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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「スロップシンクって必要?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。 泥汚れの予洗いやペットの足洗い、アウトドア用品の手入れなど、家庭によって活躍の幅が大きく変わるスロップシンクは、導入後の満足度に差が出やすい設備です。 本記事では、スロップシンクの基礎知識から費用相場、設置に適した場所、おしゃれに仕上げるポイント、よくあるQ&Aまで分かりやすくまとめて解説します。
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まず、スロップシンクの基本的な情報を紹介します。

スロップシンクは、掃除用途に適した構造を持つ専用の流し台です。
「マルチシンク」「多目的シンク」と呼ばれることもあります。
一般的な家庭用スロップシンクは、標準的な深さが20〜30cmほどあり、十分な容量が確保されています。深型であることで水はねを抑えながら作業できる点が大きな特徴です。
さらに、幅は45〜60cm程度の製品が多く、バケツを置いたり道具を扱ったりしやすいサイズに調整されています。素材はステンレスや樹脂など耐久性の高いものが多いです。
シンプルながらも作業性を重視した構造が魅力の設備です。
スロップシンクの英語表記は、「slop sink」 です。
「slop」は、英語で 「汚れた水」や「台所の残り水」 を指す言葉で、雑排水を扱うためのシンクであることを端的に示しています。
また、「utility sink」や「laundry sink」と呼ばれることもあります。「utility」は「実用的な」「多目的の」といった意味を持ち、「laundry」は「洗濯」を指すため、清掃用具の洗浄や作業用、洗濯関連の用途など、幅広いシーンで使われるシンクであることが分かります。
日本の間取り図ではスロップシンクを 「SK」 と略して表記することがよくあります。これは、TOTOのスロップシンクの型番に「SK」が使われていたことに由来し、建築業界でそのまま略称として定着したと考えられます。
スロップシンクの活用方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
スロップシンクは、前述のとおり、泥はねや皮脂汚れなど、通常の洗面台では扱いにくい衣類や靴の処理に大きな力を発揮します。
深型の構造を生かして水をしっかりためられるため、洗剤を入れたつけ置き洗いがスムーズに行え、汚れを浮かせて落とす作業が効率化します。例えば、ユニフォームや靴下など汚れがひどいアイテムもシンク内でそのままブラシ洗いできるため、周囲を汚す心配がありません。
洗面台や浴室では気を遣う汚れ作業を専用のスペースに分離できる点は、家事動線の面でも大きな利点です。
ガーデニング用品や運動用具、DIYの工具類など、屋外の活動で使う道具は泥や砂が付きやすく、室内の水まわりでは洗いにくいものばかりです。
スロップシンクであれば、深さと広さを生かして大型の道具もストレスなく洗浄でき、洗面台のように周囲が泥だらけになる心配がありません。
さらに、ベランダやガレージ付近に設置しておけば、外から戻った道具をその場で洗えるため、屋内への汚れの持ち込みを防げる点も大きなメリットといえるでしょう。
ペットを飼う家庭では、散歩帰りの足洗いをスムーズに行える場所があると非常に便利です。
スロップシンクは深さがあるため水はねが抑えられ、浴室や洗面所をぬらすことなく作業できます。小型犬はもちろん、中型犬程度であれば体を支えながら全身を洗うことも可能で、ペットを持ち上げたり移動させたりする負担も軽減されます。
専用の洗い場を準備することで、飼い主にもペットにも快適な空間が生まれ、日常のケアがぐっと楽になるでしょう。
子どもが学校や習い事で使う習字道具や絵の具セットは、片付けの際に周囲を汚しやすいです。スロップシンクなら、水はねが抑えられる深型構造により、墨汁や絵の具が飛び散る心配が少なく、筆や硯、パレットなどの道具を一度に洗えるため作業効率が高まります。
陶器製のシンクや樹脂製のシンクでも汚れに強く、墨や絵具の色移りが起こりにくいため後処理も簡単です。子どもが自分で洗っても洗面台のように周辺が汚れにくく、家庭内のストレスを減らしてくれるでしょう。
創作活動が多い家庭や、室内を清潔に保ちたい家庭にとって非常に実用的です。
レンジフードのフィルターやエアコンのパーツなど、大きくて汚れやすい部品の洗浄にもスロップシンクはうってつけです。
キッチンシンクでは油汚れが広がりやすく、作業スペースも限られますが、スロップシンクならシンク全体が作業用に設計されているため、洗剤を入れてつけ置きしたり、ブラシでこすったりしやすい環境が整います。
深さが十分あるモデルなら、大物パーツをしっかり浸すことも可能で、頑固な汚れも効率的に落とせます。日常の掃除ではなかなか扱いにくい大型部品も専用スペースで作業することで家中を汚さずに済み、メンテナンスの負担を大幅に軽減できます。
スロップシンクのメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
スロップシンクを設置する最大の利点は、家庭内の水まわり作業を機能ごとに分けられることです。
洗面台やキッチン、浴室など限られたスペースに汚れ作業が集中しがちな家庭では、ちょっとした作業でも順番待ちが発生したり、周囲が汚れて掃除の負担が増えることがあります。スロップシンクが1カ所増えるだけで、作業できる場所が広がるため、家事の流れが自然と整理され、複数の家事を同時並行で進めやすくなります。
日々の作業効率が大きく向上する点は大きなメリットといえるでしょう。
スロップシンクは、水が自然に流れやすい形状や奥行きを持ち、汚れが残りにくい構造になっているため、日常の衛生管理を簡単に行える点も魅力です。
浅い洗面台では汚れが飛び散って壁や床に残ることがありますが、スロップシンクは深さがあることで水はねを抑え、周囲の汚れを最小限にできます。また、内部の角が少なく、排水口の構造も詰まりにくい設計のため、使い終わった後の洗い流しが短時間で済みます。
汚れ作業に伴うニオイやカビの発生を抑えられる点もメリットで、結果として他の水まわりへの負担が軽減され、住宅全体の衛生レベルを保ちやすいです。
スロップシンクは、通常の洗面台より負荷の大きい作業に耐えられるよう設計されています。ステンレスや硬質樹脂、陶器などの耐久性に優れた素材が採用されており、重い物を扱っても傷つきにくく、長年使用しても劣化しにくい点が特徴です。
また、強い水圧やブラシによるこすり洗いを想定しているため、表面加工がしっかりしており、汚れ落ちのよさと耐久性を両立しています。これにより、定期的な交換や修繕の頻度が少なく、長期的なコストパフォーマンスが高い設備といえます。
家の中で雑多な作業を引き受ける場所として安定して活躍し続ける点は、スロップシンクならではの大きな価値です。
スロップシンクのデメリットは、次のとおりです。
それぞれを解説します。
スロップシンクは、ある程度の幅や奥行き、作業スペースを必要とするため、家の間取りによっては設置場所の確保が最大の課題です。
特にマンションのように配管位置が決まっている建物では、候補となる設置場所が限られる点がデメリットといえるでしょう。
また、生活動線とぶつかる位置に設置してしまうと、かえって日常生活の妨げになる可能性もあります。間取り設計を慎重に進めることが大切です。
スロップシンクは、本体価格自体はそこまで高額ではないものの、設置に伴う配管工事が必要となるため、総額として一定のコストが発生します。
新築であれば設計段階から組み込めますが、リフォームで後付けする場合は壁や床を開口して配管を通す必要があり、工事の手間や時間が増える分だけ費用も高くなりがちです。また、屋外設置の場合は排水勾配の確保、防水処理、凍結対策などが追加されることもあり、状況によっては数十万円まで膨らむケースも珍しくありません。
導入後は便利な設備ですが、まずは「どれくらい使用頻度があるか」「設置場所に工事が必要か」を考慮し、費用対効果を見極めることが大切です。
スロップシンクは、基本的に汚れの受け皿として機能するため、常に清潔に保つには手入れの頻度がどうしても増えます。
泥汚れや砂、油分、インクなど、通常の洗面台では扱わない汚れが付着しやすく、使用後すぐの軽いすすぎだけでは汚れが蓄積していきます。
便利な設備である一方で、「もう1つ水まわりを管理する必要がある」という負担が増える点は見過ごせません。快適に使うためには、定期的な掃除ルーティーンを組み込むことが重要です。
本体価格の目安から工事費の変動要因、追加費用が発生するケースまで、事前に知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
スロップシンク本体にかかる費用は、選ぶ素材やデザイン、サイズによって異なります。
比較的価格の安いスロップシンクとしては、シンプルな陶器製やステンレス製の小型タイプがあり、1万〜3万円程度から購入できます。主要メーカーの標準的な陶器製スロップシンクは、3万〜7万円程度が相場で、品質と価格のバランスが取れた選択肢です。
一方で、デザイン性の高いモデルは価格が上がる傾向があります。例えば、ホーロー製や人工大理石製、大型サイズのモデルなどは、5万〜10万円以上になることもあります。
置工事にかかる費用は、既存の水道管や排水管をどの程度そのまま利用できるかによって大きく変わります。
近くに配管が通っている場合は、分岐工事のみで対応できるため費用を抑えやすいです。一方で、配管の延長が必要になるケースや、新たに給排水ラインを設置する必要がある場合は、その分工事費が上乗せされます。
本体価格に加えて、必要な工事内容によって総額は変動しますが、平均すると全体の費用は10万円前後に収まることが多いです。
おしゃれにスロップシンクを設置するコツは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
スロップシンクをおしゃれに見せるためには、まず素材選びが大切です。代表的な素材である陶器とステンレスは、形状が似ていても全く異なる雰囲気を作り出します。
陶器製のシンクは、表面が滑らかで光沢があり、空間全体を上品で柔らかい印象に仕上げてくれます。一方のステンレス製は、無機質でスタイリッシュな雰囲気を演出でき、どんな内装とも合わせやすいです。
空間のテイストや使い方を踏まえ、どちらの素材が理想に近いかを考えることが、おしゃれなスロップシンクづくりの第一歩といえるでしょう。
スロップシンクそのものはシンプルなため、周囲の壁や床の仕上げが印象を大きく左右します。
タイルや壁紙のデザインを変えるだけでも、作業スペースが一気に洗練された雰囲気に変わります。落ち着いたベージュやグレーのタイルを取り入れれば、程よく上品で優しい印象になり、モルタル調や濃いめのグレーを選べば、モダンで引き締まった空間を作れます。
壁や床を含めた空間全体のまとまりを意識することで、スロップシンクがより魅力的に見えるため、重要なポイントです。
スロップシンクをおしゃれに見せるためには、本体だけでなく周囲の設備や収納にも気を配ることが欠かせません。
特に水栓のデザインは視線に入りやすく、金属の質感や色を変えるだけでも空間の雰囲気が大きく変化します。例えば、黒マットの水栓を組み合わせれば落ち着いた印象になり、真鍮(しんちゅう)色の水栓を選べば温かみのある空間に仕上がります。
また、収納の見せ方も重要で、道具類が雑然と並ぶとせっかくのスロップシンクが生活感で埋もれてしまいます。棚の色や素材をそろえたり、収納アイテムを統一したりすることで、視覚的にもまとまりが生まれ、すっきりとした印象にできるでしょう。
スロップシンクを設置するおすすめの場所は、次のとおりです。
それぞれを解説します。
玄関は、スロップシンクを設置する場所として非常に実用性が高いエリアです。
外から帰ってきてすぐに汚れを落とせるため、靴の泥汚れや雨でぬれた物を室内に持ち込まず、その場で洗い流せる点が大きなメリットです。特に子どもの外遊びが多い家庭や、アウトドア用品を日常的に扱う家庭では、玄関にスロップシンクがあるだけで片付けの手間が大きく減ります。
また、ペットの散歩後に足を洗ったり、ガーデニング用品を手入れしたりと、屋外活動との相性も抜群です。
ランドリールームや脱衣所は、洗濯に関わる動作を全て1つの空間で完結できるため、スロップシンクを置く場所として非常に相性の良いエリアです。
特に、土汚れがひどい衣類や汗を含んだスポーツウエアなどは、洗濯機に入れる前に軽く洗い流したり、つけ置きしておいたりする工程が必要になることが多く、その作業がスロップシンクによってスムーズに行えます。
また、衣類の動線が「脱ぐ → 下洗い → 洗濯機へ → 干す」と自然につながるため、家事の無駄な移動が減り、日々の洗濯が効率化される点もメリットです。
勝手口付近やキッチン横にスロップシンクを設けると、日々の家事が驚くほどスムーズになります。
調理の際に出る大きな鍋、油で汚れた調理器具、換気扇フィルターなどは、キッチンシンクでは扱いにくく、周囲を汚してしまいがちです。専用のスロップシンクがあれば、こうした汚れの強い作業を分離でき、メインシンクを常に清潔に保てます。
また、勝手口の近くであればゴミ出しの動線とも重なり、生ごみを処理した後の手洗いや、掃除道具の洗浄もその場で完結する点もメリットです。
DIYや車のメンテナンスなど、外で行う作業が多い家庭では、ガレージや屋外スペースにスロップシンクを設置すると、片付けの手間が大幅に軽減されます。
工具に付いた油汚れやタイヤの泥、自転車のパーツ洗浄など、室内で扱うには気を使う作業も、屋外なら気兼ねなく行え、作業と洗浄が一体の流れで進みます。
屋内に汚れを持ち込む心配がないため、室内の掃除負担も減らせる点もメリットです。
最後に、スロップシンクに関するよくある質問とその回答を紹介します。
後悔の理由として多いのは「思ったより使用頻度が低かった」「掃除の手間が増えた」といった声です。
用途を明確にしないまま設置すると、結局ほとんど使わないままスペースだけ取ってしまうケースがあります。また、深さがあるぶん掃除が大変だと感じる方もいます。
ライフスタイルによって便利さが大きく変わる設備なので、「何を洗うために使うのか」を具体的に想像してからの判断が大切です。
サイズは「何を洗う予定か」を基準に決めると良いでしょう。
靴や衣類の予洗いが中心なら標準サイズでも十分ですが、大きめのバケツやアウトドア用品、ペットのシャンプーなど多用途に使う場合は、幅や深さの余裕が必要です。
一般的に幅45〜60cm、深さ20〜30cmがスタンダードですが、設置スペースとの兼ね合いを考え、周囲の動線を確保した上で選びましょう。
スロップシンクを屋外に設置する際は、室内以上に周囲の環境を考慮する必要があります。
まず注意したいポイントが冬場の凍結で、水道管や蛇口が破損しないよう凍結防止帯の使用や水抜きが欠かせません。また、排水が正しく下水へ流れるよう、設置前に排水経路の確認も重要です。
屋外は雨や直射日光の影響を強く受けるため、シンク本体や配管の劣化が早まりやすく、耐候性の素材を選ぶと長持ちします。さらに、飛び散った水や洗剤が周囲に流れてトラブルにならないよう、設置位置や周囲の防水対策も検討しておくと安心です。
スロップシンクがあるマンションもあります。
近年のマンションでは、バルコニーにスロップシンクを標準装備している物件が一定数存在します。特に、ファミリー向けの新しめのマンションや、ペット飼育可能なマンションで採用されるケースが多く、植物の水やりやベランダ掃除、ペットの足洗いなどを想定して設置されています。
ちなみに、既存のマンションに後付けする場合は、共用部分や排水経路の制約が大きいため、自由に増設できないケースが多いです。後付けを検討する場合は、必ず管理規約の確認や管理会社へ相談しましょう。