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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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工程管理とは、工事やプロジェクトを計画どおりに進めるために、作業の順序やスケジュール、人員や資材の手配などを管理することです。 しかし、「どのように工程管理を行えば良いのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、工程管理の定義や生産管理・進捗(しんちょく)管理との違い、工程管理が重要な理由、工程管理の方法や具体的な管理手順、工程管理を成功させるポイントまで分かりやすく紹介します。
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まず、工程管理の基礎知識を紹介します。
建設業における工程管理とは、工事全体の作業スケジュールや進捗(しんちょく)状況を管理することです。
建設業では工程管理は施工管理の重要な要素の1つとされており、「工程管理・原価管理・品質管理・安全管理」の4つを合わせて管理することで、工事を安全かつ効率的に進められます。
工程管理は建設業だけで用いられる考え方ではありません。製造業では、原材料の加工や組み立て、検査、出荷までの流れを管理するために工程管理が行われます。さらに、システム開発やサービス業などでも業務の進行状況やスケジュールを管理する手法として活用されています。
このように工程管理は、業務を計画的に進めるための基本的な管理手法として、さまざまな業界で利用されています。
生産管理とは、製品やサービスを効率よく生み出すために、生産活動全体を管理する仕組みを指します。
具体的には、生産計画の作成や原材料の調達、在庫の管理、人員の配置、製品の出荷や販売に関する管理など、幅広い業務を対象とします。生産に関わるさまざまな要素を総合的に管理することで、安定した供給や効率的な生産体制を維持することが目的です。
生産管理が生産ライン全体を対象とした包括的な管理であるのに対し、工程管理はその中で作業の流れや納期に関わる部分を担う管理です。そのため、工程管理は生産管理の一部として位置付けられます。
進捗管理とは、作業やプロジェクトが計画したスケジュールどおりに進んでいるかを確認し、遅れや問題が発生していないかを把握するための管理のことです。具体的には、工程表やスケジュールと実際の作業状況を比較し、予定との差を確認しながら必要に応じて作業の調整を行います。
工程管理は進捗管理よりも管理範囲が広く、作業の順序や人員配置、資材の手配、設備の利用など、工程全体を効率よく進めるための管理です。
工程管理が工事全体の計画や運用を含む総合的な管理であるのに対し、進捗管理はその中で作業の進み具合を確認するための管理といえます。
工程管理が重要な理由は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工程管理の大きな目的の1つは、納期や工期を守ることです。
顧客は、製品の納品や工事の完成が予定されたスケジュールどおりに行われることを前提に取引をしています。そのため、納期が遅れると信頼の低下につながります。
工程管理を行うことで、作業の進捗状況を把握できるため、計画との差を早期に確認できます。もし工程の遅れが発生した場合でも、作業の順序を見直したり人員配置を調整したりすることで、納期への影響を最小限に抑えることが可能です。
業務を円滑に進めるためには、関係者の間で情報を共有し、作業の状況を把握できる仕組みが重要です。特に複数の部署やチーム、協力会社が関わる業務では、情報共有が十分に行われていないと意思疎通ができません。
工程管理によって業務の流れを見える化することで、現場の担当者から管理者まで、全体の中で自分の作業がどの位置にあるのかを理解できます。
その結果、組織全体で連携しながら業務を進められます。
全体の工程を把握することは、作業の順序を見直したり、無駄な工程を整理したりする上でも必要です。
工程を計画的に管理することで、同じ作業をまとめて実施したり、作業のタイミングを調整したりするなど、効率的な段取りを検討できます。その結果、作業の重複や待ち時間を減らし、業務全体の効率を高められる点が大きなメリットです。
例えば、資材の搬入や運搬を一度にまとめて行う、同じ工程を連続して処理するといった工夫ができます。こうした取り組みを行うことで、作業開始から完了までにかかる時間、いわゆるリードタイムの短縮が可能です。その結果、生産性の向上や工期短縮につながります。
工程管理を適切に行うことは、コスト削減にもつながる重要な取り組みです。
工程が整理されていない場合、作業員の待機時間が発生したり、段取りのやり直しが必要になることで、無駄な人件費や作業時間が増えてしまいます。
工程管理によって作業の順序やスケジュールを計画的に整理すれば、資材の発注や作業の段取りを効率よく進められ、無駄な工数や過剰な在庫の発生を抑えられます。
現場では、設備の故障や資材不足、天候の変化など、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
工程管理が十分に行われていない場合、進捗の遅れへの気づきが遅れ、結果として長時間労働や長時間労働や突発的な作業が増えてしまいます。そのため、日頃から工程の進行状況を確認し、計画との差を把握しておくことが重要です。工程管理によって全体のスケジュールを把握しておけば、問題が発生した際にも影響範囲を確認できます。
その結果、業務の停滞を防ぎながら、業務を円滑に進められます。
工程管理の方法は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
紙やホワイトボードを使って工程を管理する方法は、比較的シンプルな工程管理の方法です。工程表を手書きで作成し、作業の予定や進捗状況を確認しながら管理します。
パソコンや専用ソフトを必要としないため、すぐに始められる点が特徴です。また、手書きで内容を修正できるため、短期間の作業や少人数の現場では柔軟に対応できます。
一方で、工程が複雑になると管理が難しくなります。さらに、複数の拠点や関係者と情報の共有が難しいため、大規模なプロジェクトでは管理が複雑になる点に注意が必要です。
ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを利用して工程表を作成する方法も広く利用されています。
これらのツールは多くの企業で導入されているため、新しいシステムを用意しなくても工程管理を始められる点がメリットです。また、関数や計算式を利用することで、日程や進捗の管理を効率よく行えます。ファイルを共有すれば複数のメンバーが同じ工程表を確認できるため、情報共有も簡単です。
ただし、工程表の作成や更新は手作業で行うことが多く、入力ミスや計算ミスが発生する可能性があります。プロジェクトが大規模になると、データ管理や編集権限の管理が複雑になるため注意が必要です。
近年では、専用のプロジェクト管理ツールを利用して工程管理を行う企業も増えています。
ツールには、タスク管理や進捗の確認など、工程管理を効率化するための機能が備わっています。クラウド型のサービスを利用することで、複数の拠点や関係者とリアルタイムでの情報共有も可能です。また、アクセス権限の設定や通知機能などを活用すれば、プロジェクト全体の状況を把握できます。
利用には月額費用などが発生しますが、工程管理の効率化や情報共有の改善を目的として導入する企業が多いです。
工程管理では、工事の内容や管理の目的に応じてさまざまな工程表が使われます。主な工程表の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
バーチャート工程表は、工程表の中でも基本的な形式として広く使われています。
縦方向に作業項目を並べ、横方向に日付や期間を配置し、それぞれの作業期間を棒状のバーで示します。どの作業がいつから始まり、どれくらいの期間続くのかを視覚的に確認できるため、工事全体の流れを把握しやすい工程表です。構造がシンプルで理解しやすいため、工程表の作成や修正が比較的容易である点も特徴です。
ただし、作業同士の関連性までは表現しにくいため、ある工程の遅れが他の作業にどの程度影響するのかを判断することは難しい場合があります。
ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に時間や日付を配置し、作業の期間や進捗を棒状のバーで示します。
基本的な形式はバーチャート工程表に近いですが、作業の進み具合をバーの長さや進捗率で示すことで、現在の作業状況を把握できる点が特徴です。複数の作業が同時に進む工事では、どの工程が予定どおり進んでいるのか、遅れている作業はどこかを確認しやすいというメリットがあります。
一方で、工程同士の関係性や作業の詳細な工数までは把握しにくく、作業開始日や完了日などの細かなスケジュール管理には別の資料を併用することもあります。
グラフ式工程表は、進捗状況をグラフとして表す工程表です。
横軸に日付や期間、縦軸に進捗率を設定し、作業の進み具合を曲線として表示します。1つの作業が完了したら、次の作業の進捗には別の曲線を用います。
工事が計画どおり進んでいるかを視覚的に確認できるため、工程全体の進行状況を把握しやすい点が特徴です。予定と実際の進捗を比較しやすいため、作業の遅れや進行状況の変化を把握する際にも役立ちます。
ただし、作業同士の細かな関係性を直接表す形式ではなく、工程表の作成方法もやや複雑になるため、使いこなすには一定の理解が必要です。
工程管理曲線は、工事全体の進捗を曲線で示す工程管理の方法です。
縦軸に進捗率、横軸に日程を設定し、予定と実績を曲線として表し、Sカーブやバナナ曲線などと呼ばれることもあります。曲線の位置を確認することで、工事が予定より進んでいるのか、あるいは遅れているのかを把握できます。また、許容範囲を示す補助線を設定することで、スケジュールの遅れがどの程度まで許容できるかの確認も可能です。
ただし、個々の作業工程の進捗までは表示されないため、詳細な工程管理を行う際には別の工程表と併用する必要があります。
ネットワーク工程表は、作業の順序や関連性を図式化して示す工程表です。
作業の開始や完了のポイントを「イベント」、作業そのものを「アクティビティ」として矢印で結び、工程の流れをネットワーク構造で表します。ネット工程表では、どの作業が完了しなければ次の工程に進めないのか、どの作業を同時に進められるのかを把握できる点がメリットです。そのため、複数の工種が関係する工事や、工程数の多い大規模なプロジェクトの管理に適しています。
ただし、作成には専門的な知識が必要であり、作業の進捗状況を直接表示する形式ではないため、進捗管理には別の工程表を併用することが多いです。
工程管理の手順は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工程管理の第一段階では、工事の全体計画を整理し、工程表を作成します。設計内容や施工方法、作業の順序などを踏まえながら、工事のスケジュールを具体的に決めていきます。
一般的には、工事全体の流れを示す工程表と、日々の作業内容を詳しく示す工程表の2種類です。前者では主要な工程や節目となる目標を設定し、後者では作業の手順や作業期間などをより細かく整理します。
計画段階で工程を整理しておくことで、作業の順序や人員配置、資材の準備などを計画的に進められます。
工程表が完成したら、工程表に基づいて工事を進めていきます。
工程管理者や施工管理者は、作業が計画どおりに進むよう現場で指示を出し、必要に応じて資材や機械の手配なども行います。
現場では朝礼や打ち合わせなどを通じて、その日の作業内容や工程の進め方を共有することも重要です。関係者全員が工程を理解している状態をつくることで、作業の連携が取れます。
工事が進んだ段階で、工程表どおりに作業が進行しているかを確認します。
現在の進捗状況を把握し、計画との差が生じていないかをチェックすることが重要です。現場の責任者や作業員から状況を聞き取りながら、作業負担が偏っていないか、人員配置が適切かといった点も確認します。問題が発生している場合には、その原因を整理し、どの工程に影響が及んでいるのかを把握します。
課題を早期に発見できれば、大きな遅れにつながる前に対策を検討できます。
確認の結果、工程に問題や遅れが見つかった場合は、工程表や作業計画を見直します。
例えば、天候不良によって工事が遅れた場合には、作業の順序を調整したり、工期を再設定したりするなどの対応が必要です。工程を変更した場合は、関係者へ速やかに情報を共有し、現場全体で新しい計画を理解しておきます。
工程管理では、計画・実行・確認・改善のサイクルを一度だけ実施するのではなく、継続的に繰り返していくことが重要です。繰り返すことで、現場の状況に合わせた工程管理を行い、効率的に工事を進められます。
工程管理のポイントは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
工程管理では、現場の条件を踏まえた現実的な工程計画を立てることが重要です。
工期を短縮することだけを優先して無理なスケジュールを設定すると、作業の負担が増え、品質の低下や事故のリスクにつながります。
そのため、作業内容や施工方法、必要な人員や機材などを考慮した上で、実際に運用できる工程を設定することが重要です。また、工事では予期しないトラブルが発生することも多いため、工程表には一定の余裕を持たせましょう。
工程管理では、作業の進み具合を把握できる仕組みを整えておくことも重要です。
工程表と実際の進捗状況を比較できる体制があれば、計画との差異を早い段階で確認できます。現場の状況を継続的に確認できれば、問題が大きくなる前に対策を検討が可能です。
こうした管理体制を整えておくことで、工事全体のスケジュールを安定させることにつながります。
工程管理を円滑に進めるためには、現場だけでなく事務所や管理部門との情報連携も欠かせません。
工程に関する情報が現場と事務所の間で分断されていると、資材手配や人員調整などの判断が遅れる原因になります。現場で得られた情報を管理部門と共有し、資材調達や工程変更への対応を迅速に行いましょう。
近年ではクラウドシステムなどを活用し、工程表や進捗状況をリアルタイムで共有する企業も増えています。こうした仕組みを整えることで、工程管理の効率を高められます。
建設工事では、計画どおりに作業が進まないことが多くあります。天候の変化や資材の納入遅れ、人員配置の変更など、さまざまな要因によって工程の見直しが必要です。
そのため、工程管理では、状況の変化に応じて柔軟に工程を調整できる体制を整えておくことが重要です。例えば、作業の順序を組み替えることで工期への影響を抑えたり、同時に進められる工程を並行して実施したりするなど、状況に応じた対応が求められます。
さらに、工程を変更した場合は、更新した工程表を関係者に共有し、現場全体で新しいスケジュールを認識しておくことも大切です。変更内容が十分に共有されていないと、作業の手戻りや工程の混乱につながる可能性があります。工程変更を迅速かつ適切に管理することが、工事全体のスケジュールを安定させることにつながります。
工程管理では、作業の遅れが発生した場合に、その場で対応するだけで終わらせないことが重要です。
なぜ遅延が起きたのかを整理し、原因を明確にすることで、同じ問題の再発を防ぐことにつながります。遅延が発生した際には、どの工程で問題が起きたのか、どのような条件が重なったのかを確認し、改善策を検討します。
例えば、資材手配のタイミングを見直したり、人員配置を調整したりすることで、同様のトラブルを防げる場合があります。また、過去の工事の進捗データや実績を参考に工程計画を見直すことで、より実態に近いスケジュールを設定できます。
このように、遅延の原因を分析し改善に生かすことが、工程管理の精度向上につながります。