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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「建材店って、ホームセンターとはどう違うの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 建材店は、建物づくりに欠かせない木材や外壁材、住宅設備などを専門的に取り扱う店舗で、建築会社や工務店の現場を支える重要な存在です。専門スタッフによる商品提案や幅広い資材の在庫管理など、一般的な小売店とは大きく異なる役割を担っています。 本記事では、建材店の特徴やホームセンター・工務店との違い、扱う商品などを分かりやすく解説します。
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まず、建材店に関する基本的な情報を紹介します。

建材店とは、建築工事やリフォームで使用される建材を専門的に販売する店舗のことです。
建材とは、建物を構成したり工事を進めたりするために必要なあらゆる材料のことをいいます。建材は建築基準法やJIS規格、各メーカーの技術基準などに基づいて性能が明確に定義されていることが多く、安全性・耐久性・施工性を確保するための基準が厳格に設けられています。
建材は建物の品質に直結するため、用途に応じた適切な種類を選び、仕様や規格を正しく合わせる必要があります。建材店はこうした建材の供給拠点です。
ホームセンターは、日用品やDIY用品、園芸用品などを幅広く扱う一般消費者向けの量販店です。
必要なものをその場で購入できる利便性が重視されており、専門知識がなくても使いやすい商品が中心です。例えば家庭向けの工具や簡易的な修繕用品など、気軽に買えてすぐ使える商品が豊富にそろっています。
一方、建材店は建設のプロである工務店や施工業者、職人が利用することを前提とした専門店で、建築工事に使用される資材の販売を中心に行っています。
このように、ホームセンターは「誰でも気軽に必要なものを購入できる場所」であるのに対し、建材店は「専門的な建築資材を確実に供給するための業務向け店舗」という明確な役割の違いがあります。
工務店は、建物の新築や改修工事を請け負い、実際の施工を行う事業者です。施主との打ち合わせ、見積もり、図面の確認、職人や協力業者の手配、工程管理、品質管理など、建物を完成させるまでの幅広い業務を担当します。
一方で建材店は、工務店が施工を進める上で必要とする資材を販売する専門店です。
両者の関係は、建物をつくる工務店と、その工事に欠かせない材料を用意する建材店という形で明確に分かれており、それぞれが担当する領域を持ちながら協力し合うことで建築プロジェクトが成り立ちます。
建材店の主な業務は、次のとおりです。
● 資材の配送
● 商品の提案や営業活動
● 商品以外の情報提供
● 仕入れ業務
● 倉庫管理
それぞれを詳しく解説します。
建材店の重要な業務の一つが、注文された資材を建設現場へ確実に届ける配送業務です。
資材の多くは重量があり、長尺ものや大型の荷物も含まれるため、一般的な車両ではなくトラックを用いて運搬することも多いです。状況によっては、2階・3階などの高所や狭い搬入経路に資材を届ける必要があり、クレーン車を使った揚重作業を行う場合もあります。
現場の工程は資材の到着タイミングに大きく左右されるため、指定された日時に正確に届けることが欠かせません。誤納品や遅配は全体の作業進行に影響を及ぼすため、丁寧な確認と迅速な判断が求められます。
建材店は商品を販売するだけでなく、施工に携わる職人や担当者に対して最適な商品を提案することも大切な役割です。
現場では「どの建材が合うのか分からない」という場面もあり、そのようなときに建材店の知識が生かされます。用途や施工条件に応じた商品を紹介したり、新しい建材や工法を案内したりすることで、取引先からの信頼を高めていきます。
営業方法には、既存顧客を定期的に訪問して関係を維持する営業や特定の建設会社やハウスメーカーを担当し、直接やり取りするスタイルなどがあります。
前者は継続的なフォローが中心で、後者は大口の取引につながりやすい特徴があります。どちらの活動にも、建材に関する知識とコミュニケーション能力が欠かせません。
建材店は、資材そのものだけでなく、業界に関する新しい情報を伝える役割も担っています。
建築業界では、法律の改定や補助金の条件変更などが定期的に行われるため、こうした情報をタイムリーに伝えることで取引先は仕事を進めやすくなります。また、制度変更によって必要な資材が変わることもあり、情報提供がそのまま新しい商品提案につながるケースも多いです。
建材店が提供するこうした付加価値のある情報は、取引先にとって大きなメリットとなり、結果的に信頼関係の強化にもつながります。
建材店は注文に応じて各メーカーや代理店へ発注を行い、必要な資材を仕入れます。
仕入れでは数量や価格の調整だけでなく、納品日や配送条件など細かな部分の確認が不可欠です。市場価格が変動しやすい建材も多いため、適切なタイミングで発注する判断力も求められます。供給が不安定な時期には、在庫が不足しないよう早めに手配を行うなど、状況を見ながら柔軟に動く必要があります。
迅速で正確な仕入れができなければ、取引先の現場に影響が出るため、この業務は建材店の信頼性に直結する非常に重要な業務といえます。
建材店に届けられた商品は、倉庫に保管されます。倉庫管理では、入荷した資材の数量や品番が正しいか、破損がないかなどを細かく確認することが必須です。
万が一、不良品や数量違いに気づかないまま現場に出荷してしまうと、作業が止まるだけでなく、顧客の信用を損なう結果につながります。倉庫内では、どの商品がどこに何個あるのかを常に把握し、急な注文にも対応できるよう準備しておくことが重要です。
倉庫管理が整っている建材店ほど、配送や出荷がスムーズで、現場からの信頼も高い傾向にあります。
建材店で取り扱われている主な商品は、次のとおりです。
● 構造材・基礎工事用資材
● 外壁材・外装関連商品
● 住宅設備機器
● 内装材・仕上げ材
● 左官資材・タイル関連商品
● 土木・舗装用資材
それぞれを解説します。
建物を支える基礎部分や骨組みを形づくる構造材は、建材店が扱う商品の中でもとりわけ重要な分野です。
住宅や建築物の耐久性を左右するため、強度や規格が明確に定められた各種資材が用いられます。木材や鉄骨といった主要な構造材だけでなく、鉄筋やメッシュ、アンカー類、型枠を組む際に必要となる関連部材など、土台づくりに不可欠な材料が多岐にわたってそろえられています。
さらに、基礎工事に用いる細かな金具や型枠からコンクリートを外す際に使う専用の薬剤など、工事の補助として重要な副資材も取り扱いの対象です。これらはどれも施工の精度や安全性に直結するため、建材店では正確な種類・数量を供給できるよう管理体制が整えられています。
建物の外側を守るための材料も、建材店でよく取り扱われている商品です。
外壁材にはさまざまな種類があり、雨風に強いものや、暑さ・寒さに配慮したものなど、地域の気候や建物の性能に合わせて選ぶ必要があります。見た目の印象にも大きく影響するため、デザイン性も大切なポイントです。
また、玄関ドアや窓枠(サッシ)、網戸といった建物の外まわりに取り付ける製品も外装関連商品に含まれます。これらは住まいの外観だけでなく、使い心地や防犯性、通風性などにも関わるため、住宅の快適さを左右する重要なパーツです。
キッチンやバスルーム、トイレ、洗面台など、日常生活に欠かせない住宅設備も建材店で扱われる主要な商品です。
これらの設備はメーカーごとにサイズや仕様が細かく異なるため、図面に合わせて正確に発注する必要があります。設備の種類を間違えると設置できないこともあるため、正確な型番管理がとても重要です。
また、設備本体だけでなく、取り付けに必要な部品や故障時に交換するパーツなども建材店で調達できます。こうした関連部材がそろっていることで、住まいの設備を安全に使い続けるためのサポートができます。
家の中をきれいに仕上げるための材料も、建材店では幅広く取り扱われています。
壁紙や塗料、フローリングなどの床材、扉や室内のしきりに使う建具など、室内の雰囲気を決める大切な素材がそろっています。見た目だけではなく、傷のつきにくさや掃除のしやすさなど、性能面にこだわった商品が選ばれることも多いです。
さらに、畳やふすま、障子といった和室づくりに欠かせない建材も用意されています。地域ごとの住まい方や好みに合わせて選べるため、日本の住宅文化に対応した商品がそろっている点も大きな特徴です。
壁や床の下地づくり、そして仕上げ作業に使われる左官資材も、建材店では欠かせない商品です。
壁を平らに整えるための下地調整材や、材料の性能を高める混和材、昔ながらの質感をつくるしっくいなど、用途に応じたさまざまな種類があります。また、タイルをしっかり貼り付けるための専用接着材(圧着材)など、タイル施工に必要な材料も豊富にそろっています。
これらの資材は、仕上がりの美しさや耐久性に直接影響するため、材料の特徴や施工方法を理解した上で選ぶことがとても大切です。
建材店の中には、家づくりだけでなく、道路や敷地の整備などに使う土木・舗装用の資材を扱う店舗もあります。
地盤を強くするための地盤改良材や道路の基礎となる路盤材、補修工事で使われる常温合材、防水のためのシート類など住宅以外の工事でも必要とされる材料がそろっている点が特徴です。
これらの資材は地域の環境やインフラ工事の需要によって必要量が大きく変わるため、店舗ごとに取り扱いの内容が異なることもあります。幅広い現場に対応できるよう、さまざまな種類の土木資材をそろえている建材店は、住宅だけでなく公共工事や外構工事を支える重要な供給拠点です。
断熱材や石こうボード、合板、ベニヤ板など、さまざまな現場で使われる基本的な建材も建材店では幅広くそろえられています。
これらはどんな工事でも必要になることが多く、建築の基礎づくりから仕上げまで幅広い工程で使われるため、常に安定した供給が求められます。
さらに、施工中に使う工具や、小さな金物、接着剤などの消耗品も建材店では扱われています。こうした細かな部材は急に必要になることも多いため、多くの店舗では十分な在庫を確保し、現場の「今すぐ欲しい」に対応できる体制を整えています。
汎用(はんよう)建材から道具類まで一カ所で手配できる点は、建材店の大きな強みです。
工務店を選ぶときのポイントは、次のとおりです。
● デザイン性の高い建材がそろっているか
● 専門スタッフの提案やアドバイスが受けられるか
● 最新トレンドや新素材への対応力
それぞれを解説します。
建材店を選ぶ際には、ただ商品数が多いだけでなく、どれだけデザインの選択肢が豊富かも大事なポイントです。
一般的な建材に限らず、色合いや風合い、素材の表情にこだわった商品を扱っている店舗であれば、仕上がりのイメージを細かく調節できます。
空間の印象は使う建材によって大きく変わるため、選べる種類が多いほど「こんな雰囲気にしたい」という希望を形にしやすいです。個性的な建材やデザイン性の高い商品をそろえている建材店なら、ありきたりではない、自分らしい住まいづくりにも対応してもらえるでしょう。
建材は種類も多く、それぞれ特徴や使い方が異なるため、どれを選べば良いか悩んでしまうことは少なくありません。
そんな時に頼りになるのが、知識と経験を持ったスタッフが常駐している建材店です。施工の条件や目的に合わせて適した素材を紹介してくれたり、選ぶ際の注意点を教えてくれたりする店舗であれば、安心して建材を選べます。
疑問を気軽に相談できる雰囲気や親身に対応してくれる姿勢があるかどうかも、良い建材店を見極める大きなポイントです。
建材の世界は日々進化しており、デザインの流行だけでなく、機能性や環境性能に優れた新素材も次々と登場しています。
例えば、近年はサステナビリティを意識したエコ素材や、高断熱・高耐久といった性能面に優れた建材への関心が高まっています。こうした動きを把握し、実際に取り扱いや提案ができる建材店であれば、将来を見据えた住まいづくりがしやすくなります。
定期的に新商品を導入していたり、展示やカタログで最新事例を紹介していたりする店舗は、情報感度が高い証拠です。
流行をただ追うのではなく、実用性や長期的な価値も踏まえて提案してくれるかどうかが、信頼できる建材店かを見極めるポイントといえるでしょう。
最後に、建材店に関するよくある質問とその回答を紹介します。
工務店や職人だけでなく一般の利用者にも販売している建材店もあります。
ただし、専門的な建材は型番や仕様が細かく分かれており、数量単位も大きいことが多いため、希望の商品がある場合は事前に確認しておくと安心です。
また、業者向けの発注品は返品が難しいケースもあるため、購入前に説明を受けておくとトラブルを避けられます。必要に応じてスタッフに相談し、用途や予算に合った建材を選ぶとスムーズです。
商品によって異なります。
一般的に、大量仕入れが前提の建材店は、プロ向け商材が割安になる傾向があります。一方で、ホームセンターはDIY向けの商品や少量購入がしやすいアイテムが手頃な価格で販売されているケースが多いです。
建材店は「施工業者の仕様に沿ったメーカー品」を中心に扱うため、品質面で安定しやすく、まとめ買いでは価格が抑えられることがあります。ホームセンターは一般ユーザー向けの小口販売が主体のため、1点当たりの単価は若干高くなる場合もありますが、特売やPB(プライベートブランド)商品で安く買える場合もあります。
建材屋の正社員の年収はおよそ450〜500万円が一般的といわれています。
インセンティブや資格手当を設けている企業もあり、経験や役割によって収入が変動する点が特徴です。国税庁「令和3年民間給与実態統計調査」によると、日本全体の平均年収は443万円、卸売業・小売業は377万円であるため、建材屋の年収はこれらを上回る水準といえます。
ただし、正社員全体の平均508万円や建設業の平均511万円と比較すると、特別高いとはいえません。商品知識の習得や現場との信頼関係づくりが昇給の鍵です。
建材店は英語で一般的に「building materials store」と表現され、建築資材全般を扱う店舗を指す最も広いニュアンスのいい方です。
建設現場向けの材料を強調したい場合は「construction materials store」が適しており、木材を中心に扱う店舗なら北米などでよく使われる「Lumber yard」という表現も使われます。
また、金物や工具、日用品まで幅広く扱う店舗の場合は「hardware store」と呼ばれることもあります。ただし、これは日本のホームセンターに近い概念を含むため、専門的な建材店を表す語としてはやや広い意味です。
用途や扱う商品の種類に合わせて、こうした英語表現を使い分けると自然です。