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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「架台とは何なのか、どんな種類があるのか分からない…」と感じている方も多いのではないでしょうか。 用途に合わない架台を選ぶと、安全性や耐久性に問題が生じる恐れがあります。 本記事では、架台の意味や種類、素材ごとの特徴、設計ポイント、制作の流れまで整理し、正しく理解できるよう分かりやすく説明します。
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まず、架台について基本的な情報を詳しく解説します。
架台とは、機械・装置・生産設備などの重量物を据え付ける際に用いられる、柱や梁で構成された骨組み状の構造物を指します。
対象となる機器ごとに大きさや重量、重心位置が異なるため、汎用的な台ではなく、設置物に合わせて寸法や形状を調整する点が特徴です。
また、架台は単に物を載せる台ではなく、機器を所定の高さや位置に配置し、長期間安定して運用できる状態を作るための重要な架構部材です。屋内外の環境条件や、設置スペース、メンテナンス性などを考慮しながら設計されるため、構造計算や素材選定が欠かせません。
このように架台は、重量物を確実に保持するために、多くの産業分野で必要不可欠な存在です。
「架台」の正しい読み方は 「かだい」 です。
ただし、建設や設備工事の現場では、口頭でのやり取りの中で 「がだい」 と発音されることもあります。どちらの呼び方も同じ対象を指しますが、正式表記はあくまで「かだい」です。
現場と書類で読み方が異なる場合があるため、双方の呼称を理解しておくと良いでしょう。
架台と似た言葉の違いを分かりやすく解説します。
ラックは、工具・部材・機器などを収納したり、一時的に置いておくための棚状の構造物を指します。
保管・整理を主目的としているため、強度設計は「棚としての荷重」を基本に検討されます。ボルト棚・スチールラック・パレットラックなど多様な種類があり、収納物に応じて仕様が変わる点が一般的です。
ラックが収納のための設備であるのに対し、架台は長期間安定して機器を保持するための構造体であり、求められる強度・剛性・設計思想が大きく異なります。
フレームは、機械や装置そのものを成立させるために内部・外周に組み込まれる「骨組み」のことです。
モーターや配などを固定する基礎であり、装置全体の剛性や耐久性に影響する構造体で、機器の一部として組み込まれる内側の構造といえます。
このように、フレームは「機器内部の骨格」、架台は「機器を支える外部の土台」という明確な違いがあります。
架台の種類は、次のとおりです。
それぞれの特徴と役割を解説します。
機械用架台は、プレス機やコンプレッサーといった重い機械を置くための架台です。
プレス機やコンプレッサーなどの機械は、動かすと大きな振動が出るため、不安定な場所に置くと性能が十分に発揮できません。そこで、機械がぐらつかず安全に動くように、しっかりした構造で支えることが機械用架台の役割です。
機械用架台には、重量に耐えられる強い材料が使われます。また、機械を正しい位置に置けるよう、上面は平らに加工され、ボルトでしっかり固定できるような構造が採用される点も特徴の1つです。
こうした工夫により、振動が抑えられ、機械が安定して働ける環境を整えられます。
装置用架台は、研究用の実験装置など、比較的コンパクトで精度の高い装置を設置するための専用の架台です。
装置用架台は、装置が持つ性能を十分に発揮できるように、使いやすい高さや作業性を考慮した設置環境を整える役割を担っています。機械用架台ほど大きな荷重に耐える必要はありませんが、装置のサイズや重さに合わせた適切な強度が確保されます。また、配線や配管がスムーズに行えるよう、ケーブル用の開口やメンテナンススペースを組み込んだタイプも多いです。
装置周りを効率よく整理し、作業性を高める構造が採用されている点が、装置用架台の大きな特徴です。
設備用架台は、空調機器や給排水設備、配管、ダクトなど、建物の機能を支える各種設備を設置するための専用架台です。
建物の快適性や安全性を保つ上で欠かせないため、適切な位置に確実に取り付けることが求められます。設備用架台は、設備が長期間にわたって安定して稼働できるように支えるとともに、建物の構造体へ過度な負荷がかからないよう調整する役割も担います。
設備用架台の設計では、設置環境に応じた安全性が重視されます。建物の動きに追従できる耐震性や外部からの風荷重に耐えられる強度が必要です。
架台によく使われる素材は、次のとおりです。
それぞれの特徴を詳しく解説します。
スチール製の架台は、高い強度を確保しながら比較的コストを抑えられる点が大きな特徴です。
重量のある設備にも対応できるため、工場設備から建築用途まで幅広く採用されています。加工性も良く、溶接・ボルト接合などさまざまな施工方法に対応しやすい点も使いやすさにつながっています。
一方、スチールは素材の性質上サビが発生しやすく、屋外で長期間使用する場合にはメッキ処理や塗装による防錆対策が欠かせません。また、環境面ではリサイクル性に優れないため、廃棄時の取り扱いに注意が必要です。コストと強度のバランスが良い反面、耐食性には弱点を持つ素材といえます。
ステンレスはサビに強く、長期間使用しても劣化しにくいため、屋外や湿度の高い環境で使う架台に適した素材です。
耐久性が高く、化学薬品や水分の影響を受けにくいことから、食品工場や医療現場など衛生管理が求められる分野でも採用されています。また、美観を維持しやすい点もメリットの1つです。
ただし、加工には高度な技術が必要で、材料費もスチールより高くなる傾向があります。またリサイクルしにくいという課題もあり、環境負荷を考慮する場合には注意が必要です。高品質で耐食性に優れる一方、使える場面が限られる素材といえます。
アルミニウム製の架台は、軽さと加工性の高さが際立つ素材です。
スチールやステンレスと比べると圧倒的に軽量で、持ち運びや組み立てがしやすいため、装置の位置調整や設置変更が頻繁に発生する現場で特に重宝されます。また、切削や曲げ加工がしやすく、設置環境に合わせてカスタマイズしやすい点も魅力です。さらに、腐食に強くリサイクルしやすいため、環境負荷を抑えたい現場にも適しています。
ただし、アルミニウムは強度がスチールほど高くないため、重量のある設備を支える用途には向きません。耐荷重が必要な場面では、補強構造を追加したり、別素材を選択したりする必要があります。軽量性や施工性を優先したい場合に最適な素材であり、用途を見極めて採用することが重要です。
コンクリートはとても重く、しっかりとした基礎づくりに向いている素材です。
地面に固定してしまえば、ちょっとした揺れではびくともしないため、屋外のタンクや重量物の設備を支える土台としてよく使われます。雨風にさらされても劣化しにくく、長年にわたって安定した状態を保てる点も強みです。
一方で、いったん打設すると簡単に移動や形の変更ができないため、設置場所を後から変えたい場合には不向きです。また、施工には専門的な技術と時間が必要で、金属製の架台と比べると手軽さはありません。長期間同じ場所で使う設備に適した素材といえます。
架台を設計するときのポイントは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
架台設計で最初に行うべきは、「どれだけの力が架台にかかるか」を正確に見積もる作業です。
機器そのものの重さはもちろん、運転により生じる揺れや衝撃、作業者が操作する際に加わる力など、静的・動的な荷重を総合的に考える必要があります。これらの荷重を基に安全率を設定し、必要な板厚や断面寸法を決めます。
十分な強度と剛性を確保できるかどうかは、架台の変形やたわみを防ぎ、機械の性能を安定させるための重要な要素です。
振動を発生する機械を設置する架台では、振動を抑える工夫が欠かせません。
架台自体の質量や剛性を大きくすることで固有振動数を調整し、機械の振動と一致しないようにすることで共振を防げます。また、架台と床の間に防振ゴムを挟み込むなどして、揺れを吸収・減衰させる方法も一般的です。
特に精密加工機やコンプレッサーのように振動が大きい装置では、防振設計が性能維持に大きく関わります。
架台は、地震のような大きな揺れが発生したときでも、倒れたり位置がずれたりしないように設計する必要があります。そのため、床や基礎へしっかり固定することに加えて、横方向の力に耐えられるよう補強材を取り付けるなど、安定性を高める工夫が求められます。
特に建物の設備を支える架台は、地震対策に関する基準に沿って設計し、想定される揺れにどの程度耐えられるかを事前に確認することが不可欠です。もし固定が不十分だと、揺れによって設備が傾いたり、配管が外れたりする恐れがあり、大きなトラブルにつながる可能性があります。
安全性を守るためにも、確実な固定と耐震性の確保は欠かせません。
架台は金属で作られることが多いため、時間の経過とともに湿気や雨、薬品などの影響を受けてさびてしまうことがあります。さびが進むと強さが失われ、思わぬ不具合につながる可能性があるため、表面を保護する対策が欠かせません。
鉄製の架台は、メッキを施したり塗装を重ねたりして、金属が直接空気や水に触れないようにします。こうした処理を行うことで、腐食を防ぎ、長く安全に使える状態を保てます。
ステンレスやアルミはさびにくい素材ではありますが、外で使う場合や厳しい環境では「もらい錆」などが起きることもあるため、設置場所に合わせた対策が必要です。
架台を制作するときの流れは、次のとおりです。
それぞれのフローを解説します。
架台づくりの第一歩は、図面で指定された寸法や形状に合う材料を準備することです。
前述のとおり、架台は用途や設置環境によって求められる性能が変わるため、ステンレス・アルミニウム・スチールなどの中から、条件に適した素材を選びます。その上で、高さや幅、支えるべき重量といった設計条件を踏まえ、必要な長さや断面サイズの材料を不足なくそろえることが重要です。
ここでの材料選定や数量の見誤りは、後工程の作業性だけでなく、完成後の強度や耐久性にも影響するため、最初の段階で丁寧に確認しながら進めます。
材料がそろったら、図面に記された寸法に合わせて部材を切り出していきます。
切断にはレーザー切断機や、カッターなど、素材の種類や厚みに応じて適切な機械を使い分けます。寸法がわずかでも狂うと、後の組立や溶接で部材同士が合わず、全体の精度や強度に影響を及ぼすため、正確な寸法に切断する工程はとても重要です。
特にアルミ材は、カットの仕方によって反りやバリが発生しやすい性質があるため、より慎重な作業と高い加工精度が求められます。
切断工程を終えた部材には、断面に「バリ」と呼ばれる小さな突起やざらつきが残ることがあります。バリを放置すると、手や衣服を引っかける危険があるだけでなく、組立時の位置決めが微妙にずれたり、溶接品質の低下を招いたりするため、その後の工程全体に悪影響が及びます。
そのため、バリ取りは加工品質を守る上で欠かせない重要工程です。専用のバリ取り機で均一に仕上げる方法の他、細部はヤスリなどを使った手作業で丁寧に整えます。
特に複雑な形状や薄板材はバリが目立ちやすいため、より慎重な作業が求められます。こうした地道な処理が、最終的な製品の精度や美しさにつながります。
準備が終わったら、いよいよ部品同士を組み合わせて、架台の形を作っていきます。図面に書かれた位置に合わせて部品をぴったりと並べ、ずれないようにしっかり固定した後溶接を行います。
溶接にはいくつか種類がありますが、目的や仕上がりのきれいさによって使い分けます。特にアルミは熱に弱く、温めるとゆがみやすい性質があるため、慎重で丁寧な作業が欠かせません。
溶接が終わったら、形が図面どおりになっているか、熱で曲がっていないかを細かくチェックします。もしズレやゆがみが見つかった場合は、その場で直して正しい形に整えます。こうした確認と調整を丁寧に行うことで、丈夫で見た目もきれいな架台が完成します。
最後に、架台に関するよくある質問とその回答を紹介します。
架台は、主に工場や建設現場で機械や設備をしっかり支えるために使われます。
例えば、生産ラインの機械を安定させたり、重量のある装置を床から浮かせて安全に配置したりする際に欠かせません。また、建物の屋上ではエアコンの室外機や換気設備を支えるために使われ、地下室では配管・タンク・ポンプなどを決まった位置に固定するためにも必要とされます。
一般の人の目に触れることは多くありませんが、建物や設備が問題なく動くための「見えない基礎」として非常に重要な役割を果たしています。
架台の高さは自由に設計できますが、実際には「使いやすさ」「安全性」「点検のしやすさ」などを踏まえて慎重に決める必要があります。
例えば、機械の操作部が高すぎると作業者が扱いにくくなり、逆に低すぎると姿勢が悪くなって疲労やケガにつながることがあります。また、高さによっては配管や電気配線との位置関係が変わるため、メンテナンスが行いにくくなる場合もあります。
さらに、重い機械の場合は高くしすぎると重心が不安定になり、揺れや転倒のリスクが増えることもあります。そのため、架台の高さは「機械の仕様」「周囲の設備」「作業環境」のバランスを見ながら最適な位置に設定することが大切です。
小規模な架台であれば、自作することは不可能ではありません。しかし、機械や設備を支える本格的な架台となると、専門的な設計や加工技術が必要になるため、個人での制作は基本的におすすめできません。
架台は「どれだけの重さに耐えられるか」「揺れたときに倒れないか」など、安全面を考えた設計が不可欠です。また、金属の切断や溶接には専用の機械・材料・技術が必要で、誤った加工をすると変形や破損につながり、事故の原因にもなります。
そのため、多くの場合は金属加工業者や設備会社への依頼が一般的です。