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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「ウレタン防水って、他の防水工事と何が違うの?」など防水工事を検討する中で、こうした疑問を感じている方は少なくありません。見た目では違いが分かりにくく、工法の選択に迷ってしまうこともあるでしょう。 一方で、十分に理解しないままウレタン防水を選んでしまうと、施工不良による早期劣化や、想定より短い耐用年数、補修費用の増加につながる可能性があります。 本記事では、ウレタン防水の基本的な仕組みや他の防水工事との違いをはじめ、メリット・デメリット、代表的な施工方法と工程、補修が必要となる劣化サイン、さらに日常的に行える正しいお手入れ方法までを網羅的に解説します。
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まず、ウレタン防水の基本的な情報を紹介します。

ウレタン防水とは、建物を雨水から守る目的で行われる防水工法の1つです。
液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作る方法です。塗料のように広げて施工するため、施工後は継ぎ目のない一体化した防水膜が形成されます。
使用されるウレタン樹脂は、正式には「ポリウレタン」と呼ばれる合成樹脂素材です。化学反応によって硬化するとゴム状の性質を持ち、高い密着性と耐久性を発揮します。こうした特性により、防水材として幅広い建物で利用されている素材がウレタン防水です。
「ウレタン防水」と「ウレタン塗膜防水」は、工法としては同じ内容を指している場合がほとんどです。
ウレタン塗膜防水は、防水工法としての正式・技術的な呼び方であり、ウレタン防水はそれを簡略化した一般的な表現と考えると分かりやすいでしょう。施工方法や防水性能に本質的な差はありません。
ウレタン防水以外の防水工事の種類は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
FRP防水とは、ガラス繊維を補強材として樹脂と組み合わせ、防水層を形成する工法です。FRPは「繊維強化プラスチック」とも呼ばれ、軽量でありながら摩耗や衝撃に強い性質を持っています。この特性を生かし、耐久性の高い防水層を作れる点が特徴です。
施工方法は塗膜防水に分類され、仕上がりは継ぎ目のない一体化した防水層になります。ただし、ウレタン防水と比べると防水層は硬く、表面に細かな凹凸が出やすいため、触るとしっかりとした硬さを感じます。
また、FRP防水は硬化が早く、短期間で施工を終えられる点も特徴です。そのため、工期を短縮したい新築住宅や、比較的小さなバルコニーなどで多く採用されています。一方で、硬い性質ゆえに建物の動きにはやや弱く、施工箇所や用途を選ぶ必要があります。
シート防水は、防水性能を持つシート材を下地に敷設して仕上げる防水工法です。あらかじめ成形されたシートを使用するため、施工工程が比較的シンプルで、短期間で工事を完了しやすい点が特徴です。
以前はゴム製のシートも使われていましたが、現在は耐久性や施工性に優れた塩ビシートが主流となっています。シート防水は下地への適応性が高く、広い面積を均一に防水できるため、ビルやマンションなどの陸屋根でも多く採用されています。
また、シートを機械的に固定する「機械固定工法」を選択すれば、下地の状態や動きの影響を受けにくい施工も可能です。そのため、下地の劣化や含水が懸念される建物でも、防水性能を安定して確保しやすい工法といえます。
ウレタン防水のメリットは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を下地に直接塗布し、硬化させながら防水層を形成する工法です。あらかじめ成形された材料を敷設するのではなく、現場で塗り重ねて仕上げるため、防水層に継ぎ目が生じません。
この「継ぎ目がない構造」は、防水工事において重要な要素であり、シート防水で課題となりやすい接合部や端部からの浸水リスクを抑えられます。
特に、バルコニーの手すり基部や、排水口まわり、立ち上がり部分などは水が集まりやすく施工精度が求められる箇所です。ウレタン防水であれば、こうした部位にも連続した防水層を形成できるため、防水層の弱点が生じにくい仕上がりが期待できます。
ウレタン防水は液体状の材料を塗布して施工するため、施工面の形状に左右されにくい工法です。
平たんな屋上やバルコニーだけでなく、凹凸のある下地、階段の段差、複数の配管が通る機械室、曲面を含む外壁など形状が複雑な部位にも対応できます。
例えばシート防水の場合、材料の切り貼りや加工が必要となり、部位によっては施工が難しくなることがあります。一方、ウレタン防水では塗り広げる施工が基本となるため、防水層が途切れにくく、結果として水の浸入経路を作りにくい構造に仕上げられる点がメリットです。
ウレタン防水は、硬化後も一定の柔軟性を保持する防水層を形成します。このため、建物の微細な振動や気温変化による膨張・収縮が生じた場合でも、防水層が下地の動きに追従しやすいという特徴があります。
防水層が硬すぎると下地の動きに耐えきれずひび割れが発生する原因となりますが、ウレタン防水ではこうしたリスクを抑えられます。
結果として、防水層の性能低下を招きにくく、安定した防水機能を維持しやすい点がメリットといえるでしょう。
ウレタン防水は、防水層の保護や仕上げを兼ねたトップコートを塗布するため、色や質感を選択できます。一般的には、光沢・半光沢・マットなどの仕上げがあり、建物の外観や用途に応じた調整が可能です。
そのため、防水工事によって外観の印象が大きく損なわれる心配が少なく、周囲の景観や建物全体のデザインとの調和を図りやすい工法といえます。
防水性能を確保しながら、意匠面にも配慮できる点は、住宅やデザイン性を重視する建物で評価されています。
ウレタン防水は、既存の防水層が健全な状態であれば、その上から防水材を重ねて施工できる場合があります。
そのため、防水層の全面撤去が必要となる工法に比べ、改修工事の工程を簡略化できるケースが多いです。撤去作業が減ることで、工期の短縮や作業負担の軽減につながりやすく、廃材も最小限に抑えられます。
ただし、重ね塗りが可能かどうかは下地や既存防水の状態によって判断されるため、事前調査が重要です。
ウレタン防水は、液状材料を塗り重ねて防水層を形成する工法であり、防水層自体の重量が比較的軽い点が特徴です。
防水層の重量は建物構造に影響を与える要素の1つですが、ウレタン防水ではその負担を抑えやすいとされています。
特に、既存住宅や築年数が経過した建物では構造への負担を考慮した防水工法の選択が重要です。その点で、ウレタン防水は改修工事においても採用しやすい工法といえるでしょう。
ウレタン防水のデメリットは次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
ウレタン防水は、液状の材料を現場で塗り重ねて防水層を形成する工法です。そのため、防水層の厚みや表面の仕上がりは、施工者の技術や経験に大きく影響されます。
防水面にはほとんど勾配がない場合も多く、雨水を確実に排水口へ導くためには、防水層を適正な厚みで均一に仕上げる必要があります。一般的にウレタン防水の塗膜厚は約3mmが目安とされていますが、この厚みを全体にわたって安定させるには、塗布量や塗り重ねのタイミングを正確に管理する技術が求められます。厚みにムラが生じると表面に凹凸ができ、水が滞留しやすくなり、防水層の劣化を早める原因となります。
また、主剤と硬化剤を混合する工程において撹拌(かくはん)が不十分な場合、硬化不良を起こし、防水性能そのものが低下する恐れがあります。外見上は簡単に見える工法ですが、実際には施工管理の難易度が高い点がデメリットといえます。
ウレタン防水は、塗布後に材料が硬化するまで一定の養生期間を必要とします。FRP防水のように短期間で硬化する工法と比べると、施工完了までに日数を要する点もデメリットです。
一般住宅のバルコニーやベランダであってもウレタン防水では複数工程を踏むため、数日から1週間以上かかるケースもあります。施工中は防水面に立ち入ることができないため、生活動線に制限が生じ、不便に感じる場合もあるでしょう。
各工程ごとに十分な乾燥時間を確保しなければならず、乾燥不足のまま次の作業を行うと、塗膜の剥がれやひび割れといった不具合につながる可能性があります。
ウレタン防水は、施工時および養生期間中の気象条件に影響を受けやすい工法です。気温が低い場合や湿度が高い環境では、塗膜の硬化が遅れ、想定よりも乾燥に時間がかかることがあります。
また、硬化途中の防水層が雨や結露に触れると塗膜が膨れたり、密着不良を起こしたりする恐れがあります。そのため、施工時には天候を慎重に見極め、工程管理を行う必要があります。
屋外工事では、天候不良による作業中断も想定されるため、余裕を持ったスケジュール設定が欠かせません。
ウレタン防水は、防水層が完全に硬化するまでの間、歩行や荷重のかかる使用を避ける必要があります。
施工後すぐに人が乗ったり、物を置いたりすると、防水層に傷や不具合が生じる可能性があるためです。
そのため、工事期間中だけでなく、施工完了後もしばらくは使用制限が生じる点は、居住中の住宅ではデメリットといえます。
ウレタン防水には、施工する場所や建物の状態に応じて複数の工法があり、住宅や建物で採用されることが多い代表的な施工方法は次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
密着工法は、ウレタン系の防水材を下地に直接施工し、防水層をつくる方法です。
液体状の材料を使用するため、下地の形に沿ってなじみやすく、施工面と強固に一体化した防水層を形成できます。この工法でつくられる防水層は非常に軽く、建物に余分な荷重をかけにくい点が特徴です。
また、シートなどを使用しないため継ぎ目が生じず、段差や配管のある場所、形状が入り組んだベランダでも連続した防水処理が可能です。下地や既存防水層の状態が良好な場合には、撤去作業を行わずに上から施工できるケースもあり、改修工事において選ばれることも少なくありません。
戸建て住宅のベランダで広く採用されている基本的なウレタン防水工法の1つです。
密着工法では、下地に直接ウレタン防水材を塗り重ねることで、防水層を形成します。施工工程は比較的シンプルですが、それぞれの作業を丁寧に行うことが防水性能を左右します。主な流れは次のとおりです。
まず、施工面に付着したホコリや汚れを高圧洗浄で除去し、防水材が密着しやすい状態を整えます。次に、下地とウレタン防水材の接着力を高めるため、プライマーを全面に塗布します。
その後、ウレタン防水材を2回に分けて塗り重ね、所定の膜厚を確保します。エアコンの室外機などがある場合は、専用の架台で浮かせた状態で、コテやローラーを用いて施工します。最後にトップコートを塗り、防水層を紫外線や摩耗から保護して仕上げます。
メッシュ工法は、ウレタン防水材の塗布工程に補強用のメッシュシートを組み込み、防水層の強度と安定性を高める施工方法です。
防水材だけで膜を形成する工法に比べ、下地のひび割れや建物の微細な動きによる影響を受けにくいです。補強材が防水層の内部で骨組みの役割を果たし、歩行や設備機器による荷重を面全体に分散できる点が特徴です。
築年数が経過した建物や、人の出入りが多い屋上・ベランダ、重量物の設置が想定される箇所などで効果を発揮します。防水層の耐久性を高めたい場合に選ばれる工法ですが、建物の状態や予算を踏まえ、専門業者と相談した上で採用を判断することが重要です。
メッシュ工法では、防水層の強度を高めるため、ウレタン防水材の塗布工程に補強用のメッシュシートを組み込みます。施工は次のような流れで進められます。
まず、施工面に付着した汚れやほこりを高圧洗浄によってしっかり除去し、防水材が安定して密着できる状態を整えます。その後、下地と防水材の接着力を高めるため、全面にプライマーを塗布します。
プライマーが乾燥したら、防水層の補強材となるメッシュシートを貼り付けます。次に、ウレタン防水材を2回に分けて塗り重ね、必要な膜厚を確保します。最後にトップコートを塗布し、防水層を紫外線や摩耗から保護して施工完了です。
通気緩衝工法は、防水層と下地を直接密着させず、通気性を持たせた構造で施工するウレタン防水工法で、「絶縁工法」とも呼ばれます。
通気シートと脱気筒を組み合わせることで、防水層内部にたまりやすい湿気や水蒸気を外部へ逃がし、膨れや剥離を抑えられる点が大きな特徴です。
既に雨漏りが発生している建物でも対応しやすく、ウレタン防水の中でも雨漏り対策に適した工法とされています。液状材料を用いるため、凹凸のある屋上やベランダ、階段など複雑な形状にも施工可能です。
施工には専門的な知識と技術が求められますが、耐久性と安定性を重視したい場合に有効な工法といえるでしょう。
通気緩衝工法は、防水層内部にたまる湿気を逃がす仕組みを組み込むため、工程が多く、丁寧な施工が求められます。作業は次のような流れで進められます。
はじめに、高圧洗浄で屋上や床面の汚れ・付着物を除去し、防水工事に適した下地環境を整えます。その後、排水機能を確保するためにドレン(排水口)を設置し、ひび割れや欠損がある場合は下地補修を行います。
下地処理が完了したら、接着力を高める目的でプライマーを塗布し、通気緩衝シートを全面に敷設します。シートの継ぎ目にはジョイントテープを貼り、防水層の連続性を確保した上で、その上から防水材を塗布します。
続いて、床と壁の境目にあたる立ち上がり部分には補強用のメッシュシートを貼り、防水材を重ね塗りします。脱気筒を設置する箇所では、通気緩衝シートを加工し、専用部材を取り付けて内部の湿気を外部へ逃がす構造を作ります。
最後に、全体へ防水材を2回塗り重ね、仕上げとしてトップコートを施工し、防水層を保護して完了です。
ウレタン防水が劣化しているサインは次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
施工から5年前後を過ぎると、防水層を保護しているトップコートに細かなひび割れや色あせが現れることがあります。
これは防水層そのものの破損ではないため、すぐに雨漏りにつながるわけではありません。しかし、トップコートの保護機能が低下すると、防水層が紫外線や雨水の影響を直接受け、劣化が加速します。
この段階であれば、トップコートの再塗装のみで対応できるケースが多く、費用も抑えられるため、早めの対応がおすすめです。
防水層が浮いたり、膨らんで見える場合は、下地に水分がたまっている可能性があります。
油膜の浮き・膨れは防水層と下地の間に侵入した水分が、日射によって水蒸気となり、防水層を押し上げることが原因です。放置すると膨れが広がり、防水層の破断や雨漏りにつながる恐れがあります。
部分的な補修で済む場合もありますが、症状が進行している場合は全面改修が必要になることもあります。
トップコートだけでなく、防水層そのものに亀裂が入っている場合は、劣化がかなり進行しているサインです。
経年劣化や地震などの影響で発生することがあり、この状態を放置すると下地まで雨水が浸入し、構造部の腐食を招く恐れがあります。
施工から10年以上経過している建物では特に注意が必要で、早期の再施工が重要です。
防水層やトップコートを手で触った際に、白い粉が付着する現象を「チョーキング」と呼びます。
これは紫外線による劣化の初期症状で、防水性能が徐々に低下しているサインです。比較的早い段階で確認できるため、点検時のセルフチェックとしても有効です。
チョーキングが見られる場合は、専門業者による点検を受けることをおすすめします。
ウレタン防水は、定期的なお手入れを行うことで耐用年数を延ばし、補修費用を抑えられます。ウレタン防水のお手入れ方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
ウレタン防水のお手入れで重要なことは、防水層を物理的に傷つけないことです。
ウレタン防水は弾性を持つ一方、表面を強くこすると微細な傷が入りやすく、そこから劣化が進行する恐れがあります。掃除に使う道具は、穂先の柔らかいほうきや布、スポンジ、モップなど、摩擦が少ないものを選びましょう。
デッキブラシや金属たわし、研磨剤入りのスポンジは、防水層やトップコートを削ってしまうため使用は避けるべきです。
洗剤も必要最低限にとどめ、水または薄めた中性洗剤を使うことが、防水性能を長持ちさせるポイントです。
掃除を始める前に、必ず排水口(ドレン)の状態を確認します。落ち葉や砂、ゴミがたまると排水が妨げられ、ベランダや屋上に水が滞留しやすくなります。
ウレタン防水は長時間水につかる状態が続くと、膨れや浮きなどの劣化が進みやすくなるため、排水機能を確保することが非常に重要です。
ストレーナー(網状の金具)が設置されている場合は、取り外して内部まで確認し、目詰まりがない状態に整えてから掃除を進めましょう。
水を使う前に、乾いた状態で表面のゴミや砂ぼこりをやさしく掃き出します。
この工程を省いていきなり水をかけると、汚れが泥状になって広がり、かえって落としにくくなります。特に砂や細かな粒子は、防水層を擦る原因にもなるため、先に除去しておくことが大切です。
掃く際も力を入れすぎず、表面をなぞるように軽く行うことが、防水層を傷めないコツです。
乾いた汚れを除去した後は、バケツやホースを使って全体に水を流します。
強い水圧を一点に当てる必要はなく、表面の細かなチリや汚れを洗い流すイメージで十分です。この工程だけでも、見た目の汚れの多くは落とすことができます。
排水口に水がスムーズに流れているかを同時に確認すると、排水不良の早期発見にもつながります。
水洗いだけでは落ちない汚れがある場合は、柔らかい布やモップ、スポンジを使って、円を描くように優しくなで洗いします。
力を入れて擦ると、トップコートが摩耗し、防水層の劣化を早める原因になります。どうしても必要な場合のみ、中性洗剤を薄めて使用し、洗浄後は洗剤成分が残らないよう十分に水ですすぎましょう。
洗剤の使いすぎや洗い残しは、変色や劣化の原因になるため注意が必要です。
掃除の仕上げとして、水気を軽く切っておくと、防水層の表面をきれいな状態に保ちやすいです。
ゴムワイパー(スクイージー)などを使って軽く水を流すだけでも、水あかや汚れの再付着を防ぐ効果があります。
必須の工程ではありませんが、定期的に行うことで見た目の清潔感を保ち、防水層の状態確認もしやすいです。