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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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アクリル塗料は、古くから使用されてきた代表的な塗料の1つです。 一方で、耐久性が高いシリコン塗料やフッ素塗料などが普及した現在では、「アクリル塗料はどのような場面で使われるのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。 塗料は種類によって性能や適した用途が大きく異なるため、特徴を理解せずに選んでしまうと、思ったより早く塗り替えが必要になる可能性もあります。 本記事では、アクリル塗料の定義やメリット・デメリット、種類などを分かりやすく解説します。
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まず、アクリル塗料の基礎知識を紹介します。

アクリル塗料とは、主成分となる樹脂にアクリル樹脂を使用した塗料のことです。
塗料は一般的に、顔料・樹脂・添加剤・溶剤などで構成されています。このうち塗膜の性能に大きく影響する塗料が樹脂であり、使用される樹脂の種類によって塗料の種類や性能が分類されます。アクリル塗料は、アクリル系の合成樹脂を用いた塗料です。
アクリル塗料は1950年代頃から開発・製造が進み、当時は鮮やかな発色を持つ塗料として注目され、広く利用されるようになりました。
ピュアアクリルとは、アクリル系塗料の中でもアクリル樹脂の純度を高めて作られた塗料を指します。
一般的なアクリル塗料もアクリル樹脂を主成分としていますが、コストや性能のバランスを考えて他の成分が混合される場合があります。一方、ピュアアクリルはアクリル樹脂の割合を高めることで、樹脂本来の性能を生かした塗料として開発されたものです。
ピュアアクリルはアクリル塗料の一種ではありますが、一般的なアクリル塗料よりも性能を高めた塗料として位置付けられています。
アクリル塗料のメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
アクリル塗料の大きなメリットの1つは、塗料価格が比較的安いことです。
一般的に、アクリル塗料の㎡単価の目安は1,000〜1,500円/㎡程度とされています。現在、外壁塗装で多く採用されているシリコン塗料の単価がおおよそ2,500〜3,500円/㎡であることを考えると、費用を抑えて塗装できる塗料であるといえます。
そのため、短いサイクルで塗装を行うケースではコスト面のメリットがあります。また、将来的に建物の売却や建て替え、解体などを予定している場合など、長期間の耐久性よりも初期費用を抑えたい場面でも選ばれることも多いです。
アクリル塗料は、色の発色が良い塗料として知られており、鮮やかな仕上がりになりやすい特徴があります。
長く使われてきた塗料であることから、多くのメーカーがさまざまな製品を販売しており、色の種類も豊富に用意されています。
そのため、デザインや好みに合わせて色を選びやすく、幅広い表現が可能です。現在では住宅の外壁で使用される機会は減っていますが、紫外線の影響を受けにくい室内の塗装では耐久性の短さが大きな問題になりにくいため、インテリアの色づくりを重視する場面で利用されることが多いです。
アクリル塗料は、湿気を通しやすい透湿性を持つ塗膜を形成する特徴があります。
外壁材の内部に入り込んだ水分が蒸発する際、塗膜が水蒸気を通すことで外部へ放出されやすくなり、外壁材が乾きやすくなるとされています。外壁内部に湿気が滞留すると、塗膜の膨れや剥がれなどの原因になることがありますが、透湿性の高いアクリル塗料であればこうしたトラブルを抑える効果が期待できます。
特に、吸水しやすい性質を持つALCパネル(珪石・セメント・石灰・発泡剤などから作られる軽量気泡コンクリートの外壁)では、透湿性を備えた塗料が適しているとされています。
アクリル塗料は、1液型の製品が多く、取り扱いが比較的簡単な点もメリットです。
1液型とは、主剤と硬化剤を混ぜて使用する必要がない塗料で、水や溶剤で希釈するだけで使用できるタイプを指します。
一方、2液型の塗料は使用前に主剤と硬化剤を混合する必要があり、調合や使用時間の管理が求められます。1液型が多いアクリル塗料はこうした工程が不要なため、施工時の手間が少なく、扱いやすい塗料とされています。
また、乾燥が比較的早く、既存の塗膜への密着性も良好なため、重ね塗りもしやすいという特徴があります。こうした扱いやすさから、室内塗装や家具塗装など、DIY用途で利用されるケースが多いです。
アクリル塗料のデメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
アクリル塗料の大きな弱点は、耐久性が他の塗料と比べて低いことです。
一般的な耐用年数は5〜8年程度とされており、他の塗料と比べると塗膜の寿命が短いといえます。
耐久性が低い主な要因は、紫外線の影響を受けやすい点にあります。太陽光に含まれる紫外線は塗膜の分子構造を徐々に破壊し、塗料の劣化を進行させる原因です。その結果、時間の経過とともに光沢が失われ、色あせや変色が目立つようになります。
外壁塗装では「どれだけ長く建物を保護できるか」が重要な判断基準となるため、耐久性の低さはアクリル塗料が選ばれにくくなっている理由の1つです。
アクリル塗料は、塗膜が比較的硬い性質を持つため、温度変化や外部からの衝撃によってひび割れが生じやすいです。
塗膜の柔軟性を高めるために可塑剤(柔軟性を与えて加工しやすくするために添加する液状の化学物質)が加えられることもありますが、紫外線の影響を受けることで徐々に失われていきます。そのため、時間がたつにつれて塗膜の柔軟性が低下し、3〜5年程度で硬化が進むことでひび割れが起こってしまいます。
塗膜にひび割れが発生すると、外壁材との密着性が低下したり、隙間から水分が侵入しやすくなるため、本来の防水・保護機能を十分に発揮できなくなる可能性があります。
前述のとおり、アクリル塗料は耐久性が低いため、塗り替えのサイクルが短くなる傾向があります。初期費用は安いものの、塗り替えの回数が増えることで、長期的には他の塗料よりもトータルコストが高くなるケースがあります。
外壁塗装では、再塗装のたびに塗料費だけでなく、足場設置費や職人の人件費なども発生します。足場費用だけでも一般的に15万〜25万円程度かかることが多く、塗り替え回数が増えるほど総費用は大きくなります。
短期的には費用を抑えられる塗料であっても、長期的な維持管理まで考えるとコストパフォーマンスが低くなる点には注意が必要です。
代表的なアクリル塗料の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
水性アクリル塗料は、水を主な溶剤として使用している塗料です。
臭いが比較的少なく、取り扱いやすいことから、室内塗装やDIY用途などで広く使用されています。ホームセンターなどで販売されている塗料の中にも水性アクリル塗料は多く、扱いやすさから初心者でも使用しやすい塗料として知られています。
また、内壁や木部、金属部などさまざまな場所に使用できる点も特徴です。紫外線や雨風の影響を受けにくい室内塗装では、耐久性の低さが問題になりにくいため、水性アクリル塗料が選ばれるケースが多くあります。
油性アクリル塗料は、有機溶剤を使用しているタイプのアクリル塗料です。
水性塗料と比べて塗膜が強く、金属部や屋外部材などの塗装に使われることがあります。
ただし、有機溶剤を含むため塗装時には臭いが発生しやすく、作業時には換気などの対策が必要になる場合があります。そのため、現在では室内塗装では水性タイプが選ばれることが多く、用途によって使い分けられています。
アクリル塗料は長い歴史を持つ塗料であるため、多くの塗料メーカーからさまざまな製品が販売されています。代表的なメーカーは、次のとおりです。
それぞれの製品と特徴を分かりやすく解説します。
日本ペイントは国内大手の塗料メーカーで、建築用塗料をはじめ幅広い製品を展開しています。
「水性ケンエースグロス」は、アクリル系塗料の代表的な製品として知られています。水性タイプのつや有り塗料で、内装から外壁までさまざまな部位に対応できる汎用性の高さが特徴です。既存塗膜への付着性が高く、改修工事の際に使用されることもあります。また、防藻・防カビ性能を備えている点も特徴の1つです。
同シリーズには、ヤニやしみを抑える機能を強化した「ケンエースG-Ⅱ」もあり、汚れが出やすい下地への塗装に適した製品として知られています。
さらに、つや消し仕上げの「水性ケンエース」は室内塗装でも使用されることが多く、水性で扱いやすい点が特徴です。
関西ペイントは住宅や建築分野で多くの塗料を提供しているメーカーです。
アクリル系塗料の中では「アレスアクアグロス」が代表的な製品として知られています。水性塗料で乾燥性に優れており、屋内外のさまざまな場所で使用できる点が特徴です。塗装後は光沢感のある仕上がりになり、厚みのある塗膜を形成できる点も評価されています。
また、「アレスアクアビルド」は防カビ・防藻性や耐水性などを高めた塗料で、付着性にも配慮された設計となっています。下地の状態によってはシーラーを使用せずに塗装できる場合もあり、施工性の良さが特徴です。
さらに「ビニデラックス」はローラーや刷毛による施工に対応した塗料で、落ち着いた仕上がりが得られる製品として知られています。
エスケー化研は建築用塗料を中心に展開しているメーカーで、外壁塗装用塗料でも多くの製品を提供しています。
アクリル系塗料の代表的な製品には「水性コンポアクリル」があります。1液タイプの塗料で混合作業が不要なため、作業性に優れている点が特徴です。塗膜が緻密に形成されるため、ほこりや汚れが付着しにくく、カビや藻の発生を抑える性能も備えています。
この他、低汚染性を重視した「ニュートップレスクリーン」や、自然石のような質感を表現できる意匠性塗料「エレガンストーンベルアート」など、用途や仕上がりに応じた製品も展開しています。
ここからは、外壁・内装・その他の部位ごとに、アクリル塗料が適しているケースについて解説します。
前述のとおり、アクリル塗料は紫外線による劣化が比較的早く、耐用年数もおおむね5〜7年程度と短めであることから、現在の外壁塗装では主流の選択肢とはいえません。
ただし、状況によっては使用されることもあります。例えば、将来的に建て替えや大規模な改修を予定している建物では、長期間の耐久性よりもコストを抑えることが優先される場合があります。また、一時的に外観を整える目的で塗装を行うケースでも、費用を抑えられる塗料として検討されることがあります。
長期間メンテナンスの回数を減らしたい場合には、シリコン塗料やフッ素塗料など、より耐久性の高い塗料が選ばれることが一般的です。
室内の壁や天井などの塗装では、外壁ほど厳しい環境にさらされることがないため、アクリル塗料の性能でも十分対応できます。特に、見た目の仕上がりや施工のしやすさを重視する場合には、アクリル塗料が選ばれることが多いです。
アクリル塗料は発色が鮮やかで、色の種類も豊富なため、インテリアの雰囲気に合わせて多彩なカラーを選びやすいという特徴があります。また、水性タイプの製品が多く、塗装時の臭いが比較的少ないことから、室内作業でも扱いやすい塗料といえます。
さらに、1液型の製品は希釈するだけで使えるものが多く、施工の手間が少ないため、DIY塗装でも利用されます。
アクリル塗料は透湿性が高く、塗膜が水蒸気を通しやすいという性質があります。
この特徴により、湿気がこもりやすい場所では内部にたまった水分を外へ逃がしやすく、塗膜の膨れや剥がれを抑えやすいとされています。
そのため、軒裏(軒天)などの通気性が求められる部分では、アクリル塗料が適している場合が多いです。
塗料には、アクリル塗料の他にもさまざまな種類があります。塗料は主成分となる樹脂の種類によって分類され、それぞれ耐久性や価格、性能に違いがあります。
ここでは、外壁塗装でよく使用される代表的な塗料とアクリル塗料の違いを紹介します。
エナメル塗料は油性やアルキド樹脂を主成分とする塗料です。酸化反応によって硬化するため、硬くツヤのある塗膜を形成でき、傷や摩耗に強い特徴があります。ただし乾燥に時間がかかり、施工時は換気が必要です。
一方、アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分とし、水分の蒸発によって乾燥します。乾燥が比較的早く、重ね塗りしやすい点が特徴です。
こうした成分や乾燥方法の違いにより、エナメルは光沢のある仕上がりになり、アクリルはマットで柔らかな質感に仕上がる傾向があります。
エナメル塗料は家具や金属部品など耐久性や美観が求められる箇所に適しています。一方、アクリル塗料は内装やDIYなど、扱いやすさや作業性を重視する場面で使用されることが多い塗料です。
ラッカー塗料は、揮発性の高い溶剤に樹脂を溶かした塗料です。溶剤が蒸発することで一気に乾燥します。乾燥時間が非常に短く、工程をスムーズに進められる点が特徴で、DIYや模型制作、工業用途などで幅広く使用されています。塗膜は軽くて硬い仕上がりになりますが、下地との密着性はやや弱く、経年によってひび割れや剥がれが起こることがあります。また、強い溶剤を使用するため、施工時は換気が欠かせません。
一方、アクリル塗料は主に水分の蒸発によって乾燥し、臭いが比較的少なく扱いやすい点が特徴です。ラッカー塗料ほどの速乾性はありませんが、重ね塗りしやすく、安定した仕上がりが得られます。
このように、ラッカー塗料は速乾性と作業効率、アクリル塗料は扱いやすさと施工性に強みがあるという違いがあります。

ウレタン塗料は、ポリウレタン樹脂を主成分とする塗料です。
ウレタン塗料には有機溶剤を含む製品も多く、塗膜の強度や密着性が高いという特徴があります。そのため、外壁だけでなく木部や鉄部など、さまざまな素材の塗装にも使用されることが多いです。
アクリル塗料とウレタン塗料はどちらも建築塗装やDIYなどで利用される塗料ですが、主成分となる樹脂の違いによって性能や用途が異なる塗料です。塗装する場所や求める性能に応じて、適切な塗料を選びましょう。
シリコン塗料は、シリコン樹脂を主成分とする塗料です。
シリコン樹脂は耐候性や耐久性に優れていることから、建物の外壁塗装に適した塗料として広く使用されています。
現在の住宅塗装では、価格と耐久性のバランスが良いことから、シリコン塗料が主流です。
フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分として作られた塗料です。
フッ素塗料は、特に耐久性に優れた塗料として知られています。高い耐久性を持つ理由の1つは、フッ素樹脂の分子構造の安定性にあります。フッ素樹脂は炭素とフッ素の結合(C-F結合)が非常に強く、紫外線による影響を受けにくい性質を持っています。
さらに、フッ素塗料は汚れが付きにくく、雨で洗い流されやすい性質も持っています。外壁に付着した排気ガスやほこりなどが雨水によって流れ落ちやすいため、外観をきれいな状態で維持しやすい塗料とされています。
こうした高い耐久性と防汚性から、実際に東京スカイツリーや六本木ヒルズのような、大規模で塗り替えが容易ではない建築物でも使用されている塗料です。
無機塗料とは、無機成分を主成分として配合した塗料です。ここでいう「無機」とは、炭素を含まない物質のことを指します。
塗料は大きく有機塗料と無機塗料に分類されます。アクリル塗料やウレタン塗料、シリコン塗料などは、炭素を含む有機樹脂を主成分として塗膜を形成するため「有機塗料」に分類されます。
無機物は炭素を含まないため、紫外線などによる分解が起こりにくく、非常に安定した性質を持っています。無機塗料はこうした無機成分の特性を生かしているため、耐久性が高く長持ちしやすい塗料とされています。