この記事は約10分で読めます。
.png&w=3840&q=75)
監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
この投稿をシェアする
工事現場で見かける「重機」ですが、具体的にどんな機械を指すのかをはっきり説明できない方も多いのではないでしょうか。「建機と何が違うの?」などと疑問を抱く場面も少なくありません。 重機は種類が豊富で、それぞれ役割や操作方法、必要な資格も異なります。 本記事では、重機の基本的な意味から主な種類、操作に必要な免許や資格まで分かりやすく解説します。
AI搭載
コンクルーCloud
顧客管理・見積作成・原価管理・電子受発注・請求支払いなど全ての業務がコンクルーCloudひとつで完結

まず、重機の基本情報を分かりやすく解説します。
「重機」とは、建設・土木・解体・舗装などの現場で使用される大出力の作業用機械を総称した言葉です。何かを略した言葉ではありません。
法律で明確に定義されているわけではありませんが、一般的には、人の力では対応が難しい大規模な掘削、整地、運搬、つり上げといった作業を安全かつ効率的に行うために用いられる機械を指します。
多くの重機は、油圧によって大きな力を生み出す構造を持ち、繊細な操作で重量物を扱えるよう設計されています。
「重機」の最も一般的な英語表現は「heavy equipment」です。
重機は、1〜2人の運転者が乗り込み、自走して作業する車両です。
これらは作業効率を高めるために専用の装置や構造を備えていますが、基本的にはエンジンを動力として走行する車両であることに変わりありません。
ただし、その自走機能はあくまで作業位置までの移動や現場内での取り回しを目的としたもので、一般車のように「走行そのもの」を主目的としているわけではありません。
「重機」と「建機(建設機械)」は似た意味で扱われがちですが、本来は指す範囲に違いがあります。
重機は、建設や土木の現場で使われる大出力の作業機械を指し、人が運転席に乗り込んで操作するような大型機械が中心です。掘削や整地、解体など、屋外での力を必要とする作業に適した機械が多い点が特徴です。
一方、建機はその重機を含むさらに広い呼び方で、建設作業に使われる機械全般を指します。大規模工事向けのものだけでなく、コンクリートを練る機械や高所作業車など、専門的な作業を支える小型機械も含まれます。
ただし現場では、重機と建機が同じ意味で使われることも多く、文脈によって線引きが曖昧です。そのため、用途や状況に応じて柔軟に理解しておくことが大切です。
重機の役割りは、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。
重機は、手作業では膨大な時間がかかる作業を短時間で処理でき、現場の生産性を飛躍的に高めます。
大量の土砂を移動したり、地形を整えたりする作業は、人力だけでは限界がありますが、重機を使えば少人数でもスムーズに進められます。また、一定の速度と精度で作業できるため、工程の遅れを防ぎ、全体の工期短縮にもつながります。
規模の大きい工事になればなるほど、その効果はより大きく発揮されます。
工事現場には高所作業や重量物の扱いなど、危険を伴う場面が多くあります。
重機を使用することで、人が直接危険な環境で作業する必要がなくなり、事故リスクを大幅に軽減できます。近年はカメラやセンサーによる安全装備も進化しており、視界の確保や衝突防止が強化されています。
これらの仕組みが現場全体の安全性向上に貢献しているといえるでしょう。
重機は動作が安定しており、均一な作業を繰り返し行えるため、仕上がりの品質を一定に保てます。
例えば、地面を平らに整える、指定した深さで掘るといった作業は、人力ではばらつきが出やすいものです。しかし、重機を使えば精度の高い作業が可能で、後工程の作業もしやすくなります。
結果として全体の施工品質が向上し、工事の信頼性も高まります。
主な重機の種類は、次のとおりです。
それぞれを詳しく解説します。

油圧ショベル(ゆあつショベル)は、油圧でアームとバケットを操作し、土砂の掘削や積み込みを行う重機です。
繊細な動作が可能で、狭い現場でも効率良く作業できます。基礎工事や配管工事、道路工事など幅広い用途があり、災害時には土砂撤去や倒壊物の除去にも活躍します。
多彩なアタッチメントを装着できるため、解体作業や伐採などにも応用できます。現場に欠かせない万能型の代表機といえるでしょう。

ブルドーザーは、前方のブレードで土砂を強力に押し出して地形を整える重機です。
荒れた路面でも走行性が高く、造成地の整地や土砂移動に優れた性能を発揮します。山あい部の開削や道路の基礎づくりなど、大規模な地形形成が必要な場面で特に力を発揮します。
短時間で広い範囲を均一に整形できるため、初期工程で重要な役割を果たします。

ロードローラーは、ローラーを用いて地面を締め固める重機です。
舗装前の下地形成に不可欠で、適切な密度に転圧することで道路の耐久性を高めます。土質に合わせて振動式やタイヤ式を使い分けられ、駐車場や広場の整備でも活用されます。
安定した圧力で均一に固められる点が品質向上につながります。舗装の仕上がりを左右する重要な存在です。

クレーン車は、重量物をつり上げて所定の位置に運ぶための重機です。
高層ビルの建設や橋梁工事では、多くの資材を高所まで安全に運搬します。移動式クレーンは現場移動が容易で、狭い場所での作業にも対応します。アームの長さやつり上げ能力の種類が豊富で、現場の規模に合わせた機種選定が可能です。
大型建築物の工事には欠かせない機械です。

フォークリフトは、パレット化された荷物を持ち上げて運搬する重機です。
倉庫や工場では日常的に使用され、短い距離の荷役作業をスピーディーに行えます。狭いスペースでも小回りが利き、安全な荷物の移動が可能です。ガソリン式・電動式・ディーゼル式など種類があり、用途に応じて使い分けられます。
建設現場でも資材置き場の運搬に重宝されます。

グレーダーは、中央部分に取り付けられた長いブレードで地面を丁寧に均す重機です。
道路工事の仕上げ工程で重要な役割を担い、微妙な傾斜や高低差を調整して正確な路面形状を整えます。舗装前の地盤を滑らかに整えることで舗装の品質が安定し、耐久性の高い道路づくりに欠かせない存在です。また、冬には除雪作業にも利用されます。
広い範囲を効率良く整えられるため、大規模な道路整備や造成工事でも活躍します。

ダンプカーは、土砂・砂利・廃材など多量の資材を効率良く運搬するための大型車両です。
荷台を自動で持ち上げて一度に荷下ろしできる仕組みを備えており、作業時間を大きく短縮できます。造成工事や解体現場などでは運搬工程の中心を担う存在で、現場全体の作業を支える役割があります。
運搬ルートを何度も往復することで工事の進行を支え、作業効率の向上に貢献します。小型から大型までさまざまな車種があり、現場規模や作業内容に応じて柔軟に使い分けられる重機です。

ホイールローダーは、大容量のバケットを使って土砂・砂・砕石などをすくい取り、ダンプカーへ積み込むための重機です。
タイヤ走行で俊敏に動けるため、広い現場でも小回りが利き、作業地点を素早く移動できます。整地作業や除雪にも対応でき、季節を問わず多様な用途で活躍します。
大量の資材を扱う現場では特に重要で、積み込み作業のスピードを大幅に引き上げる効果があります。作業効率と機動力を両立させた重機です。

杭打ち機は、建物や橋梁の基礎となる杭を地中に確実に打ち込むための重機です。
地盤を強固にするための重要工程を担い、建築物の安全性や耐久性を根本から支えます。地質や現場状況に応じて適切な打設方法を選び、深い位置まで杭を正確に打ち込めます。
基礎の品質を左右するため高い精度が求められ、慎重な操作と専門的な技術が不可欠です。大規模建築やインフラ工事の基礎づくりで欠かせない重機です。
重機の操作には、扱う機械や作業内容に応じて専用の資格が必要です。
資格は「免許」「運転技能講習」「特別教育」の3区分に分かれ、適切な資格を取得しなければ現場で運転できません。ここからは、建設業界で特に需要の高い次の6つの資格について詳しく解説します。
フォークリフトを操作するために必要な資格です。
1トン以上を操作する場合は技能講習の修了が必須であり、1トン未満であれば特別教育を受けた人も業務に従事できます。どちらのケースでも、実際に作業する際は修了証など資格を示す書類を携帯しておく必要があります。
また、公道を走る際には通常の作業資格だけでは不十分で、道路運送車両法で定められた保安部品を備えた上で、該当する自動車運転免許を取得していなければなりません。
18歳以上であれば受講でき、講習終了後の試験も難度は高くないといわれています。
車両系建設機械とは、建設現場で土を押したり掘ったり運んだりといった作業を行う、自走式の重機の総称です。
車両系建設機械を運転する際は、扱う機械の種類や機体重量に応じて取得すべき資格が細かく区分されています。整地・運搬・掘削などに使われる機械では、3トン以上であれば「車両系建設機械(整地等)運転技能講習」の修了が必要で、3トン未満なら小型向けの特別教育で対応できます。
基礎工事に用いる機械も同様に、重量の大きい機体は技能講習、小型は特別教育という構成です。締固め作業に使うローラー類は専用の特別教育が義務付けられ、コンクリートポンプ車は打設作業に特化した講習を受けなければ運転できません。
不整地運搬車を扱うためには、運転者の資格が明確に定められており、用途やレベルに応じて取得すべき区分が異なります。
不整地での走行や大量の資材運搬は高い安全性が求められるため、厚生労働省が定める「不整地運搬車運転特別教育」または、より実践的な内容を含む「不整地運搬車運転技能講習」のいずれかを修了していることが基本条件です。
さらに、国土交通省の制度である「建設機械管理技士」を取得している場合は、特別教育よりも上位の資格として扱われ、幅広い建設機械を操作できます。
移動式クレーン運転士は、つり上げ荷重5トン以上のトラッククレーンやラフテレーンクレーン、クローラクレーン、さらに船上で使うフローチングクレーンなどを操作するために必要な国家資格です。
これらの大型クレーンは建設現場や港湾作業で欠かせない重機であり、高所への資材搬入や重量物の移動といった重要な作業を担います。
ショベルローダー等運転技能者とは、労働安全衛生法に基づき、最大荷重1トン以上のショベルローダーやフォークローダーなどを安全に操作できると認められた国家資格です。
これらの機械は土砂や資材の積み込み・運搬などに広く使われ、作業環境によっては高い操作精度と安全管理が求められます。
そのため、資格取得者は機械の基本構造や操作方法、作業時の危険性と対策などを講習で学び、一定の技能を備えていると判断されます。
高所作業車運転者とは、高所での点検・工事・設備作業を行うための高所作業車を安全に操作できる人を指し、労働安全衛生法に基づき所定の講習を修了していることが条件です。
受講区分は作業床の高さによって分かれ、10メートル以上に対応する場合は「高所作業車運転技能講習」、2〜10メートル未満であれば「高所作業車運転特別教育」を修了する必要があります。
これらの資格を取得すると、現場で高所作業車を使用した作業が可能ですが、公道を走行する際は機体に応じた運転免許が別途必要です。
免許取得の流れは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
まず取り組むべきなのは、運転したい重機にどの資格が必要かを正確に把握することです。
重機の種類によって「免許」「運転技能講習」「特別教育」と求められる区分が大きく異なり、誤った資格では現場で操作できないケースもあります。
どの重機を扱いたいのかを具体的に決めておくことで、受講すべき講習内容が明確になり、取得までの流れも把握できます。
取得したい資格が決まったら、次に行うのは講習を実施している教習所や研修機関への申し込みです。
講習には開催日程や定員が設定されているため、希望日に受講できない場合もあり、早めの予約がスムーズな取得につながります。申し込みの際は、本人確認書類や写真など必要書類の提出が求められることが多いため、事前に確認しておくことが重要です。
受講条件を満たしているかも併せて確認し、講習に向けて準備を整えましょう。
講習当日は、多くの場合まず学科から始まります。
学科では、作業時に守るべき法令や安全基準、重機の構造や作動原理など、運転に欠かせない基礎知識を学びます。安全に作業を進める上で最も重要となる部分であり、実技に進むための前提となるため、理解度がとても大切です。
講義内容をしっかり吸収しておくことで、後の運転操作にも自信を持って臨めます。
学科で基礎知識を身に付けた後は、いよいよ実技講習に進みます。
実技では、重機に乗り込んでアクセルやブレーキの操作、レバーの動かし方など基本動作から丁寧に練習します。掘削・積込み・旋回といった現場で必要となる動きを段階的に体験できるため、操作の感覚をしっかり体に覚え込ませることが可能です。
また、講師の指導の下で模擬現場の訓練が行われるため、安全確認の手順や周囲の状況を察知する習慣も自然と身につきます。
運転技能講習を受けた場合は、講習の最後に修了試験が行われます。
筆記と実技の両方で基準を満たすことで修了証が発行され、対象となる重機を正式に操作できます。特別教育では試験が実施されず、定められたカリキュラムを最後まで受講すれば修了扱いです。
修了証を受け取った時点で現場での運転が認められるため、仕事に生かせる資格としてすぐに役立ちます。
最後に、重機に関するよくある質問とその回答を紹介します。
「ユンボ」とは、一般的に油圧ショベルを指す呼び名です。
元々は特定メーカーの商品名でしたが、日本では名称が広まり、今では油圧ショベル全般を指す言葉として定着しています。掘削・整地・解体・積込みなど幅広い作業に対応できるため、さまざまな現場で欠かせない存在となりました。
機体サイズもミニクラスから大型までそろっており、住宅地の工事から大規模土木まで、用途に合わせて最適なタイプを選べる点も特徴です。
重機とトラックを操作するには、それぞれで求められる資格が異なります。
前述のとおり、ショベルカーやブルドーザーといった重機を扱うには、運転技能講習や特別教育など、重機ごとに定められた専門資格が欠かせません。一方、ダンプトラックやミキサー車など「トラック」に分類される車両の運転には、自動車免許の種類が重要です。車両総重量や最大積載量によって、普通免許・準中型・中型・大型と取得すべき免許が変わります。
現場によっては、重機とトラックの両方を操作できる人材が求められるケースも多く、資格を組み合わせて取得することで活躍の幅が広がります。
ユニック車とは、クレーンを備えたトラックの総称です。
正式名称は「トラック搭載型移動式クレーン」で、荷物の積み込みから荷下ろしまでを1台で行える点が大きな特徴です。現場では建材や重量物の運搬で活躍し、狭い場所でも効率良く作業できるため、多くの業種で欠かせない車両です。
つり上げ能力によって必要な資格が異なり、5トン以上なら移動式クレーン運転士免許、1トン以上5トン未満は小型移動式クレーン運転技能講習、1トン未満はクレーン特別教育が求められます。
用途に応じて資格を選べる点もユニック車の特徴といえます。
小型重機とは、大型機械が入りにくい場所で活躍するコンパクトな建設機械の総称です。
住宅街や狭い工事現場で使われることが多く、扱いやすさと機動力の高さが特徴です。代表的な種類としてまず挙げられる小型重機がミニ油圧ショベル(ミニユンボ)で、掘削・整地・溝掘りなど幅広い作業に対応します。次に小型ホイールローダーがあり、砂や砕石の積込み・運搬に適して小回りも利きます。また、敷地の整地や土砂の移動に使われる小型ブルドーザー も欠かせません。
これらの小型重機は、作業効率を高めながら現場の負担を減らせるため、外構工事やリフォームなど幅広い分野で活用されています。