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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「工事完了報告書は本当に必要なのか」などと迷った経験はないでしょうか。 工事完了報告書は法的義務がない一方で、実務ではトラブル防止や確認資料として重要な役割を担う書類です。 本記事では、工事完了報告書の基本的な意味や目的、作成・提出の流れ、記載内容や注意点までを分かりやすく解説します。初めて作成する方はもちろん、改めて整理したい方にも役立つ内容です。
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まず、工事完了報告書の基本概要を紹介します。
工事完了報告書とは、請負契約に基づいて行われた工事が、予定していた内容どおりに終了したことを施工側が関係者へ伝えるための書面です。
主に工事を実施した業者が作成し、元請業者や発注者に提出されます。
口頭や簡易な連絡とは異なり、後から工事の実態を振り返るための証拠性を持つ点が特徴で、引き渡しや支払い手続き、管理記録の基礎としても重要な役割を果たします。
工事完了報告書は、建設業法などの法律によって一律に作成が義務付けられている書類ではありません。
そのため、全ての工事において必ず提出しなければならないものではなく、作成の要否は契約内容や発注者の指示によって判断されます。
ただし、工事後の認識違いや責任の所在をめぐるトラブルを防ぐため、実務上は作成・提出するケースが多く見られます。特に、元請業者や発注者から提出を求められた場合には、速やかに対応することが望ましいでしょう。
一方で、官公庁や自治体が発注する公共工事では、工事完了報告書の提出が手続きの一部として求められることが多いです。民間工事とは扱いが異なるため、事前の確認が欠かせません。
作業完了報告書は、日々の業務や個別の作業が終了したことを共有するための書類です。主に社内管理や取引先への進捗(しんちょく)報告を目的として作成されます。
作業を行った日付や担当者、実施した内容、その結果などを記録し、業務の把握や振り返りに活用される点が特徴です。
作業完了報告書は工程管理や内部共有向きの書類であるのに対し、工事完了報告書は契約上の完了を示すための書類であるという点が異なります。
工事完了届は、建設工事が終了したことを行政機関へ届け出るための書類で、法令に基づく手続きとして位置付けられています。
一定規模以上の建築工事や内容によって届出が必要とされる工事では、工事完了後に所定の様式で提出することが求められます。
この書類は、工事が関係法令や許可内容に沿って実施されたかを確認するためのものであり、安全性や適法性を担保する役割を持ちます。提出先や記載事項、提出期限は法令や自治体の定めによって決まっており、形式面の正確さが重視される点が特徴です。
工事完了届が法令に基づく手続きであるのに対し、工事完了報告書は契約や実務上の確認を目的とした書類であり、役割や提出先が大きく異なります。
工事完了報告書を提出するケースと目的は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
請負契約によって工事を受注した場合、施工者は契約で定められた工事内容を全て完了させたことを、発注者や元請業者へ示す必要があります。このときに提出される書類が工事完了報告書です。
工事完了報告書を提出することで、施工範囲や完了時点を明確にし、契約上の責任を果たしたことを文書として残せます。
特に下請工事では、工事完了の認識が曖昧になると支払時期や追加工事の有無を巡るトラブルにつながりやすいため、完了報告を文書化する意義は大きいといえます。
前述のとおり、公共工事や一定規模以上の工事では、工事完了後に行政機関による確認や手続きが行われることがあります。このようなケースでは、工事内容や完了状況を示す資料として、工事完了報告書の提出が求められます。
工事完了報告書は、工事が設計図書や仕様書に沿って実施されたかを確認するための参考資料として用いられることが多く、内容の正確性が重視されます。
記載漏れや不整合があると、検査や手続きが滞る可能性があるため、提出前の確認が欠かせません。
災害復旧工事や事故対応工事では、保険金の請求にあたり、工事が実際に行われ、完了したことを証明する書類の提出が必要となることがあります。
工事内容や施工期間、完了日が明確に記載されていれば、保険会社が工事の実態を確認しやすくなり、手続きの円滑化につながります。
逆に、内容が曖昧な場合は、確認に時間を要したり、追加資料を求められることもあるため、正確な記載が重要です。
工事完了報告書は、施工品質を記録として残す目的で作成されることもあります。
工事完了時点の施工内容や現場状況を整理しておくことで、引き渡し後に不具合が発生した場合でも、当時の施工状況の確認が可能です。
また、保証期間内の対応や補修工事の判断を行う際にも、工事完了報告書が基礎資料となるケースがあります。品質管理の観点からも、工事完了時点の情報を文書として残しておくことは、施工者・発注者双方にとって有益です。
設備工事や機器設置工事では、工事が完了した時点で設置内容や稼働状況を整理する必要があります。
その際、工事完了報告書が、設備の仕様や設置状況を把握するための資料として活用されます。
工事完了報告書に必要な情報を残しておくことで、定期点検やメンテナンス、将来的な改修工事を行う際の参考資料となり、管理業務の効率化が可能です。設備工事においては、工事後の運用を見据えて報告する必要があります。
工事完了報告書の記載内容は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
工期には、実際に工事を行った期間を記載します。
工事が複数日にわたる場合は、工事開始日と工事完了日を明確に記載し、いつからいつまで施工が行われたのかが分かるようにすることが重要です。
工期は、工事が契約内容どおりに実施されたかを確認する際の基準となるため、曖昧な表現は避け、実際の施工日程に基づいて正確に記載する必要があります。工程変更や中断期間があった場合は、別途説明が求められるケースもあります。
工事現場名には、実際に施工を行った場所を特定できる名称を記載します。
建物名や施設名だけでなく、棟番号やフロア、区画など、工事範囲が分かる情報を補足することが望ましいでしょう。
特に、大規模施設や複数業者が関わる現場では、どの場所を担当した工事なのかが分かりにくくなりがちです。そのため、自社が施工した範囲を第三者が見ても判断できるよう、具体性を持たせて記載する必要があります。
工事費用には、契約時に合意した請負金額を記載します。
この金額は、請求や支払い、経理処理の前提となる重要な情報であるため、契約書の内容を必ず確認した上で正確に記載しなければなりません。
追加工事や変更契約がある場合は、当初契約金額との区別が曖昧にならないよう注意が必要です。金額の記載に誤りがあると、後の精算や支払いを巡るトラブルにつながる可能性があるため、細心の注意を払う項目です。
工事会社名・担当者名には、施工を行った会社の正式名称と、工事を担当した責任者の氏名を記載します。
複数名で現場管理を行っている場合でも、基本的には現場責任者や窓口担当者を明記すれば問題ありません。
この情報を記載することで、工事内容に関する問い合わせや確認が必要になった際に、責任の所在を明確にできます。押印は必須ではありませんが、社印や角印があることで、書類としての信頼性が高まる場合もあります。
さらに、必要に応じて記載する事項は次のとおりです。
それぞれを解説します。
工事内容によっては、工事完了写真の添付を求められることがあります。
特に、修繕工事や改修工事では、施工前と施工後の状態を比較できる写真が重要な証拠資料として重要です。工事完了報告書の提出時に写真が必要となるケースに備え、施工中や完了時の写真をあらかじめ撮影・整理しておくと良いでしょう。
写真は、工事の完了状況を視覚的に示す資料として、報告内容の信頼性を高める役割を果たします。
工事内容によっては、使用した材料や素材の種類、品質について報告を求められることがあります。
指定材料がある工事や品質管理が重視される工事では、材料情報の記載が重要です。
また、費用明細の提出を求められる場合に備え、材料費や関連書類(領収書・納品書など)は適切に保管しておく必要があります。これらの情報は、品質確認や費用精算、後日の確認対応に役立つ資料として重要です。
工事完了報告書を作成する方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工事管理アプリやオンライン施工管理ツールを活用する方法では、案件情報を入力するだけで工事完了報告書を作成できるため、作業効率が大きく向上します。
現場で撮影した写真をそのまま添付できるなど、現場と事務作業を連携させやすい点も特徴です。
クラウド上でデータを管理できるため、複数人での情報共有や過去案件の検索が容易になります。ただし、導入や運用には一定のコストがかかるため、報告書作成の頻度や業務規模を踏まえて導入を検討する必要があります。
市販の工事完了報告書の書式を利用する方法は、特別な準備をせずに始めやすい点が特徴です。
必要な項目があらかじめ整理されているため、記載漏れを防ぎやすく、初めて作成する場合でも一定の品質を保ちやすいメリットがあります。
一方で、自社の業務フローや工事内容に完全には合わないケースもあり、不要な項目が含まれていたり、逆に補足が必要になることもあります。使用する際は、内容をそのまま埋めるのではなく、自社の運用に適しているかを確認することが重要です。
元請業者から専用の書式が指定されている場合は、そのフォーマットに従って作成する方法が一般的です。この場合、提出先が求める情報が整理されているため、内容確認や検収がスムーズに進みやすいです。
指定書式があるにもかかわらず独自様式で提出すると、再提出を求められることもあるため、事前に書式の有無を確認することが重要です。
元請業者との取引では、形式面の順守も信頼関係の一部といえます。
公共工事では、官公庁や自治体が定めた書式を使用して工事完了報告書を作成するケースが多く見られます。
これらの書式は、法令や行政手続きに対応した内容となっており、記載項目や提出方法が細かく定められていることが特徴です。
書式は各自治体の公式サイトなどで公開されていることが多く、最新の様式を使用することが求められます。古い様式を使うと受理されない可能性もあるため、必ず事前確認が必要です。
ExcelやWordなどを使い、自社独自のフォーマットを作成する方法もあります。
この方法では、工事内容や社内ルールに合わせて項目を自由に設計できるため、業務に最適化しやすい点がメリットです。一方で、フォーマット管理や記載ルールが曖昧だと、担当者ごとに内容のばらつきが生じやすくなります。
自社フォーマットを採用する場合は記載ルールを統一し、誰が作成しても一定の品質が保てるようにしておくことが重要です。
現在でも、現場の状況や提出先の要件によっては、手書きで工事完了報告書を作成するケースがあります。
手書きの場合は、判読しやすい文字で丁寧に記載することが基本です。複写式の用紙を使えば控えを同時に作成できますが、修正のしにくさや写真添付、長期保管・検索性の面では不利といえます。
業務効率や情報管理を考慮すると、可能な範囲でデジタル化を検討することが望ましいでしょう。
工事完了報告書を作成するときの注意点は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工事完了報告書には、できる限り管理番号や工事番号を割り振ることが望ましいです。
番号を設定しておくことで、どの工事に関する報告書なのかを社内で把握しやすくなり、問い合わせ対応や書類確認を円滑に行えます。
工事が複数同時に進行している場合でも、番号によって報告書を管理できるため、業務効率の向上や管理ミスの防止につながります。
工事完了報告書に記載する工事費用(請負金額)は、契約内容と相違がないよう慎重に確認する必要があります。
金額の記載に誤りがあると、発注側との認識の違いが生じやすく、後のトラブルにつながる可能性があるためです。
どの費用を請負金額に含めるのかについては、契約段階で発注側と請負側の間で認識を統一しておき、報告書作成時には契約書を基に正確に記載しましょう。
工事完了報告書には、法律上の提出期限は定められていません。しかし、実務上は工事完了後、速やかに提出することが基本です。
一般的には、工事完了から1週間程度を目安に提出するケースが多く、事前に発注側へ提出期限を確認した上で作成を進めることが望ましいでしょう。
提出が遅れると、確認作業や手続きに影響を与える可能性があります。
工事完了報告書には、法令で明確に定められた保存義務はありません。
ただし、工事実績を証明する書類として、帳簿や関連書類と同様に一定期間保存しておくことが実務上推奨されています。
建設業法および建設業法施行規則では、帳簿や図書の保存期間が原則5年(住宅新築工事は10年)と定められているため、工事完了報告書もこれに準じて5年程度を目安に保管しておくと良いでしょう。
工事内容や発注条件によっては、工事完了報告書と併せて領収書の提出を求められることがあります。
領収書は、工事に関連する支出が適切に行われたことを示す資料であり、工事費用の根拠を確認する上で重要な役割を持ちます。そのため、後から提出を求められた際に対応できない事態を避けるためにも、工事に関係する領収書や証憑(しょうひょう)書類は、工事ごとに整理して保管しておくことが大切です。
日頃から管理を徹底しておくことで、報告書提出時の確認作業もスムーズに進めやすくなります。
工事完了報告書を作成した後は、記載漏れや誤りがないかを必ず確認することが重要です。
特に、工期や工事費用、工事内容といった基本的な項目は、少しの記載ミスでも内容の食い違いが生じやすく、再提出を求められる原因になりかねません。そのため、報告書は作成者だけで完結させず、別の担当者にも確認してもらうなど、複数人によるダブルチェックを行うことが望ましいでしょう。
確認体制を整えておくことで、報告書の正確性を高められるだけでなく、手戻りや不要なやり取りを防ぐことにもつながります。
工事完了報告書に添付する工事写真は、工事場所や完成状況が明確に分かるものを用意することが重要です。
撮影時には十分な明るさを確保し、対象物がはっきり写るように意識しましょう。
特に修繕工事や改修工事では、工事前と工事後の写真が必要になるケースがあるため、あらかじめ撮影しておくと安心です。
工事完了報告書に記載すべき内容は、元請業者ごとに異なる場合があります。
そのため、どの項目を記載し、どの資料を添付する必要があるのかを、あらかじめ把握しておくことが重要です。工事開始前や打ち合わせの段階で、必要な記載項目や提出書類を確認しておくことで、工事完了後の手戻りを防げます。
特に、工事前写真の提出が求められるかどうかは、事前に確認しておかないと後から対応が難しくなることがあるため、注意が必要です。
工事完了報告書には提出期限が設けられることが多いため、余裕を持って作成を進めることが重要です。
工事の規模が大きくなるほど、記載内容や添付資料が増え、報告書の作成に時間を要する傾向があります。そのため、工事完了後にまとめて対応するのではなく、工事中から必要な情報や写真を整理しておくことで、完了後の作業負担を軽減できます。
提出期限を過ぎてしまうと、発注側への印象が悪くなり、企業の信用に影響を及ぼす可能性もあるため、計画的な対応を心がけましょう。
工事完了報告書を提出する際の流れは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工事完了報告書を提出する流れは、工事請負契約の締結から始まります。
契約時には、工事内容や仕様、工期、請負金額などを十分に確認しておくことが重要です。これらの情報は、工事完了後に作成する工事完了報告書の記載内容と直接関係します。
契約段階で内容を明確にし、発注側と請負側の認識を一致させておくことで、報告書作成時の記載ミスや内容の食い違いを防げます。
契約内容に基づいて工事を進め、全ての作業が完了した段階で、工事完了報告書の作成準備に入ります。
工事が完了したら、報告書に使用する工事写真や関連データを整理しておきましょう。
また、当初の契約内容から変更が生じた箇所がある場合は、その内容を明確にしておくことが大切です。事前に整理しておくことで、報告書作成をスムーズに進められます。
工事が完了した後、整理した情報や資料を基に工事完了報告書を作成します。
工期や工事内容、請負金額などの記載事項は、契約書と照らし合わせながら正確に記入することが求められます。作成時には、発注側から提示されている提出期限を確認し、期限内に完成させることが重要です。
余裕を持って作成を進めることで、記載漏れや修正の手間を減らせます。
工事完了報告書が完成したら、元請業者や依頼主へ提出します。
提出時には、工事完了報告書だけでなく、建物の引き渡しに関する書類や建物の完成状況に関する書類を併せて提出する必要がある場合もあります。
書類に不足があると再提出が必要になるため、事前に必要書類を確認し、まとめて準備しておくことが大切です。