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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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作業工程表と聞いて、「行程表との違いがいまいち分からない」など疑問を感じていませんか。 理解が曖昧なまま作業工程表を作ってしまうと、進捗(しんちょく)が把握しづらくなったり、現場と管理側で認識のズレが生じたりして、工期の遅れや無駄なコストにつながる恐れがあります。 本記事では、作業工程表の基本的な意味から、行程表との違い、工程表の種類、作り方・作成手順、作成時のポイントなどを分かりやすく解説します。
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まず、作業工程表の基本的な情報を分かりやすく解説します。
作業工程表とは、主に建設工事や工事現場において用いられる計画表で、工事を構成する各作業を時系列で整理し、スケジュールとして可視化したものを指します。
建設プロジェクトでは、基礎工事や、躯体工事、仕上げ工事といったように、複数の工程が段階的かつ連続的に進行します。作業工程表は、こうした工程をさらに細かい作業単位に分解し、それぞれの作業がいつ実施されるのかを一覧で確認できる形にまとめた資料です。
工事の進行に応じて内容が更新されることも多く、計画と実際の作業状況を整理するための基礎資料として位置付けられます。
行程表は、時間の流れに沿って予定やスケジュールの全体像を示すための表です。
目的地やゴールに至るまでの道筋を大まかに整理する役割があり、手順や進め方にある程度の幅を持たせている点が特徴です。旅行の旅程表やイベントの進行表、交通機関の運行予定など、計画の流れを把握するために用いられるケースが多く見られます。
これに対して工程表は、作業やプロジェクトを計画どおりに進めるために、作業内容や順序、実施時期を具体的に落とし込んだ管理表です。
つまり、行程表が予定の流れを示すものだとすれば、工程表は作業の実行計画を管理するための表といえます。用途や求められる精度が異なるため、場面に応じて使い分けることが重要です。
作業工程表の役割は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
作業工程表の最も基本的な役割は、定められた期限を確実に守ることにあります。
工程表には詳細な工数やスケジュールが網羅されているため、これに沿ってプロジェクトを進めることで、計画どおりの納期を実現できます。
納期を厳守し続ける姿勢は、顧客からの厚い信頼につながります。
作業工程表を用いることで、プロジェクト全体を見ながら人員や資材の最適な配置を検討できます。
作成段階で各工程を細かく見直すことにより、これまで慣習的に行っていた作業の中に省略できる部分や工夫次第で短縮可能な工程を発見できることも少なくありません。また、進捗の要となる工程に人員を集中させたり、逆に過剰な人員を割かなくても同等の成果が望める工程を特定したりと、状況に応じた柔軟な判断が可能です。
このように、必要な場所へ必要な分だけの人員・資材を投入することこそが、プロジェクトの生産性を最大化させる鍵といえます。
作業工程表の役割は、各作業の進捗状況を一覧で正確に確認できることにもあります。
全体の進みが遅れている工程や、何らかの理由で停滞している作業を早期に把握できるため、現場での原因分析や迅速なリカバリー対応がスムーズに行えます。
このように適切な進捗管理が徹底されることで、場当たり的な対応が減り、現場全体の作業効率が飛躍的に向上します。その結果として、予期せぬ事態にも動じない安定したプロジェクト運営が実現可能です。
作業工程表は、突発的なトラブルや予期せぬ事態への備えとしての重要な役割もあります。
計画段階で余裕をもった工程を設計しておくことで、天候不良や資材調達の遅れといった不可抗力の事態が発生した場合でも、プロジェクト全体への悪影響を最小限に抑えられます。
また、各工程の前後関係やつながりを事前に整理しておくことで、特定の作業で生じた遅延が後続のどの工程にまで波及するのかを正確に判断でき、迅速かつ的確なリスク管理の実現につながります。
多くの専門業者が同時に関わる建設現場では、作業工程表の共有によって、全員が「いつ、誰が、どこで、何をするか」という同じスケジュール感を共有できます。
作業工程表が共通の指標となることで、現場内での認識のズレや連携不足を防ぎ、どの作業が終われば次の担当者へバトンタッチできるのかという「作業のつながり」も明確になります。
その結果として、関係者間でのコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトを成功へ導くための信頼関係を築くことにつながります。
作業工程表の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
バーチャート工程表は、建設業界の施工管理などで最も広く普及している形式です。
縦軸に作業項目、横軸に日付を記入するシンプルな構成で、作業の全体像や各工程にかかる日数を視覚的にパッと把握できる点が最大の特徴です。
特別な知識がなくても作成や修正が容易で、誰が見てもスケジュールを理解しやすい点がメリットですが、作業同士のつながりが見えにくいという側面もあります。
そのため、ある作業の遅れが他の作業にどう影響するかといった、複雑な進捗管理には工夫が必要です。
ガントチャート工程表は、バーチャート工程表と似た構成を持ちながら、横軸に進捗率を用いる点が特徴です。
作業項目を縦軸に並べ、各作業がどの程度進んでいるかを視覚的に確認できます。作成や修正がしやすく、スケジュールの見やすさという点ではバーチャートと共通しています。さらに、作業日付を併記することで、進捗状況とスケジュールを同時に把握可能です。
ただし、こちらもタスク間の関連性を把握するのには向いておらず、複雑な工程管理には工夫が必要です。
曲線式工程表は、縦軸に進捗、横軸に日時を取り、曲線によって進捗の推移を表す作業工程表です。
バーチャートとガントチャートの要素を併せ持ち、スケジュールと進捗率の両方を確認できるという特徴があります。作業の進み具合を連続的に把握できるため、どの時点で進捗が遅れているかを視覚的に判断できます。
一方で、作成方法が比較的複雑で、慣れるまでに時間がかかる点や、個々のタスク間の関係性を把握しづらい点がデメリットとして挙げられます。
工程管理曲線は、縦軸に進捗率、横軸に日時を設定し、全体の進捗状況を曲線で示す作業工程表です。
「バナナ曲線」や「Sカーブ」と呼ばれることもあり、プロジェクト全体が計画どおり進んでいるかを確認するのに適しています。上方・下方の許容限界曲線を設定することで、どの程度の進み具合や遅れが許容範囲なのか把握可能です。
ただし、個別の作業単位での進捗確認には向いておらず、全体管理に特化した工程表といえます。
ネットワーク工程表は、円と矢印を用いて作業の順序や依存関係を表現する作業工程表です。
矢印には作業内容と作業に必要な日数を記載するため、どの作業を終えなければ次の作業に着手できないのかが一目で分かります。その結果、作業の順番を入れ替えられない工程や、前の作業が完了しないと進めない工程を明確に整理できます。こうした特徴から、工程の順序があらかじめ決まっている作業や段階的に進める必要があるプロジェクトの管理に適しています。
一方で、作成には専門的な知識が求められ、進捗状況を直感的に把握しにくい点には注意が必要です。
作業工程表の作り方は次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
手軽に工程表を作成したい場合は、ExcelやWordのテンプレート活用がおすすめです。
Excelは表計算機能を生かして、スケジュールの色分けや進捗率の算出が容易に行えるため、現場の状況に合わせた細かなカスタマイズが可能です。一方、Wordは文章を主体とした報告書や提案書の一部として工程表を組み込む際に、美しいレイアウトを保てる利点があります。
ただし、規模が大きくなると手動での更新や共有に限界が生じるため、小中規模の案件で特に力を発揮する手法です。
管理の精度とスピードを追求するなら、専用の工程管理システムを活用した作成がおすすめです。
システム上ではスケジュールや担当者、進捗状況がリアルタイムで統合されるため、Excel管理で起こりがちな情報の先祖返りや入力ミスを防げます。導入コストは発生しますが、複雑な工程が絡み合うプロジェクトでも、遅延の兆候を自動で検知し迅速な判断ができる点は大きな魅力です。
自社の業務フローに適合する操作性や費用感を事前に比較検討することで、管理業務そのものを大幅に効率化し、現場の生産性を底上げできます。
現場での機動力を重視する場合には、クラウドサービスやスマートフォンアプリを活用すると良いでしょう。
最大の特徴は、現場にいながらその場で進捗を更新でき、事務所や他のスタッフと即座に情報を一元化できる点にあります。同時編集や自動保存といったクラウドならではの機能により、連絡の行き違いや情報の属人化を解消できます。
直感的なインターフェースを備えたものが多く、デバイスを選ばず操作できるため、刻々と変化する現場の最新状況を迅速に反映させたい現代のビジネス環境において、非常に有効な手段といえるでしょう。
作業工程表の作成手順は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
はじめに行うべきことは、施工全体の流れを整理し、作業手順を明確にすることです。
工事や作業を大きな括りで捉えるのではなく、実際に現場で行う作業単位まで細かく書き出す必要があります。作業内容が曖昧なままだと、工程表を作成しても具体性に欠け、現場での判断材料として活用しづらくなるためです。
特に重要な工程や遅れが全体に影響しやすい作業については、個別に工程を整理し、必要に応じて専用の工程表を作成するケースもあります。また、この段階で資材や機械、設備の有無を整理しておくことで後工程の調整がスムーズに進みます。
施工手順が固まったら、次に施工期間を設定します。
施工期間は、作業の内容や難易度、投入できる人員を踏まえて無理のない範囲で決めることが重要です。期間を短く設定しすぎると作業が過密になり、ミスや手戻りが発生しやすいです。一方で、必要以上に長く設定すると人員配置に無駄が生じ、人件費の増加につながる恐れがあります。
そのため、作業量とリソースのバランスを考慮しながら適切な施工期間を見極める必要があります。併せて、予期しない中断や遅延に備えて一定の余裕を持たせておくことも大切です。
施工期間が決まったら、各作業をどのタイミングで実施するかを整理し、工程全体を調整します。
全ての作業が納期までに完了するよう、作業の順序や重なりを意識しながら配分することが求められます。機械や設備を使用する工程がある場合は、他の作業と使用時期が重ならないよう注意が必要です。
また、突発的なトラブルが発生しても対応できるよう、工程にある程度の柔軟性を持たせておく必要もあります。
最後に、工程の組み立て方と使用する工程表の種類を決定します。
工程の考え方には、作業の流れに沿って計画を立てる方法と完了日を起点に逆算して計画を組む方法があります。工事の性質や管理目的に応じて、どちらの考え方が適しているかを判断します。
併せて、作業工程表の種類についても検討します。前述のとおり、工程表には複数の形式があるため、それぞれの特徴を踏まえ、現場や管理体制に合ったものを選ぶことが重要です。作成方法と工程表の種類が決まったら、ExcelやWord、工程管理アプリなどを用いて、具体的な工程表の作成に進みます。
工程表、とくにネットワーク工程表では、作業の流れや管理ポイントを正確に表すために、いくつかの専門用語が用いられます。
工程表で主に使用される専門用語は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
イベントは、工程の途中や節目を示す「区切り点」を表します。
工程表上では丸で表記され、識別のための番号が付けられます。番号は工程の流れに沿って順番に振られ、同じ番号を重ねて使うことはありません。
イベント自体は作業を意味するものではなく、作業が切り替わる地点を示す目印として用いられます。
アクティビティは、実際に実施される作業を指します。
工程表では、イベント同士を結ぶ矢印で表現され、作業が始まってから完了するまでの期間を示します。
矢印には作業を識別するための番号や必要な日数を記載することで、各作業の位置付けや負荷を把握しやすくなります。
ダミーは、実際の作業を伴わない補助的な要素です。
工程表の中で作業の前後関係を明確にするために使用され、順序を整理する役割を担います。
作業時間は発生しませんが、工程の流れを正しく表現するために欠かせない存在です。
最早開始時刻とは、ある作業に着手できる最も早いタイミングを示す考え方です。
前段となる作業が複数ある場合は、その中で完了までに最も時間がかかる作業を基準として決定されます。
これにより、工程上無理のない開始時点を把握できます。
最遅終了時刻は、工期全体に影響を与えずに、その作業を完了できる限界の時点を指します。
後続の作業が複数ある場合は、工程全体に与える影響が最も小さくなる条件を基に算出されます。
工程の余裕を見極めるための重要な指標です。
トータルフロートは、ある作業が遅れた場合でもプロジェクト全体の完了時期には影響しない範囲の余裕日数を表します。
この値を把握することで、どの作業に時間的な余裕があるかが判断しやすくなります。
フリーフロートは、作業が遅れたとしても、その後に続く作業へ影響を及ぼさない範囲の余裕日数を指します。
トータルフロートの一部にあたる考え方で、次工程への影響を抑えながら調整する際の目安として用いられます。
クリティカルパスは、工程の開始から完了までの中で最も長い時間を要する作業の連続した流れを意味します。
この経路上にある作業は、一つでも遅れると全体の工期に直結するため、重点的な管理が必要です。
プロジェクトの内容によっては、複数のクリティカルパスが存在する場合もあります。
作業工程表を作成するときのポイントは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
作業工程表を作成する際は、最初に使用する工程表の形式を決め、その形式に適した情報を整理することが重要です。
前述のとおり工程表には複数の種類があり、それぞれ重視する管理項目が異なります。工程の開始日と終了日を管理するものもあれば、作業の進み具合を把握することに重点を置くものもあります。
選んだ形式に合わない情報を詰め込みすぎると、工程表が分かりづらくなり、管理の精度が下がってしまいます。工程表の特性を理解した上で、必要な情報だけを整理して記載することが、使いやすさにつながります。
工程表を実務で活用するためには、作業や工程を適切な単位で区切ることが欠かせません。
作業内容が大まかすぎると、進捗状況を正確に判断できず、工程管理が形骸化する恐れがあります。工程の重なりや進行状況が把握しづらい場合は、作業をさらに細かく分解することで改善できます。
管理対象は増えますが、その分、工程の状態を具体的に把握でき、遅れや問題にも気付けます。
作業工程表は、管理者だけが確認する資料ではありません。現場で作業を行う担当者を含め、関係者全員が工程を把握できてはじめて意味を持ちます。
そのため、専門的な表現や複雑な構成は避け、誰が見ても理解しやすい内容にすることが重要です。
文字情報だけに頼らず、色分けや配置を工夫することで、短時間でも工程の状況が伝わる工程表の作成が可能です。
工程表はデータで共有されることが多い一方で、現場では紙に出力して使用されることも多くあります。
そのため、画面上で見やすいだけでなく、印刷後も判読しやすい構成になっているかを意識することが大切です。文字が小さくなりすぎないか、ページが不自然な位置で分かれていないかなど、実際の利用シーンを想定して確認しましょう。
白黒印刷でも情報が読み取れるかどうかもあらかじめチェックしておくと安心です。
工程表は情報量が多くなりがちですが、装飾や要素を増やしすぎると、かえって内容が伝わりにくいです。
必要な情報に絞り、無駄を省いた構成にすることで、工程の流れや重要なポイントの把握が可能です。
色や強調表現は、重要な部分に限定して使いましょう。全体のデザインに統一感を持たせることで、工程表としての完成度も高まります。
プロジェクトの規模が大きくなると、全ての情報を1枚の工程表に盛り込むことでかえって視認性が低下し、管理が煩雑になることがあります。
このような事態を防ぐためには、作業の種類や具体的な施工エリアごとに工程表を切り分けた作成が効果的です。細分化された工程表を用いることで、各担当者が自身の受け持つ範囲の状況を詳細に把握でき、進捗の遅れや課題の特定もスムーズになります。
この際、個別の工程表とは別にプロジェクト全体の大きな流れを示す全体工程表を併せて運用することで、各セクションの動きが全体にどう連動しているかを常に整理しながら、統合的な管理ができます。
工程表を運用する際は、その情報を参照する立場や目的に応じて、時間軸の細かさを適切に使い分けることも重要です。
例えば、日々の具体的な作業を指揮する現場レベルでは、時間単位や日単位での詳細なスケジュールが求められますが、プロジェクト全体を統括する立場では、週単位や月単位といった大きな区切りで大まかな流れを把握する方が効率的な場合もあります。
このように、必要とされる粒度に合わせて複数の時間軸で工程表を用意し、用途に応じて活用することで、個別の作業管理と全体的な進捗管理の双方をバランスよく両立できます。
工程表をデジタルデータで運用する際は、全ての関係者が常に最新の情報を確認できる環境を整えておくことが不可欠です。
情報の共有手段や更新時の取り扱い、さらには最新版の保管場所といった運用ルールが曖昧なままでは、古い計画を参照してしまうなどのミスを招き、現場の混乱を引き起こす原因となります。
プロジェクトの始動前にあらかじめ具体的な管理体制を定め、誰がいつ更新し、どのように通知するかを明確にしておくことで、継続的かつ正確な情報源としてその真価を発揮し続けられます。