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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「ケーシングって何のために付いているんだろう?」と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。 特にリフォームや内装を考えていると、ケーシングを付けるべきかどうか気になるはずです。 本記事では、ケーシングの役割や種類、メリット・デメリット、固定枠との違いなどを分かりやすく整理して解説します。
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まず、ケーシングの基本的な情報を詳しく解説します。
ケーシングとは、元々「覆う」「囲う」「保護する」といった意味を持つ言葉で、対象物の外側を包み込む部材や構造を指す総称です。
1つの分野に限定された専門用語ではなく、使用される領域によって役割や形状が大きく異なる点が特徴です。
そのため、ケーシングは「用途によって複数の意味を持つ用語」と理解しておく必要があります。
固定枠は、建具まわりの開口部に取り付ける「基本となる枠」を指し、正面からは1枚の額縁だけが見えるシンプルな構成です。施工性が高くコストも抑えやすいことから、一般住宅で最も広く用いられています。すっきりとした見た目になり、空間を広く感じさせたい場合にも適しています。
一方、ケーシングは、固定枠の上からさらに化粧材(額縁)を回して仕上げる枠のことを指します。
このように、固定枠は「建具の基本枠そのもの」、ケーシングは「その枠を覆い、装飾として仕上げる化粧枠」という定義の違いがあります。

建設・建築におけるケーシングとは、建具まわりに設けられる枠材の一種です。
「ケーシング枠」や「額縁」と呼ばれることもあり、建具と壁が接する部分に取り付けられる仕上げ材として位置付けられています。
ケーシングは、枠まわりに細い見切り縁を巡らせて納める工法から生まれた言葉で、この見切り縁は仕上げ材が切り替わる境界部分に設けられる細い部材のことを指します。
現在では、見切り材を含む枠まわりの仕上げ全体がケーシングと呼ばれるようになり、建具のデザインを構成する重要な要素です。
建設・建築におけるケーシングは、土木工事や基礎工事において用いられる鋼製の筒状部材を指すこともあります。
地中に孔を掘削する際、その内壁を支えて崩壊を防ぐために挿入される保護管で、基礎杭工事や推進工法、立坑の施工など、地盤の安定が重要となる場面で不可欠な資材です。掘削時の土圧や地下水の影響を抑え、施工空間を安定させる役割を持っています。
また、掘削機械と連動して回転させながら貫入させるタイプや掘削に合わせて段階的に挿入していくタイプなど、工法に応じてさまざまな形状・仕様が存在します。
ケーシングの主な役割は、次のとおりです。
● 仕上がりを整える
● 仕上げ材を守る
● 空間デザインを補強する
それぞれを詳しく解説します。
ケーシングは、壁と窓枠・ドア枠の接点に生じる境界部分を覆い、仕上げ面に一体感を持たせるために用いられる部材です。
建具まわりは施工工程が複雑なことから、壁の不陸や枠材の微妙なずれが表面に出やすく、そのままでは影や段差として目立つことがあります。
ケーシングを取り付けることで境界部分の凹凸が均され、建具周囲のラインが真っすぐに見えるため、見た目の品質が大きく向上します。
ケーシングには、壁紙や塗装面の端部を保護する役割もあります。
建具まわりは人の動線と重なることが多く、手が触れたり、掃除機・家具が当たりやすい位置にあるため、壁紙の角が浮いたり破れたりするリスクが高い箇所です。ケーシングを枠まわりに設置することで、弱くなりがちな仕上げ材のエッジ部分を押さえ込み、摩耗や衝撃による損傷を軽減できます。
特に、子どもやペットのいる家庭、または使用頻度の高い出入口では、ケーシングがあるかどうかで劣化の進み方が大きく変わるため、長期的なメンテナンス性という点でも重要な役割を果たします。
ケーシングは、室内空間におけるデザインにも寄与します。
幅や厚みのバランス、角の仕上げ形状、装飾モールディングの有無などによって雰囲気が大きく変わり、ミニマルでスタイリッシュな印象にも重厚感のあるクラシックスタイルにも対応可能です。
建具まわりは視界に入りやすい位置にあるため、ケーシングのデザインは空間全体の印象を左右します。インテリアコンセプトに合わせて選ぶことで、空間の統一感を高められ、アクセントとして個性の演出が可能です。
ケーシングが使われる主な場所は、次のとおりです。
● ドアまわり(室内ドア・玄関ドア)
● 窓まわり(サッシ枠・窓額縁)
それぞれを解説します。
ケーシングが最も多く使われる場所が、室内ドアや玄関ドアの周りです。
ドア枠と壁の間には、施工のわずかな誤差や壁厚の違いによって隙間ができやすく、そのままでは影が出たり段差が目立ったりします。
また、玄関は来客が最初に目にする場所であり、ケーシングの形や太さによって空間の雰囲気が大きく変わります。シンプルなデザインならすっきりと、装飾のあるデザインを選べば重厚感やクラシックな雰囲気を演出できます。
窓の周辺は、壁とサッシ枠の取り合い部分に小さな隙間や段差が出やすく、放置すると影ができて不自然に見えることがあります。
そこでケーシングを取り付けることで、境目をきれいに隠し、窓まわりの輪郭を整えられます。
また、窓は結露が発生しやすい場所でもあり、水分が壁に染み込むとカビや劣化の原因になります。ケーシングはその浸透を抑える役割も果たし、特に寒冷地や湿度の高い地域の住宅では重要な存在です。
ケーシングに使われる主な素材別の種類は、次のとおりです。
● 木製ケーシング
● 樹脂製ケーシング
● アルミ製ケーシング
● 複合素材ケーシング
それぞれを詳しく解説します。
木製のケーシングは、やさしい質感と自然な風合いが魅力です。
木目の表情によって部屋全体が柔らかい印象になり、家具や床材との相性も良く、統一感のある空間づくりに向いています。無垢材は本物の木ならではの重厚感があり、MDF(人工の木質ボード)などの加工材は反りにくく扱いやすいため、用途に合わせて選べる点もメリットです。
ただし、木は湿度の変化に敏感なため、お風呂場の近くや結露しやすい場所では変形や膨らみが起こる可能性があります。
樹脂製のケーシングは、水に強く湿気の影響をほとんど受けないため、脱衣所・トイレ・洗面所など湿気がこもりやすい場所で特に役立つ素材です。
カビが生えにくく腐る心配も少ないので、長期間にわたってきれいな状態を保ちやすい点が特徴です。汚れがついても布で軽く拭くだけで落ちるため、日常のお手入れが負担になりません。
近年はデザインのバリエーションも増えており、白を基調にしたシンプルなものから木目調のタイプまで幅広く選べるようになっています。価格帯も比較的手頃なため、コストを抑えながら実用面を重視したい場合に多く選ばれる素材です。
アルミ製のケーシングは、金属ならではのシャープな見た目が特徴で、すっきりとした現代的なデザインを好む方に向いている素材です。
細いラインでもしっかり強度があり、傷や変形が起こりにくいことから、長期間にわたって美しい状態を保ちやすい点も大きな魅力です。また、湿気や温度変化にも強いため、結露が起きやすい窓まわりでも安心して使えます。
一方で、アルミは金属特有の冷たい質感があるため、シンプルさや都会的な雰囲気を重視したい場合にはぴったりですが、柔らかい雰囲気を作りたい場所では慎重に検討する必要があります。
複合素材のケーシングは、木・樹脂・アルミなど複数の素材を組み合わせることで、それぞれの長所を1つにまとめたタイプです。
例えば、木の自然な見た目や温かみを残しながら、樹脂の水に強い性質を取り入れたり、アルミの丈夫さと木目のデザイン性を両立させたりと単一素材では実現しにくい特徴を持たせられます。
湿気が気になる場所でも安心して使え、日常のお手入れもしやすいため、住宅だけでなくオフィスや店舗などでも採用されることが多いです。
ケーシングは見た目による種類は、次のとおりです。
● クラシックタイプ
● シンプルタイプ
● モールディングタイプ
● フラットタイプ
それぞれを詳しく解説します。
シンプルタイプのケーシングは、直線的な形状で余計な装飾を入れず、できるだけすっきりと見せることを重視したデザインです。
クセが少なく、どんな部屋にも自然になじむため、迷ったときに選びやすい「定番のスタイル」といえます。モダンなインテリアや北欧テイストのような落ち着いた空間だけでなく、木目を生かしたナチュラルな部屋にも合わせやすく、幅広いデザインに対応できる点が大きな魅力です。また、枠の存在を強調しないため、壁やドアのラインがきれいに見え、空間全体に統一感を持たせる効果もあります。
主張が控えめであることから、家具や壁紙など他のインテリアアイテムとバランスを取りやすく、部屋づくりの邪魔をしない点もポイントです。どのようなスタイルの住まいにも合わせられる、扱いやすいデザインタイプです。
シンプルタイプのケーシングは、余計な装飾を加えず、まっすぐなラインだけで構成された基本的なデザインが特徴です。クセのない形状のため、どんな部屋にも自然と溶け込み、初めてケーシングを選ぶ人でも採用しやすい万能タイプといえます。
すっきりとした見た目は、現代的なインテリアや北欧風の明るい空間やナチュラル系のやさしい雰囲気の部屋とも相性がよく、枠が目立ちすぎないため空間全体の雰囲気を邪魔しません。壁やドアのデザインを引き立てる役割を果たすため、家具や照明など他のインテリア要素とも調和しやすい点もメリットです。
主張が控えめで、どのスタイルにも合わせやすいことから、シンプルタイプは住宅・店舗どちらでも広く使われています。迷ったときに選んでも失敗しにくい、扱いやすいデザインです。
モールディングタイプのケーシングは、段差や柔らかい曲線を組み合わせたデザインが特徴で、クラシックタイプほど派手ではないものの、適度な装飾が程よい存在感を与えてくれます。
華美になりすぎず、上品さを演出したいときに向いているため、シンプルすぎる枠では物足りないという場合にぴったりのスタイルです。枠に立体感があることで、光の当たり方によって陰影が生まれ、部屋全体に柔らかい表情が加わります。そのため、落ち着いたトーンのインテリアや、温かみのある家具と組み合わせると、空間全体に深みが出てバランスの良い印象です。
また、過度な装飾がないため取り入れやすく、程よくクラシックな雰囲気を加えたいときにも適しています。
フラットタイプのケーシングは、表面に凹凸や装飾を一切つけず、まっすぐで平らな形に仕上げた非常にシンプルなデザインです。
余計なラインがないため見た目がすっきりしており、ミニマルデザインの部屋や北欧テイストのような明るく軽やかな雰囲気の空間によくなじみます。枠を目立たせたくない場合にも使いやすく、壁と一体化したような自然な印象をつくれます。
また、凹凸がないことで掃除がしやすく、ホコリがたまりにくい点がメリットです。
ケーシングのメリットは、次のとおりです。
● さまざまな壁厚や構造に対応しやすい
● 大掛かりな工事をせずに部屋の印象を変えられる
● 住宅の維持管理がしやすくなる
それぞれを解説します。
ケーシングは、壁の厚さや建物の構造に左右されにくいという大きな利点があります。
特にリフォームでは、既存の壁の状態が均一でないケースも多く、枠だけ新しくしても仕上がりに違和感が出ることがあります。ケーシングがあれば、こうした住宅ごとのばらつきを吸収できるため、どんな家でも安定した見た目に仕上げられるという安心感があります。
また、壁厚が一般的な住宅と異なる場合でも、ケーシングなら調整がしやすく、結果として新築のような整った印象を与えられます。
ケーシングは後から取り付けられるため、壁を壊したり枠を組み直したりするような大規模な工事を必要としません。そのため、部屋の雰囲気を変えたいときに非常に取り入れやすく、「手軽に空間をアップグレードできる」というメリットがあります。
既存の壁やドアをそのまま生かしつつ見た目を整えられるため、短期間・低コストで“印象が大きく変わる効果を得られる点が魅力です。
一般の方でも扱いやすいDIY対応品も多く販売されており、巾木や廻り縁と同じデザインにそろえれば、家具や素材を変えなくても空間全体が引き締まり、住まいのグレードを手軽に底上げできます。気軽にインテリアを刷新したい人にとって、ケーシングは非常に使い勝手の良い選択肢です。
ケーシングを設けることで、壁紙や塗装面の端が直接ダメージを受けにくくなり、結果として家の劣化スピードを抑えられます。役割としては「仕上げ材を守る」機能がありますが、メリットとしてはその先にある「壁の傷みを長期間防ぎ、修繕の手間や費用を大幅に減らせる」点が重要です。
特にドアまわりや通路は人がよく通るため家具・荷物・掃除機がぶつかりやすく、壁の角が最も傷みやすい場所です。ケーシングがあれば、こうした日常的な衝撃から壁を守れるため、壁紙のめくれや角の欠け、汚れの広がりといったトラブルを未然に防げます。
結果として、気になる部分の補修回数が減り、住まいの見栄えが長く保てるという大きなメリットにつながります。
ケーシングのデメリットは、次のとおりです。
● コストが高くなる可能性がある
● 小さな部屋では圧迫感につながることがある
● 日本の住宅や気候と相性が悪い場合がある
それぞれを詳しく解説します。
ケーシングは、壁と枠の境目を隠すための化粧材を追加で取り付ける構造になっているため、固定枠に比べて使う部材が多く、その分材料費が上がりやすい傾向があります。
特に無垢材などの高価な木材を使ったタイプや飾りの入ったデザイン性の高いケーシングは、枠そのものの価格に加えて加工費も高くなり、予算を圧迫しやすいです。
また、ケーシングは窓やドアなど開口部の数だけ必要になるため、開口部が多い住宅では費用が積み上がりやすい点も特徴です。1カ所ごとの差額は小さく感じても、全体で見ると固定枠との価格差が大きくなる場合があります。
ケーシングは装飾性を持たせるために一定の幅や厚みがあり、存在感が強い点が特徴です。
そのため、枠まわりが太く見えることで視界に占める割合が増え、部屋全体がやや狭く感じられることがあります。特に、ワンルームのような小さめの空間や天井が低い部屋ではその影響が出やすく、思ったより重たい印象になってしまうケースも少なくありません。
もし部屋を広く、軽やかな雰囲気でまとめたい場合は、細めのデザインを選ぶか、あえてケーシングを使わずシンプルな固定枠を採用する方が向いています。
ケーシングは海外、特に洋風住宅で発展してきたデザイン要素のため、和室や昔ながらの和風建築にそのまま取り入れると、室内の雰囲気と合わず、違和感が出ることがあります。
直線的で装飾の少ない和の空間では、装飾性のあるケーシングが目立ちすぎてしまうことがあり、空間の統一感を損ねてしまう可能性があります。
また、日本は湿度が高い気候であるため、木製ケーシングの場合は湿気による膨張・反り・割れが起こりやすいという点も見逃せません。特に窓まわりのように結露が発生しやすい場所では、素材の変形や汚れが進みやすく、定期的なメンテナンスが必要になる場合があります。
最後に、ケーシングに関するよくある質問とその回答を紹介します。
取り付け自体は可能ですが、一般的なDIY作業より難易度は高めです。
DIYで挑戦する場合は、寸法が調整しやすい既製品の「後付け額縁キット」を使うと難易度が大きく下がります。
基本的な工具で施工できるタイプも多く、初めての人でも比較的取り組みやすい選択肢です。
ポンプケーシングは建築用語のケーシングとは別の概念です。
ポンプのケーシングは、吸込口から入ってきた液体を羽根車(インペラー)へスムーズに送り込み、インペラーが吐き出した流体を効率よく集めて吐出口へ導くための「圧力容器」として機能します。
内部の流れを整えながら圧力を生み出し、ポンプが安定して液体を送り出せるように設計された重要な部分です。
食品分野でいうケーシングとは、ソーセージやハムなどの加工食品を成形するために使われる一次包装資材のことです。
塩漬け肉や練り肉を直接詰め込み、加熱・燻製(くんせい)・乾燥などの工程でも中身が崩れないよう形を保持する役割があります。
ケーシングには、羊腸や豚腸などを利用した「天然ケーシング」、コラーゲン・セルロース・プラスチックなどから作られた「人工ケーシング」があり、製品の種類や求められる食感に応じて使い分けられます。