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監督者:白澤光純
株式会社コンクルー 代表取締役CEO
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「内装」とは、建物の内部空間を形づくる仕上げや設備のことで、壁・床・天井・照明・建具など、暮らしやすさとデザイン性を左右する要素の総称です。 室内の印象は内装の選び方によって大きく変わるため、素材選びやレイアウト、設備計画を丁寧に進めることが理想の空間づくりの第一歩といえます。 本記事では、内装の基本から工事の種類、費用相場、内装の選び方のポイントまで分かりやすく解説します。
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まず、内装の基本的な考え方や外装・インテリアとの違いについて紹介します。

内装とは、建物の内部空間を形づくる仕上げや装飾、固定された設備類をまとめて指す言葉です。
室内の雰囲気を決める壁・天井・床の仕上げ材はもちろん、建具や照明、窓まわりの処理など、暮らしに直結する多くの要素が含まれます。家具のように簡単に移動できるものではなく、建物に組み込まれた部分が中心となる点が特徴です。住宅の場合、外観と同じくらい内装の仕上げは空間の印象を左右し、素材や色の選び方によって家全体の表情が変化します。
建築工事の流れでは、構造体が整った後に内装を仕上げる工程へ移行し、室内の完成度を決める仕上げ段階として位置付けられています。

外装は建物の外側を構成する部分を指し、外壁や屋根、雨どい、サッシなど、風雨や紫外線から建物を守る役割を担います。
外装は耐久性・防水性・断熱性といった機能が重視され、長期的に外部環境に耐える性能が求められる点が特徴です。対して内装は、色・素材・質感など、デザイン性や居住性が評価されます。
両者は用途も目的も異なり、建物の「守る部分」が外装、「生活空間を整える部分」が内装と整理できます。
インテリアは家具・照明・カーテン・装飾品など「後から配置する要素」を指し、空間のデザインを仕上げる行為そのものも含みます。
一方、内装は壁・床・天井や設備など「建物に固定された部分」を扱うため、建築工事としての性質が強い点が特徴です。つまり、インテリアは「家具や装飾による演出」、内装は「建物内部の基礎となる仕上げ」という違いがあります。
両者は密接に関わり合うため、内装計画の段階でインテリアとの相性を考えることで、統一感のある空間が実現します。
内装工事とは、建物内部を使いやすく整えるための工事全般を指し、大きく次の2種類で構成されます。
● 内装仕上工事
● 設備工事
それぞれを詳しく解説します。
内装仕上工事は、完成後の室内の印象を形づくる重要な工程です。
設計図に基づいて骨組みや下地を整え、その上にクロス・塗装・フローリング・タイルなどの仕上げ材を施工します。さらに、ドアや窓枠などの建具の取り付け、造り付け家具の設置も含まれ、空間全体のレイアウトをデザインどおりに再現する役割を担います。
元々何もない状態の室内を設計で描いた間取りや雰囲気に近付けていくプロセスであり、内装工事の中心となる部分です。
設備工事は、建物内で快適に過ごすために必要な機能を整える作業です。
電気配線や、照明器具の取り付け、ガス・水道の配管、エアコン・換気設備の設置などが含まれます。これらの工事によって、電気が使え、調理や給湯が可能になり、トイレや厨房の換気が適切に行えます。
見た目に直接表れにくい部分ではあるものの、使い勝手や安全性に大きく影響するため、内装工事の中でも専門性の高い領域です。
内装仕上工事の種類は、次のとおりです。
● 軽鉄工事
● ボード工事
● クロス工事
● 左官工事
● 床仕上げ工事
● 塗装工事
● 畳工事
● 木製建具工事
● 金属製建具工事
● 家具工事
● 大工工事
それぞれを詳しく解説します。
軽鉄工事は、軽量鉄骨材を使って天井や壁の骨組みを組み立てる工程です。
店舗やオフィスなど大規模な空間はもちろん、住宅でも間仕切りを設ける際に必要となる工事です。鉄骨材を組むことで、壁の位置や天井の高さが決まり、その上にボードを貼ることで空間の基本形状がつくられます。
木材と比べて精度が高く、変形しにくい点が特徴で、耐火・防音性能にも優れています。空間の構造を決める基盤となるため、内装仕上げの品質にも大きく影響する重要な工程です。
ボード工事は、軽鉄で組み上げたフレームの上に石こうボードを固定し、壁や天井の面をつくる作業です。
この面が内装仕上げのベースとなるため、平滑に貼られているか、継ぎ目が丁寧に処理されているかなどが後の仕上がりを大きく左右します。
使用するボードは環境に応じて選択され、防音性が必要な空間では遮音ボード、湿気の多い場所では耐水ボードなどを使い分けます。
クロス工事は、壁や天井に壁紙を貼って室内の雰囲気を仕上げる工程です。
デザインの方向性を決める要素が大きく、住宅では落ち着いた色味、店舗ではブランド性を反映した柄・質感などを採用することがあります。
貼り替えの場合は既存のクロスを剥がし、下地の凹凸を修正してから新しいクロスを貼るため、職人の技量が仕上がりに直結します。
左官工事は、モルタルやしっくい、珪藻土などの材料を塗りのばし、壁や床の表面を整える作業です。
地調整として凹凸をなくす場合もあれば、仕上げとしてコテ跡の模様を生かし、独特の質感を表現することもあります。
しっくいや珪藻土は調湿性や消臭性を持つため、自然素材の風合いを好む住宅などで人気があります。一方、モルタル仕上げは武骨な雰囲気を演出でき、店舗のデザインにもよく使われます。
床仕上げ工事は、空間の役割やデザインに合わせて床材を敷き込む作業です。
木質フローリングは自然な温かみがあり、居住空間と相性が良い素材です。塩ビタイルや長尺シートはキズや汚れに強く、店舗や水まわりでよく採用されます。タイルは耐水性が高く、玄関や厨房にも適しています。
古い床材を撤去して貼り替える場合は、下地の調整も行われ、歩行感や見た目の美しさを改善できます。
塗装工事では、壁面や天井、柱、建具などに塗料を塗り重ね、空間に色味や表情を与えていきます。
塗装はクロスでは表現しにくい独特の質感をつくれるため、店舗ではブランドイメージを演出する手段として用いられることも多くあります。使用する塗料によっては撥水性や耐久性が付与され、メンテナンス性を高められる点も特徴です。
仕上がりの均一さは下地処理の精度に左右されるため、表面の凹凸を整える工程は欠かせません。
畳工事は、和室や座敷で使用される畳を整えるための作業です。
畳を一から作り直す新畳工事、表面のゴザ部分だけを交換する張替え、畳表を裏返して再利用する裏返しなど、状態に応じて施工方法が変わります。
飲食店の座敷席など、人の出入りが多い場所では傷みや汚れが進みやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。畳表の種類や縁のデザインによって和室の雰囲気が大きく変わるため、空間演出の面でも重要な要素です。
木製建具工事では、木材でつくられたドアやふすま、障子などを取り付けます。
建具は開閉のスムーズさや気感はあたたかみがあり、密性が求められるため、寸法合わせや据え付けの精度が非常に重要です。
ふすまや障子は貼り替えることで見た目を簡単に変えられ、空間に変化を持たせられます。
金属製建具工事では、アルミサッシやスチールドア、網戸といった金属製の建具を取り付けます。
金属は強度や耐久性に優れており、外部と接する部分の施工に適しています。サッシの取り付けは断熱性・防音性に直結するため、わずかなズレも許されない精密な作業が必要です。スチールドアは防火性や防犯性を重視した場所に用いられることが多く、用途に合わせた仕様選びが求められます。
金属特有のシャープな質感は、デザイン面でも空間にメリハリを加える役割を果たします。
家具工事は、工場で製作された造作家具を現場に運び込み、組み立てて設置する作業です。
空間に合わせて作られた収納棚やカウンターは、既製品では得られないフィット感が魅力です。現場では細かな寸法調整を行い、壁や床との隙間を調整しながら設置します。
店舗では什器(商品を陳列したり、道具・備品を収納したりするために使う設備・家具)の組立も含まれ、内装デザインの方向性に合わせて家具を配置することで空間全体の統一感が生まれます。
大工工事は、現場で木材を加工して棚やカウンターなどの造作物をつくる工程です。
家具工事が工場で製作されたパーツを組み立てるのに対し、大工工事はその場で形状を仕上げるため、現場の状況に応じた柔軟な対応が可能です。
小さな収納スペースの新設や補修など、細かい作業も得意とします。複雑なデザインや高度な加工が必要な場合は工場製作が向きますが、シンプルな造作であれば大工工事の方がコスト面で有利なこともあります。
設備工事の種類は、次のとおりです。
● 電気工事
● ガス工事
● 給排水設備工事
● 空調設備工事
● 換気設備工事
それぞれを詳しく解説します。
電気工事は、室内の照明やコンセント、インターネットや電話などの通信設備を使える状態に整える工事です。
配線ルートの設計から電源の確保、照明器具の配置まで幅広い作業が含まれます。照明計画は空間の雰囲気や作業性に直結するため、工事の初期段階で検討することが重要です。
また、アンテナやLAN配線、Wi-Fi機器などの通信関連機器もこの工程で設置されます。
ガス工事は、ガスを安全に使用するために必要な配管の敷設やガスメーター・安全装置の設置を行う工事です。
主にキッチンや給湯設備が対象です。ガスは取り扱いに専門的な資格が必要なため、法令に従った厳密な施工が求められます。
ガス漏れ防止や燃焼の安定性を確保するため、施工後には必ず圧力検査や点検を実施します。
給排水設備工事は、水を供給する配管と使用後の排水を流す設備を整える工事です。
キッチン・トイレ・洗面所・浴室など、水を使用する全ての場所が対象です。配管の経路や勾配、排水の流れの良さなどが住み心地や店舗運営に直結するため、慎重な設計と施工が必要です。
厨房設備では、グリストラップや排水溝など専門的な設備が求められる場合もあります。
空調設備工事では、エアコンや空調機器を設置し、冷暖房が適切に機能するように配管・ダクトの工事を行います。
機器の能力選定や室外機の配置、冷媒管のルートなど、効率的に空調が効くための条件を整える工程が多い点が特徴です。
工事完了後には、風量・温度調整のチェックも行い、快適な室内環境をつくります。
換気設備工事は、室内の空気を入れ替えたり、煙・臭い・湿気を屋外へ排出したりするための設備を整える工事です。
住宅では換気扇やレンジフード、店舗や飲食店では排気ダクトや大容量の集煙フードなどが設置されます。
適切な換気は空気品質の維持やカビ対策、厨房の温度管理にも関係するため、建物の用途に応じた設備選びが重要です。
内装選びのポイントは次のとおりです。
● 床材
● 照明
● カーテン・窓周り
● 水回り設備
それぞれを解説します。
床材は室内の雰囲気や使い勝手を大きく左右する要素で、内装計画の中でも早めに決めておきたい項目です。
代表的な素材にはフローリングやクッションフロア、フロアタイル、タイル材などがあり、空間の用途や好みによって向き不向きがあります。例えば、木質系の床は温かみがあり、リビングや寝室などに適しています。一方、水や汚れに強いタイルや塩ビ素材は、玄関・洗面室・キッチンに向いています。
床の色は家具・壁紙との相性に影響するため、部屋全体のイメージと合わせて選ぶことが大切です。素材の性能、メンテナンス性、耐久性も比較しながら検討すると、長く快適に使える床材を選べるでしょう。
照明は室内の明るさを確保するだけでなく、空間の雰囲気を大きく左右します。
例えば、最近ではダウンライトが人気で、天井に埋め込んで設置するため見た目がすっきりし、影が出にくい点が特徴です。ただし、埋め込み型照明は後から設置位置を変えにくいため、内装打ち合わせの段階で計画しておく必要があります。
照明は色温度や光の広がり方によって印象が異なり、暖かみのある電球色ならくつろぎ空間に、昼白色や昼光色は作業スペースに向いています。複数の照明を組み合わせたり、調光機能を活用することで、シーンに合わせた使い分けが可能です。
カーテンやブラインド、ロールスクリーンなどの窓まわり製品は、室内の大きな面積を占めるため、空間全体の印象を左右します。
素材や色柄によって雰囲気が大きく変わるため、床・壁・家具との相性を考えながら選ぶことがポイントです。布製カーテンは柔らかく温かい印象を与え、ブラインドは光を調整しやすく、シャープな雰囲気に仕上がります。
ロールカーテンはすっきり見せたい空間に適しています。機能性も重要で、遮光・遮熱・防音など、生活スタイルに合わせた性能を選ぶことで快適性が向上します。
キッチン・浴室・洗面台・トイレなどの水回り設備は、デザイン性だけでなく使い勝手やメンテナンス性も重視して選ぶ必要があります。
設備のグレードによって素材や機能、収納力が大きく異なるため、家族の生活スタイルに合うものを見極めることが大切です。特にキッチンはLDK全体の印象に影響するため、色や素材、配置のバランスを考慮して選びましょう。
浴室や洗面台は掃除のしやすさや安全性も重要で、トイレは節水性能や座り心地など細かな部分が快適さにつながります。予算とのバランスを見ながら、長期的に使いやすい設備を選ぶことがポイントです。
内装工事の流れは、次のとおりです。
それぞれを分かりやすく解説します。
内装工事の第一歩は、どんな空間にしたいのかを明確にするための相談から始まります。
好みのデザインや必要な設備、暮らし方に合った動線などを担当者に伝え、工事内容を一緒に組み立てていきます。要望の中には、建物の構造や規制によって実現が難しいものもありますが、その場合は専門家が現実的な案や近い仕上がりになる方法を提案します。
後から「思っていた雰囲気と違う」と感じないためにも、打ち合わせの段階で遠慮せず細かい点まで共有しておくことが大切です。
打ち合わせを行ったら、整理した内容を基に室内のレイアウトや仕上げの方向性を図面に落とし込む作業が行われます。
間取りだけでなく、壁面の配置や天井の高さ、素材の質感などを立体的に確認できるよう、展開図や3Dパースが用意されることも多いです。図面よりも完成後の雰囲気や空間の広がりが具体的にイメージしやすいです。
もし気になる点があれば、この段階で修正しておくことが重要です。図面とイメージが一致してはじめて、正式な契約へと進みます。
図面を作成し、間取りやデザインの方向性が固まると工事費の見積もりを作成します。
使用する素材の種類や設備のグレードによって金額は大きく変わるため、どこに費用がかかっているのかを丁寧に確認することが重要です。もし予算を超える場合は、仕上げ材の変更や工事範囲の見直しなどでバランスを取りながら調整を行います。
理想とコストの折り合いをどこでつけるかを明確にし、担当者と相談しながら現実的で納得できる仕様へと仕上げていく段階です。
見積もりの調整が終わると、現場での施工が本格的に始まります。
作業はあらかじめ組まれた工程表に沿って進められ、どのタイミングでどの工事が行われるかが明確に管理されます。進捗(しんちょく)状況を確認するために現場を見学できる場合もあり、施工中の状態を直接確認しながら疑問点をその場で担当者や職人に相談できます。
工事が進む中で細かな調整が必要になるケースもありますが、都度コミュニケーションを取りながら進めることで、仕上がりのイメージと実際の完成形の差を小さくできるでしょう。
工事が全て終わった段階で、施工担当者とともに室内を細かく確認する「完了検査」が行われます。
仕上げ材の状態、扉や収納の開閉具合、照明や設備の動作など、一つ一つ丁寧に見ていき、気になる箇所があればこのタイミングで修正を依頼します。細部まで整っていることを確認できれば、正式に引き渡しが行われ、内装工事は完了です。
最終チェックは後々の使い心地に直結するため、疑問点や違和感はその場で必ず解消しておくことが大切です。
内装工事の費用は、一般的に坪単価を基準に算出され、相場は30万〜50万円/坪程度とされています。
例えば10坪なら300〜500万円ほど、30坪なら900〜1,500万円が目安です。物件の状態によっても価格は変わり、スケルトン物件(何もない状態)は40〜60万円/坪、居抜き物件は25〜45万円/坪とされ、内装を一からつくるほど費用は高くなります。
費用を理解する上で重要な点が、職人の人件費である「人工(にんく)単価」や、床材などの材質によって変動する「フローリング単価」です。
また、総額は「設計・デザイン費」「内装・設備工事費」「設備機器・備品費」の3つで構成されるため、見積書では項目が明確かどうか、希望内容とのズレがないかを必ず確認することが大切です。
内装をおしゃれにするコツは、次のとおりです。
● 床材を起点に空間の質を高める
● 凹凸の見せ方を整える
● コンセントの配置を生活動線に合わせる
それぞれを詳しく解説します。
室内の印象を大きく左右するのポイントが床です。
床は面積が広いため、素材や色の選び方ひとつで部屋全体の雰囲気が決まります。もし全室の床にこだわることが難しい場合でも、家族が長時間過ごすリビングやダイニングだけでも上質な材料を選ぶと、住まい全体に高級感が漂います。
床材は内装デザインの基準点になるため、最初に時間をかけて検討すると良いでしょう。
壁や天井の段差、建具の高さ、照明器具の配置などがバラバラだと視線が散り、雑然と感じてしまいます。
図面を確認する際は、ラインのつながりや高さのそろい具合を意識し、凹凸の量が適切かをチェックしましょう。
凹凸が整理されていると眺めが整い、シンプルでも上質な雰囲気が生まれます。
機能性の低い空間は、どんなに見た目が良くても使いづらく感じてしまいます。
特にコンセント位置は、家具の置き方や家電の使い勝手を大きく左右する重要項目です。掃除機を使う動線やキッチン家電の配置、充電スペースなど、日常の行動を思い浮かべながら必要な位置を決めましょう。
コンセント計画がうまくできていると生活がスムーズになり、結果として室内が散らかりにくく、おしゃれが自然と保たれる内装につながります。