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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「コーキング」の名前を聞いたことがあっても、どんな役割があるのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。 コーキングの劣化を放置すると、雨水の侵入や建物内部の傷みにつながる恐れがあります。 本記事では、コーキングとは何かという基本から、役割・種類・施工方法・打ち直しが必要なケースまでを整理し、初めての方でも分かるように解説します。
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まず、コーキングに関する基本的な概要を分かりやすく解説します。

コーキング(caulking)とは、建物を施工する際に生じるすき間を専用の材料で埋め、建物内部への水や空気の侵入を防ぐ処理のことです。
外壁の継ぎ目や窓枠まわり、水回りなどは構造上どうしてもすき間が発生するため、コーキングによって防水性や気密性を補います。
また、コーキングという言葉は、作業内容だけでなく使用する材料そのものを指す場合もあります。現場や実務では、充填材・コーキング材などの呼び方が使われますが、いずれも「すき間を埋めて建物性能を維持するための材料」という意味で用いられている点は共通です。
建築業界では、コーキングとシーリング(sealing)はほぼ同じ意味の言葉として扱われています。
どちらも、建物の継ぎ目やすき間に材料を充填し、防水性や気密性を確保するための処理を指します。言葉の由来には、「詰める」「密閉する」といったニュアンスの違いがありますが、施工内容や目的に明確な差はありません。
現場では、ペースト状の材料を専用のガンで充填するものをコーキング材と呼び、形があらかじめ決まっているパッキン状の部材をシーリング材と表現する場合もあります。ただし、これは慣習的な呼び分けに過ぎず、統一された基準があるわけではありません。
メーカーや地域によって名称が異なることも多いため、実務上は呼び方の違いより用途や性能を重視することが重要です。
コーキングの役割は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
コーキングは、建物に生じる継ぎ目やすき間を完全に密閉し、雨水の浸入を物理的に阻む極めて重要な役割を果たします。
雨水の侵入は、一時的な雨漏りにとどまらず、建物内部に水分が浸透することで構造体の腐食や劣化を加速させるため注意が必要です。特に、目視できない箇所で水分が滞留すると、被害の発見が遅れ、最終的に大規模な修繕を余儀なくされるケースも少なくありません。
あらかじめ隙間に適切なコーキング材を充填し、水の通り道を確実に遮断することは、建物全体の耐久性を守る上で不可欠な処置です。
外壁材やサッシ、浴槽といった各種建材を隙間なく直接固定してしまうと、接触部分に過度な負担が集中してしまいます。建材同士が完全に密着した状態では、建物の微細な揺れやゆがみによって部材間に衝突や摩擦が生じ、表面の傷や破損を招く一因となりかねません。
ここで重要な役割を担うものが、建材の間に介在してクッションのように機能するコーキングです。隙間に充填された柔軟なコーキング材が衝撃を巧みに吸収することで、部材同士の直接的な干渉を遮断し、擦れによるダメージを最小限に食い止めます。
この優れた緩衝作用により、硬い建材特有のひび割れや欠けといった不具合の発生を未然に防げます。
コーキングには、壁材や浴槽、サッシといった各建材が直接接触することを物理的に回避させる重要な役割が備わっています。施工上の隙間へ柔軟なコーキング材を充填することにより、部材間に強固な緩衝層が形成され、接触や擦れに起因するダメージの大幅な軽減が可能です。
仮に建材同士が密着した状態で固定されると、建物の微細な揺れやゆがみによって接合部へ過度な負担が集中し、破損を招くリスクが高まります。しかし、コーキングがクッションとして部材間に介在していれば、外部から加わる応力をしなやかに分散・吸収できます。
こうした優れた弾力性は、建材表面に生じやすいひび割れや摩耗といった劣化現象を未然に防ぎ、長期にわたって安定したコンディションを保つ原動力です。
コーキング材は優れた弾力性を備えた素材で構成されており、地震や強風によって建物に大きな動きが生じた際、その衝撃を吸収・分散する重要な役割を担っています。
建物が揺れると、接合されている各部材には非常に強い破壊エネルギーが加わりますが、コーキングが部材間で伸縮することにより、衝撃を逃がす「逃げ」の構造が形成されるのです。
この柔軟な働きによって、建材が直接ぶつかり合ったり過度なねじれが生じたりすることを防ぎ、建物全体の損傷を最小限に食い止めます。
部材への負担を軽減し、住まいの耐久性と安全性を足元から支えるこの緩衝機能は、地震大国である日本において極めて大きな意味を持つといえます。
コーキングの果たす役割は、外部からの水の浸入を防ぐことだけにとどまりません。外壁の接合部やサッシ周辺に生じる微細な隙間を確実に充填することで、不要な空気の流出入を遮断する「気密性の確保」という重要な側面を持っています。
隙間が放置された状態では、外部の冷気や熱気が屋内に流れ込み、建物の断熱性能が十分に発揮されなくなるおそれがあります。
コーキングによってこれらの経路を密閉すれば、建物全体の気密性が高まり、外気温の影響を受けにくい安定した室内環境の維持が可能です。
コーキングが使われる箇所は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
外壁材の施工において、パネル同士の接合部である「目地(つなぎ目)」へのコーキング充填は欠かせない工程です。
外壁材の継ぎ目には構造上どうしても隙間が生じてしまうため、ここをコーキングで密閉することにより、雨水の浸入を許さない強固な防水ラインを形成します。
また、外壁は直射日光や雨風、急激な温度変化といった過酷な外部環境に常にさらされる過酷な部位といえるでしょう。そのため、単に隙間を埋めるだけでなく、紫外線に強い耐候性や、建材の伸縮に追従する柔軟性を兼ね備えた「適切な材料選定」が、長期的な維持管理の成否を左右します。
窓サッシやドアと外壁が交わる取り合い部、およびガラスをサッシに固定する接合部は、建物の中でも特にコーキングの品質が問われる代表的な施工箇所です。
これらの部位は、異素材同士が組み合わさる構造上、どうしても隙間が生じやすく、そこから雨水や外気が屋内に侵入するリスクが常につきまといます。万が一この部分の施工が不十分であれば、雨漏りはもちろん、冬場の冷気の侵入や結露の原因にもなりかねません。
外部からの影響をダイレクトに受ける場所だからこそ、柔軟性と接着性に優れたコーキングを施し、隙間のない「動く隙間」を維持することが、快適な室内空間を守るために不可欠な条件です。
室内では、壁と天井の取り合い部や内壁の目地、下地処理などにコーキングが使用されます。
内装工事では、施工の過程で細かなすき間が生じやすく、そのまま仕上げを行うと、仕上がりにムラが出やすいです。そこで、仕上げ前にコーキングを用いてすき間を整えることで、下地の状態を均一にし、内装仕上げをきれいに行うための土台がつくれます。
このように、内装におけるコーキングは、防水目的というよりも仕上がりを整えるための下地処理としての役割を果たしています。
浴室やキッチンなどの水回りでは、浴槽と壁の取り合い部や設備まわりにコーキングが施工されます。
これらの箇所は、使用のたびに水がかかる環境にあり、わずかなすき間からでも水が入り込みやすい特徴があります。
そのため、コーキングによってすき間をしっかりとふさぎ、水が建材の内部へ回り込むのを防ぎます。水回りにおけるコーキングは、設備や周囲の建材を保護し、内部への水の侵入を抑える役割を果たしています。
配管やダクトが壁や床を貫通する部分は、構造上どうしてもすき間が生じやすい箇所です。
これらのすき間をそのままにしておくと、水や空気が建物内部へ入り込む原因となります。
そこで、貫通部まわりにコーキングを施工してすき間をふさぎ、水や空気の侵入を抑えます。
配管・ダクト・設備まわりにおけるコーキングは、建物内部を外部環境から守るための処理として重要な役割を果たしています。
石材やタイルの目地、PCコンクリート(強度の高い鋼材で、あらかじめ力をかけて補強したコンクリート)などの特殊な部位にもコーキングは使用されます。
これらの箇所は素材の性質が一般的な外壁材とは異なるため、施工にあたっては素材に適したコーキング材が用いられます。コーキングによって目地部分を処理することで、すき間を整え、部材の境目を保護します。
石材・タイル・特殊部位におけるコーキングは、素材の特性に配慮しながら、目地部分の保護を目的として施工されます。
コーキング剤の種類は次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
シリコン系コーキング剤は、キッチンや浴室などの水回りで使用されることが多いコーキング剤です。
耐水性や耐候性、耐熱性に優れており、水にさらされやすい環境でも使用されています。また、耐久性が高く、コーキング剤の中でも広く普及している種類です。価格が比較的手頃で、入手しやすい点も特徴の一つです。
一方で、シリコン系コーキング剤は、硬化後にその上から塗装が行えません。そのため、外壁など塗装が必要な箇所には適しておらず、使用場所には注意が求められます。
変成シリコン系コーキング剤は、外壁や板金部分などで使用されることが多いコーキング剤です。名称に「シリコン」が含まれていますが、性質はシリコン系コーキング剤とは異なります。
硬化が比較的早く、耐候性があり、施工後に上から塗装できる点が特徴です。そのため、外壁の保護を目的とした施工にも用いられます。
ただし、他の種類と比べて価格が高めであることや、シリコン系コーキング剤より耐久性が劣る点には留意する必要があります。
アクリル系コーキング剤は、クロス下地の処理や内装の目地など、室内での使用に向いているコーキング剤です。
水性で扱いやすく、施工しやすい点が特徴とされています。また、湿っている状態でも施工できる点がメリットです。
一方で、耐候性が低く、硬化後に肉痩せしやすい性質があります。そのため、外壁に使用すると紫外線の影響を受けやすく、ひび割れが生じる可能性があります。こうした理由から、現在では外部で使用されるケースはほとんどありません。
ウレタン系コーキング剤は、外壁の目地やひび割れの補修に使用されることが多いコーキング剤です。比較的安価で、耐久性が高く、ゴムのような弾力性を持っているという特徴があります。
ただし、紫外線に弱い性質があるため、外壁で使用する場合には、必ず上から塗装して保護する必要があります。
また、硬化するまでに時間がかかるため、施工後は乾燥するまで紫外線に当てないよう配慮する必要があります。
一般的なコーキング施工の流れは、次のとおりです。
それぞれを解説します。
最初に行う作業は、施工部分の清掃です。
古いコーキングが残っている場合は、カッターなどで取り除き、目地の中や周囲に付着した汚れやホコリを丁寧に除去します。
また、施工面がぬれている場合は、十分に乾燥させましょう。
バックアップ材とは、コーキングの下地として使用されるスポンジのようなものです。目地(部材の継ぎ目)の深さにばらつきがある場合、そのままコーキング剤を充填すると、仕上がりが不均一になりやすいです。
そこで、あらかじめバックアップ材を目地に入れることで、目地の深さを一定に整えます。
これにより、コーキング剤を適切な量で充填しやすくなり、作業が安定します。結果として、表面の仕上がりが整いやすくなり、施工全体も行いやすいです。
マスキングテープは、施工部分以外を汚さないために使用する保護用のテープです。
目地の両側に貼ることで、プライマーやコーキング剤が周囲にはみ出して付着するのを防ぎます。テープを貼る際は、できるだけまっすぐ丁寧に貼ることが重要です。
この工程をしっかり行うことで、コーキングの仕上がりラインが整い、見た目もきれいになります。養生を丁寧に行うことが、仕上がりの良さにつながります。
プライマーとは、コーキング剤と下地をしっかり密着させるために使用する下塗り材です。
早くコーキング剤を充填したくなりますが、この工程を省いてしまうと、十分な接着力が得られず、仕上がりに影響することがあります。プライマーには、コーキング剤の接着力を高める役割に加え、下地表面に残る細かなホコリを抑えたり、下地から出る成分の影響を軽減したりする働きがあります。
あらかじめプライマーを塗布して下地を整えることで、コーキング剤が安定しやすくなり、結果として施工後の状態も整いやすいです。このひと手間が、きれいで安定した仕上がりにつながります。
コーキングガンを使用し、目地の中へコーキング剤を充填(じゅうてん)します。
充填する際は、目地の奥までしっかりと行き渡るよう意識し、内部に空気が入らないよう注意しながら、連続して均一に入れていくことが重要です。コーキング剤は、充填している間にも徐々に硬化が進みます。そのため、途中で作業を止めず、流れを保ったまま手早く進める必要があります。
均一に充填することで仕上がりが安定し、後の工程もスムーズです。
コーキング剤を充填した後は、ヘラを使って表面を整えます。
盛り上がりや凹凸、段差が残らないよう、一定の力でなでるように押さえながら仕上げることがポイントです。この工程で表面を整えることで、仕上がりの見た目がきれいになるだけでなく、目地全体の形が均一になります。
丁寧にならすことで、コーキング剤が安定しやすくなり、施工後の状態も整いやすいです。
仕上げの工程として、コーキング剤が完全に硬化する前のタイミングで、マスキングテープを剥がします。
作業がひととおり終わると気が緩みやすい工程ですが、この段階も仕上がりを左右する重要なポイントです。勢いよくテープを剥がしてしまうと、コーキング剤が引っ張られて形が崩れたり、周囲に付着したりすることがあります。
そのため、テープは角度に注意しながら、ゆっくり丁寧に剥がします。最後まで慎重に作業することで、きれいなラインを保った仕上がりにつながります。
コーキング剤を使用するときの注意点は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
コーキング施工では、事前の下準備が仕上がりを大きく左右します。施工箇所に古いコーキング剤や汚れ、ホコリが残っている状態では、新しいコーキング剤が十分に密着せず、剥がれやすくなる恐れがあるためです。
下準備を丁寧に行うことで、コーキング剤が安定しやすくなり、仕上がりも整いやすいです。
また、外壁など屋外で施工する場合は、雨天を避け、目地が乾いた状態で作業することも重要です。天候の影響を受けやすいため、無理のない施工計画を立てることが重要です。
コーキング剤には複数の種類があり、それぞれ性能や特性が異なります。施工箇所に合わない種類を選んでしまうと、期待した効果が得られないため注意が必要です。
例えば、屋外では耐候性が求められ、水回りでは耐水性が求められます。また、外壁で使用する場合は、上から塗装できるかどうかも確認が必要です。
施工前に、使用予定の場所とコーキング剤の性能が合っているかを確認し、用途に適したものを選びましょう。
コーキング剤のノズルは、施工する目地の幅に合わせてカットします。
ノズルの開口が適切であれば、必要な量を出しやすくなり、均一な充填が可能です。目地幅に対して開口が大きすぎると出過ぎの原因になり、小さすぎると十分に充填できません。
施工前に目地の幅を確認し、それに合わせて調整することが重要です。
屋外でコーキング剤を使用する場合は、下地処理としてプライマーを塗布します。
プライマーを使用することで、コーキング剤と下地の密着性が高まり、施工後の状態が安定しやすいです。
特に外壁や屋根まわりなど、外部環境の影響を受けやすい箇所では、この工程を省かずに行うことが重要です。
仕上げ作業には、コーキング専用のヘラを使用します。
専用ヘラは弾性があり、力の加え方によって表面の形状を調整しやすい点が特徴です。
適切な道具を使うことで、表面を均一にならしやすくなり、仕上がりも整いやすいです。仕上げ工程まで丁寧に行うことで、施工全体の完成度が高まります。
コーキングの打ち直しが必要なケースは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
コーキングの表面が黒ずんでいたり、以前よりも汚れが付着しやすくなっている場合、劣化が進行している可能性があります。
これは、コーキング材に含まれる可塑剤(弾性を保つための成分)が時間の経過とともに表面へ染み出し、その粘着性によってホコリや汚れを引き寄せてしまうためです。
一見すると単なる汚れに見えることもありますが、可塑剤が流出している状態は、コーキング材が本来持っている柔軟性や性能が低下しているサインでもあります。見た目の変化だけで判断せず、劣化の初期症状として注意しておくことが大切です。
長期間使用されたコーキングは、弾力性が失われることで表面にひび割れや亀裂が生じることがあります。
ひびが浅い場合もありますが、内部まで達していると、雨水が目地を通って建物内部へ入り込む恐れがあります。すぐに雨漏りが起こるとは限りませんが、建物にとって好ましい状態ではありません。
ひび割れが確認できる場合は、打ち直しを検討する必要があります。
コーキングが外壁との接着部分から切れたり、片側または両側が剥がれている状態も劣化のサインです。
この状態では、目地にすき間が生じ、雨水が浸入しやすいです。特に、片側しか接着していない場合は、本来の防水性を十分に発揮できません。
切れや剥がれが広がっている場合は、早めの対応が必要です。
コーキングの表面がへこんだように見える場合、肉やせが起きている可能性があります。
肉やせとは、コーキングの厚みが薄くなり、目地内で十分な量を保てなくなっている状態です。この状態は、コーキングが破損しやすく、ひび割れや雨水侵入の原因です。
肉やせの程度によっては、打ち直しが必要です。
ひび割れが進行し、コーキングが割れて穴のようになっている状態を破断といいます。
さらに劣化が進むと、コーキング材がボロボロと崩れ落ちる剥落が起こることもあります。
剥落が発生すると、目地内部のバックアップ材が露出することがあり、防水機能はほとんど期待できません。
このような状態が確認できる場合は、早急な補修が必要です。