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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「施工管理でもAI(人工知能)が使われているって聞くけど、実際に何ができるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。 AIと聞くと難しそうなイメージがありますが、実際には日々の業務をサポートする形で少しずつ導入が進んでいます。ただ、仕組みや活用方法を正しく理解していないと、導入のイメージがつきにくいのも事実です。 本記事では、施工管理におけるAIの役割や活用方法をはじめ、導入のメリット・注意点、具体的な活用事例まで詳しく解説します。
AI搭載
コンクルーCloud
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーCloudひとつで完結

施工管理でAIが注目されている理由は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
建設業界では、高齢化の進行と若年層の入職減少により、現場を支える人材が年々不足しています。
海外からの労働者受け入れや女性活躍の推進など、さまざまな取り組みは行われているものの、労働力不足の解消には至っていません。また、施工を担う技能者だけでなく、施工管理や技術開発に関わる人材の確保も難しくなると見られています。
こうした状況を背景に、AIを活用して業務の一部を代替・補完する動きが広がっています。限られた人数でも現場運営を維持できる体制づくりが求められる中で、AIの導入は有効な手段の1つです。
近年は、為替の影響やエネルギー価格の上昇により、建設資材の調達コストが高止まりしています。さらに、人材確保の難しさから賃金水準も上昇しており、企業のコスト負担は増加傾向にあります。
資材費は外部要因に左右されやすく、今後も不安定な状況が続くと考えられています。そのため、価格の抑制が難しい領域以外で効率化を図り、全体の収支バランスを改善する必要があります。
AIの活用により、作業工程の効率化や人員配置の最適化、データに基づいた資材管理が可能です。これにより無駄な支出を抑え、限られた予算の中でも生産性を高めることが期待されています。
建設業界では、紙の帳票や手作業による情報管理が依然として多く、デジタル化の進展が他業界に比べて遅れていると指摘されています。その結果、情報共有に時間がかかるだけでなく、入力ミスや伝達漏れといった問題も発生しやすい状況です。
こうした課題を解消するために、業務のデジタル化やデータ活用を進めるDXの取り組みが重要視されています。施工管理の現場においても、クラウドやIoTとあわせてAIを活用する動きが広がっています。
AIを導入することで、現場情報の可視化やリアルタイムでの共有が可能になり、業務の効率化と精度向上につながります。施工管理におけるDXを進める上でも、AIは中核的な役割を担う存在といえるでしょう。
施工管理にAIを活用するメリットは、次のとおりです。
それぞれを解説します。
施工管理にAIを取り入れることで、これまで人が対応していた定型業務を自動化できます。そのため、日常業務にかかる時間を大幅に短縮できる点が大きなメリットです。
その結果、施工管理者は現場判断や調整業務といったより重要度の高い業務に集中できます。少人数でも業務を回せる体制が整うため、人手不足の現場においても安定した運営が可能です。
また、AIはデータを蓄積するほど精度が高まるため、将来的には対応できる業務範囲がさらに広がることが期待されています。業務効率の改善は、工期短縮やコスト削減にも直結します。
建設現場では安全確保が最優先課題ですが、AIの活用により事故リスクを大きく抑えられます。
例えば、作業員が立ち入り禁止区域に入った場合の通知や重機の異常挙動の早期検知などが可能です。さらに、高所作業や重量物の運搬といった危険を伴う作業をAI搭載の機械やロボットが代替することで、人が危険にさらされる機会を減らせます。
こうした仕組みによって、労働災害の発生リスクを抑え、安全性の高い現場環境の実現につながります。
施工管理では、図面確認や検査業務などにおいて人的ミスが発生する可能性があります。AIを活用することで、こうしたチェック作業をデータに基づいて行えるようになり、見落としや判断のばらつきを抑えられます。
AIは大量の情報を高速で処理できるため、設計内容の整合性や法規への適合性なども効率よく確認できます。問題を早期に発見できることで、手戻りの削減やスケジュール遅延の防止につながります。
結果として、施工品質の底上げだけでなく、顧客満足度の向上にも寄与する点もメリットです。
建設業界では、熟練技術者の引退に伴い、技術やノウハウの継承が課題です。
AIを活用すれば、ベテランの作業手順や判断プロセスをデータとして記録・分析し、組織全体で共有可能です。これにより、経験に依存しない形で技能を伝えられ、若手育成の効率化にもつながります。
知識や技術を資産として蓄積できる点は、企業の長期的な競争力強化にも大きく貢献します。
施工管理AIでできることは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
AIは、現場の進捗状況や作業実績のデータを収集・整理し、工程の状態を可視化できます。これにより、各工程がどの段階にあるのかを把握しやすくなり、関係者間で同じ情報の共有が可能になります。
また、過去の進捗データや作業履歴をもとに、工程の遅れや変化を検知する仕組みも活用されています。
これにより、スケジュールの状況をデータベースとして管理できます。
現場に設置されたカメラやセンサーから取得した情報を基に、作業状況や周辺環境を把握する用途でAIが活用されています。
映像データの解析により、特定エリアへの立ち入りや作業動線の状況などを確認できます。
また、定期的に行われる巡回や目視確認の補助として、AIによるチェック機能を組み合わせることで、現場状況の把握手段を増やすことが可能です。これにより、安全管理に関する情報を継続的に記録・整理できます。
施工中に撮影される写真や検査データを自動的に分類・整理し、一定のルールに沿って管理できます。
例えば、撮影場所や工程ごとに情報を紐づけることで、記録の一貫性を保ったまま蓄積できます。
また、過去の施工データと照合しながら記録を管理することで、確認作業に必要な情報を探しやすくなります。これにより、写真や検査記録を体系的に扱える環境を構築できます。
材料費や労務費、外注費など、複数のコスト情報をまとめて管理し、工事ごとの支出状況を整理できます。異なるフォーマットで管理されていた情報を統合することで、コストデータを一元的に把握できるようになります。
さらに、過去の工事データや進行中の支出情報をもとに、現在のコスト状況を整理・更新する仕組みも取り入れられています。これにより、コストに関する情報を継続的に蓄積・参照が可能です。
日報や報告書、各種記録書類の作成において、入力補助や文章生成の機能が活用されています。あらかじめ設定されたフォーマットに沿って情報を整理することで、一定の形式で書類を作成できます。
また、現場で入力されたデータや記録内容を基に、自動で文章を生成したり、必要な項目を補完したりする機能もあります。これにより、日常的に発生する書類作成業務をシステム上で処理できます。
施工管理AIを用途ごとに整理すると、大別して以下の3つのタイプに分けられます。
それぞれを分かりやすく解説します。
画像解析系のAIは、現場で撮影された写真や映像データを基に状況を把握する用途で活用されます。撮影された画像を解析し、作業状況や対象物の状態をデータとして整理する仕組みです。
例えば、施工箇所の状態確認や記録の分類、特定の条件に該当する場面の抽出などに利用されます。人が目視で行っていた確認作業を補助する役割として導入されるケースが多く、現場の記録管理とも親和性の高い分野です。
予測系のAIは、過去の施工データや現在の進行状況をもとに、今後の工程やリスクの傾向を分析する用途で使われます。
蓄積されたデータをもとにパターンを抽出し、進捗の変化やトラブルの発生可能性を把握する仕組みです。工程の遅れや作業の偏りなど、数値や履歴から読み取れる情報を整理し、将来的な動きを予測するための補助として活用できます。
データに基づいて状況を把握する手段として導入が進んでいます。
自動化系のAIは、日報や報告書の作成、各種データ入力といった定型業務をシステム上で処理する用途で活用されます。あらかじめ設定されたフォーマットや入力ルールに沿って、情報を整理・出力する仕組みです。
現場で収集されたデータや記録内容をもとに、必要な項目を自動で整理し、書類としてまとめる機能などが該当します。日常的に発生する事務作業を対象とした活用が中心です。
施工管理AIの導入手順は、次のとおりです。
それぞれのステップを解説します。
まずは、現在の施工管理業務における課題を洗い出します。
工程の遅れが発生しやすいのか、書類作成に時間がかかっているのか、安全管理に不安があるのかなど、具体的な問題点を整理することが重要です。
その上で、どの業務をどのように改善したいのかという導入目的を明確にします。目的が曖昧なままでは、適切なツール選定や効果検証ができません。
次に、AIを適用する業務領域を決めます。
施工管理の全ての業務に一度に導入するのではなく、負担が大きい業務や定型化されている作業から優先的に検討することが一般的です。
例えば、写真整理や日報作成などの業務は比較的導入しやすく、現場への影響も小さいため、初期段階の対象として選ばれることが多い領域です。
導入目的と対象業務に応じて、適したAIツールやシステムを選定します。
施工管理AIといっても、前述のとおり画像解析や書類作成支援、工程管理など機能はさまざまであり、用途に応じた選択が必要です。
既存のシステムとの連携可否や操作性、サポート体制なども含めて比較検討し、自社の運用に適したものを選びます。
本格導入の前に、試験的に導入しておくと安心です。特定の現場や業務に絞って運用し、実際の使い勝手や運用上の課題を確認します。
この段階では、想定通りに機能するかだけでなく、現場での運用に無理がないか、既存業務との整合性が取れているかを検証することが重要です。
トライアルで得られた結果を基に、本格的に運用を開始します。
同時に、運用ルールの整備やマニュアル作成、教育体制の構築なども進めていきます。現場ごとに運用方法が異ならないよう、共通のルールを設けることで、安定した活用につながります。
導入後は、実際の運用状況をもとに改善を繰り返していくことが重要です。利用状況やデータの活用状況を確認しながら、必要に応じて設定の見直しや機能の追加を検討します。
施工管理AIは一度導入して終わりではなく、運用を通じて精度や活用範囲を広げていくものです。継続的に見直しを行うことで、現場に適した形で活用を定着させられます。
施工管理でAIを活用するときの注意点は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
施工管理AIの導入には、システム利用料や機器の準備など、一定の初期投資が必要です。さらに、運用開始後も保守対応やクラウドサービスの利用料、アップデート対応など、継続的な費用が発生します。
特に中小規模の企業では、こうしたコストが負担となるケースもあるため、導入前に費用構造を整理しておくことが重要です。
対象業務を限定した段階的な導入や既存システムとの連携を前提とした運用設計など、無理のない進め方を検討する必要があります。
AIを現場で活用するためには、現在の業務フローを把握し、どの工程に適用するかを明確にする必要があります。
施工管理業務は工程管理・品質管理・安全管理など複数の要素で構成されており、それぞれの流れが整理されていない状態では、AIを適切に組み込めません。
そのため、導入前には業務内容を可視化し、重複作業や非効率な工程を見直すことが求められます。既存の業務をそのまま置き換えるのではなく、AIの活用を前提とした形に再構成することが重要です。
新しいシステムの導入に対しては、現場で戸惑いや抵抗感が生じることがめずらしくありません。これまでのやり方と異なる操作や手順が必要になるため、運用ルールの整備や教育体制の構築が不可欠です。
導入の目的や活用方法を関係者に共有し、実際の業務にどのように組み込むのかを明確にすることで、スムーズな定着につながります。
また、マニュアルの整備や段階的な展開を行うことで、現場への影響を抑えながら運用を進められます。
AIは大量のデータを基に分析や判定を行いますが、全ての状況に対応できるわけではありません。建設現場では天候や周辺環境、突発的なトラブルなど数値化しにくい要因も多く存在します。
また、学習データの内容によっては、適切でない結果が出力される可能性もあります。そのため、AIの出力をそのまま採用するのではなく、人による確認や判断を組み合わせた運用が求められます。
最終的な意思決定は施工管理者が担い、AIはあくまで判断を補助する手段として位置づけることが重要です。
施工管理AIの具体的な活用例を紹介します。
広範囲に及ぶ建設現場では、ドローンを用いた空撮とAIによるデータ解析を組み合わせた管理手法が活用されています。上空から取得した映像を基に、現場全体の状況や作業の進み具合の把握が可能です。
また、撮影された画像を解析することで、資材の配置や数量の変化を記録として残すこともできます。これにより、現場を巡回しながら確認していた情報を、データとして蓄積・管理する仕組みが構築されています。
さらに、夜間の巡回や監視業務にドローンを利用するケースも見られ、現場管理の手段として多様な使い方が広がっています。特に規模の大きい工事では、測量や進行状況の確認にも応用されています。
建設機械や重機にAIを取り入れることで、作業の制御や運転の支援が行われています。掘削や運搬といった工程において、あらかじめ設定された条件に沿って動作を調整する仕組みです。
また、過去の作業データをもとに動き方を分析し、その結果を基に運転内容を管理する取り組みも行われています。これにより、作業履歴や稼働状況をデータとして継続的に記録できます。
加えて、機械の稼働状態をリアルタイムで把握し、異常の兆候を検知する用途にも活用されています。設備に関する情報を蓄積することで、保守や点検に関する管理体制の整備にもつながっています。
トンネル工事のように内部の状況が把握しづらい現場では、AIを用いた映像解析によって作業の進行状況を判定する仕組みが導入されています。現場に設置されたカメラから取得した映像を基に、工程の進み具合をデータ化します。
こうして整理された情報はクラウド上で管理され、関係者が同じ内容を共有できるようになります。これにより、現場ごとに異なっていた進捗の把握方法を統一可能です。
また、これまで現場担当者が確認して報告していた内容についても、データとして蓄積・参照できるため、進捗管理の手法そのものが変化しつつあります。
最後に、AIに対応する施工管理者に必要なスキルを解説します。
AIは工程データや進捗状況、各種記録をもとに分析結果を提示しますが、その内容をどのように理解し、現場に反映するかは施工管理者に委ねられます。
単に数値を確認するだけでなく、なぜこの結果になっているのか、現場の状況と整合しているかといった視点で読み解く力が重要です。例えば、工程の遅れが示されている場合でもその原因が人員配置なのか、資材の遅れなのかによって対応は変わります。
このように、データを起点に現場の状況を多角的に捉え、具体的なアクションにつなげる力が求められます。
AIを活用する現場では、データに基づく情報と実際の作業現場との間にギャップが生じることがあります。そのため、データの内容を現場の言葉に置き換え、関係者に正しく伝える役割が重要です。
例えば、AIによる分析結果をもとに工程の見直しを行う場合でも、その意図や背景を現場作業員に共有しなければ、スムーズな運用にはつながりません。
また、新しいツールや運用方法を導入する際には、関係者の理解を得ながら進める必要があります。調整や説明を通じて現場とシステムをつなぐ役割も施工管理者に求められる重要なスキルです。
建設現場では、天候の変化や資材の遅延、設備トラブルなど、事前に想定しきれない問題が発生することがあります。こうした状況に対して、迅速に対応する力は施工管理者にとって欠かせない要素です。
AIは過去のデータを基に分析や予測を行うことはできますが、全ての現場状況に対応できるわけではありません。突発的なトラブルが発生した場合には、現場の状況を正確に把握し、優先順位を整理したうえで適切な対応を判断する必要があります。
このように、AIの分析結果を参考にしながらも、現場の状況に応じて最適な対応を導く力が重要です。予測できない事象に対して柔軟に対応できる力は、AI時代においても施工管理者の中核となるスキルといえます。