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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「リフォーム業ってどんな仕事なの?」と疑問に思ったことはありませんか? 住まいの改修需要が高まる中、リフォーム業界への関心を持つ人が増えています。一方で、業者の種類が幅広く、必要な資格や将来性など、分かりにくい点が多いのも事実です。 本記事では、リフォーム業の仕事内容や必要な資格などを総合的に解説します。
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まず、リフォーム業の基本的な情報を詳しく解説します。

リフォームとは、既存の建物に手を加えて劣化部分を修繕したり、設備を交換したりして、快適さや安全性を維持・改善する工事を指します。
大きな特徴は「建物の価値を元の状態に近づける、または少し向上させること」を目的としている点です。
そのため、「老朽化への対策」「使いづらい部分の改善」「設備のアップデート」など、日常生活に直結した工事が多く行われます。
リノベーションは、既存の建物に大きな改良を加えて、新たな価値や使い心地を生み出す工事のことを指します。
英語の「renovation」には「刷新」「再生」といった意味があり、間取りの再設計や設備の総入れ替え、性能を底上げする工事など、住まいそのものをアップグレードすることが主な目的です。中古住宅を自分たちの生活スタイルに合わせて作り替えたり、家族構成の変化に合わせて暮らしやすい空間へ整えるケースが典型的です。
リフォームは、経年によって傷んだ部分や不具合が出てきた箇所を直し、元の状態に近づけるための工事を指します。
リフォームは「現状の補修」が中心であり、リノベーションは「価値の再構築」が目的という違いがあります。
新築住宅の取得が難しくなっている現在、既存の住まいを活用する動きが強まり、リフォーム市場は活況が続いています。
2023年の市場規模は約7.3兆円とされ、コロナ禍で高まった「自宅を整えたい」という意識や在宅勤務の定着が需要を押し上げました。耐震性の向上や段差解消、省エネ性能の強化など、住まいの質を高める改修が増えている点も特徴です。
また、政府が行う断熱改修やエコ関連の補助制度が利用しやすくなったことで、改修へのハードルが下がり、業界全体の追い風となっています。中古住宅を購入し、自分の生活に合わせて手を加える人が増えていることも市場拡大の要因です。
こうした背景を踏まえ、建設会社だけでなく、家電量販店や家具店、ホームセンターなど異業種からの参入が増え、業界はより多様な企業が参入する成長市場へと変化しています。
リフォーム業者の種類は、次のとおりです。
● リフォーム専門会社
● ハウスメーカー系リフォーム会社
● 住宅設備・建材メーカー系リフォーム会社
● 工務店型リフォーム会社
● 設計事務所・建築事務所系リフォーム会社
● 不動産会社系リフォーム会社
● 異業種参入のリフォーム会社
それぞれを詳しく解説します。
まず、新築工事は請け負わずリフォーム・リノベーションに特化して事業を行う企業です。
「リフォーム」「リノベーション」を冠した社名が多く、住まいの改善に関する専門知識や施工実績が豊富な点が特徴です。
ただし、会社ごとに得意とするテイストや材料選びの傾向が明確なことも多く、依頼内容と企業の方向性が合わないと仕上がりに違和感が生じる可能性があります。依頼前に施工事例をチェックし、「自分の好みと相性が良いか」を確認してから相談することが大切です。
大手ハウスメーカーが母体となって運営するリフォーム部門で、テレビCMや広告で知名度が高い企業が多い業態です。
本来は自社施工の住宅を長期的にフォローする目的で始まったサービスですが、近年は他社の建物にも積極的に対応範囲を広げています。全国各地に支店を構えているため、どのエリアでも一定水準の品質でリフォームを依頼できる点が大手ならではの強みです。
ただし、大規模企業ゆえに宣伝費や人件費といった固定コストがかかるため、工事価格が高めに設定される傾向があります。安心感を重視する人には向いていますが、細かいカスタマイズを求める場合は事前の確認が重要です。
キッチンやバスルーム、トイレ、サッシといった住まいの設備や建材を製造しているメーカーが、リフォーム部門としてサービスを展開しているタイプです。
LIXIL・TOTOのような大手メーカーがよく知られており、全国に広がる代理店網を活用し、どの地域でも同レベルの施工体制を整えている点が特徴です。自社の製品性能に精通しているため、水まわり設備の入れ替えや部分的な改修は特に得意分野といえます。
一方で、取り扱い製品が自社ブランドに限られるため、「メーカーを比較して選びたい」「デザイン性の幅を広げたい」という場合は選択肢が狭くなってしまいます。また、構造を大きく変える工事やデザイン重視のリノベーションなど、専門性の高い施工には対応していないケースもあるため、工事内容によって向き不向きが明確な業態です。
地域で長く営業している工務店がリフォーム事業を行うタイプで、その土地特有の気候や建物事情に詳しい点が最大の強みです。
営業エリアを限定している分、広告費や輸送コストが少なく、比較的手頃な価格で依頼しやすい点が特徴です。腕の良い職人が在籍しているケースが多く、仕上がりの精度にも期待できます。
一方で、会社ごとにデザインや提案力にバラつきがあり、モダンな意匠や大規模なリノベーションを重視する場合は向き不向きが出ることに注意が必要です。
設計事務所・建築事務所系リフォーム会社は、建築士やデザイナーが中心となって手がけており、住まいの造りや暮らし方を一から見直すような大規模な改修やデザイン性の高いリノベーションを得意としています。
テレビ番組で紹介される劇的なリフォームも、このタイプが担当することが多い業態です。
一方で、設計と工事を分けて進めることが一般的で、施工は別の工務店に依頼するケースが多いです。そのため、打ち合わせの回数が増えたり、工期が長くなる場合があります。
中古物件の紹介とリフォームを一体で扱う企業です。
家探しと改修を同時に進められるため、手続きの煩雑さが軽減され、スケジュール管理もしやすい点が魅力です。初めて住宅を購入する人や中古住宅をベースに自分好みの住まいをつくりたい層に多く利用されています。
ただし、会社によっては不動産部門と施工部門の連携が弱いことがあり、ワンストップ対応を本当に実現できているか事前確認が必要です。
建築業とは別分野で事業を展開していた企業が、住まいの改修サービスへ進出しているケースです。代表的な例として、家具メーカーやインテリアショップ、家電量販店、ホームセンター、水道・電気・ガスといったインフラ企業などがあります。
自社が扱う商品やサービスと組み合わせた提案がしやすい点が特徴で、家具メーカーであれば内装の雰囲気と家具をまとめてコーディネートしやすいなど、他にないメリットがあります。
一方で、リフォーム事業としての歴史が浅い企業も多く、施工のノウハウや現場管理は提携業者に委託されることが一般的です。そのため、工事の規模が大きくなるほど専門会社との違いが出やすく、対応力にばらつきが生じる可能性があります。
リフォーム業の仕事内容は、次のとおりです。
● ヒアリングと要望整理
● 現場調査
● 見積もりと提案
● 工事計画の作成と準備
● 施工業者との連携
● 現場監理
それぞれを詳しく解説します。
リフォームの工程は、依頼者がどんな暮らしを望んでいるのかを把握するヒアリングから始まります。
設備の不具合など明確な課題があるケースは比較的整理しやすい一方で、内装全体の刷新や間取り変更を検討している場合は、希望するイメージ・優先順位・生活動線など細かな内容まで掘り下げる必要があります。
さらに、工事の規模によっては実際に作業を担当する職人や専門業者にも参加してもらい、技術的に可能か、どのような方法なら実現しやすいかを慎重に確認します。打ち合わせによって依頼者が抱く理想と施工側の判断をすり合わせ、計画全体の方向性を固めていくことが重要なステップです。
現場調査では、ヒアリングで聞き取った内容が本当にその建物で実現できるかを確認していきます。
図面だけでは分からない壁や天井の構造、造作や建具の寸法、既存設備の位置、配管・配線の取り回しなどを一つ一つチェックし、必要な工事範囲を具体的にしていきます。併せて、資材や機器を搬入・搬出するルートが確保できるか、作業スペースは十分か、近隣への騒音・振動の影響がどの程度想定されるかといった点も現地で確認します。
ここでの見落としは、工事の遅延や追加費用、トラブルの原因になりやすいため、細かな採寸や写真記録を残しながら入念に調査を進めることが重要です。
現場調査で得た情報を基に、必要な工事内容を整理し、材料費・人件費・工期などを反映させた見積書を作成します。
多くの場合はあらかじめ予算が示されているため、希望内容と金額が合わない場合には、仕様変更や工法の工夫など、品質を保ちながら費用を抑えるための提案(VE案)を用意することも求められます。
また、リフォーム工事は既存の建物を扱うため、壁を壊して初めて分かる劣化や追加補修の必要性が後から発生することも珍しくありません。事前に考えられるリスクや追加費用の可能性を共有し、依頼者が納得した上で工事に進めるよう、丁寧な説明と透明性のある提案が重要です。
見積もりへの同意を得た後は、実際の施工に向けて詳細な計画づくりを進めます。
まず、工事の順番・期間・職人や業者の手配を整理した工程表を作成し、作業が滞りなく進むよう全体の流れを固めます。工事内容によっては、行政への申請や許可が必要となる場合もあるため、着工前に必要な手続きを漏れなく進めることが重要です。
さらに、騒音や資材搬入によって周囲に負担がかかる可能性があるため、近隣住民へのあいさつや事前説明も欠かせません。こうした準備を丁寧に行うことで、工事中のトラブルを減らし、スムーズな施工につながります。
実際の工事をスムーズに進めるためには、設備工事業者や各専門職の職人たちと綿密に連携することが欠かせません。
リフォームは居住中の住宅で作業を行うケースが多いため、作業時間帯の調整、騒音や振動への配慮、資材や機器の搬入経路の確保など生活への影響を最小限に抑えるための計画づくりが求められます。工程表を基に各作業の順番や担当範囲を確認し、職人同士の作業が重ならないよう段取りを組むことで、手戻りやトラブルを防ぎます。
また、予期せぬ事態が起きた際に迅速に対応できるよう、連絡体制を整えながら工事全体を統括していくことも重要な役割です。
工事が始まると、現場では複数の職人や業者が入れ替わりながら作業を進めるため、全体を統括する現場管理が重要です。
作業エリアの養生が丁寧に行われているか、工具や資材が安全に扱われているかといった基本的な管理に加え、仕上がりの品質が計画どおりになっているかも細かくチェックします。依頼者に対しては、工事の進捗(しんちょく)や今後の作業内容をこまめに伝えることで安心感を高められます。
また、リフォーム現場では騒音や粉じんが生じやすく、近隣トラブルにつながることも少なくありません。事前に防音・防塵対策を講じる他、周囲への気配りを徹底することで、問題の発生を抑えながら安全で円滑な施工環境をつくっていきます。
リフォーム業に必要な資格について、分かりやすく解説します。
リフォーム業を始める上で、必ずしも特別な資格が求められるわけではありません。多くのリフォーム工事は法律上「軽微な工事」と位置付けられ、一定の規模を下回る内容であれば、資格や建設業許可がなくても施工が可能とされているためです。
例えば、住宅設備の交換や内装の張り替えといった比較的簡易な修繕などは、小規模リフォームとして扱われることが多く、実際に無資格で事業を行う会社も少なくありません。
ただし、扱う工事内容によっては、専門的な知識や技術が求められるケースもあります。
前述のとおり、リフォーム業では資格が必須というわけではありませんが、専門資格を持つことで受注できる工事の範囲が広がり、提案力や信頼性にも大きく影響します。
リフォーム業を行うにあたって、あると便利な主な資格は次のとおりです。
● 建築士(1級・2級・木造):構造変更・増改築・大規模リフォームの設計が可能
● 建築施工管理技士(1級・2級):現場管理・工程管理の質が向上
● インテリアコーディネーター:デザイン提案力アップ、内装リフォームに強い
● 電気工事士(第一種・第二種):照明、コンセント、配線などの電気工事に対応
● 給水装置工事主任技術者:給水設備の工事・改修を自社対応できる
● 管工事施工管理技士:設備交換、給排水工事の品質管理に役立つ
例えば、建築士の資格を保有していれば、構造に関する判断や大規模な間取り変更にも対応でき、高度な設計提案が可能です。また、インテリアコーディネーターであれば、配色や素材選び、空間デザインの提案力が高まるため、デザイン性を重視する顧客からの評価も上がります。
資格は「できる工事が増える」という実務面だけでなく、「他社との差別化」や「信頼の獲得」というビジネス面でも大きな強みになるといえるでしょう。
リフォーム会社に必要な許可について、分かりやすく解説します。
リフォーム会社が工事を請け負う場合でも、全ての現場で建設業許可が求められるわけではありません。
本来、建設業として仕事をするには許可が必要ですが、実際には許可を受けずに営業しているリフォーム会社も数多く存在します。これは、一般的な住まいのリフォームの多くが法令上「軽微な工事」とされ、一定の範囲内であれば無許可でも施工が認められているためです。例えば、クロス張替えや部分的な設備交換のような小規模工事は、法律上許可なしで請け負って問題ありません。
ただし、全ての工事が例外なく「軽微」に当たるわけではありません。工事の種類や金額が法律で定められた基準を上回ると、建設業許可を取得していなければ契約そのものができなくなるため注意が必要です。
リフォーム会社が許可を取得しなければならないのは、工事の規模や内容が「軽微な工事」の範囲を超える場合です。
具体的には次のようなケースが該当します。
● 建築一式工事(家全体の改修など)で工事金額が1,500万円以上になる場合、または150㎡を超える木造住宅の工事を請け負う場合は、許可の取得が必須です。
● 内装・電気・水道・屋根などの専門工事で1件当たり500万円以上の契約を結ぶ場合
「一式工事(企画・指導・調整の下行う工事)」以外の個別工事は、500万円が許可の有無を分ける基準です。
この基準を超えるリフォームを無許可で請け負うことは、建設業法違反となり、行政処分や罰則の対象になる可能性があります。そのため、事業者は「自社が扱う工事が軽微に分類されるか」「金額が許容範囲内か」を事前に確認しておく必要があります。
建設業許可は、リフォームで扱う工事の内容ごとに細かく区分されており、全部で28種類あります。
内装仕上げや電気工事、屋根工事、管工事など分野ごとに取得する許可が異なるため、会社は自社が手がける工事に合わせて必要な許可をそろえる必要があります。許可は5年間の有効期限があり、継続して工事を請け負うためには更新が欠かせません。
注意点は、特定の工種で許可を取得していても、別の工種の大きな工事は契約できないという点です。例外的に「付帯工事」と認められる作業は許可がなくても実施できます。例えば、屋根の張替えに必要な足場の設置などがこれに該当し、主となる工事の実施に不可欠な作業なら追加の許可は不要です。
最後に、リフォームに関するよくある質問とその回答を紹介します。
リフォーム業界は企業規模や職種によって年収差が大きく、業界全体として「年収の幅が広い」点が特徴です。
最新の上場企業のデータを見ると、上位企業では平均年収が900万円を超えるケースがある一方、下位の企業では全国平均を下回る水準にとどまるなど、企業間の格差が大きい状況です。
全体をならすと、リフォーム関連の平均年収は350万〜950万円程度と推定され、営業・設計・施工管理など職種によっても大きく変動します。
リフォーム業が「きつい」と感じる要因は、工期に合わせたスケジュール管理や現場調整が多く、繁忙期には拘束時間が伸びやすい点が挙げられます。
施主への配慮や近隣対応など精神的な気疲れが生じることもあります。ただし、段取り力が身につき、達成感や感謝される場面も多いため、やりがいを感じる人が多い業界でもあります。