(プレミックス)モルタルでは、製品重量・配合・用途が異なります。店頭の袋単価だけでなく、必要量へ換算した材料費と、砂・砂利・混和材など別途必要になる材料を含めて比較してください。
少量をホームセンターで買うと割高になりやすく、まとまった量を建材店で仕入れると単価が下がる傾向があります。モルタルは砂よりセメントの比率が高いぶん、同じ体積ではコンクリート用の材料より材料費が上がりやすい点も押さえておきましょう。
生コンクリートは通常1m³単位で見積もり、呼び強度、スランプ、骨材、数量、運搬距離、小口割増、時間指定などで価格が変わります。地区や工場によって条件が異なるため、必要仕様と打設条件を伝えて見積を確認してください。
1回の発注量が少ない小口ではm³あたりが割高になりやすく、逆に基礎や土間のようにまとまった数量を打設する場合は単価を抑えやすくなります。
施工を依頼する場合は、材料費のほか、下地処理、厚み、養生、運搬、機械、左官・打設の手間が加わります。モルタル塗りと土間コンクリートでは用途も数量単位も異なるため、同じ要求性能・施工範囲を前提に、材料費と施工費を分けて見積を比較してください。
モルタル仕上げとコンクリートでは用途、厚み、数量単位、下地、施工方法が異なります。代替案として比較できる場合だけ、同じ要求性能・施工範囲で材料費と施工費を見積もってください。

セメントとは、水と反応して固まる粉体の建材で、モルタルやコンクリートの強度を生む基本材料です。ここではセメントの原料や性質、種類、用途、価格を簡潔に解説します。
セメントは、石灰石や粘土、けい石などを原料に焼成して生まれる「クリンカ」に石膏を加えて粉砕した、非常に細かな灰色の粉末です。原料を高温で焼き上げることで水と反応しやすい性質を獲得し、粉体の状態で保管や運搬がしやすい点も特徴です。
製造されたセメントは、現場で砂や砂利と混ぜてモルタルやコンクリートとして使用されます。単体では強度が十分でないため、骨材と組み合わせて初めて建材としての性能を発揮します。大規模工事では、生コン工場で配合されたコンクリートがミキサー車で運搬されるなど、需要に応じた形態で供給されます。
セメントの最大の特徴は、水と反応して固まる「水硬性」にあります。この性質が、モルタルやコンクリートに高い強度と耐久性をもたらします。硬化後は外力に強く、構造物の基礎を支える材料として安定した性能を発揮します。
同時に、周囲の材料をしっかり結び付ける「接着性」も備えており、タイルやブロックなどの固定にも有効です。粉末は強いアルカリ性を持ち、皮膚刺激を起こすことがあるため、施工時には保護具が必要です。また、硬化後のコンクリートが灰色を呈するのは、セメント自体の色によるものです。
JISで品質が規定されるセメントには、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントなどがあります。さらに用途に応じた特殊セメントやセメント系固化材があります。規格は改正されるため、使用時は設計図書と製品の最新規格表示を確認してください(出典:セメント協会「セメントとは」、セメント協会「JIS改正」)。
セメントは、モルタルやコンクリートの原料として建築や土木の基礎を形成し、住宅基礎、壁、床、道路、橋梁など多様な構造物に強度を与える役割を担います。骨材との混合比を調整することで、基礎や仕上げ、補修など用途に合わせた性能を発揮できる点が大きな強みです。
タイルやブロックの固定材としても広く使われ、仕上げ工程における接着力の確保にも欠かせません。細かな欠損部分の補修にも適しており、外壁から土間、屋外構造物まで幅広い場面で利用されています。
また、水と混ぜて高い流動性を持たせた「セメントミルク」は、ひび割れ注入や地盤改良のグラウト材として重要です。接合部の補強や既存構造物の耐久性向上など、維持管理の工程でも活用されます。
セメントの価格は、種類、袋・ばらの供給形態、数量、地域、運搬条件、購入時期で変わります。セメントミルクなどで施工する場合は、注入設備、配合、施工量、現場条件も含めて見積を比較してください。
モルタルとは、セメントに砂と水を混ぜた建材で、仕上げや接着、補修に使われます。ここでは材料や性質、用途、価格を簡潔に解説します。

一般的なセメントモルタルは、セメント、水、細骨材などを用いて作ります。配合は用途、要求強度、施工性、下地、使用環境によって異なるため、固定比を一律の基本とせず、設計図書、製品仕様、標準仕様書に従ってください。
現場では、トロ舟やプラ舟と呼ばれる容器に材料を入れてスコップなどで手練りする方法の他、モルタルミキサーを使用して大量に練り上げる方法が一般的です。ミキサーを使うことで撹拌ムラを抑え、外構工事や左官工事などで均質なモルタルを安定して供給できます。
モルタルは細骨材を主に用い、仕上げ・接着・補修などに使われます。必要性能は配合済み製品の仕様や施工要領で確認し、構造上の判断が必要な部位では設計図書と専門家の指示に従ってください。
モルタルの収縮、ひび割れ、吸水性、耐久性は、配合、厚み、下地、養生、使用環境、製品仕様で変わります。外部や防水性能が必要な部位では、一般的なモルタルだけで性能を決めず、設計図書で指定された材料・工法とメーカーの施工要領を確認してください。
モルタルには、用途や求める性能に応じて複数の種類があり、仕上げや補修、接着など目的に合わせて使い分けられます。
一般に「モルタル」というと、最も基本的な「セメントモルタル」を指すことがほとんどですが、実際には性能や用途に特化したさまざまなモルタルが存在します。
最も標準的なモルタルは、セメントと砂、水のみで作る「セメントモルタル」で、左官仕上げや外構の下地作りなど、住宅から土木まで幅広い現場で使われる基本形です。
細部補修や付着性の向上が求められる場面では、合成樹脂を加えた「樹脂モルタル」が使用されます。セメントの一部を樹脂で置き換えることで付着性や伸び性能が高まり、ひび割れや欠けの補修、小さな穴埋めなどに適した材料となります。
補修に特化した材料としては、硬化時に収縮がほとんど発生しない「無収縮モルタル」があります。セメントモルタルよりも粘度が低く流動性が高いため、コンクリート壁の隙間充填(じゅうてん)やひび割れ補修などに適しています。ひび割れの再発を抑えやすい反面、コストが高く、広範囲で使用されることはあまりありません。
また、下地作りに多く使われる「ポリマーセメントモルタル」は、セメントモルタルにポリマーを加えることで衝撃への強さや付着性を高めたタイプです。塗り重ねやタイル張りの下地など、強度や密着性が求められる工程で利用されるケースが多い材料です。
モルタルは、仕上げや接着、補修の3つの分野で特に活躍する、細部施工に強い材料です。外壁やブロック塀、門柱の上塗りなどでは、コテで塗り広げて表面を整える左官仕上げに用いられ、下地の凹凸を隠しながら均一な質感を作り出します。
また、タイルやレンガ、ブロックを固定する接着材としても重要な役割を果たします。必要な厚みで塗り付け、部材を押し込むことで高い密着性を確保できるため、床や壁の仕上げ、門柱や外構の装飾など、多くの場面で利用されています。
補修分野では、段差の調整や小さな欠損部の埋め戻し、ひび割れの充填(じゅうてん)などに使われ、既存コンクリートの表面を整えたり、勾配をつけたりする際にも重宝されます。こうした用途に合わせて、厚みや配合、施工方法を変えることで、モルタルは仕上げ材や接着材、補修材として柔軟に機能します。
さらに、住宅の外構工事やDIYでも扱いやすく、花壇の縁石や簡易的な棚、インテリアの下地づくりなど、手工具のみで行う小規模な施工にも向いています。コンクリートほどの構造強度はないものの、「見た目を整え、細部を仕上げる」役割において欠かせない材料です。
モルタルの費用は、既調合品か現場配合か、塗り厚、下地、面積、仕上げ、左官手間で変わります。コンクリートとは用途と積算単位が異なるため、倍率で一般化せず、同じ施工目的に対する代替案が成立する場合だけ、要求性能と施工範囲をそろえて比較します。
一方で、材料そのものはホームセンターなどでも入手しやすく、少量であればDIYでも扱いやすい点も特徴です。小規模な補修や装飾的な仕上げであれば、材料費を抑えつつ目的に合った仕上がりを得られます。施工規模や仕上げ品質によって必要な手間と費用が大きく変わる点が、モルタルの価格面での特徴といえます。
コンクリートとは、セメントに砂と砂利、水を混ぜて作る高強度の構造用建材で、建物や道路、橋など大規模構造物に使われます。ここではコンクリートの材料や性質、種類、用途、価格を解説します。

一般的なコンクリートは、セメント、水、細骨材、粗骨材に、必要に応じて混和材料を加えて構成します。配合は、要求される強度・耐久性・施工性を満たすよう、使用材料と施工条件に応じて定めます。構造用途で固定比を一律の基本として使わず、設計図書と配合計画を確認してください(出典:日本コンクリート工学会「JIS A 5308 レディーミクストコンクリート」)。
施工現場では、生コン工場で練り混ぜた生コンクリートがミキサー車で運搬され、型枠へ打ち込み、振動締固めを行い、適切な養生によって性能を発現させます。
コンクリートは圧縮力を受ける構造部材に広く使われますが、必要な強度は用途と設計条件で決まります。呼び強度や配合だけでなく、施工・締固め・養生・材齢を含めて品質を管理します。また、引張力への対応は鉄筋との組み合わせなど、構造設計に基づいて判断します。
また、硬化に時間を要すること、自重が大きいこと、適切な締固めや養生が必要な点もコンクリートの特性です。表面をそのまま見せる仕上げと、モルタル・タイル・塗装など別の仕上げを設ける方法があり、必要に応じてモルタルやタイル、塗装などで表面を仕上げます。
コンクリートは、使用環境や目的、要求性能に合わせて多くの種類があり、おおむね「標準」「気温対応」「大型構造向け」「性能補強型」「特殊用途」の5つに分類できます。
標準的な「普通コンクリート」は建築や土木を問わず最も広く用いられ、一般的な強度と施工性を備えています。気温条件に適応する種類として、凍結を防ぐ「寒中コンクリート」や、急激な硬化を抑える「暑中コンクリート」があります。
大型構造物では、水和熱を抑制する「マスコンクリート」や、型枠への充填(じゅうてん)性を高めた「高流動コンクリート」、高層ビルなどで使用される「高強度コンクリート」が選ばれます。性能補強型としては、ひび割れを抑える「膨張コンクリート」や、あらかじめ圧縮力を導入した「プレストレストコンクリート(PC)」などがあります。
さらに、水中施工に適した「水中コンクリート」や、水はけを良くする「透水性コンクリート」など、特定の環境や条件に特化した種類も存在します。
コンクリートは、構造用建材として建築や土木のあらゆる分野で最も広く活用されています。建築では、基礎や柱、梁、床スラブ、耐力壁など主要構造体に用いられ、戸建住宅から高層ビルまでほぼ全ての建築物で採用されます。
土木分野では、道路舗装や橋梁、ダム、トンネル、擁壁、護岸など、長期耐久性が求められる構造物に幅広く使用されます。また、工場で製造されるプレキャスト製品(ブロックやパイル、床版)として大量に供給され、施工効率と品質安定にも寄与しています。
コンクリートの価格は、呼び強度、スランプ、骨材、数量、運搬距離、小口割増、ポンプ車、打設・締固め・養生などの条件で変わります。モルタルとは用途と積算単位が異なるため、材料名だけで安い・高いと判断しないでください。
実際の費用は材料価格だけでなく、数量、運搬、下地、施工方法、仕上げ、現場条件を含む見積で比較します。異なる用途の材料を、面積だけで同条件のように比較しないことが重要です。
3つの材料は優劣ではなく役割で使い分けます。建物や構造物を「支える」部分にはコンクリート、表面を「整える・くっつける・直す」部分にはモルタル、というのが基本の考え方です。
たとえば基礎・柱・梁・床スラブ・土間・擁壁といった荷重を受け持つ部位は、圧縮に強いコンクリートが担います。引張力に弱い弱点は鉄筋と組み合わせた鉄筋コンクリート(RC造)で補うのが一般的です。一方、外壁やブロック塀の上塗りといった左官仕上げ、タイルやブロックの接着、段差調整や欠損部・ひび割れの補修にはモルタルが使われます。セメント単体は、これらの材料の原料としての役割が中心です。くわしくはフーチングをご覧ください。
見積の場面でも、構造体としてm³で数量を拾うコンクリートと、仕上げ・補修として㎡で拾うモルタルは積算の考え方が異なります。冒頭の「セメント+砂=モルタル、さらに砂利を足す=コンクリート」という関係に立ち返ると、材料・強度・値段・用途の違いがひとつながりで理解できます。
モルタルを使った外壁の仕上げについては、モルタル外壁とは?メリット・デメリットや種類、施工方法を徹底解説で種類や施工方法を詳しく解説しています。くわしくは建設業の用語辞典をご覧ください。