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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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塗料には外観を美しく整え、耐久性を高めるなどさまざまな役割があります。 しかし、塗料には成分や種類、機能、価格帯までさまざまな違いがあり、「どれを選べば良いのか分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。 本記事では、塗料の基本的な役割や成分をはじめ、樹脂による種類、水性・油性、1液型・2液型といった分類、素材別の選び方まで分かりやすく解説します。
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塗料の主な役割は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。

塗料の最も基本的な役割は、周囲の環境から塗装対象物を守ることです。
特に建物や構造物は、紫外線や雨風、酸性雨、車の排出ガスなどの影響を日常的に受けており、塗装を行わなければ劣化は急速に進みます。例えば、鉄は錆び、木材は腐食し、耐久性の高いコンクリートであっても表面が劣化して強度が低下していきます。
用途や素材に適した塗料を塗装することで塗膜を形成し、外的要因から素材を保護することで耐久性を高めることが塗料の役割の一つです。
塗料には、塗装対象物を美しく見せる役割もあります。
色彩や模様、光沢といった塗料の特性によって、無機質な素材に彩りを与えたり、色あせた外観を鮮やかに再生したりすることが可能です。
屋根と外壁の配色を工夫して建物全体のイメージを変えたり、室内壁の色を調整して温かみや落ち着きのある空間を演出したりするなど、周囲の環境や用途に合わせたコーディネートも行えます。塗料は、外観の印象を左右する重要な要素です。
塗料の中には、保護や美観に加えて特別な機能を付与できるものがあります。 代表的な例として、遮熱性・耐熱性・防火性・防汚性・防水性・防カビ性・耐薬品性などが挙げられます。さらに、蛍光・蓄光塗料、導電性塗料、電気絶縁塗料、電波吸収塗料など、用途に応じた高機能塗料も存在します。
これらの機能性塗料は、安全性の向上や快適な居住環境の実現、メンテナンス頻度の低減によるライフサイクルコストの削減など、さまざまな場面で効果を発揮します。
塗料は、今や暮らしや環境の質を高める役割も担っているといえるでしょう。
塗料は単一の物質でできているわけではなく、次の4つの成分で構成されています。
それぞれを分かりやすく解説します。
顔料は、塗料に色を与えるための成分です。
外壁や屋根の仕上がりの色合い、発色の良さ、下地をどれだけ隠せるかといった点は、顔料の性質によって左右されます。
また、顔料の役割は色彩表現にとどまりません。金属表面に使用される塗料では、さびの発生を抑制する働きを持つ顔料が使われることがあります。さらに、塗料の粘度や質感を調整する目的で配合される顔料もあり、塗膜の性能や見た目の安定性にも関与しています。
そのため、顔料は美観と耐久性の両面に関わる重要な成分といえます。
樹脂は、塗料が乾燥・硬化した後に塗膜として残り、塗膜の骨格を形成する成分です。
塗料が下地に密着し、長期間剥がれずに性能を維持できるかどうかは、樹脂の性質によって決まります。耐候性や防水性、耐久性といった塗料の基本性能は、この樹脂が担っています。
アクリル樹脂やシリコン樹脂、フッ素樹脂など塗料の名称として使われる分類は、使用されている樹脂の種類によるものです。一般的に、耐久性が高い塗料ほど高性能な樹脂が使われる傾向があります。
添加剤は、塗料の性能を補助的に調整するために加えられる成分です。配合量はごく少量ですが、塗料の品質や施工時の安定性に大きな影響を与えます。
例えば、保管中に顔料が沈殿するのを防ぐ、塗装時に塗料が垂れにくくなるよう調整する、塗りムラが出にくくなるようにするといった役割があります。添加剤が適切に配合されていない塗料では、施工中に扱いにくさが生じたり、仕上がりにばらつきが出たりすることがあります。
添加剤は目立たない存在でありながら、塗料の品質と仕上がりを支える重要な成分です。
溶剤(溶媒・希釈剤)は、顔料や添加剤、樹脂を溶かして塗料を液体の状態に保ち、塗りやすくするための成分です。塗装後は乾燥の過程で揮発し、最終的に塗膜として残ることはありません。
溶剤は、その溶解力や性質によって分類されます。一般に、有機溶剤を使用する塗料では、溶解力が強く密着性に優れる「強溶剤タイプ」と、溶解力はやや弱いものの、有機溶剤特有のにおいを抑えた「弱溶剤タイプ」があります。
一方、有機溶剤の代わりに「水」が溶媒として使われることもあります。水を用いることで、施工中のにおいが少なく、周辺環境や居住者への負担を抑えやすい点が特徴です。
成分(樹脂)による塗料の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料です。
比較的安価で入手しやすく、発色が良いことから、かつては外壁塗装でも広く使用されていました。しかし、紫外線や雨風による劣化が早く、耐候性・耐久性が低いという特性があります。そのため、現在では住宅の外壁や屋根といった長期間の保護性能が求められる部位では、ほとんど採用されていません。
主に、DIYや短期間の使用、仮設的な塗装など限定的な用途向けです。
ウレタン塗料は、ウレタン樹脂を使用した塗料で、柔軟性と密着性に優れている点が大きな特徴です。
下地の動きに追従しやすく、金属部や木部などさまざまな素材に対応できるため、扱いやすい塗料として評価されています。一方で、耐久性は後述するシリコン塗料などと比べるとやや劣ります。
そのため、近年では外壁全体の塗り替えに使われるケースは少なく、雨どいなどの部分的な塗装で使われることが一般的です。
シリコン塗料は、シリコン樹脂を主成分とする塗料です。
耐候性・耐久性と費用のバランスが良く、現在の戸建住宅の外壁塗装では、最も採用例の多い標準的な塗料といえます。紫外線や雨風に対する耐性が高く、比較的長期間にわたって塗膜の性能を維持できる点が評価されています。
塗膜がやや硬いという特性はありますが、近年は柔軟性を持たせた製品も多く、外壁・屋根のいずれにも幅広く使用されています。
エポキシ塗料の正式名称は「エポキシ樹脂塗料」で、性質としてはプラスチック素材に近い塗料です。
分子中に複数のエポキシ基を持つ樹脂を主成分としており、硬化後は非常に強固な塗膜を形成します。特に耐水性・耐薬品性・付着性に優れている点が大きな特徴です。
高い性能から、産業用途で幅広く使われています。
フッ素塗料は、フッ素樹脂を使用した塗料です。
紫外線に非常に強く、塗膜の劣化が起こりにくいため、長期間にわたって性能を維持しやすい点が特徴です。
初期費用は高めですが、塗り替え回数を減らせる可能性があるため、長期的なメンテナンスコストを重視する場合に選ばれます。戸建住宅だけでなく、簡単に塗り替えができない大型建築物や公共施設などでも多く採用されています。
ただし、施工には一定の技術力が求められる点には注意が必要です。
近年の塗料は、従来のアクリル・シリコン・フッ素といった樹脂塗料をベースに、劣化しにくさを高める技術が加えられたものが多く登場しています。
それぞれを分かりやすく解説します。
ラジカル制御型塗料は、塗膜を劣化させる原因物質「ラジカル」の発生や働きを抑える仕組みを持った塗料です。
ラジカルとは、紫外線などの影響によって塗料中の顔料(主に酸化チタン)が反応して生じる物質で、塗膜劣化の大きな要因とされています。
ラジカル制御型塗料では、高耐候性の酸化チタンやラジカル捕捉成分を配合することで、ラジカルの発生や拡散を抑制します。その結果、塗膜のチョーキング(粉化)や色あせが起こりにくくなり、耐久性が向上します。
価格帯はシリコン塗料よりやや高めですが、フッ素や無機塗料よりは抑えられていることが多く、耐久性とコストのバランスに優れた塗料として近年採用が増えています。
無機塗料は、無機成分を多く含むことで、紫外線による劣化を抑えるよう設計された塗料です。
無機成分と有機成分(樹脂)を組み合わせた「無機有機ハイブリッド塗料」として提供されるケースが多くあります。無機成分は劣化しにくい性質を持つため、高い耐久性が期待できます。一方で、製品ごとに配合や性能差が大きいため、内容を確認した上で選定することが重要です。
フッ素塗料と同様、長期的な耐久性を重視する場合の選択肢として適しています。
光触媒塗料は、太陽光(紫外線)を受けることで塗膜表面に化学反応を起こし、汚れを分解して雨で洗い流す「セルフクリーニング機能」を持つ塗料です。
排出ガスや雨だれなどの汚れが付きにくく、美観を長期間保てる点が大きな特徴ですが、その一方で、施工難易度が高く、価格も比較的高額です。また、紫外線が当たりにくい北面などでは効果が弱くなる点や塗膜そのものへの影響が課題とされることもあります。
こうした理由から、以前ほどの普及は見られませんが、特定の条件下では高い効果を発揮する塗料として使われています。
溶剤による塗料の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
水性塗料は、水を溶媒として使用する塗料です。
有機溶剤をほとんど含まないため、塗装中や乾燥時のにおいが少なく、居住中の住宅や周辺環境への配慮が求められる現場でも使いやすい点が特徴です。
以前は、耐久性や密着性の面で溶剤塗料に劣るとされていましたが、近年は技術の進歩により性能が大きく向上しています。現在では、外壁塗装はもちろん、製品によっては屋根塗装にも対応できる水性塗料が増えており、住宅塗装の主流となっています。
ただし、施工時の気温や湿度の影響を受けやすく、下地の状態によっては塗膜が十分に形成されない場合もあります。そのため、使用可否は素材や施工条件を踏まえて判断する必要があります。
油性塗料は、シンナーなどの有機溶剤を溶媒として使用する塗料です。
溶解力が高く、下地への密着性に優れているため、強固で耐久性の高い塗膜を形成しやすい特徴があります。
そのため、金属部や屋根など、過酷な環境にさらされやすい部位や高い耐候性が求められる箇所で使用されることが多いです。また、気温や湿度の影響を受けにくく、施工条件が比較的安定している点も特徴です。
塗装中のにおいが強く、周囲への配慮や十分な換気が必要です。そのため、住宅密集地や居住中の建物では使用を控えるケースもあり、施工場所や環境を考慮した使い分けが重要です。
塗料は、成分や溶剤の違いだけでなく、液型によっても分類されます。
それぞれを分かりやすく解説します。
1液型塗料とは、主剤となる塗料が1つの缶にまとまっているタイプの塗料です。
塗装時は、この塗料を水または有機溶剤で希釈するだけで使用できます。硬化剤を別途混ぜる必要がないため、缶を開けてすぐに使える点が大きな特徴です。
作業工程がシンプルで、計量ミスや混合不良が起こりにくいことから、施工性に優れています。余った塗料も密閉して保管すれば、後日再利用できるケースが多く、現場管理の負担が比較的少ない点もメリットです。
一方で、塗膜の硬化は主に空気中の水分や乾燥によって進むため、2液型塗料と比べると塗膜の強度や耐久性はやや控えめです。そのため、外壁や屋根など一般的な住宅塗装には広く使われますが、金属部や高い耐久性が求められる部位では不向きな場合もあります。
2液型塗料は、主剤となる塗料と、硬化剤の2つを混ぜて使用するタイプの塗料です。塗装直前に両者を規定の比率で混合し、その後、水または有機溶剤で希釈して使用します。
主剤と硬化剤を混ぜることで化学反応(硬化反応)が起こり、塗膜が形成されるため、非常に強固で密着性の高い塗膜を作れます。そのため、鉄部や金属屋根、ALC、コンクリートなど、幅広い素材に対応でき、耐久性を重視する塗装で多く採用されています。
ただし、混合後は数時間で塗料が硬化し始めるため、作り置きや長時間の保存はできません。使用量を正確に見積もり、その日のうちに使い切る必要があります。また、混合比率や撹拌(かくはん)が不十分だと性能が発揮されないため、施工には一定の知識と管理体制が求められます。
塗装対象の素材別に塗料の選び方を解説します。
金属を塗装する場合は、金属専用と明記された塗料を選ぶことが基本です。
近年は、水性塗料でも油性塗料と同程度の耐久性を持つ製品が増えており、臭いが少なく環境負荷も低い水性塗料が選ばれるケースが多くなっています。
ちなみに、金属は表面が滑らかで、塗料が密着しにくい素材です。また、雨水や湿気の影響を受けやすく、錆が発生しやすいという特性があります。そのため、塗料選びだけでなく、下地処理と下塗り工程が仕上がりを左右します。
既に塗装されている場合や錆が見られる場合は、まず既存の塗膜や錆をしっかりと除去します。その上で、塗料の密着性を高め、防錆効果を持つ下塗り材(プライマー)を使用し、十分に乾燥させてから上塗りを行います。
金属塗装では、適切な塗料の選定と、下塗りを含めた正しい工程の両方を押さえることが、耐久性を高めるポイントです。
コンクリートは表面に微細な孔が多く、水分を吸い込みやすい素材です。そのため、塗料には密着性・防水性・耐久性が求められます。用途や使用環境に応じて、適した塗料を選ぶことが重要です。
耐摩耗性や耐薬品性が必要な床面や駐車場、工場内などでは、下地への密着性に優れたエポキシ系塗料が適しています。ただし紫外線に弱いため、主に屋内向けです。屋外や人・車の往来が多い場所には、柔軟性と耐候性に優れるウレタン系塗料が向いています。ひび割れへの追従性もあり、外壁や屋外床面でも使いやすい塗料です。
美観を重視し、短期間で施工したい場合には乾燥が早いアクリル系塗料が選ばれることもありますが、耐久性はやや劣ります。施工場所と求める性能を整理した上で選定しましょう。
木材は呼吸する素材ともいわれ、湿気を吸収・放出しやすく、紫外線や雨の影響も受けやすい点が特徴です。
木材用塗料は大きく、木目を生かす浸透型と表面に塗膜をつくる造膜型に分けられます。浸透型塗料は木の風合いを残しやすく、屋外のフェンスやウッドデッキなどに適しています。一方、造膜型塗料は耐候性や防水性に優れ、外壁材や雨風にさらされる部位で使用されます。
また、使用場所によって塗料の選択も変わります。屋外では耐久性に優れた油性塗料が多く使われ、屋内の家具や建具には、においが少なく扱いやすい水性塗料が適しています。
ここからは、塗料の価格相場について詳しく解説します。
塗料の価格は、使用される樹脂の種類や機能性、耐久性、施工性など複数の要素で決まります。
耐久性が高い塗料ほど原材料や工夫された製造技術が必要になり、価格が上昇する傾向があります。
また、遮熱・断熱・低汚染などの機能性が付加された塗料は、同じ耐用年数でも㎡単価が高めになることが多いです。
塗料を性能水準や耐久性の高さで見た価格の差は次のとおりです。ただし、これらは塗料としての材料費の目安(塗料単体の㎡価格)であり、実際の工事費とは異なります。
このように、一般的な外壁・屋根塗装でよく使われる塗料は、材料費で㎡当たり1,500〜5,300円程度の幅があります。耐用年数や付加価値が高いほど、1㎡当たりの材料費も高くなる傾向です。
価格帯別の耐久性の違いを見ると、低価格帯のアクリル・ウレタン系は5〜10年程度の耐用年数を想定しています。
一方で、シリコンやラジカル制御型は10〜15年程度と比較的長期の耐久性が期待でき、初期費用と将来的な塗り替え費用のバランスが取りやすいです。
フッ素・無機塗料は耐用年数がさらに長く、15年以上〜30年近く持続することもあり、長期の建物維持計画を立てる際に適した選択肢です。