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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「葺き替えって具体的にどんな工事?」と疑問に感じる方は多いのではないでしょうか。 葺き替えは、古くなった屋根材を全て撤去し、下地から新しく作り直す大規模な屋根工事です。費用は高くなりがちですが、雨漏りの根本解決や建物の寿命延長、耐震性の向上につながる重要な選択肢でもあります。 本記事では、葺き替えの意味や工事内容、必要になるケース、選べる屋根材の種類、メリット・デメリット、費用相場までを分かりやすく解説します。
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まず、葺き替えの基本的な意味を紹介します。
「葺き替え」は 「ふきかえ」 と読みます。
「葺」という字は屋根に関する用語でよく使われる漢字で、「葺く」は、屋根を覆って仕上げる作業全体を表す言葉です。
「替」という字は「かえる。かわる。入れかわる。」という意味があります。

「葺き替え」は、既存の屋根を撤去し、新しい屋根を再構築することを意味します。
葺き替え工事は、既存の屋根を一度撤去するため、屋根をゼロから再構築するイメージに近い工事です。
ただし、必ずしも屋根材の交換だけを指すわけではありません。屋根材の下にある野地板などの下地まで含めて新しくすることも「葺き替え」「葺き替え工事」と呼ばれます。
葺き替えに似た専門用語は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
葺き直しとは、既存の瓦を一度取り外し、屋根の下地を補修した上で、元の瓦を再び使って屋根を仕上げる工事です。
瓦屋根は耐久性が高く、一般的に50〜60年ほど使用できるため、築30年程度の住宅では瓦そのものがまだ健全なケースも多く見られます。ただし、地震や台風の影響で瓦がズレたり崩れたりすることがあり、その際に選ばれる工事が葺き直しです。
再利用できない瓦のみを新しいものに交換し、必要に応じて部分的に施工することも可能です。なお、取り外しが前提となるため、葺き直しは和瓦や洋瓦などの瓦屋根に限られ、スレート屋根などには適用できません。
重ね葺きとは、現在の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材を施工する屋根リフォーム方法です。
屋根を一度全て剥がして作り直す葺き替えとは異なり、既存の屋根を生かしたまま工事を行う点が特徴で、「カバー工法」と呼ばれることもあります。撤去作業が不要なため、工事期間が短く、廃材処分費を抑えやすい傾向があります。
ただし、屋根の傷みが激しい場合や、屋根材の種類・形状が適していない場合には施工できません。
横葺きとは、屋根材を屋根の流れに対して横方向に配置して施工する方法を指します。
屋根を上から見たときに、屋根材が地面と平行に並ぶ点が特徴です。金属屋根で多く採用されている施工方法で、見た目のデザイン性が高く、住宅から商業施設まで幅広く使われています。
横葺きには大きく分けて2つのタイプがあります。屋根材同士の継ぎ目が目立ちにくく、すっきりとした印象に仕上がる「平葺き」と、継ぎ目に段差を持たせ、立体感のある外観になる「段葺き」です。どちらを選ぶかによって、屋根の印象や仕上がりが大きく変わります。
縦葺きとは、屋根の勾配に沿って金属屋根材を縦方向に施工する方法を指します。
屋根の最も高い位置から軒先までを一方向に覆う構造になるため、雨水が流れやすく、防水性に優れている点が特徴です。一般的に、金属板を長く使って仕上げることから、屋根材の長さが大きくなるケースも多く、施工方法によっては「長尺屋根」と呼ばれることもあります。
以前はトタン屋根の印象が強く、住宅では敬遠されがちでしたが、耐久性と耐食性に優れた金属素材の普及によって現在は住宅から倉庫、工場まで幅広い建物で採用されています。
瓦葺きとは、瓦を屋根材として用いて屋根を仕上げる方法を指します。
代表的な葺き方には、大きく分けて2つの形式があります。1つは、平瓦と丸瓦を組み合わせて施工する伝統的な方法で、重厚感のある外観が特徴です。古くから寺社建築などで用いられてきましたが、屋根全体が重くなりやすい点が課題とされています。
もう1つは、波形状の瓦を使用する方式で、重量を抑えながら瓦屋根の意匠性を保てることから、現在の住宅ではこちらが主流です。さらに改良された形式として、瓦を引っ掛けて固定するタイプも普及しています。
葺き替えのメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
葺き替えの最大の利点は、屋根材の下にある構造部分まで確実に点検・補修できることです。塗装や重ね葺きでは、既存の屋根材を残したまま工事を行うため、防水紙や野地板の状態を直接確認できません。
一方、葺き替えでは屋根材を撤去するため、防水紙の劣化や野地板の傷み、腐食の有無まで目視で確認できます。必要に応じて下地を新しくすることで、雨水の侵入リスクを根本から改善でき、屋根本来の防水性能が回復します。
結果として、雨風や紫外線から建物を守る力が高まり、建物の寿命を伸ばせます。
葺き替えでは、屋根材を自由に選び直せる点も重要なメリットです。
既存の屋根と同じ材料を使うこともできますが、より軽量な屋根材へ変更もできます。屋根は建物の高い位置にあるため、重量が軽くなるほど建物にかかる負担が減り、地震時の揺れを抑えやすくなります。
特に重い屋根材が使われている住宅では、軽量な金属屋根などに変更することで耐震性の向上が期待できます。屋根の落下やズレによる二次被害のリスクを減らせる点も、葺き替えならではのメリットといえるでしょう。
葺き替えは、屋根の素材そのものを変えられる工事であるため、外観の印象を大きく変えられます。
塗装では色の変更が中心ですが、葺き替えでは屋根材の質感や形状、デザインまで見直せるため、住まい全体の雰囲気の一新が可能です。
築年数が経過し、外観に古さを感じてきた住宅でも屋根を新しくすることで印象が大きく変わるケースは少なくありません。機能面の改善と同時に、住まいへの愛着を高められる点も、葺き替えのメリットの一つです。
葺き替えのデメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
葺き替えは、塗装や重ね葺きと比べて工事費が高くなる傾向があります。
既存の屋根材を全て撤去する必要があるため、解体作業や廃材処分の費用が発生し、下地の補修や交換が必要になれば追加費用もかかります。また、工程が多く工期が長くなりやすいことから、人件費が増える点も負担要因の一つです。
ただし、劣化が進んだ屋根を小規模な修理で延命し続けるより、結果的に葺き替えの方が総コストを抑えられる場合もあります。
葺き替え工事では、一時的に屋根材が撤去された状態になるため、工事中に雨が降ると雨漏りのリスクが高まります。
通常は天候を確認しながら作業を進め、屋根材を外した後は養生シートなどで対策を行いますが、リスクがゼロになるわけではありません。
工事前に天候への対応方法や、万が一の際の連絡体制について業者と確認しておくことが重要です。
葺き替えでは既存の屋根を解体・撤去するため、廃材や粉塵が発生する点も注意が必要です。
工事中は防塵対策が行われますが、細かなホコリや破片が舞う可能性はあります。また、撤去した屋根材は産業廃棄物として処理されるため、処分方法や費用についても事前に確認しておくと安心です。
環境面への配慮や適切な廃棄・リサイクルを行っている業者かどうかも重要な判断材料といえます。
工事中は、騒音や振動、車両の出入りなどにより、近隣への影響が出ます。
トラブルを防ぐためには工事前に近隣へあいさつを行い、工事内容や期間を説明しておくことが大切です。
また、作業時間の配慮や粉塵対策など周囲への影響を抑える工夫ができる業者を選ぶことも重要なポイントです。
葺き替えが必要なケースは、次のとおりです。
それぞれを解説します。
深刻な雨漏りが起きている場合、葺き替えが有効な選択肢です。
屋根は、屋根材の下に防水層や下地材が重なって構成されており、通常は防水層が雨水の侵入を防いでいます。そのため、屋根材に多少のズレや破損があってもすぐに雨漏りが起こるわけではありません。
しかし、実際に雨漏りが発生している場合は防水層が劣化し、本来の役割を果たせなくなっている可能性が高いと考えられます。
さらに放置すると下地材にまで水分が及び、腐食が進行する恐れがあります。このような状態では、下地まで確実に補修できる葺き替えが適しています。
屋根材の劣化には軽度な状態から深刻な状態まで段階があります。
色あせや表面の汚れ、小さなひび割れ程度であれば、補修や塗装によって対応できることもあります。一方で、金属屋根の穴あきや台風による大きな剥がれ、瓦の著しい破損など、屋根材そのものが機能を果たしていない状態では、表面的な修理では十分な効果が期待できません。
このような場合は下地の損傷も同時に進んでいる可能性が高く、屋根全体を見直す葺き替えが必要です。
築年数が30年以上経過している住宅では、これまで定期的な塗装を行っていても、屋根材そのものの耐用年数を過ぎていることがあります。
屋根材は消耗品であり、どの素材であっても永続的に使えるわけではありません。
築年数が進み、過去に大規模な屋根工事を行っていない場合には、補修を重ねるよりも、葺き替えによって屋根全体を刷新した方が、長期的な安心につながるケースがあります。
屋根は、定期的な点検やメンテナンスによって性能を維持する部分です。
塗膜によって防水性を保つ屋根材は、年月とともにその機能が低下し、水分を含みやすくなります。その結果、変形や割れ、雨漏りといったトラブルにつながることがあります。
また、塗装が不要とされる瓦屋根でも、瓦のズレや棟部分のゆがみなどは定期的な補修が欠かせません。金属屋根の場合も、錆が広がると固定部分から劣化が進行する可能性があります。
こうしたメンテナンスが長期間行われていない屋根では、複合的な劣化が進んでいることが多く、葺き替えを選択した方が適している場合があります。
葺き替えで選べる屋根材の種類は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
瓦は高温で焼成された素材を使う屋根材で、非常に長持ちする点が特徴です。
火や熱に強く、厚みがあるため雨音を抑えやすい点もメリットといえます。一方で重量があるため、建物によっては耐震面の検討が必要です。
凹凸が大きく重ね施工には向かず、瓦を選ぶ場合は撤去を伴う葺き替えが基本です。
スレート屋根は軽量で、住宅への負担を抑えやすい屋根材です。
デザインの選択肢が多く、住宅の外観に合わせやすい点も魅力といえます。ただし防水性は塗膜に依存するため、定期的な塗装が前提です。
下地の状態が良好であれば、重ね葺きが可能な場合もあります。
セメント瓦は成形しやすく、意匠性の高い屋根材として普及してきました。
耐火性に優れていますが、表面の塗膜が劣化すると水を吸いやすいです。そのため、長期間使うには継続的なメンテナンスが欠かせません。
現在は葺き替えの際に別素材へ変更されることも多い屋根材です。
トタン屋根は軽く施工しやすい反面、錆びやすく断熱性が低い点が課題です。
雨仕舞いには優れていますが、経年劣化が進むと穴あきなどのリスクもあります。
現在では、より耐久性の高い金属屋根へ交換するケースが一般的です。
ガルバリウム鋼板は、軽さと耐久性を両立した金属屋根材です。
水分を吸収しないため劣化が進みにくく、清潔な状態を保ちやすい特徴があります。
ただし金属特有の音や熱の伝わりやすさがあるため、断熱対策と併用することが重要です。
石粒を表面に固定した金属屋根は、耐久性に加えて遮音性や断熱性にも配慮された素材です。
塗装を前提としないため、将来的なメンテナンス回数を抑えたい住宅に向いています。
一般的な金属屋根とは施工方法が異なる点には注意が必要です。
ステンレス屋根は腐食しにくく、長期間安定した性能を維持できる屋根材です。
耐久性を重視する建物で選ばれることが多い一方、材料費が高く、一般住宅では採用例は多くありません。
銅板屋根は耐久性が非常に高く、年月とともに風合いが変化する点が特徴です。
屋根材自体は長寿命ですが、施工費が高額になるため、採用は限定的といえます。
定期的な点検が必要です。
アスファルトシングルは柔軟性があり、軽量で施工しやすい屋根材です。
デザイン性が高く幅広い住宅に対応できますが、耐久性は比較的短く、定期的なメンテナンスが前提です。
構造上、重ね葺きには適していません。
葺き替え工事は、選ぶ屋根材や既存屋根の状態によって工程が大きく変わります。
ここでは、実際によく行われている代表的な葺き替えパターンは次のとおりです。取り上げ、工事の流れや注意点を紹介します。
瓦屋根は耐久性に優れる一方、重量があるため、建物への負担を軽減したい場合に金属屋根への変更が選ばれることがあります。この工事では、瓦だけでなく下地部分も含めて見直すことが一般的です。
まず既存の瓦とそれを支えている桟木を全て撤去します。その後、野地板の状態を確認し、必要に応じて張り替えや増し張りを行います。下地を整えた上で防水シートを施工し、新しい金属屋根材を取り付けて仕上げます。
なお、古い瓦屋根には、瓦の下に土を敷いて固定する「土葺き」の構造が使われている場合があります。この場合は、土の撤去や処分に加え、荷重によって歪んだ下地を調整する工程が追加されるため、工期や費用に影響が出やすい点が特徴です。
スレート屋根の葺き替えでは、まず既存の屋根材を撤去する作業から始まります。
撤去後は下地の状態を確認し、構造用合板を重ね張りすることで強度を確保します。その上から防水シートを施工し、新しい金属屋根材を取り付けて完成です。
スレート屋根の中には、製造時期によってアスベストを含むものがあります。アスベスト含有屋根の場合、撤去や処分に特別な対応が必要となり、通常よりも工事費用が高くなる傾向があります。そのため、事前調査の有無が費用や工期を左右する重要なポイントです。
トタン屋根は比較的安価で施工できる反面、耐用年数が短く、築年数が経過すると下地まで劣化していることがあります。特に築30年以上経過している場合は、部分補修よりも葺き替えを検討するケースが多くなります。
工事では、まず既存のトタン屋根を撤去し、新たに野地板を施工します。その後、防水シートを敷設し、耐久性に優れたガルバリウム鋼板などの金属屋根を取り付けて仕上げます。
縦葺きの金属屋根が採用されることが多く、雨仕舞いの面でも安定した構造になります。
最後に、葺き替え工事の費用相場について、詳しく解説します。
屋根の葺き替え工事は、戸建て住宅で行う屋根リフォームの中でも規模が大きく、費用帯はおおよそ110万〜220万円前後が1つの目安です。
30坪程度の住宅を想定した場合、足場の設置から既存屋根の撤去、下地補修、新しい屋根材の施工までを含めた総額がこの範囲に収まるケースが多いです。
ただし、この金額はあくまで「標準的な条件」での目安であり、実際の費用は屋根の形状や劣化状況によって大きく変動します。
葺き替え費用は、屋根面積が広くなるほど高くなります。
加えて、屋根の形状が複雑な場合や勾配が急な場合は、施工の難易度が上がるため、同じ面積でも費用が割高になりやすい傾向があります。
例えば、段差の多い屋根では、シンプルな形状の屋根と比較して材料の加工や施工手間が増える他、材料ロスも発生し、こうした要素は見積金額に直接反映されます。
現在使用されている屋根材の種類も葺き替え費用を左右する重要なポイントです。
瓦屋根は重量があるため、撤去や処分に手間がかかり、その分コストが高くなりやすい傾向です。一方、スレート屋根は比較的軽量で、撤去作業の負担が小さいため、同条件であれば費用を抑えられます。
また、スレート屋根からスレート屋根へ葺き替える場合と金属屋根へ変更する場合では、新しい屋根材の価格差によって総額に違いが生じます。
葺き替え工事では、屋根材の下にある野地板や防水紙の状態が非常に重要です。
これらの下地が健全な場合は最低限の補修で済みますが、雨漏りや経年劣化によって傷みが進んでいる場合は、張り替えや増し張りが必要です。
下地補修は屋根全体の耐久性に直結する工程であり、省略できない部分です。そのため、下地の劣化が見つかると見積金額が想定より上がることも珍しくありません。
葺き替え工事は高所作業となるため、安全確保のために足場の設置が不可欠です。
足場費用は工事全体の中でも一定の割合を占めますが、職人の安全性と施工品質を確保するためには欠かせない工程です。
また、近隣への配慮として養生シートを設置することも多く、これらの付帯工事費用も見積金額に含まれます。