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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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吹き付け塗装とは、外壁や建物の仕上げに広く用いられる塗装方法の1つですが、「ローラー塗装や刷毛塗りと何が違うのか」など、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 特に、見た目のデザイン性や費用、施工方法による違いは分かりにくく、判断が難しいポイントです。また、メリットだけでなく、塗料の飛散やコスト面などのデメリットも理解しておかなければ、後悔につながる可能性があります。 本記事では、吹き付け塗装の基本から、焼付塗装や他工法との違い、スプレーガンの種類、仕上げごとの特徴、メリット・デメリット、費用相場まで網羅的に解説します。
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まず、吹き付け塗装の基礎知識について解説します。
吹き付け塗装とは、専用のスプレーガンを用いた塗装方法のことです。
塗料は空気圧や機械的な圧力によって霧のように分散され、外壁や屋根などの広い面だけでなく、さまざまな素材の表面に均一に広がるよう設計されています。このように、塗料を液体のまま塗り広げるのではなく、微細化して吹き付ける点が特徴です。
建築分野に限らず、工業製品や部品の塗装にも用いられる技術であり、対象物に塗膜を形成するための基本的な塗装手法の一つとして位置づけられています。
焼付塗装は、塗料を塗布した後に高温で加熱し、塗膜を強制的に硬化させる方法です。加熱によって塗膜がしっかりと固まり、耐久性や耐候性、耐水性などに優れた仕上がりになるのが特徴です。そのため、金属製品や工業部品など、性能面が重視される場面で多く用いられます。
吹付け塗装との違いは、仕上がりの性能と施工条件にあります。焼付塗装は強固な塗膜を形成できる一方で、専用設備や加熱工程が必要となるため、施工に時間とコストがかかります。対して吹き付け塗装は、施工の手軽さやコスト面で優れていますが、耐久性などの性能面では焼付塗装に劣る面があります。
ローラー塗装とは、毛やスポンジ状のローラーに塗料を含ませ、外壁や屋根の表面に直接塗り広げていく塗装方法です。
ローラー塗装は塗料が飛び散りにくく、周囲を汚すリスクが低い点が特徴です。住宅同士の距離が近い環境でも施工しやすく、作業中の音もほとんど発生しないため、近隣への影響を抑えやすい工法として広く採用されています。
また、職人にとって扱いに慣れた工法であることから、仕上がりの品質が安定しやすく、コスト面でも選ばれやすい傾向があります。
一方で、吹き付け塗装のように塗料を霧状に広げて付着させる方法とは異なり、立体的な模様や強い凹凸を表現することは難しいため、意匠性の高い仕上げを求める場合には工法の選定が重要です。
刷毛塗りは、刷毛(はけ)に塗料を含ませて対象物に直接塗り込んでいく伝統的な塗装方法の1つです。
機械を使わず手作業で仕上げるため、施工者の技術によって仕上がりの質が大きく左右される点が特徴といえます。
この方法は、細かい部分や入り組んだ箇所の塗装に適しており、水切りや手すりといった狭い部位、補修や部分的な塗り直しなどで活用されます。塗料が周囲に飛び散ることがないため、周辺環境への影響を抑えやすい点もメリットです。また、用途に応じて形状や大きさの異なる刷毛を使い分けることで、さまざまな箇所に対応できます。
さらに、塗料を押し込むように塗布できるため、塗膜の不具合が生じにくい傾向があります。一方で、広い面を効率よく塗るには不向きであり、塗り方によっては跡が残ることもあるため、均一で美しい仕上がりには高い技術が求められます。
このように、吹き付け塗装が広範囲を均一に仕上げることに適しているのに対し、刷毛塗りは細部の精度や補修対応に強みを持つ工法として使い分けられています。
吹付け塗装に使われるスプレーガンの種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
エアスプレーは、コンプレッサーで圧縮した空気を利用し、塗料を細かく分散させて吹き付けるタイプのスプレーガンです。空気の力で塗料を霧状にするため、粒子が細かく、表面をなめらかに仕上げやすい特徴があります。
塗料の供給方法にはいくつかの方式があり、上部から重力で送るタイプ、下部から吸い上げるタイプ、外部から圧力で送り込むタイプなどに分かれます。こうした違いによって、作業内容や使用する塗料に応じた使い分けが可能です。また、噴射量や広がり方を調整できるため、仕上がりのコントロールがしやすい点も利点といえます。
一方で、塗料が空気とともに広がる構造上、周囲へ飛散しやすく、十分な養生が必要です。さらに、一度に付着する塗料の量が比較的少ないため、厚みのある塗膜を形成するには重ね塗りが前提となるケースもあります。細かい部分への対応には向かない場合もあるため、用途に応じた使い分けが重要です。
エアレススプレーは、圧縮空気を介さず、塗料に直接圧力を加えてノズルから噴射して微粒化させる塗装機です。高い圧力によって塗料を霧状に変えるため、空気を使う方式とは異なる仕組みで塗布が行われます。
この方式は一度に吐出される塗料の量が多く、広い面を効率よく塗装できる点が特徴です。粘度の高い塗料にも対応しやすく、外壁のような凹凸のある面にも比較的ムラなく塗料を行き渡らせられます。また、空気による拡散がない分、塗料が周囲に広がりにくく、風の影響を受けにくい点も利点です。
一方で、塗布量が多くなりやすいため、使用する塗料の量が増える傾向があります。加えて、高圧で噴射する機構のため取り扱いには慣れが必要で、調整や操作によって仕上がりに差が出ることもあります。細かな箇所の塗装には適さない場合もあり、施工内容に応じた使い分けが求められます。
HVLPスプレーは、「High Volume Low Pressure(高容量・低圧)」の略称で、低い空気圧で大量の空気を使いながら塗料を霧状にして吹き付けるタイプのスプレーガンです。
一般的なスプレーガンのように高い圧力で塗料を拡散させるのではなく、穏やかな空気の流れで塗布する仕組みのため、塗料が周囲に広がりにくい特徴があります。その結果、対象物にしっかりと塗料が付着しやすく、無駄なロスを抑えながら効率よく塗装できる点がメリットです。
また、塗料が均一に乗りやすいため、表面にムラが出にくく、滑らかな仕上がりを得やすい点も特徴です。塗料の飛散が少ないことから、作業環境への影響を抑えやすく、周囲への配慮が必要な場面でも扱いやすい工法といえます。
一方で、低圧で塗布する特性上、一度に広い範囲を塗る場合には作業効率が落ちることがあります。そのため、施工面積や求める仕上がりに応じて、他のスプレーガンと使い分けることが重要です。
静電スプレーは、電気の力を利用して塗料を対象物に引き寄せ、付着させる仕組みのプレーガンです。スプレー時に塗料の粒子へ電気的な性質を与え、対象物との電位差によって吸い付くように塗布される点が特徴です。
この方法では、塗料が表面に向かって効率よく移動するため、無駄が出にくく、均一な塗膜を形成しやすい利点があります。さらに、入り組んだ形状の部分にも塗料が回り込みやすく、塗り残しが起こりにくい点も特徴の1つです。
一方で、電気を利用する仕組みであることから、使用環境や安全面への配慮が求められます。また、導電性のある素材との相性が重要となるため、用途や対象物によって適した工法かどうかを見極める必要があります。
このように、静電スプレーは塗料の付着効率を高めながら、均一な仕上がりを実現する塗装方式として活用されています。
吹き付け塗装の仕上げの種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
リシンは、砂や小さな石を混ぜた塗料を吹き付け、外壁に細かな凹凸をつくる仕上げ方法です。主にモルタル外壁に用いられ、ざらつきのある落ち着いた質感が特徴です。
施工はスプレーで行うため作業効率がよく、材料費も比較的安価なことから、全体のコストを抑えやすい点がメリットです。また、光沢を抑えた仕上がりになり、上品で控えめな外観を演出できます。さらに、通気性があり湿気を逃がしやすい点も特徴です。
一方で、塗膜が薄くひび割れが起こりやすい点には注意が必要です。加えて、表面の凹凸に汚れが溜まりやすく、カビやコケが発生しやすい傾向があります。見た目を保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
スタッコは、石灰を主成分とした塗材を用い、外壁に厚みのある凹凸をつくる仕上げ方法です。モルタル外壁の仕上げとして用いられることが多く、立体感のある外観に仕上がるのが特徴です。
凹凸が大きいため、重厚感や高級感のあるデザインを表現しやすく、存在感のある外壁に仕上げたい場合に適しています。また、塗膜に厚みがあることから、比較的耐久性が高い点もメリットです。
一方で、凹凸が深い分、溝に汚れが溜まりやすく、経年によって見た目に影響が出やすい点には注意が必要です。さらに、再塗装の際には塗料の使用量が増えやすく、メンテナンスコストが高くなる傾向があります。
スキンは、細かな石粒を含んだ塗材を吹き付けて仕上げる工法で、セラミック仕上げと呼ばれることもあります。表面は大理石のような粒感があり、重厚で落ち着いた印象に仕上がる点が特徴です。
塗料だけで覆う仕上げとは異なり、石粒が詰まった構造になるため、外壁表面は硬くなり、見た目にも劣化が目立ちにくい傾向があります。また、粒子の間に微細な隙間があるため、通気性を保ちやすい点も特徴の1つです。
一方で、リシンと比べると施工費はやや高くなる傾向があります。耐久年数はおおよそ10〜12年程度とされており、主にモルタルやコンクリートなどの下地に適した仕上げ方法です。
吹き付けタイルは、塗材をスプレーガンで吹き付けて模様をつくる仕上げ方法で、「玉吹き」や「ボンタイル」とも呼ばれます。名称にタイルとありますが、実際にタイルを貼る工法ではなく、塗装によってタイルのような質感を再現する点が特徴です。
この仕上げは、下塗り・主材・上塗りの3工程で構成され、塗膜に厚みが出るのが特徴です。表面には凹凸がありますが、リシンやスタッコと比べると比較的なめらかで、光沢のある仕上がりになります。吹き付け方や調整によって模様の大きさを変えられるため、外観の印象をコントロールしやすい点も特徴です。
また、塗膜がしっかりと形成されるため、ひび割れや汚れに強く、美観を保ちやすい傾向があります。さらに、吹き付けによって広い面積を効率よく施工できるため、コストを抑えやすい点もメリットです。
一方で、均一な模様に仕上げるには技術が求められるため、施工品質は職人の腕に左右されやすいといえます。
吹付け塗装のメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
吹き付け塗装は、塗材を霧状にして付着させることで、外壁に細かな凹凸や模様をつくれる点が特徴です。塗料を重ねながら立体的に表現できるため、平面的になりがちな手塗りと比べて、奥行きのある仕上がりになる点がメリットです。
また、吹き付けの方法や塗材の種類を調整することで、粒の大きさや模様の出方をコントロールできるため、重厚感のある外観から繊細なテクスチャまで幅広く表現できます。これにより、建物の雰囲気に合わせたデザインをつくりやすく、外観に個性や高級感を持たせられます。
そのため、他の住宅と差別化したい場合や、見た目の印象にこだわりたい場合に適した塗装方法といえます。
吹き付け塗装は、塗料を霧状にして細かく分散させながら塗布するため、外壁全体に均一に行き渡りやすい特徴があります。手作業で塗り広げる方法と比べて、塗料の厚みにばらつきが出にくく、仕上がりが安定しやすい点がメリットです。
また、ローラーや刷毛のような塗り跡が残りにくく、表面が整った見た目に仕上がります。これにより、外観全体の印象がすっきりとまとまり、美しさを長く維持しやすくなります。
そのため、仕上がりの均一性や見栄えを重視したい場合に適した塗装方法といえます。
吹き付け塗装は、スプレーガンによって塗料を広範囲に一度で塗布できるため、作業効率に優れています。
外壁の面積が大きい建物でも、手塗りのように何度も往復して塗り重ねる必要が少なく、塗装工程そのものはスムーズに進みやすい点が特徴です。
特に中規模以上の建物では、この施工スピードの高さが大きなメリットといえます。
吹付け塗装のデメリットは、次のとおりです。
それぞれを解説します。
吹き付け塗装は、塗料を霧状にして噴射するため、周囲に飛び散りやすい特徴があります。風の影響を受けると想定以上に広がることもあり、近隣の建物や車、洗濯物などを汚してしまうリスクがあります。
こうした飛散を防ぐためには、塗装しない部分をシートやテープで覆う「養生」を徹底する必要があります。吹き付け塗装では、手塗りよりも広範囲に養生が必要となるため、準備に手間と時間がかかる点がデメリットです。
実際の塗装作業自体はスピーディーに進められるため、全体の工期は現場の条件によって左右されます。つまり、塗装工程は効率的である一方、事前準備に時間を要するケースがある点を理解しておくことが重要です。
吹き付け塗装は、塗料を霧状にして噴射する仕組みのため、一部が対象物に付着せず空中に拡散してしまうことがあります。
特にエアスプレー方式では飛散が多く、無駄になる塗料が発生しやすい点がデメリットです。
そのため、必要な塗膜を確保するために使用する塗料の量が増える傾向があり、結果として材料費がかさむ要因になります。コストを重視する場合は、この点も踏まえて工法を検討することが重要です。
吹き付け塗装では、コンプレッサーやスプレーガンを使用するため、作業中に機械音が発生します。足場の設置や高圧洗浄に加えて、塗装時の音も重なることで、手塗りに比べて騒音が大きく感じられることも珍しくありません。
また、塗料を霧状にして吹き付ける特性上、においが周囲に広がりやすい点にも注意が必要です。特に住宅が密集している環境では、生活への影響が出ます。
このような理由から、近隣トラブルを防ぐためにも事前にスケジュールを共有するなど、事前の配慮が重要です。
吹付け塗装の単価の目安を紹介します。
吹き付け塗装は、選択する仕上げの種類によって単価が大きく異なります。例えばリシン仕上げは、1㎡あたりおよそ1,000〜3,000円程度が目安とされており、比較的費用を抑えながら落ち着いた外観に仕上げられる点が特徴です。
一方で、吹き付けタイル仕上げは2,000〜4,000円程度が目安となり、適度な凹凸と耐久性を兼ね備えたバランスの良い仕上げとされています。また、スタッコ仕上げはさらに単価が上がり、2,500〜10,000円程度と幅がありますが、その分、厚みのある重厚な外観を演出できる点が魅力です。
このように、どの仕上げを選ぶかによって費用だけでなく、外観の印象や耐久性も変わるため、目的に応じて選択することが重要です。
吹き付け塗装の費用は、単価だけでなく複数の要素によって決まります。
まず影響が大きいのが外壁の面積です。施工範囲が広くなるほど、必要な塗料の量や作業時間が増えるため、費用も比例して高くなります。また、ベランダや出窓などの凹凸が多い建物は、同じ延べ床面積でも外壁の実面積が増えるため、結果的に費用が上がりやすくなります。
次に、使用する塗料の種類も重要な要素です。遮熱性や耐候性などの機能を備えた塗料は価格が高くなる傾向がありますが、その分耐久性が高く、長期的なメンテナンスコストを抑えられる可能性があります。
さらに、足場の設置や養生にかかる費用、施工を担当する職人の技術料も見積もりに含まれます。特に吹き付け塗装は仕上がりの品質が技術に左右されやすいため、経験豊富な職人に依頼するほど費用が高くなる傾向があります。
最後に、吹付け塗装に関するよくある質問とその回答を紹介します。
吹き付け塗装ガンは、施工する対象や求める仕上がりによって適した種類が異なります。
例えば、外壁など広い面積を効率よく塗装したい場合は、塗料を多く吐出できるタイプが向いています。一方で、仕上がりの滑らかさや細かい調整を重視する場合は、噴射のコントロールがしやすいタイプが適しています。
また、使用する塗料の粘度や作業環境によっても適した機種は変わるため、単に性能だけでなく扱いやすさも考慮することが重要です。目的に合った塗装ガンを選ぶことで、作業効率だけでなく仕上がりの品質にも大きく影響します。
吹き付け塗装は、機材をそろえれば個人でも施工は可能ですが、難易度は比較的高いといえます。塗料を均一に吹き付けるためにはコツが必要で、噴射の距離や動かし方を誤ると、ムラや仕上がりのばらつきが生じてしまいます。
また、塗料が周囲に飛び散りやすいため、養生を丁寧に行う必要があり、準備にも手間がかかります。こうした点を踏まえるとDIYで行うのはハードルが高く、失敗した場合のリスクも大きいといえます。
そのため、DIYで行う場合は小さな補修や部分的な塗装にとどめ、本格的な施工は専門業者に依頼すると良いでしょう。
吹き付け塗装が剥がれている場合は、まず浮いている塗膜や劣化した部分を丁寧に取り除き、下地を整えることが重要です。そのまま上から塗り重ねても密着不良を起こしやすいため、補修前の下地処理が仕上がりを左右します。
下地を整えた後は、下塗り材で密着性を高めた上で、既存の模様に合わせて再度吹き付けを行います。小さな範囲であれば部分的な補修も可能ですが、広範囲に剥がれや劣化が見られる場合は、全体を塗り替えたほうが見た目と耐久性の両面で安定しやすくなります。