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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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AEP塗装という言葉を聞いて、「具体的にどんな特徴があるのだろう」と疑問に感じていませんか? 塗装方法は見た目だけでなく、コストやメンテナンス性、施工時の環境への影響にも大きく関わります。 本記事では、AEP塗装の基本から特徴、メリット・デメリット、費用相場や施工手順などを分かりやすく解説します。
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まず、AEP塗装について基本的な情報を紹介します。
AEP塗装とは、「アクリルエマルションペイント(Acrylic Emulsion Paint)」と呼ばれる水性アクリル樹脂塗料を用いた塗装方法です。
「エマルション」とは乳化を意味し、本来は混ざり合わない油分と水分が、細かく分散した状態で均一に保たれていることを指します。これは、分離しにくいドレッシングが油と水を混ぜ合わせている状態に近いイメージです。
AEP塗料は、油性成分を主体としながら水で分散した樹脂を含んでおり、水性でありながら一定の耐水性や耐アルカリ性を備えています。
AEP塗装と並んで語られることが多い塗装に、EP塗装があります。
現在の現場では両者を同一のものとして扱うこともありますが、本来は性質の異なる塗料です。EP塗装に用いられる塗料は溶剤を主成分とするエマルション塗料で、水やアルカリの影響を受けやすい特性があります。
EP塗料の使用は次第に減少し、現在ではAEP塗装が主流です。
AEP塗装のメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
AEP塗装は、数ある建築用塗料の中でも比較的コストを抑えやすい点が大きなメリットです。
塗料の価格は、使用されている樹脂の種類や期待される耐久年数によって差が生じますが、一般的にはアクリル系を起点として、ウレタン、シリコン、フッ素とグレードが上がるにつれて高価になります。
AEP塗料はアクリル樹脂を主成分とする水性塗料であるため、材料費が高騰しにくく、施工費全体を抑えやすい傾向があります。内装のように塗装面積が広くなりがちな工事でも、コストバランスを取りやすい塗装方法といえるでしょう。
AEP塗装は、施工時の臭いが少ない点でも評価されています。
塗料には水性と溶剤系がありますが、溶剤系塗料では希釈や乾燥の過程で強い刺激臭が発生しやすく、人によっては不快感を覚えることがあります。一方、AEP塗料は水性タイプのため、揮発性の高い溶剤成分をほとんど含まず、独特の塗料臭が抑えられています。
そのため、臭いに敏感な方がいる住宅や、使用中の建物の内装工事でも採用しやすく、周囲への影響を最小限に抑えられる点がメリットです。
塗装工事では、使用する塗料によって作業者や居住者の体調に影響が出ることがあります。
特に溶剤系塗料では、成分によって頭痛やめまい、吐き気などを引き起こすケースもあり、注意が必要です。AEP塗料は水性塗料であり、有機溶剤の使用が抑えられているため、身体への負担が比較的少ないとされています。
換気を行いながら施工すれば、安全性を確保しやすく、健康面に配慮した塗装方法として内装工事を中心に選ばれています。
AEP塗装は、油性塗料と比べて扱いやすい点もメリットの一つです。
溶剤系塗料は粘度調整や塗り加減が難しく、慣れていないと液だれやムラが発生しやすいです。その点、AEP塗料は塗り伸ばしがしやすく、乾燥の進み方も比較的穏やかなため、作業中に修正しやすい特徴があります。
塗装経験が少ない場合でも仕上がりをコントロールしやすく、DIY用途として選ばれることが多い理由の一つです。
AEP塗装は、塗装面を比較的きれいに仕上げやすい点も魅力です。
広い面はローラー、細部ははけといった基本的な道具を使い分けることで、フラットで落ち着いた質感を出しやすいです。塗料のなじみが良いため、塗りムラが目立ちにくく、内装仕上げとして安定した見た目を確保しやすい点が特徴です。
専門業者だけでなく、塗装に不慣れな人でも一定水準の仕上がりを目指しやすい塗装方法といえるでしょう。
AEP塗装は高耐久塗料と比べると耐用年数は短めですが、その分、補修のしやすさがメリットとして挙げられます。
汚れや傷が目立ってきた場合でも、該当箇所に重ね塗りすることで対応でき、大掛かりな工事を行う必要がありません。壁紙のように全面を張り替える必要がないため、補修コストを抑えやすい点も特徴です。
必要な材料も比較的入手しやすく、施工は業者に任せ、補修のみを自分で行うといった使い分けもしやすい塗装方法です。
AEP塗装のデメリットは次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
AEP塗装のデメリットは、表面に汚れが付きやすい点です。
クロス(壁紙)と比べると、手で触れた際の皮脂汚れや、飲食物によるシミが目立ちやすい傾向があります。特にキッチン周辺では、油はねや水はね、調理器具による擦れなどが重なり、汚れが蓄積しやすくなります。白や淡色で仕上げた場合は、こうした汚れがより強調されやすいため注意が必要です。そのため、頻繁に触れる場所や汚れが発生しやすい箇所では、AEP塗装以外の仕上げを検討することが無難でしょう。
ただし、AEP塗装は上塗りによる補修が容易なため、こまめな手入れを前提とすれば大きな問題にならない場合もあります。
AEP塗装は水性塗料であることから、溶剤系塗料と比べると下地への密着力が弱い傾向があります。
これは施工技術の問題というよりも、塗料そのものの性質によるものです。下地の状態や使用環境によっては、時間の経過とともに塗膜が浮いたり、剥がれたりする可能性があります。一度塗り直しても、条件が変わらなければ同様の症状が再発するケースも考えられます。
そのため、AEP塗装を採用する際は、下地処理を丁寧に行うことに加え、使用場所や環境を十分に見極めることが重要です。
AEP塗装は汚れやすさや剥がれやすさといった特性を持つため、長期間放置せず、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
室内だけでなく、外壁や軒天など日常的に目に入りにくい場所では、劣化に気づかないまま状態が悪化してしまうこともあります。塗膜の剥がれを放置すると、下地や構造部材にまで影響が及ぶ恐れがあり、結果的に大掛かりな修繕が必要になる場合もあります。
余計な出費を避け、建物の寿命を延ばすためにも、AEP塗装を採用した箇所は定期的に状態を確認し、早めに補修を行うことが重要です。
AEP塗装の費用相場について、詳しく解説します。
AEP塗装は、内装仕上げの中でも比較的費用を抑えやすい塗装方法です。
現在の一般的な相場では、施工単価は1㎡当たりおよそ1,200〜1,700円程度が目安とされています。これを坪単価に換算すると4,000〜5,600円前後です。
実際の金額は、下地の状態や施工条件、現場の環境によって前後しますが、見積もりを比較する際にはこの価格帯を基準にすると判断しやすいでしょう。相場とかけ離れた金額が提示された場合は、施工範囲や作業内容に違いがないかを確認することが大切です。
AEP塗装の費用は、塗装する部位によって変動します。
例えば壁面の場合は1,200〜1,500円/㎡程度が一般的で、下地の補修が少ないほどコストは抑えやすいです。天井は作業性や下地材の影響を受けやすく、1,200〜1,700円/㎡程度が目安です。一方、窓枠などの木部は下地調整や専用塗料を使用するケースが多く、1,500〜2,200円/㎡程度と高めになる傾向があります。
特に木部や吸音材などは、下地処理の有無によって費用が大きく変わるため、事前の確認が欠かせません。
AEP塗装では、施工面積の大小が単価に影響することがあります。
小規模な工事では基本単価がそのまま適用されることが多いですが、施工面積が広くなるほど作業効率が向上し、単価が調整される場合があります。特に50㎡以上の工事では、数%から1割程度単価が下がるケースも見られます。
見積もりを依頼する際には、正確な施工面積を伝えた上で、面積による単価調整が可能かどうかを確認しておくと、費用を抑えやすいでしょう。
AEP塗装の施工手順は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
AEP塗装を行う前には、作業を滞りなく進めるための準備が欠かせません。
使用する塗料は下塗り用と上塗り用を分けて用意し、施工面積に対して不足が出ないよう数量を確認しておきます。また、ローラーやはけ、マスキングテープ、養生シート、サンドペーパーなどの道具も事前にそなえておくことが重要です。
準備が不十分なまま作業を始めると、途中で作業が中断されたり、仕上がりにムラが出たりする原因になります。事前段階で施工手順を把握し、動線や作業順を整理しておくことで、安定した品質の塗装につながります。
下地処理はAEP塗装の品質を大きく左右する重要な工程です。
まず、塗装面に付着したホコリや油分、汚れを取り除き、乾燥した清潔な状態に整えます。既存の塗膜が浮いている場合は、サンドペーパーなどで削り落とし、表面をなだらかにします。ひび割れや凹凸がある場合は、パテを用いて補修し、平滑な下地を作ります。
この工程を省略すると、塗膜の密着不良や早期剥離の原因となるため注意が必要です。見えない部分こそ丁寧に仕上げることが、長持ちする塗装につながります。
下地処理が完了したら、次に下塗りを行います。
下塗りは、上塗り塗料をしっかり定着させるための土台となる工程です。ローラーやはけを使い、塗り残しや厚塗りにならないよう均一に塗布していきます。下塗りが不十分だと、上塗りの発色が悪くなったり、剥がれやすくなったりするため注意が必要です。
塗布後は、塗料メーカーが指定する乾燥時間を厳守し、完全に乾いたことを確認してから次の工程へ進みます。焦らず乾燥を待つことが仕上がりの安定につながります。
下塗りが十分に乾燥した後、上塗り作業に入ります。
AEP塗装では、上塗りを2回行うことが一般的です。1回目の上塗りでは全体に塗料を行き渡らせ、乾燥後に必要に応じて表面を軽く整えます。その後、2回目の上塗りを行うことで、色ムラの少ない均一な塗膜を形成できます。
塗装中は一方向にローラーを動かすなど、塗り方を意識することも大切です。丁寧に重ね塗りすることで、見た目の美しさだけでなく、塗膜の耐久性も向上します。
全ての塗装工程が終わったら、仕上げの確認を行います。
塗膜が完全に乾燥したことを確認した上で、養生材やマスキングテープを丁寧に取り外します。その後、塗り残しやはみ出し、ムラがないかを全体的にチェックします。特に角や端部、細部は見落としやすいため注意が必要です。気になる箇所があれば、この段階で軽微な補修を行います。
最終確認まで丁寧に行うことで、空間全体の印象が整い、満足度の高いAEP塗装に仕上げられます。
AEP塗装以外の塗装の種類は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
自然塗料は、主原料に天然由来の成分を使用した塗料で、人体や環境への影響が比較的少ない点が特徴です。
化学塗料のような強い被膜を形成しないため、木材の保護性能という点では劣る面がありますが、時間の経過とともに木の風合いが変化し、味わいのある仕上がりになる点が評価されています。
種類はオイル系や、ワックス系、オイルワックス系などに分かれ、素材の質感を生かした仕上げが可能です。一方で、天然成分を使用している分価格は高めで、類似品や品質にばらつきのある製品も流通しています。そのため、材料選定や施工には信頼できる業者を選ぶことが重要です。
オイルステインは木部専用の塗装方法で、木材に塗料を浸透させて着色する点が特徴です。
塗膜で覆うのではなく、木の内部に色を入れるため、木目を生かした自然な仕上がりになります。既に塗膜が形成されている部分や金属面には使用できません。
油性タイプのオイルステインは、表面に油分を残すことで木材を保護し、屋外でも一定の耐久性を発揮します。製品にはニス入りとニスなしがあり、ニスなしの場合は仕上げとしてニスやラッカーを重ね塗りすることで、耐久性を補う必要があります。
最後に、AEPに関するよくある質問とその回答を紹介します。
AEP塗装は、内装仕上げを中心に、扱いやすさや環境への配慮を重視したい場面で選ばれる塗装です。AEP(アクリルエマルションペイント)は水性塗料のため刺激臭が少なく、居住中の住宅やオフィス、共用部などでも採用されています。
また、AEP塗装は屋内だけでなく、軒下天井のように雨風の直接影響を受けにくい半屋外部位でも使われることがあります。外壁塗装とあわせて軒下天井にAEPを採用することで、外観全体が明るくなり、清潔感のある印象に仕上がるケースも少なくありません。
耐久性を最優先する塗装ではありませんが、用途を限定すれば、コスト・施工性・見た目のバランスに優れた選択肢といえるでしょう。
EP塗装は艶あり仕上げも可能です。AEP塗料は製品や仕様によって、艶あり・半艶・艶消しといった仕上がりを選べます。
艶あり仕上げは光を反射しやすく、空間を明るく見せられる点が特徴で、表面が比較的なめらかなため汚れを拭き取りやすいメリットもあります。
一方で、落ち着いた雰囲気や上品な印象を重視する場合は、半艶や艶消しが選ばれることも多く、部屋の用途や求める意匠に応じて艶の度合いを調整することが、満足度の高いAEP塗装につながります。
AEP塗料は、日本ペイントやエスケー化研をはじめとする、国内の主要塗料メーカーから製品が展開されています。いずれも建築内装向け塗料の実績が豊富で、公共施設や住宅、商業施設など幅広い現場で使用されています。
メーカーによって、塗料の隠ぺい性(下地の隠れやすさ)や仕上がりの質感、ローラー・はけでの塗りやすさなどに細かな違いがあります。
そのため、「AEP塗料であればどれでも同じ」と考えるのではなく、施工部位や下地の状態、求める仕上がりに応じて選定することが重要です。製品名だけで判断せず、カタログや仕様書で性能や推奨用途を確認した上で採用すると安心です。