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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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外壁や基礎に細い割れを見つけたとき、「すぐに補修しないと危険なのか」と判断に迷う方は少なくありません。クラックは見た目が似ていても、放置して問題ないものと、早めの対応が必要なものが混在しています。 もし性質を見誤ると、気づかないうちに劣化が進行し、建物全体に影響が及ぶ可能性も否定できません。 本記事では、クラックとは何かという基本から、種類や注意すべきポイント、補修判断の考え方までを分かりやすく整理して解説します。
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まず、クラックの基本的な概要を詳しく解説します。

建築分野で使われる「クラック」とは、建物の各部に生じる割れや亀裂を総称した専門用語です。
語源は英語の「crack」で、材料が部分的に裂けたり、線状に割れたりした状態を指します。住宅では外壁に見られるケースが多いものの、発生箇所はそれだけに限られません。
室内の壁面や基礎コンクリート、モルタル・コンクリート仕上げの床などにも現れることがあり、さらに外壁材同士の継ぎ目に充填(じゅうてん)されている目地材(コーキング・シーリング)に生じる割れもクラックの一種として扱われます。
このようにクラックは、特定の部位だけに起こる現象ではなく、建物全体で発生しうるものです。
「クラック」と「ひび割れ」は、住宅に生じた割れを指す点ではほぼ同じ意味で使われる表現です。
外壁に限らず、基礎や室内の壁、床などに現れた割れについても、建築の分野では総称してクラックと呼ばれることが多く、用語として明確な区別が設けられているわけではありません。
一方で、実際の説明や記録では、割れの状態を分かりやすく伝えるために呼び方が変わることがあります。専門的な場面では割れの性質や程度に応じて「〇〇クラック」と表現されることがあるのに対し、一般的な会話では「軽いひび割れ」「大きなひび割れ」といった言い回しが用いられるケースもあります。
意味の差というよりも、割れの度合いや重要性を伝えるための表現上の使い分けと捉えると良いでしょう。
クラックが発生する原因は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
モルタルやコンクリートは、水と混ぜて施工された後、硬化と同時に内部の水分が徐々に失われていきます。この水分の蒸発に伴う体積の減少(乾燥収縮)によって、材料内部に引張応力が生じ、応力を逃がしきれない部分にクラックが発生します。
乾燥が急激に進む環境(高温・強風・低湿度など)では収縮が不均一になりやすく、表面に細かなひび割れが生じる傾向があります。
これは材料の性質によるもので、一定程度は避けられない現象とされています。
外壁は長期間にわたり紫外線や雨、風、気温変化などの影響を受け続けます。 その結果、塗膜や目地材(コーキング・シーリング)は徐々に硬化し、柔軟性や追従性が低下することは避けられません。
劣化した塗膜は、下地のわずかな動きや温度変化に対応できなくなり、表面にクラックとして現れます。
地震による揺れや、交通量の多い道路・鉄道沿線で発生する振動は、建物に繰り返し外力を与えます。
これにより、外壁材や下地に引張・せん断・ねじれといった力が加わり、材料が耐えきれないこともクラックが生じる原因の1つです。
特に、硬く変形しにくい材料ほど応力が集中しやすく、建物の角部や開口部周辺など、構造的に力が集まりやすい箇所で割れが発生しやすいとされています。
施工時に、材料同士が十分に一体化しない場合、その境界が弱点となりクラックの原因になります。
代表的な例が、モルタル施工において一度硬化が進んだ部分の上に後から材料を重ねた場合です。このような継ぎ目は内部で連続性が確保されにくく、割れが生じやすいです。
また、異なる素材を組み合わせた場合、それぞれの膨張・収縮の挙動に差が生じ、時間の経過とともにクラックとして表面化することがあります。
コンクリートは温度が上がると膨張し、下がると収縮する性質を持っています。
この膨張と収縮を繰り返す動きが蓄積されることで、内部応力が増大し、クラックが発生することがあります。
また、乾燥した環境では内部水分の蒸発による収縮が進み、寒冷地では水分の凍結・融解を繰り返すことで材料内部に負担がかかり、ひび割れにつながる場合もあります。
材料の配合比を誤ったり、十分な攪拌(かくはん)が行われていなかったり、所定の養生期間を確保しないまま次の工程に進んだ場合、モルタルやコンクリートは本来備えている強度や耐久性を十分に発揮できません。
その状態では、乾燥による収縮や気温変化、日常的な振動といった通常想定される環境条件にも耐えきれず、結果としてクラックが発生しやすいです。
施工不良が原因となるクラックの特徴として、築年数が浅い段階でも発生することや補修を行っても原因が解消されていない場合には同じ箇所で繰り返し割れが生じやすいことが挙げられます。
そのため、単なる経年変化と判断せず、施工内容そのものを含めた確認が重要です。
クラックの種類は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
構造クラックは、建物の構造体にまで影響が及んでいる可能性があるクラックを指します。
一般的な目安として、幅がおおよそ0.3mm以上、深さが5mm以上のものが該当するとされ、表面だけでなく内部方向に割れが進行している状態が特徴です。
地震による揺れや、建物の使用年数の経過に伴う変形などが関係して発生することが多く、外壁や基礎など構造に関わる部位で確認されるケースがあります。
ヘアクラックは、髪の毛ほどの細さの非常に細いひび割れを指します。
一般的には、幅0.3mm未満、深さ4mm程度までの浅い割れが目安です。
コンクリートやモルタルが乾燥・硬化する過程で生じる収縮が主な要因で、表面に限定して現れるケースが多い点が特徴です。
乾燥クラックは、施工後に材料内部の水分が徐々に蒸発し、体積が縮む過程で生じるクラックです。
モルタルやコンクリートは水と混ぜて施工されるため、硬化と同時に乾燥収縮が起こり、その動きが表面に割れとして現れることがあります。主にモルタル壁やコンクリート仕上げの外壁など、水を用いる工法で見られやすく、細く連続した線状の割れになる点が特徴です。
乾燥クラックは、施工直後の乾燥過程で発生する場合だけでなく、時間の経過とともに内部水分の状態が変化することで現れることもあります。気温や湿度、日射条件など周囲の環境によって乾燥の進み方が異なるため、同じ材料・工法であっても発生の仕方に差が出る点も特徴の1つです。
縁切れクラックは、塗装や左官作業を複数回に分けて行った際に生じる、施工の継ぎ目部分の割れを指します。
外壁を一度で仕上げず日を分けて施工した場合や部分的な補修・塗り直しを行った場合に、作業の区切りとなった境界が明確になりやすく、その線に沿ってクラックとして現れることがあります。
仕上がり直後は目立たない場合でも、乾燥の進行や周囲環境の影響によって、継ぎ目の位置が後から視認できるようになるケースもあります。
開口クラックは、窓や扉といった開口部の周辺に生じるクラックを指します。
開口部は壁の連続性が途切れる構造であるため、建物全体の動きやわずかな変形の影響を受けやすく、応力が集中しやすい箇所とされています。その結果、四隅を起点として斜め方向に伸びる形状のクラックが現れることが多く見られます。
このクラックは、サッシや建具と外壁との取り合い部分に沿って確認されるケースが多く、発生位置や割れの伸び方には一定のパターンがあります。構造的な動きが反映されやすい部位であるため、外壁面の中でも比較的特徴的な形状として識別されやすいクラックの1つです。
クラックを放置すると起こるリスクは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
外壁にクラックが生じると、本来は連続して外部からの水を遮っているはずの塗膜や防水層に途切れが生まれ、その部分から雨水が入り込む可能性があります。
特に、割れの幅や深さがある場合には、表面だけで水が止まらず、降雨時に内部へと水が引き込まれやすいです。侵入した雨水は、外壁材の裏側や下地部分を伝いながら移動し、やがて内壁側まで到達することがあります。
その結果、室内の壁や天井にシミや変色として現れ、雨漏りとして認識されるケースも多いです。
外壁のクラックから内部へ入り込んだ水分は、必ずしも短時間で外へ排出・乾燥されるとは限りません。外壁材と下地材の間は構造上、通気や排水が十分に確保されていない場合が多く、一度侵入した水分が内部にとどまりやすい環境になっています。
特に降雨が断続的に続く時期や、日当たり・風通しの悪い面では、乾燥が追いつかず、湿った状態が長期間維持されることがあります。このようにして外壁内部に湿気が滞留すると、外観からは確認できない部分で、徐々に環境の悪化が進行していく可能性があります。
外壁内部の湿気は表面にすぐ異変として現れるとは限らないため、気づいたときには内部で変化が進んでいるケースもあり、クラックが間接的に引き起こす影響の1つとして注意が必要な現象です。
シロアリは、湿度が高く、光が届きにくい環境を好む性質を持っています。
外壁のクラックを通じて水分が内部に入り込み、外壁内部や土台周辺に湿気がたまりやすい状態が続くと、シロアリが侵入・定着しやすい条件が整います。特に木造住宅では、木部の含水率が高まることで、シロアリの活動に適した環境になりやすいとされています。
シロアリによる被害は、表面に変化が現れにくい点が特徴です。外から見える異常が少ないまま内部で被害が進行し、気づいた時点では被害範囲が広がっているケースもあります。
クラック自体が直ちに建物の性能を損なうわけではありません。しかし、そこから水分が侵入し外壁内部で湿気が滞留すると、下地材や構造材が本来想定されていない過酷な環境にさらされることになります。
こうした状態の放置は部材の健全性を徐々に損なわせ、結果として建物全体の耐久性に悪影響を及ぼしかねません。また、内部劣化が進んだ状態では揺れへの抵抗力が弱まり、同規模の地震であっても被害の大きさに差が生じるケースも見受けられます。
地震そのものが直接の原因でなくとも、蓄積された劣化が揺れによって顕在化し、被害を拡大させてしまう点は、クラック放置における大きなリスクといえます。
外壁内部に湿気が滞留した状態が続くと、条件次第ではカビが発生することがあります。
カビは微細な粒子(胞子)として空気中に拡散し、換気や空気の流れを通じて室内に入り込むことがあり、これを吸い込むことでアレルギー症状や呼吸器系への影響が生じる可能性が指摘されています。
特に長時間を室内で過ごす住環境では、湿気やカビの影響が蓄積しやすいです。小さな子どもや高齢者、体調を崩しやすい人がいる家庭では、こうした環境変化が体調に影響を与える要因となる場合もあるため、外壁内部の湿気が室内環境に波及する点は注意すべき要素の1つといえます。
外壁にクラックが目立つ状態が続くと、建物全体の印象に影響を及ぼします。
外壁は建物の中でも常に目に触れる部分であるため、ひび割れが確認できると、実際の築年数以上に古く見えたり、管理や手入れが十分に行われていない印象を与えてしまいます。
また、外壁の割れは周囲の仕上げや色ムラを強調しやすく、部分的なクラックであっても外観全体の統一感を損ねる要因です。外観は建物の第一印象を左右する重要な要素であり、クラックの存在が見た目の評価に影響を与える点は無視できません。
クラックは見た目だけでは危険度を判断しにくいため、「幅」を1つの目安として状態を整理することが有効です。ここでは、一般的に用いられるクラック幅の区分ごとに、補修の必要性や考え方を解説します。
※あくまで目安であり、発生箇所や深さ、進行状況によって判断が変わる点には注意が必要です。
幅0.3mm以下のクラックは、いわゆるヘアクラックに該当する可能性が高く、建物の構造に直接影響を及ぼすケースは多くありません。
主に塗膜や仕上げ材の表面に生じるもので、乾燥収縮や経年変化が原因であるケースが一般的です。
この段階では、補修の緊急性は比較的低いと考えられますが、ひび割れが拡大していかないかを継続的に確認することが重要です。
クラックの幅が0.3mmを超えると、仕上げ材の表面だけでなく、その下にある下地層へ影響が及んでいる可能性も考えられます。この範囲のクラックは、必ずしも全てが構造クラックとは限りませんが、状態によっては将来的に構造面へ影響が広がる初期段階であるケースもあります。
現時点ですぐに大きな支障が生じるとは限らないものの、クラックは周囲の環境条件や建物の動きによって拡大することがあります。
幅や長さが変化していくと、補修が表面的な対応では済まなくなり、作業範囲が広がる可能性も高いです。
幅が1mmを超えるクラックは、外壁の表層だけでなく、下地や構造部にまで影響が及んでいる可能性がある状態と捉えられることが多く、補修の必要性が高い段階といえます。
建物の動きや劣化の影響がクラックとして顕在化している場合もあり、表面的なひび割れとは区別して考える必要があります。
このレベルのクラックになると、塗装や簡易的な充填といった対応だけでは十分な改善が見込めないケースも少なくありません。外壁の表面処理にとどまらず、内部の下地や構造部分の状態を確認した上で、状況に応じた補修方法を検討することが求められます。
幅3mmを超えるクラックは、クラックがかなり進行している状態といえます。
長期間にわたって放置されていた場合には、雨水が多量に建物内部へ侵入している可能性があり、下地や構造部に影響が及んでいるケースも考えられます。
この段階では、部分的な補修では不十分となることも多く、建物全体の状況を踏まえた改修が必要になるレベルと判断されることがあります。早急に専門業者による調査を行い、適切な補修・改修計画を立てることが不可欠です。
クラックの主な補修方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
シール工法は、クラックの表面から補修材を刷り込み、防水性や外観を回復させる補修方法です。
主に幅の小さいクラックを対象とし、構造への影響が少ない場合に用いられます。ひび割れが動かない場合は硬化後に形状を保持する材料が、温度変化や建物の動きによって挙動する場合には、追従性のある材料が選ばれます。
施工は、清掃後に補修材をはけなどで押し込み、ヘラでならして仕上げることが一般的です。簡易的な補修として用いられる一方、深さのあるクラックや進行性のある割れには適さないため、状態の見極めが重要です。
注入工法は、クラック内部に補修材を圧入し、内部から密実性を回復させる補修方法です。
おおむね幅0.3mm以上1.0mm未満のクラックに適しており、表面処理だけでは不十分な場合に採用されます。施工では、クラック周囲を一時的にシールした上で、注入口を設け、樹脂系またはセメント系材料を圧力をかけながら注入します。
補修材が内部の空隙まで行き渡ることで、ひび割れの進行を抑える効果が期待されます。材料管理や施工精度が求められるため、専門業者による対応が前提となる工法です。
充填工法は、幅1.0mm以上の大きなクラックに用いられる補修方法です。
クラックに沿ってU字またはV字状に外壁材をカットし、劣化部分を除去した上で補修材を充填します。あらかじめ溝を設けることで、補修材を十分な厚みで充填でき、再発を抑えやすい点が特徴です。施工後は表面を整え、周囲となじませて仕上げます。
構造クラックにも対応可能な工法ですが、回転工具の使用や下地処理が必要となるため、DIYには不向きで、専門業者による施工が基本です。
クラック補修にかかる費用は、ひび割れの幅・補修方法・DIYか業者依頼かによって大きく変わります。ここでは一般的な相場感を整理し、費用の考え方が分かるように解説します。
※金額はあくまで目安であり、建物条件や地域、施工範囲によって前後します。
シール工法は、幅0.3mm未満の細いクラックを対象とした表面的な補修方法です。
DIYの場合、シーリング材やコーキングガン、清掃用具などをそろえても、数千円程度で対応できるケースが多く、費用を抑えやすい点が特徴です。
一方、業者に依頼する場合は、施工面積1㎡当たり数百円程度が目安です。
ただし、実際には最低工事費や出張費が加算され、総額では数万円になることもあります。仕上がりや作業の確実性を重視する場合には、業者依頼が選ばれることも多いです。
注入工法は、クラック内部まで補修材を行き渡らせる方法で、専門性が高くなります。
業者に依頼する場合、施工面積1㎡当たり数千円程度が相場で、全体では4万〜8万円前後になることが一般的です。DIYで行うことも理論上は可能ですが、注入器具やエポキシ樹脂、計量器具などが必要となり、材料費だけで数万円かかることがあります。
また、注入圧や硬化管理を誤ると十分な効果が得られないため、費用対効果の面では業者依頼が現実的と判断されるケースが多い工法です。
幅1.0mm以上のクラックに用いられる充填工法は、DIYには不向きな補修方法です。
業者依頼が前提となり、施工面積1㎡当たり約4,000〜5,000円程度が相場とされています。実際には、電動工具によるカット作業や下地処理が必要となるため、最低工事費や養生費、出張費が加算され、総額で8〜15万円程度になることもあります。
クラックの再発を抑えやすい反面、工事規模が大きくなるため、事前の点検と見積もり確認が重要です。