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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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基礎図面などで目にする「フーチング」という言葉に、「具体的に何の役割があるの?」と疑問を感じたことはありませんか。 実はフーチングの設計や施工が不十分だと、地盤沈下や建物の傾きなど、将来的に深刻なトラブルにつながる可能性があります。 本記事では、フーチングの基本的な意味や役割などを分かりやすく解説します。
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フーチングとは、建物の荷重を支える柱や耐力壁の最下部において、あえて面積を大きく広げた基礎の土台部分のことです。
このフーチングを用いて建物を支える基礎形式を「フーチング基礎」といいます。
フーチングは、元々英語で「足」を意味する「foot」が語源です。足の裏に形状が似ていることから、フーチングといわれるようになったといわれています。
フーチングは、基礎の下にかかる力を分散し、接地圧を地盤の地耐力以下に抑えるための構造です。
地耐力とは地盤が支えられる力の大きさを示す指標で、これに対して基礎から伝わる接地圧が大きすぎると、沈下や傾きが生じる恐れがあります。地耐力が高い地盤ではフーチング幅を抑えられますが、地盤が弱い場合には幅を広げて荷重を分散させる必要があります。フーチングが適切に設けられていないと、不同沈下を招き、建物の耐久性や安全性が低下します。
そのため、事前の地盤調査を行い、地耐力に応じたフーチング寸法を設定することが重要です。
ベース(基礎)とは、建物全体を地盤の上で支える構造の総称で、布基礎やベタ基礎、独立基礎などを含む上位概念です。
一方、フーチングはその基礎の一部で、柱や基礎立ち上がりの下に設けられる荷重を分散させるための下部構造を指します。
基礎スラブとは、上部構造にかかる力を受け取り、地盤へ伝える役割を担う部材の総称です。どの部分が基礎スラブに当たるかは、基礎の形式によって明確に異なります。
フーチング基礎の場合、基礎スラブに該当するのはフーチング部分です。布基礎や独立基礎では、柱や壁の下に設けられたフーチングが点または線で荷重を受け、地盤へ伝えます。このフーチング内部には、地盤からの反力に抵抗するための主要な鉄筋(ベース筋)が配置され、さらにひび割れ抑制を目的とした補助的な鉄筋が加えられます。
つまり、荷重を受ける役割はフーチングに集中している点が特徴です。
フーチングの主な目的は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
フーチング基礎の大きなメリットは、建物にかかる自重や生活荷重を地盤へ均等に分散できる点です。
建物には構造体の重さだけでなく、家具や設備、人の重みなど、さまざまな荷重が常に作用しています。基礎の接地面積が小さいと、これらの力が一点に集中し、地盤沈下や不安定な状態を引き起こす恐れがあります。
フーチングを設けて基礎幅を広げることで、荷重を面で受け止め、地盤への負担を軽減し、建物全体の安定性を高められます。
フーチング基礎は、地震や強風といった外力に対しても有効な構造です。
地震時には建物に水平方向の力が加わり、基礎部分に大きな負担がかかりますが、フーチングによって接地面積を確保することで、その力を地盤へ分散できます。これにより、建物が急激に揺れたり、偏った力が集中したりするのを抑えやすくなります。
外力に対する抵抗力を高めることで、建物が安全に立ち続けられる基礎構造の実現が可能です。
地盤沈下は、建物の傾きやひび割れ、構造部材の損傷などを引き起こす大きな要因です。
フーチングは、広い接地面で荷重を支えるため、地盤の一部に沈下が生じても影響を受けにくい特徴があります。特に不同沈下が起こりやすい地盤条件では、フーチングによって沈下量の差を小さく抑えることが重要です。
その結果、建物の傾きや変形を防ぎ、長期的な安全性と居住性の確保につながります。
フーチング基礎は、荷重をどのように地盤へ伝えるかという観点から、大別して次の2つの種類に分類できます。
直接基礎とは、建物の重さを地面にそのまま受け止めてもらう基礎のつくり方です。コンクリートでできた基礎の底面を広く取り、その下の地盤で建物を支えます。特別な杭を使わずに、地盤そのものの力を利用するのが特徴です。
この基礎は、地面が硬くてしっかりしている場所に向いています。地面が弱いと、建物が少しずつ沈んでしまうおそれがあるため、あらかじめ沈み込みが問題にならないかを確認することが大切です。工事の際は、地面を掘って安定した層まで整えたり、地盤を補強してから基礎を作ることもあります。
直接基礎は、構造がシンプルで工事が分かりやすく、コストを抑えやすい点がメリットです。ただし、地盤の状態や周囲の建物への影響などを踏まえ、総合的に判断して採用されます。
間接基礎(杭基礎)とは、地面が柔らかく、そのままでは建物を支えきれない場合に使われる基礎の方法です。地表近くの土では重さを受け止められないため、細長い杭を地中深くまで打ち込み、硬く安定した地層に建物の重さを預けます。これにより、建物全体がしっかりと固定され、沈んだり傾いたりするのを防ぎます。
杭基礎は、地盤沈下や部分的な沈み込みが起きやすい土地でも安定性を保ちやすく、高層建物や重い建物にも対応できる点が強みです。地震時の揺れや液状化による被害を抑える効果も期待できます。
一方で、工事費用が高くなりやすく、工期が延びる場合があること、将来建て替える際に杭の処理が必要になる点には注意が必要です。地盤の状態や建物の規模に応じて選ばれる基礎工法です。
直接基礎には、建物の大きさや重さ、地盤の状態に応じていくつかの種類があります。
それぞれを解説します。
独立基礎とは、建物の柱の下にだけ、それぞれ別々の土台を設ける基礎の作り方です。柱ごとに基礎が配置されるため、建物を「点」で支える構造になり、使うコンクリートの量を抑えやすいという特徴があります。
構造がシンプルで施工もしやすく、かつては木造住宅で多く使われていました。ただし、基礎同士がつながっていないため、一部の地盤が沈むとその影響が建物全体に及びやすいという弱点があります。
独立基礎は、地盤が非常に安定している場所や倉庫・小規模な建物などで採用されることが多いです。
布基礎とは、建物の壁や柱の下を帯状につなぐように設ける基礎のことです。断面が逆T字の形をしており、建物を「線」で支える構造になるため、柱の下だけを支える独立基礎よりも、地面に触れる面積が広く、安定しやすいのが特徴です。
基礎同士が連続してつながっているため、一部の地盤に沈み込みが生じても、影響が建物全体に広がりにくい点もメリットといえます。そのため、現在でも多くの住宅で採用されています。
一方で、床下は土のままになるケースが多く、湿気がこもりやすいため、換気や防湿対策が重要になります。また、シロアリ対策についても丁寧な施工や管理が必要です。
ベタ基礎とは、建物の床下全体をコンクリートで覆う基礎のことです。基礎全体で建物を「面」で支える構造のため、直接基礎の中でも特に安定性が高く、地震に強い基礎方式とされています。
現在の新築住宅では、最も一般的に採用されている基礎で、住宅の安全性や品質を高める役割を担っています。建物の重さを広い範囲に分散できるため、地盤への負担が偏りにくく、沈下のリスクを抑えやすい点も特徴です。
また、床下がコンクリートで覆われることで、湿気が上がりにくく、シロアリの侵入も防ぎやすくなります。その結果、建物の耐久性が向上し、長期的に見てメンテナンスの手間を軽減できる基礎といえます。
杭基礎は建物を支える仕組みによって、大別して次の2種類に分けられます。
それぞれを解説します。
支持杭とは、地表付近の柔らかい地盤を通り抜け、地中深くにある硬い地層まで杭を届かせて建物を支える方法です。建物の重さは、杭の側面ではなく杭の先端で受け止める仕組みになっており、杭基礎の中でも特に安定性が高い点が特徴です。
地盤調査を行うと、表面の土は軟らかくても、地下深くには岩盤や締まった土の層が見つかることがあります。支持杭は、そのしっかりした層(支持層)に杭の先端を確実に到達させることで、建物を安全に支えます。そのため、「どこまで杭が入っているか」が非常に重要なポイントです。
施工時には、杭を打ち込む深さや状態を細かく確認し、設計通りの位置まで届いているかを慎重にチェックします。高い安全性が求められる建物や地盤が特に弱い場所で多く採用される工法です。
摩擦杭とは、地中に硬い地層が見つからない、または非常に深い位置にある場合に使われる杭基礎です。杭の先端で建物を支えるのではなく、杭の周りの土との摩擦力を利用して重さを受け止める点が特徴です。そのため、必ずしも硬い支持層まで杭を届かせる必要はありません。
摩擦力を十分に確保するため、杭を長くしたり、太くしたりして、土と触れる面積を増やします。地盤の状態によっては、柱状改良のように地面を補強し、杭の周囲の土を安定させる方法が用いられることもあります。
摩擦杭では、杭と土の相性が建物の安全性を大きく左右します。そのため、施工前に行う地盤調査の結果をもとに、杭の長さや太さを慎重に決めることが欠かせません。地盤条件に合わせて計画される、専門性の高い基礎工法といえます。
フーチングのサイズや形状は、見た目や慣例で決められるものではなく、建物条件と地盤条件を踏まえた構造的な判断によって決定されます。フーチングの大きさや形を決める際に押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
フーチングの大きさを決める上で最も基本となるポイントが、建物にかかる荷重です。
木造の平屋住宅と中高層の建築物では基礎に伝わる力が大きく異なり、建物が重いほどフーチングには大きな力が作用します。そのため、荷重が大きい建物ほどフーチングは幅を広く、厚さも十分に確保し、地盤へ伝わる力を分散させる必要があります。
荷重に対してフーチングが小さいと、沈下や不安定な挙動を招く恐れがあります。
地盤の強度もフーチング寸法を左右する重要な要素です。
支持力の高い硬い地盤であれば、比較的小さなフーチングでも建物を支えられますが、軟弱な地盤では荷重を一点に集中させないために、フーチング幅を広げる設計が必要です。
地耐力を十分に考慮せずに設計すると、不同沈下などのリスクが高まるため、地盤調査結果を反映した計画が不可欠です。
敷地条件によっては、柱の真下にフーチングの中心を配置できず、偏心した設計となる場合があります。
このような場合、フーチングには圧縮力だけでなく、回転しようとするモーメントが作用し、曲げやねじれを受ける構造となります。
そのため、偏心が生じる場合は、フーチングの形状や配筋を含め、より慎重な構造検討が求められます。
建物にかかる荷重を確実に地盤へ伝えるためには、調査・設計から施工までを一連の流れとして正しく行うことが欠かせません。フーチング基礎の施工方法は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
フーチング基礎の施工は、最初に行う地盤調査が重要な出発点です。
建築予定地の地盤について、支持力や土質、沈下の可能性などを把握し、建物にかかる荷重条件と合わせて総合的に検討します。その結果を踏まえ、フーチング基礎の幅や厚さ、形状を決定し、安定した支持性能を確保できるよう設計を行います。
地盤の強度や特性に適合しない設計は、将来的な沈下や傾きにつながる恐れがあるため、調査結果を正しく反映した基礎計画が欠かせません。
設計が確定した後は、基礎を設置する範囲の掘削作業を行います。
掘削の深さや広さは、フーチング基礎の寸法や配置に応じて決められ、設計どおりに正確に施工することが求められます。掘削後は、基礎底部の地盤を整え、必要に応じて砂利などを敷き詰めます。
この作業により、地盤の凹凸を調整し、排水性や支持状態を安定させられます。基礎の据わりを左右する工程であり、後工程の品質にも大きく影響します。
地盤整備が完了した後、設計図に基づいてフーチング基礎内に鉄筋を配置します。
鉄筋は、基礎に生じる引張力や曲げに抵抗し、構造の強度と耐久性を高める重要な要素です。配筋の位置や間隔が正しく確保されたことを確認した上で、コンクリートを打設し、鉄筋と一体化させます。
コンクリートの充填(じゅうてん)不足や締固め不良は性能低下の原因となるため、専門的な知識と技術を持つ施工者による丁寧な施工管理が必要です。
フーチング基礎の注意点は、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
フーチング基礎は、地表近くに十分な支持力を持つ地盤があることを前提とした基礎形式です。そのため、地盤が軟弱で支持層が深い場合には、安定性を確保しにくく、採用が難しくなることがあります。
地盤の強さが不足している状態で無理にフーチング基礎を採用すると、沈下や耐震性の低下につながる恐れがあります。
こうしたリスクを避けるためにも、事前に地盤調査を行い、得られた結果を基に、基礎形式として適切かどうかの慎重な判断が重要です。
フーチング基礎では、基礎の内側に土が露出する構造となるため、床下に湿気がたまりやすい傾向があります。
湿度が高い状態が続くと、カビの発生や木材の劣化を招き、住環境や建物の耐久性に悪影響を及ぼします。一方で、床下の通気性を確保するために換気口を設けると、冬場には冷たい外気が入り込み、床冷えの原因となる場合があります。
そのため、断熱性能を高めた床構成を採用したり、床暖房などの設備を併用したりと、湿気対策と冷え対策をバランスよく行う工夫が求められます。
フーチング基礎は構造上、基礎と地盤の取り合い部分にすき間が生じやすく、シロアリが侵入する経路となる可能性があります。
シロアリ被害が進行すると、土台や柱などの木材が劣化し、建物の安全性に深刻な影響を与える恐れがあります。そのため、フーチング基礎を採用する場合は、防蟻処理を施した木材や資材を使用することが重要です。
また、一度の対策で安心するのではなく、定期的な点検やメンテナンスを行い、早期に異変を察知できる体制を整えることが、長く安心して住むためのポイントといえます。